北見はな、モンキーズのエースやったんや。
スタミナもあるし、コントロールもある。何よりそのフォークは、北見の最大の武器やった。
しかし、ある日を境に、北見はバカスカ打たれれるようになってもうたんや。
北見は悔しかったんやで。今までは先発すれば悪くても2失点くらいまでに抑えるし、昨年は13勝を挙げて年棒も倍増、なかなかの投手やな。
これからますます頑張らなあかん、みんなからもっと信頼される投手になりたい。
そんな一心で、必死にやっとったのに・・・・防御率は5点代まで下がってしまった。
原因を調べるために、北見は自分の打たれたビデオを見るようになった。
そして、ある一つの原因が浮かび上がった。
それはバッテリー間の意思疎通、打線の不安定さやったんや。
北見は不調に陥ってからは、鷲尾と交代で先発するようになった。ちなみに鷲尾がエースと呼ばれるようになったのはこのころからやな。
鷲尾が投げてるときは、柴も沼尻も全力で声を出し、その軽快な動きでチームを引っ張ってくれていた。
打撃陣も、やれ滝川ツーベース、丹羽のバントや佐々木内野安打やで、それはそれは活気づいていたんや。
でも北見が投げてるときは、イマイチ打線も乗り気やない。柴や沼尻に至っては、高めのフォークのサインを出してはHR打たれ、そのたびに「監督、そろそろ交代やないですか?」みたいな目でベンチを見るんや。
なんで、自分が投げてるときだけこうなんや・・
思いつめた北見は直接猿渡監督に相談しにいった。
すると監督、「なぁ北見、FAで出ていくって本気か?」なんていうんや。
自分はそんなこと言ってないのに、選手たちの間でそんな噂が流れ取ったらしい。
そして真偽のほどを確認するため、北見は選手一人一人に確認した。
御手洗「北見さんはどうせ出て行くから相手にするなって鷲尾さんに言われて・・」
町田「北見さんの後に投げた時はセーブしたらあかんって言われて・・札束積まれたんで・・」
保谷「シュート教えてやる言われて、それで・・しょうがなく・・」
これではっきりした。鷲尾は、自分が絶対的エースになるために、金と他の選手を利用して北見をモンキーズから追い出すつもりやったんや。
そしてとうとう鷲尾に「これはどういうことか」って選手みんなも連れて話に行ったんや。
すでに北見は他の選手からの誤解がとけていたので、鷲尾をオトスのに時間はかからんかった。
鷲尾は涙ながらに、自分のことだけ考えて行った今回にことについて謝罪した。
頭に血がのぼりやすい猿渡監督は、「すぐに登録抹消にてクビにしろ!!!」とものすごい形相で怒った。鷲尾もそのつもりで荷物をまとめとった。
しかし北見はこう言ったんや。
「鷲尾、おまえはこれからのモンキーズを背負ってたつ男じゃないか。エースはお前だ。これから一緒にモンキーズのために頑張っていこう。」
そう言って手を差し伸べた。
今回のことで、選手や首脳人からの信頼もぐんと上がった。これを機にモンキーズの黄金期到来の予感や。
誤解が解ければ、信頼が変わる。信頼されれば、どんな逆境にも負けんよ。
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