「ぐすんぐすん……うう〜」

どしたんグズグズして?お姉さんに言ってみ?

「読書感想文……提出できてない人は居残りだって……」

あー。

「原稿用紙5枚なんてムリ……1枚以内にしようよ」

それはそれで高等技術な気もするけど。

「みんなどうやって長い文章書いてるの? 実験レポートでもないのに」

とりあえず好きな本で書いてみたら?
あんたなら生物系の新書とかでもいいんじゃない?

「えっ、小説じゃなくてもいいの?」

いやしらんけど、松川先生はそんな気にしないでしょ。

「そっかぁ。小学生のときに図鑑で書いたら書き直しになっちゃって」

まあ、日本語で書いてある必要はあるかもね。
何の図鑑で書いたん?

「子どものつくり方!」

なるほどな。
じゃあ生徒指導室行く前に図書館寄ろっか。
また書き直しさせられないように本を選んであげよう。

「いいの……? 塾の時間とか大丈夫?」

生徒指導室に用事があるのは、あんただけじゃないってこと。

「提出できてないんかい!!」

理系クラスなめんな。
もー、松川先生は始業式でいいって言ってるのにさー。
生徒会の連中ったらえらそうに……。

「えへへ。行こっか!」

おう。


おわり
最終更新:2017年08月01日 23:58