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[[●日米同盟10]] から #contents *120930 普天間封鎖の市民らを強制排除 沖縄県警機動隊 [朝日] 米軍普天間飛行場のゲート前で座り込み、強制排除する警察官に抵抗する市民=30日午後7時14分、沖縄県宜野湾市、上田潤撮影  米新型輸送機オスプレイの配備を前に、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の周辺では9月30日も、配備に反対する市民と沖縄県警がにらみ合った。市民がゲート4カ所を封鎖していたが、機動隊はこのうち2カ所で門をふさぐ車や座り込む市民を強制排除した。  県警が最初に実力行使に踏み切ったのは、基地西側の通称「大山ゲート」。市民が28日から路上に座り込み、29日に車12台を門の前に並べていた。  30日午後1時前、100人余が座り込むゲート前に、盾を持った機動隊員約100人が横一列に整列した。「ただちに移動しなさい。従わない場合、強制的に排除します」と警告し、排除を開始。「やめろ」「同じ沖縄県民だろう」と訴える市民を数人がかりで担ぎ出した。  車内に立てこもる人もいたが、県警は無人の2台をレッカー車で移動させた後に説得。残る10台も現場を離れ、ゲートは2日ぶりに開いた。  沖縄県恩納村から来た池原寿里さん(24)も、ゲート前の車内に約1時間いた。「強行配備はあまりにひどい。日米政府はどうしたら私たちの声を聞いてくれるんでしょうか」  封鎖が始まって4日目となる基地北側の通称「野嵩ゲート」でも、午後7時ごろに強制排除が始まった。座り込む市民は約100人おり、つかみ出そうとする機動隊員に抵抗する人も。最前列にいて自らも排除された県選出の糸数慶子参院議員は「県民が切り捨てられていく光景。悲しく、悔しい」と涙を流した。もみ合いの中にいた男性4人が、救急車で搬送された。フェンスの内側では、米海兵隊の憲兵らが笑顔も見せながら眺めていた。 *120924 沖縄知事、防衛相にオスプレイ配備中止を要請 [読売]  沖縄県の仲井真弘多知事は24日、防衛省で森本防衛相と会談し、米軍の新型輸送機MV22オスプレイについて、「安全対策が米軍の裁量に委ねられ、実効性は担保されない」などとして、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への配備中止を求める要請書を提出した。  仲井真氏は会談で、日米合同委員会で19日に合意した安全確保策について、「『可能な限り』など前提条件付きで、なかなか守られないというのが我々の実感だ」と述べ、不十分との認識を示した。これに対し森本氏は「合意で終わりではなく、引き続き合同委でどうやって飛行の安全を確保するかに努める」と述べ、配備への理解を求めた。 *120909 オスプレイ:配備反対の沖縄県民大会開く 10万人が参加 [毎日]  米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への配備反対を訴える沖縄県民大会(実行委主催)が9日、同市の海浜公園であり、約10万1000人(主催者発表)が参加した。参加人数は復帰後の米軍関連の県民大会では過去最多。米海兵隊が予定通りに10月から普天間でオスプレイの本格運用に踏み切れば、県民の反発が更に強まるのは必至だ。  普天間を抱える宜野湾市の佐喜真淳市長は「安全性の担保のないオスプレイを何一つ現状の改善の無いまま、世界一危険な普天間に持ち込もうとしていることに強い憤りを感じる。万が一、墜落するような事故が起こったら、誰が責任を取るのか」などと訴えた。  また、仲井真弘多知事は大会を欠席したが「オスプレイ配備は、安全性が証明され、県民の不安が払拭(ふっしょく)されない限り、絶対に反対だ」とする知事メッセージを寄せた。  大会は「日米両政府は、県民の配備反対の不退転の決意を真摯(しんし)に受け止め、配備計画を撤回すべきだ」と決議した。  同日、同様の大会が離島の宮古島、石垣両市でも開かれた。【井本義親】 *111129 「犯す前に言うか」田中防衛局長 辺野古評価書提出めぐり [琉球新報]  沖縄防衛局の田中聡局長は28日夜、報道陣との非公式の懇談会の席で、米軍普天間飛行場代替施設建設の環境影響評価(アセスメント)の「評価書」の年内提出について、一川保夫防衛相が「年内に提出できる準備をしている」との表現にとどめ、年内提出実施の明言を避けていることはなぜか、と問われたことに対し「これから犯しますよと言いますか」と述べ、年内提出の方針はあるものの、沖縄側の感情に配慮しているとの考えを示した。 県などが普天間飛行場の「県外移設」を強く求め、県議会で評価書提出断念を求める決議が全会一致で可決された中、県民、女性をさげすみ、人権感覚を欠いた防衛局長の問題発言に反発の声が上がりそうだ。  田中局長は那覇市の居酒屋で、防衛局が呼び掛けた報道陣との懇談会を開いた。報道陣は県内外の約10社が参加した。  評価書の提出時期について、一川氏の発言が明確でないことについて質問が出たとき、「これから犯す前に犯しますよと言いますか」と発言した。  懇談会終了後、沖縄防衛局は、琉球新報の取材に対し「発言の有無は否定せざるを得ない」と述べた。  沖縄の米軍基地問題に関連し、女性をさげすむ発言は過去にも問題となった。  1995年9月に起きた少女乱暴事件後の同年11月、リチャード・マッキー米太平洋軍司令官(海軍大将)が同事件をめぐり、「全くばかげている。私が何度も言っているように、彼らは車を借りる金で女が買えた」と発言し、更迭された。  田中局長は1961年生まれ。大阪大学法学部卒。84年旧防衛施設庁入庁。那覇防衛施設局施設部施設企画課長、大臣官房広報課長、地方協力局企画課長などを経て8月15日に、沖縄防衛局長に就いた。  田中局長は非公式の懇談の席で発言したが、琉球新報社は発言内容を報じる公共性、公益性があると判断した。 *111124 米軍属への裁判権、日本にも 日米地位協定運用見直し [朝日]  日米両政府は、在日米軍に勤務する民間米国人(軍属)の公務中の犯罪でも日本が裁判権を行使できるよう、日米地位協定の運用を見直すことで合意した。玄葉光一郎外相が24日発表した。これを受け、那覇地検は25日に、沖縄県で1月に交通死亡事故を起こした米軍属の男(24)を自動車運転過失致死罪で起訴する方針だ。  地位協定は、公務中に事件・事故を起こした軍人や軍属の第1次裁判権は米国にあると規定。だが2006年以降、米国内法の事情により、軍属が日米どちらでも裁判にかけられない状況が続いている。  両政府は23日、地位協定に関する新たな合意文書を締結した。まず米国が刑事訴追するかどうかを決め、日本に通告。訴追しない場合、日本は米国に対し30日以内に日本国内で裁判を行うことに同意するよう要請できる。その際、交通死亡事故など重大事案については、米側は日本の要請に「好意的考慮を払う」として、事実上日本の裁判権を認める運用に変えた。 *111003 訓練時、米軍に空中給油 自衛隊が覚書締結 [朝日]  日本の航空自衛隊の空中給油機が、共同訓練などの際に米軍戦闘機に空中給油できる覚書(MOU)を交わしていたことがわかった。自衛隊と米軍が昨年10月に結んだもので、藤村修官房長官が3日の記者会見で明らかにした。憲法解釈で認められていない集団的自衛権の行使の可能性をめぐり、運用のあり方が論議を呼びそうだ。  藤村長官は3日の会見で「過去、(米軍からの)一方通行だった給油を、日米共同訓練では自衛隊から可能になる覚書を締結した」と説明した。日米両国は共同訓練や周辺事態、武力攻撃事態などの際に、相互に燃料などを融通できる物品役務相互提供協定(ACSA)を結んでいる。今回の覚書も、この協定に基づくというものだ。これまでの共同訓練では米軍の給油機が自衛隊機に給油していたが、自衛隊の給油機は米軍機に給油していなかった。  自衛隊の空中給油機は2008年に初めて配備され、現在は航空自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)で4機が運用されている。ただ、空中給油機は戦闘機の航続距離・時間を延ばすことができ、海外での攻撃が物理的に可能になることから、「専守防衛の枠を超える」という批判もあった。  米軍の軍事作戦として展開する米軍戦闘機への給油は、憲法解釈で禁じた集団的自衛権の行使につながる恐れがあるが、藤村長官は「そのレベルの話ではないと判断している」と言及。憲法解釈上、問題となるような運用はしないという考えを示した。 *110826 「重要事件除き裁判権放棄」 政府、米との「密約」公開 [朝日]  日本政府が在日米軍関係者の公務外の犯罪について「重要事件以外は裁判する権利を行使しない」との見解を明記した秘密文書を1953年に米政府と交わしていた。一定の裁判権を放棄し、起訴しない方針を示したものだ。松本剛明外相が26日、関連文書を公開した。  米兵らの公務外の犯罪に対する裁判権は、52年の日米行政協定(日米地位協定の前身)では米国側にあったが、53年の協定改定で日本に移った。公開された文書には、改定交渉の中で日米両政府が裁判権放棄について協議していたことを示すものが含まれていた。  日本側発言の草案と見られる文書もあり、そこには「実質的に見て重要であると考えられる以外の事件は(中略)裁判権を行使する第1次の権利を行使する意図を通常有しない」などと記されている。  日米両政府は、改定された行政協定が発効する前日に会議を開催。法務省の津田実・刑事局総務課長(当時)が草案通りに発言して文書に署名した。この秘密文書は当時、米側だけで保管すると取り決めたため、日本政府の資料からは見つからなかったという。日本政府は今回、米側から英文の秘密文書提供を受け、和訳して公開した。  日本側が裁判権放棄の方針を示していたことは08年に米政府の公文書で明らかになっていた。日本政府は当時、「裁判権放棄について米側と合意した事実はない」と否定したが、09年の民主党政権発足後、岡田克也外相(当時)が調査すると表明していた。  ただ、松本外相は26日、「日米合意はなかったと確認できる。密約と言えるかどうかはコメントしにくい」と説明。日米両政府は25日に日米合同委員会を開いて「日本側の裁判権行使に関する一方的な政策的発言で、日米の合意ではない」と確認した。また、日本政府は「被疑者を起訴するかどうかは、日米地位協定上の地位とは無関係に、日本国の法に従って行われる」とし、米側も「指摘の理解を共有する」と応じた。(鶴岡正寛)     ◇  沖縄の米兵犯罪などに詳しい琉球大・我部政明教授の話 日本政府は自ら主権を制限することになる裁判権の放棄について、表に出てしまうとまずいから法務省課長の口頭陳述にするよう求め、長い間にわたって日本側文書を公表してこなかった。一方、米政府は協定改定案を審議する議会への対策などから、米側文書に課長の署名を要求したとみられる。日米ともに妥協し、秘密の合意をしたと言える。明らかな密約だ。     ◇  〈日米行政協定〉 1952年の旧日米安保条約発効に伴い、米軍の日本での権限などを定めた日米行政協定が締結され、翌53年に改定された。60年の安保改定を受け、行政協定も現在の地位協定に改定された。米軍に対する日本側の施設・区域の提供義務や米軍人への日本国内法令の適用除外などを定めている。米軍関係者が起こした事件を最初に裁く権利(第1次裁判権)は、公務中の犯罪は米側に、公務外の犯罪は日本にあると定めている。法務省や外務省は、起訴すべきかどうかについて米兵を特別扱いはしていないとの立場を取っている。 *110812 普天間含む米軍用地、20年再延長で合意 政府と地主会 [朝日]  沖縄県の米軍基地内に土地を持つ軍用地主らによる県軍用地等地主会連合会(土地連)が、来年に期限切れを迎える軍用地6400ヘクタールの賃貸契約で20年間の再延長に応じたことがわかった。10年後に内容を再協議するとの確認書も交わした。基地内民有地の84%にあたり、普天間飛行場の9割近い土地も含む。政府が望む「基地の安定的使用」に当面のめどがついた。  契約交渉にあたる防衛省の沖縄防衛局と土地連への取材でわかった。  沖縄の米軍基地の3分の1は民有地。「銃剣とブルドーザー」と言われる米軍による強制収用のため本土(4%)より割合が高く、普天間飛行場は91%が民有地だ。来年5月、全民有地の95%にあたる7200ヘクタール(所有者4万2千人)で、20年の賃貸契約が切れる。  県内市町村ごとの軍用地主会からなる土地連は、うち6400ヘクタール(所有者4万人)について沖縄防衛局と交渉。これまで、契約は政府が地主と個別に協議してきたが、今回初めて各軍用地主会が会員から同意書を預かり、土地連が代表して交渉していた。 *1106 オスプレイ配備、沖縄県知事が反対 防衛相に伝える [朝日]  沖縄県の仲井真弘多知事は10日、防衛省で北沢俊美防衛相と会談し、米国防総省が米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)への来年後半の配備を発表した新型輸送機オスプレイ(MV22)について「墜落が何回もあった。県民として受け入れられない」などとして反対する考えを伝えた。  沖縄では開発段階で墜落事故が続いたオスプレイの安全性に加え、騒音への懸念も出ている。政府は普天間の名護市辺野古への移設に伴う環境影響評価(アセス)について、オスプレイ配備に伴うやり直しは法令上不要との立場。だが、米国はカリフォルニア州やハワイ州の基地へのオスプレイ配備にあたりアセスを実施。沖縄には「政府がアセスを避けようとするのは負担増を隠すためでは」(県幹部)との不信が募る。  カリフォルニア州の基地への配備に関する米政府の環境影響報告は、オスプレイと交代する輸送ヘリCH46より「着陸時の最大騒音は若干上回る」と指摘。新機種のオスプレイに操縦士が慣れるまでは、訓練回数もCH46を上回るとの見通しも示した。県や宜野湾市はこうした点でも政府に説明を求める方針だ。(河口健太郎、藤田直央) *110526 在日米軍再編費、日米合意額の3倍 米監査院報告 [朝日]  米政府監査院(GAO)は25日、在沖縄海兵隊のグアム移転を柱とした在日米軍再編で、日米両政府が負担する建設費などの費用総額が291億ドル(約2兆4千億円)以上に達するとの報告書を出した。両政府が2006年にグアム移転費として合意した額の約3倍規模で、現行の再編計画への批判が強まりそうだ。  日米両政府は同年春に合意した在日米軍再編のロードマップ(行程表)で、グアム移転費の日本側負担を約61億ドル(約5千億円)、米側負担を約42億ドル(約3440億円)と明記。再編の総額については明らかにしていなかった。  現行の米軍再編計画については、沖縄の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設案に地元が反対する中、米議会でも風当たりが強まっている。レビン上院軍事委員長(民主)ら有力議員が、財政難を背景に、普天間飛行場の米軍嘉手納基地への統合を検討するよう表明した。GAO報告書で巨額の財政負担が裏付けられ、日米両政府は、いっそうの説明責任を求められることになる。 *110409 米軍専門部隊と自衛隊、原発事故想定し共同訓練 [朝日]  米海兵隊の専門部隊CBIRF(シーバーフ)と自衛隊が9日、原発事故の対応を想定した共同訓練を米軍横田基地(東京)で実施した。放射能汚染地域から被災者を救出し、除染や治療をする作業が報道陣に公開された。  訓練では、防護服の隊員が壊れた車や建物の周辺で放射線を計測しながら負傷者を助け出し、隊員が扮したパジャマ姿の住民らを専用テント内の施設で除染。米軍が救助に使った車両の除染は陸上自衛隊の中央特殊武器防護隊が担当した。  派遣部隊の責任者マイク・ジョンソン少佐は「原発事故にはだれも慣れていないが、米国でも起きる可能性がある。訓練は積んでおり、自衛隊と協力していく」と語った。  専門部隊はNBC(核、生物、化学)兵器の攻撃に即応し、大統領就任式や国際会議にも警戒で出動する。東日本大震災の支援のため4月に約150人が日本に派遣された。米国外への派遣は初めてだ。  防衛省によると、専門部隊は放射線の検知識別、捜索搬出、除染、爆発物処理、技術救助、医療支援の6班編成。原発事故の専門ではないが、除染や放射線検知で自衛隊と協力し対応することを想定する。現在は横田基地で待機中だ。  防衛省幹部は「米軍は原発事故にかなり神経質になっている。CBIRFを派遣した背景には、自衛隊との協力だけでなく、原発の状況が悪化し、付近で活動する米軍部隊に除染の必要が生じた場合に備える狙いもあるようだ」と話す。(藤田直央、土居貴輝) *110522 原発事故、米軍が全面支援リスト 大量飛散を想定 [朝日]  東京電力福島第一原発の事故を受けて、米軍が技術支援や物資の提供、放射性物質の拡散対策などを詳細に列挙して日本政府に提出した「支援リスト」の全容が、朝日新聞が入手した政府の内部資料でわかった。米側は原発事故対応への全面的関与を打診していた。  リストには工兵大隊や海上事前集積部隊、病院船など米軍の大規模展開に備えた項目が含まれる。日本政府がメルトダウンを確認するまで2カ月かかるなど事故対応で後手に回る一方、米軍は事故直後から放射性物質が大量に飛散する最悪の事態を想定し、用意できる最大限の支援メニューを示していた。  政府関係者によると、3月17日に陸上自衛隊がヘリで第一原発への放水を実施した直後、米太平洋軍が防衛省を通じて首相官邸にリストを示した。オバマ米大統領は同日、菅直人首相に電話で支援を約束。22日には細野豪志首相補佐官を仕切り役として、米軍と両政府、東京電力などによる「福島第一原発事故の対応に関する日米協議」が発足し、このリストをもとに具体的な支援内容を決めた。 *101214 思いやり予算、5年間は現状維持 日米が合意 [朝日]  日米両政府は在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の総額について、2015年度までの5年間、現行水準を維持することで合意した。日本政府関係者が13日、明らかにした。中国の海洋進出や朝鮮半島情勢の緊迫化を踏まえ、5年単位で総額をしばる異例の「約束」に踏み切った。  思いやり予算の総額は00年度から減っており、10年度は1881億円(99年度比32%減)に抑えていた。  思いやり予算についての日米の特別協定が期限切れとなるため、日米両政府は来年度分以降の取り扱いを協議していた。その中で、米側から「日本周辺の安全保障環境の悪化」を理由に削減に強く反対され、来年度分のみならず、将来的な「現状維持」まで容認する結果となった。近く菅内閣が決定する中期防衛力整備計画(11~15年度)にもこの趣旨を書き込む。  内訳を見ると、今後5年間で増額されるのは、米軍住宅の太陽光発電などの環境対策費など「提供施設整備費」。同費は日本側の判断で削れる部分だったが、米側の要求を受け入れた。一方で、基地労働者の給与などの「労務費」と米軍の光熱水費については減額し、全体で帳尻を合わせる。労務費で96年度以降の日本側負担の上限人数(2万3055人)を引き下げるほか、米軍の使用する光熱水費の76%にあたる249億円(10年度)の負担額、割合を引き下げる。(鶴岡正寛、河口健太郎) *101128 沖縄知事選、仲井真氏が再選 伊波氏ら破る [朝日]  米軍普天間飛行場の移設問題が焦点になった沖縄県知事選。県内移設容認から選挙前に「県外移設」に転じた現職の仲井真弘多氏(71)が、「国外移設」を主張した前宜野湾市長の伊波洋一氏(58)を退けた。ともに「県外」を唱えて主張の違いが見えにくくなる中、仲井真氏は経済振興の訴えに力を割いて支持を集めた。「最低でも県外」と語りながら基地問題で迷走した民主党政権への不信もあって、県民は現実路線の知事を再び選んだ。  28日午後10時過ぎ、仲井真氏が那覇市中心部の事務所に現れた直後にテレビが当選確実を速報した。室内を埋め尽くした200人を超える支持者が一斉に立ち上がり、「仲井真」コールが響き渡った。  「日本全体で考えてほしい」。報道陣のインタビューに応じた仲井真氏は、普天間飛行場の移設問題に触れ、「日本全体で」という言葉を3度繰り返した。  普天間飛行場の県内移設を容認してきた仲井真氏が「県外移設」を掲げて選挙戦に臨む決意を固めたのは9月半ば。「百八十度、自分の考えを変えるような、みっともないことはしたくない」。直前までそう漏らしていたが、選挙戦に入ってからは、「北海道から鹿児島までのヤマトで探してもらいたい」と繰り返した。県内移設反対を訴えていた伊波氏の主張の独自色を抑えることに成功した。  基地問題で主張の違いが薄れる中、「経済の仲井真」を強調する姿勢が県民から一定の評価を得たことになる。仲井真氏も2期目の抱負について、「今の戦後処理みたいなものからある程度解放され、自らの足で立つ活力のある県にしたい」と語った。  この1年、苦悩の日々だった。沖縄の発展のためには政府との決定的な対立は避けて、辺野古移設を進めるしかない――。普天間問題が浮上してからの一貫した持論だ。  選挙戦では、これまでやり玉にあげてきた普天間を巡る民主党政権への批判も抑え、沖縄振興で「政府と話を始めている」と何度も強調した。  「県民の心を一つにして、県外移設を実現していきたい」。有権者に伝えた言葉がこれから試される。 ■伊波氏「手応えあったが浸透できず」  「県内移設反対を訴えた。県民の思いはそうだった。手応えもあったが、浸透できなかった」。伊波氏は那覇市内の事務所で28日午後10時過ぎ、敗戦の弁を述べた。「仲井真氏も県外移設と言ってきた。ぜひ、実現して欲しい」  基地問題を語り始めると止まらない。演説の冒頭はいつも普天間だった。相手陣営から「訴えは基地ばかり」と批判されても「基地のない沖縄」にこだわり続けた。  28日夜、投票率の低さを問われた伊波氏は「この知事選で民主党が明確な指針を示さなかったし、普天間問題での政府の対応をみて、『選挙に行っても何も変わらないのでは』という思いが県民に広がったと思う」。伊波氏を支援した名護市の稲嶺進市長は「負けはしたが、仲井真知事から『県外移設』や『日米合意の見直し』という言葉を引き出させた。条件付き容認という知事の立場を変えさせるまで追い込んだということが選挙戦の成果だ」と話した。
[[●日米同盟10]] から #contents *121002 オスプレイ、市街地でヘリモード 配備早々「合意破り」 [東京]  1日、米軍普天間飛行場を目指し、沖縄県宜野湾市の上空をヘリモードで飛行するオスプレイ=共同通信社ヘリから  米軍新型輸送機MV22オスプレイが普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に到着した1、2の両日、プロペラを上向きにした垂直離着陸(ヘリ)モードで市街地上空を航行したことが確認された。日米両政府が合意した安全策は、ヘリモードの飛行を基地や訓練場内に限定しており、配備当初からの「合意破り」に、宜野湾市や周辺住民の反発は一段と強まっている。  在沖縄米海兵隊トップのグラック中将は配備前の8月に「人口密集地上空ではヘリモードで飛ばない。保証する」と強調。ヘリモード飛行は「普天間飛行場の敷地内だけだ」と明言していた。 (共同) *121002 オスプレイ沖縄猛反発 安全軽視 見切り配備 [東京]  米軍新型輸送機MV22オスプレイが一日、地元の強い反対にもかかわらず、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備された。背景には、軍備の近代化を進める中国に対抗し、アジア・太平洋地域の抑止力強化を急ぐ米国の戦略がある。日本政府も米国の方針に追従した。安全より同盟を優先した「見切り配備」だ。沖縄の怒りは収まらず、米軍基地の地元を刺激し続けることの影響を懸念する声が日米双方に出ている。  ◆政府 住民ないがしろ 同盟脅かす恐れ  野田佳彦首相は一日の記者会見で、普天間飛行場へのオスプレイ配備に関し「本土への訓練移転を具体的に進めるなど、全国でも負担を分かち合っていくよう努力したい」と沖縄に理解を求めた。  森本敏防衛相は防衛省で記者団に「今後は日米合意に基づき、米側が安全性に留意しながら部隊の運用を進める」と指摘した。  だが、肝心の安全面で、日本政府は米政府の事故報告書を追認しただけで「安全宣言」を出した。配備のスケジュールも、ほぼ当初の予定通りで「配備ありき」の姿勢はぬぐえず、沖縄をはじめ全国各地で予定されている低空飛行訓練への不安が高まっている。  日米の外務・防衛当局の実務者による「日米合同委員会」は先月十九日、オスプレイの低空飛行訓練について、人口密集地の上空を飛行せず、高度も地上百五十メートルに制限する運用ルールで合意。飛行が不安定になるとの指摘がある回転翼を前に傾けた「転換モード」での飛行時間も短くするとした。  しかし、安全策の多くには「可能な限り」などとただし書きがあり、一時駐機している岩国基地(山口県)での試験飛行では市街地上空を飛行したとの目撃報告が相次いだ。  日本政府は日米同盟を重視し、なし崩しでオスプレイ配備を認めてきたが、沖縄の不安と反発をないがしろにし続ければ、沖縄との信頼関係が完全に崩れかねない。  日米同盟は、米軍基地を抱える地元の協力に支えられており、配備の強行は逆に同盟を脅かすとの見方もある。  沖縄が地元の下地幹郎郵政民営化担当相は一日の就任会見で「強引という声が沖縄に充満している。政府は率直に聞かないといけない」と危機感を示した。 (編集委員・五味洋治) ◆米国 中国へ抑止力  米国は今年一月に新国防戦略を発表し、アジア・太平洋地域を重視する姿勢を明確にした。  中国は人民解放軍の予算を急増させ、装備の近代化を着実に進めており、米国は同地域で存在感を示す必要に迫られていたためだ。  オスプレイは最高速度や兵力・装備の搭載能力、航続距離などで駐留米軍が現在使用する輸送機CH46の能力を大きく上回る。  元中央情報局(CIA)上席分析官で、ヘリテージ財団上級研究員のクリングナー氏は「オスプレイ配備は海兵隊の抑止力と有事の作戦展開能力を飛躍的に高める」と話し、「抑止力強化は日本の安全保障とアジアの安定に貢献するはずだ」と説明。オスプレイ配備は、尖閣諸島や南シナ海の領有権問題などで強硬姿勢を崩さない中国へのけん制にもなるとの見方だ。  一方、海外の駐留米軍の実態を調査しているアメリカン大学のバイン准教授は「オスプレイ配備は中国を刺激し、かえって激しい軍拡競争を招く」と指摘。「開発には巨額の資金が投じられてきた。国防総省は配備中止によって、国防戦略全体に影響が出ることを恐れているのだろう」と分析した。  米紙ニューヨーク・タイムズは九月十五日付の社説で「(重い負担をかけてきた)沖縄の古傷に塩をすりこむようなものだ」と主張し、配備見直しを求めた。  米国内でも安全性が疑問視されており、配備強行は日米同盟にひびを入れることになりかねない。  今後、安全面で新たな問題が起きれば、米国内でも配備計画の撤回を求める声が強まる可能性がある。 (ワシントン・久留信一) (東京新聞) *120930 普天間封鎖の市民らを強制排除 沖縄県警機動隊 [朝日] 米軍普天間飛行場のゲート前で座り込み、強制排除する警察官に抵抗する市民=30日午後7時14分、沖縄県宜野湾市、上田潤撮影  米新型輸送機オスプレイの配備を前に、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の周辺では9月30日も、配備に反対する市民と沖縄県警がにらみ合った。市民がゲート4カ所を封鎖していたが、機動隊はこのうち2カ所で門をふさぐ車や座り込む市民を強制排除した。  県警が最初に実力行使に踏み切ったのは、基地西側の通称「大山ゲート」。市民が28日から路上に座り込み、29日に車12台を門の前に並べていた。  30日午後1時前、100人余が座り込むゲート前に、盾を持った機動隊員約100人が横一列に整列した。「ただちに移動しなさい。従わない場合、強制的に排除します」と警告し、排除を開始。「やめろ」「同じ沖縄県民だろう」と訴える市民を数人がかりで担ぎ出した。  車内に立てこもる人もいたが、県警は無人の2台をレッカー車で移動させた後に説得。残る10台も現場を離れ、ゲートは2日ぶりに開いた。  沖縄県恩納村から来た池原寿里さん(24)も、ゲート前の車内に約1時間いた。「強行配備はあまりにひどい。日米政府はどうしたら私たちの声を聞いてくれるんでしょうか」  封鎖が始まって4日目となる基地北側の通称「野嵩ゲート」でも、午後7時ごろに強制排除が始まった。座り込む市民は約100人おり、つかみ出そうとする機動隊員に抵抗する人も。最前列にいて自らも排除された県選出の糸数慶子参院議員は「県民が切り捨てられていく光景。悲しく、悔しい」と涙を流した。もみ合いの中にいた男性4人が、救急車で搬送された。フェンスの内側では、米海兵隊の憲兵らが笑顔も見せながら眺めていた。 *120924 沖縄知事、防衛相にオスプレイ配備中止を要請 [読売]  沖縄県の仲井真弘多知事は24日、防衛省で森本防衛相と会談し、米軍の新型輸送機MV22オスプレイについて、「安全対策が米軍の裁量に委ねられ、実効性は担保されない」などとして、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への配備中止を求める要請書を提出した。  仲井真氏は会談で、日米合同委員会で19日に合意した安全確保策について、「『可能な限り』など前提条件付きで、なかなか守られないというのが我々の実感だ」と述べ、不十分との認識を示した。これに対し森本氏は「合意で終わりではなく、引き続き合同委でどうやって飛行の安全を確保するかに努める」と述べ、配備への理解を求めた。 *120909 オスプレイ:配備反対の沖縄県民大会開く 10万人が参加 [毎日]  米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)への配備反対を訴える沖縄県民大会(実行委主催)が9日、同市の海浜公園であり、約10万1000人(主催者発表)が参加した。参加人数は復帰後の米軍関連の県民大会では過去最多。米海兵隊が予定通りに10月から普天間でオスプレイの本格運用に踏み切れば、県民の反発が更に強まるのは必至だ。  普天間を抱える宜野湾市の佐喜真淳市長は「安全性の担保のないオスプレイを何一つ現状の改善の無いまま、世界一危険な普天間に持ち込もうとしていることに強い憤りを感じる。万が一、墜落するような事故が起こったら、誰が責任を取るのか」などと訴えた。  また、仲井真弘多知事は大会を欠席したが「オスプレイ配備は、安全性が証明され、県民の不安が払拭(ふっしょく)されない限り、絶対に反対だ」とする知事メッセージを寄せた。  大会は「日米両政府は、県民の配備反対の不退転の決意を真摯(しんし)に受け止め、配備計画を撤回すべきだ」と決議した。  同日、同様の大会が離島の宮古島、石垣両市でも開かれた。【井本義親】 *111129 「犯す前に言うか」田中防衛局長 辺野古評価書提出めぐり [琉球新報]  沖縄防衛局の田中聡局長は28日夜、報道陣との非公式の懇談会の席で、米軍普天間飛行場代替施設建設の環境影響評価(アセスメント)の「評価書」の年内提出について、一川保夫防衛相が「年内に提出できる準備をしている」との表現にとどめ、年内提出実施の明言を避けていることはなぜか、と問われたことに対し「これから犯しますよと言いますか」と述べ、年内提出の方針はあるものの、沖縄側の感情に配慮しているとの考えを示した。 県などが普天間飛行場の「県外移設」を強く求め、県議会で評価書提出断念を求める決議が全会一致で可決された中、県民、女性をさげすみ、人権感覚を欠いた防衛局長の問題発言に反発の声が上がりそうだ。  田中局長は那覇市の居酒屋で、防衛局が呼び掛けた報道陣との懇談会を開いた。報道陣は県内外の約10社が参加した。  評価書の提出時期について、一川氏の発言が明確でないことについて質問が出たとき、「これから犯す前に犯しますよと言いますか」と発言した。  懇談会終了後、沖縄防衛局は、琉球新報の取材に対し「発言の有無は否定せざるを得ない」と述べた。  沖縄の米軍基地問題に関連し、女性をさげすむ発言は過去にも問題となった。  1995年9月に起きた少女乱暴事件後の同年11月、リチャード・マッキー米太平洋軍司令官(海軍大将)が同事件をめぐり、「全くばかげている。私が何度も言っているように、彼らは車を借りる金で女が買えた」と発言し、更迭された。  田中局長は1961年生まれ。大阪大学法学部卒。84年旧防衛施設庁入庁。那覇防衛施設局施設部施設企画課長、大臣官房広報課長、地方協力局企画課長などを経て8月15日に、沖縄防衛局長に就いた。  田中局長は非公式の懇談の席で発言したが、琉球新報社は発言内容を報じる公共性、公益性があると判断した。 *111124 米軍属への裁判権、日本にも 日米地位協定運用見直し [朝日]  日米両政府は、在日米軍に勤務する民間米国人(軍属)の公務中の犯罪でも日本が裁判権を行使できるよう、日米地位協定の運用を見直すことで合意した。玄葉光一郎外相が24日発表した。これを受け、那覇地検は25日に、沖縄県で1月に交通死亡事故を起こした米軍属の男(24)を自動車運転過失致死罪で起訴する方針だ。  地位協定は、公務中に事件・事故を起こした軍人や軍属の第1次裁判権は米国にあると規定。だが2006年以降、米国内法の事情により、軍属が日米どちらでも裁判にかけられない状況が続いている。  両政府は23日、地位協定に関する新たな合意文書を締結した。まず米国が刑事訴追するかどうかを決め、日本に通告。訴追しない場合、日本は米国に対し30日以内に日本国内で裁判を行うことに同意するよう要請できる。その際、交通死亡事故など重大事案については、米側は日本の要請に「好意的考慮を払う」として、事実上日本の裁判権を認める運用に変えた。 *111003 訓練時、米軍に空中給油 自衛隊が覚書締結 [朝日]  日本の航空自衛隊の空中給油機が、共同訓練などの際に米軍戦闘機に空中給油できる覚書(MOU)を交わしていたことがわかった。自衛隊と米軍が昨年10月に結んだもので、藤村修官房長官が3日の記者会見で明らかにした。憲法解釈で認められていない集団的自衛権の行使の可能性をめぐり、運用のあり方が論議を呼びそうだ。  藤村長官は3日の会見で「過去、(米軍からの)一方通行だった給油を、日米共同訓練では自衛隊から可能になる覚書を締結した」と説明した。日米両国は共同訓練や周辺事態、武力攻撃事態などの際に、相互に燃料などを融通できる物品役務相互提供協定(ACSA)を結んでいる。今回の覚書も、この協定に基づくというものだ。これまでの共同訓練では米軍の給油機が自衛隊機に給油していたが、自衛隊の給油機は米軍機に給油していなかった。  自衛隊の空中給油機は2008年に初めて配備され、現在は航空自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)で4機が運用されている。ただ、空中給油機は戦闘機の航続距離・時間を延ばすことができ、海外での攻撃が物理的に可能になることから、「専守防衛の枠を超える」という批判もあった。  米軍の軍事作戦として展開する米軍戦闘機への給油は、憲法解釈で禁じた集団的自衛権の行使につながる恐れがあるが、藤村長官は「そのレベルの話ではないと判断している」と言及。憲法解釈上、問題となるような運用はしないという考えを示した。 *110826 「重要事件除き裁判権放棄」 政府、米との「密約」公開 [朝日]  日本政府が在日米軍関係者の公務外の犯罪について「重要事件以外は裁判する権利を行使しない」との見解を明記した秘密文書を1953年に米政府と交わしていた。一定の裁判権を放棄し、起訴しない方針を示したものだ。松本剛明外相が26日、関連文書を公開した。  米兵らの公務外の犯罪に対する裁判権は、52年の日米行政協定(日米地位協定の前身)では米国側にあったが、53年の協定改定で日本に移った。公開された文書には、改定交渉の中で日米両政府が裁判権放棄について協議していたことを示すものが含まれていた。  日本側発言の草案と見られる文書もあり、そこには「実質的に見て重要であると考えられる以外の事件は(中略)裁判権を行使する第1次の権利を行使する意図を通常有しない」などと記されている。  日米両政府は、改定された行政協定が発効する前日に会議を開催。法務省の津田実・刑事局総務課長(当時)が草案通りに発言して文書に署名した。この秘密文書は当時、米側だけで保管すると取り決めたため、日本政府の資料からは見つからなかったという。日本政府は今回、米側から英文の秘密文書提供を受け、和訳して公開した。  日本側が裁判権放棄の方針を示していたことは08年に米政府の公文書で明らかになっていた。日本政府は当時、「裁判権放棄について米側と合意した事実はない」と否定したが、09年の民主党政権発足後、岡田克也外相(当時)が調査すると表明していた。  ただ、松本外相は26日、「日米合意はなかったと確認できる。密約と言えるかどうかはコメントしにくい」と説明。日米両政府は25日に日米合同委員会を開いて「日本側の裁判権行使に関する一方的な政策的発言で、日米の合意ではない」と確認した。また、日本政府は「被疑者を起訴するかどうかは、日米地位協定上の地位とは無関係に、日本国の法に従って行われる」とし、米側も「指摘の理解を共有する」と応じた。(鶴岡正寛)     ◇  沖縄の米兵犯罪などに詳しい琉球大・我部政明教授の話 日本政府は自ら主権を制限することになる裁判権の放棄について、表に出てしまうとまずいから法務省課長の口頭陳述にするよう求め、長い間にわたって日本側文書を公表してこなかった。一方、米政府は協定改定案を審議する議会への対策などから、米側文書に課長の署名を要求したとみられる。日米ともに妥協し、秘密の合意をしたと言える。明らかな密約だ。     ◇  〈日米行政協定〉 1952年の旧日米安保条約発効に伴い、米軍の日本での権限などを定めた日米行政協定が締結され、翌53年に改定された。60年の安保改定を受け、行政協定も現在の地位協定に改定された。米軍に対する日本側の施設・区域の提供義務や米軍人への日本国内法令の適用除外などを定めている。米軍関係者が起こした事件を最初に裁く権利(第1次裁判権)は、公務中の犯罪は米側に、公務外の犯罪は日本にあると定めている。法務省や外務省は、起訴すべきかどうかについて米兵を特別扱いはしていないとの立場を取っている。 *110812 普天間含む米軍用地、20年再延長で合意 政府と地主会 [朝日]  沖縄県の米軍基地内に土地を持つ軍用地主らによる県軍用地等地主会連合会(土地連)が、来年に期限切れを迎える軍用地6400ヘクタールの賃貸契約で20年間の再延長に応じたことがわかった。10年後に内容を再協議するとの確認書も交わした。基地内民有地の84%にあたり、普天間飛行場の9割近い土地も含む。政府が望む「基地の安定的使用」に当面のめどがついた。  契約交渉にあたる防衛省の沖縄防衛局と土地連への取材でわかった。  沖縄の米軍基地の3分の1は民有地。「銃剣とブルドーザー」と言われる米軍による強制収用のため本土(4%)より割合が高く、普天間飛行場は91%が民有地だ。来年5月、全民有地の95%にあたる7200ヘクタール(所有者4万2千人)で、20年の賃貸契約が切れる。  県内市町村ごとの軍用地主会からなる土地連は、うち6400ヘクタール(所有者4万人)について沖縄防衛局と交渉。これまで、契約は政府が地主と個別に協議してきたが、今回初めて各軍用地主会が会員から同意書を預かり、土地連が代表して交渉していた。 *1106 オスプレイ配備、沖縄県知事が反対 防衛相に伝える [朝日]  沖縄県の仲井真弘多知事は10日、防衛省で北沢俊美防衛相と会談し、米国防総省が米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)への来年後半の配備を発表した新型輸送機オスプレイ(MV22)について「墜落が何回もあった。県民として受け入れられない」などとして反対する考えを伝えた。  沖縄では開発段階で墜落事故が続いたオスプレイの安全性に加え、騒音への懸念も出ている。政府は普天間の名護市辺野古への移設に伴う環境影響評価(アセス)について、オスプレイ配備に伴うやり直しは法令上不要との立場。だが、米国はカリフォルニア州やハワイ州の基地へのオスプレイ配備にあたりアセスを実施。沖縄には「政府がアセスを避けようとするのは負担増を隠すためでは」(県幹部)との不信が募る。  カリフォルニア州の基地への配備に関する米政府の環境影響報告は、オスプレイと交代する輸送ヘリCH46より「着陸時の最大騒音は若干上回る」と指摘。新機種のオスプレイに操縦士が慣れるまでは、訓練回数もCH46を上回るとの見通しも示した。県や宜野湾市はこうした点でも政府に説明を求める方針だ。(河口健太郎、藤田直央) *110526 在日米軍再編費、日米合意額の3倍 米監査院報告 [朝日]  米政府監査院(GAO)は25日、在沖縄海兵隊のグアム移転を柱とした在日米軍再編で、日米両政府が負担する建設費などの費用総額が291億ドル(約2兆4千億円)以上に達するとの報告書を出した。両政府が2006年にグアム移転費として合意した額の約3倍規模で、現行の再編計画への批判が強まりそうだ。  日米両政府は同年春に合意した在日米軍再編のロードマップ(行程表)で、グアム移転費の日本側負担を約61億ドル(約5千億円)、米側負担を約42億ドル(約3440億円)と明記。再編の総額については明らかにしていなかった。  現行の米軍再編計画については、沖縄の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設案に地元が反対する中、米議会でも風当たりが強まっている。レビン上院軍事委員長(民主)ら有力議員が、財政難を背景に、普天間飛行場の米軍嘉手納基地への統合を検討するよう表明した。GAO報告書で巨額の財政負担が裏付けられ、日米両政府は、いっそうの説明責任を求められることになる。 *110409 米軍専門部隊と自衛隊、原発事故想定し共同訓練 [朝日]  米海兵隊の専門部隊CBIRF(シーバーフ)と自衛隊が9日、原発事故の対応を想定した共同訓練を米軍横田基地(東京)で実施した。放射能汚染地域から被災者を救出し、除染や治療をする作業が報道陣に公開された。  訓練では、防護服の隊員が壊れた車や建物の周辺で放射線を計測しながら負傷者を助け出し、隊員が扮したパジャマ姿の住民らを専用テント内の施設で除染。米軍が救助に使った車両の除染は陸上自衛隊の中央特殊武器防護隊が担当した。  派遣部隊の責任者マイク・ジョンソン少佐は「原発事故にはだれも慣れていないが、米国でも起きる可能性がある。訓練は積んでおり、自衛隊と協力していく」と語った。  専門部隊はNBC(核、生物、化学)兵器の攻撃に即応し、大統領就任式や国際会議にも警戒で出動する。東日本大震災の支援のため4月に約150人が日本に派遣された。米国外への派遣は初めてだ。  防衛省によると、専門部隊は放射線の検知識別、捜索搬出、除染、爆発物処理、技術救助、医療支援の6班編成。原発事故の専門ではないが、除染や放射線検知で自衛隊と協力し対応することを想定する。現在は横田基地で待機中だ。  防衛省幹部は「米軍は原発事故にかなり神経質になっている。CBIRFを派遣した背景には、自衛隊との協力だけでなく、原発の状況が悪化し、付近で活動する米軍部隊に除染の必要が生じた場合に備える狙いもあるようだ」と話す。(藤田直央、土居貴輝) *110522 原発事故、米軍が全面支援リスト 大量飛散を想定 [朝日]  東京電力福島第一原発の事故を受けて、米軍が技術支援や物資の提供、放射性物質の拡散対策などを詳細に列挙して日本政府に提出した「支援リスト」の全容が、朝日新聞が入手した政府の内部資料でわかった。米側は原発事故対応への全面的関与を打診していた。  リストには工兵大隊や海上事前集積部隊、病院船など米軍の大規模展開に備えた項目が含まれる。日本政府がメルトダウンを確認するまで2カ月かかるなど事故対応で後手に回る一方、米軍は事故直後から放射性物質が大量に飛散する最悪の事態を想定し、用意できる最大限の支援メニューを示していた。  政府関係者によると、3月17日に陸上自衛隊がヘリで第一原発への放水を実施した直後、米太平洋軍が防衛省を通じて首相官邸にリストを示した。オバマ米大統領は同日、菅直人首相に電話で支援を約束。22日には細野豪志首相補佐官を仕切り役として、米軍と両政府、東京電力などによる「福島第一原発事故の対応に関する日米協議」が発足し、このリストをもとに具体的な支援内容を決めた。 *101214 思いやり予算、5年間は現状維持 日米が合意 [朝日]  日米両政府は在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の総額について、2015年度までの5年間、現行水準を維持することで合意した。日本政府関係者が13日、明らかにした。中国の海洋進出や朝鮮半島情勢の緊迫化を踏まえ、5年単位で総額をしばる異例の「約束」に踏み切った。  思いやり予算の総額は00年度から減っており、10年度は1881億円(99年度比32%減)に抑えていた。  思いやり予算についての日米の特別協定が期限切れとなるため、日米両政府は来年度分以降の取り扱いを協議していた。その中で、米側から「日本周辺の安全保障環境の悪化」を理由に削減に強く反対され、来年度分のみならず、将来的な「現状維持」まで容認する結果となった。近く菅内閣が決定する中期防衛力整備計画(11~15年度)にもこの趣旨を書き込む。  内訳を見ると、今後5年間で増額されるのは、米軍住宅の太陽光発電などの環境対策費など「提供施設整備費」。同費は日本側の判断で削れる部分だったが、米側の要求を受け入れた。一方で、基地労働者の給与などの「労務費」と米軍の光熱水費については減額し、全体で帳尻を合わせる。労務費で96年度以降の日本側負担の上限人数(2万3055人)を引き下げるほか、米軍の使用する光熱水費の76%にあたる249億円(10年度)の負担額、割合を引き下げる。(鶴岡正寛、河口健太郎) *101128 沖縄知事選、仲井真氏が再選 伊波氏ら破る [朝日]  米軍普天間飛行場の移設問題が焦点になった沖縄県知事選。県内移設容認から選挙前に「県外移設」に転じた現職の仲井真弘多氏(71)が、「国外移設」を主張した前宜野湾市長の伊波洋一氏(58)を退けた。ともに「県外」を唱えて主張の違いが見えにくくなる中、仲井真氏は経済振興の訴えに力を割いて支持を集めた。「最低でも県外」と語りながら基地問題で迷走した民主党政権への不信もあって、県民は現実路線の知事を再び選んだ。  28日午後10時過ぎ、仲井真氏が那覇市中心部の事務所に現れた直後にテレビが当選確実を速報した。室内を埋め尽くした200人を超える支持者が一斉に立ち上がり、「仲井真」コールが響き渡った。  「日本全体で考えてほしい」。報道陣のインタビューに応じた仲井真氏は、普天間飛行場の移設問題に触れ、「日本全体で」という言葉を3度繰り返した。  普天間飛行場の県内移設を容認してきた仲井真氏が「県外移設」を掲げて選挙戦に臨む決意を固めたのは9月半ば。「百八十度、自分の考えを変えるような、みっともないことはしたくない」。直前までそう漏らしていたが、選挙戦に入ってからは、「北海道から鹿児島までのヤマトで探してもらいたい」と繰り返した。県内移設反対を訴えていた伊波氏の主張の独自色を抑えることに成功した。  基地問題で主張の違いが薄れる中、「経済の仲井真」を強調する姿勢が県民から一定の評価を得たことになる。仲井真氏も2期目の抱負について、「今の戦後処理みたいなものからある程度解放され、自らの足で立つ活力のある県にしたい」と語った。  この1年、苦悩の日々だった。沖縄の発展のためには政府との決定的な対立は避けて、辺野古移設を進めるしかない――。普天間問題が浮上してからの一貫した持論だ。  選挙戦では、これまでやり玉にあげてきた普天間を巡る民主党政権への批判も抑え、沖縄振興で「政府と話を始めている」と何度も強調した。  「県民の心を一つにして、県外移設を実現していきたい」。有権者に伝えた言葉がこれから試される。 ■伊波氏「手応えあったが浸透できず」  「県内移設反対を訴えた。県民の思いはそうだった。手応えもあったが、浸透できなかった」。伊波氏は那覇市内の事務所で28日午後10時過ぎ、敗戦の弁を述べた。「仲井真氏も県外移設と言ってきた。ぜひ、実現して欲しい」  基地問題を語り始めると止まらない。演説の冒頭はいつも普天間だった。相手陣営から「訴えは基地ばかり」と批判されても「基地のない沖縄」にこだわり続けた。  28日夜、投票率の低さを問われた伊波氏は「この知事選で民主党が明確な指針を示さなかったし、普天間問題での政府の対応をみて、『選挙に行っても何も変わらないのでは』という思いが県民に広がったと思う」。伊波氏を支援した名護市の稲嶺進市長は「負けはしたが、仲井真知事から『県外移設』や『日米合意の見直し』という言葉を引き出させた。条件付き容認という知事の立場を変えさせるまで追い込んだということが選挙戦の成果だ」と話した。

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