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これらの条件に違反して、権利者の 許諾なく 音源を複製・公衆送信・譲渡・改変・ アップロード した場合、著作権法第21条(複製権)、第23条(公衆送信権等)、第27条(翻案権等)などの侵害となる可能性があります。音源の原盤については、著作隣接権の侵害も問題となります。
侵害が認められた場合、著作権法第112条に基づく差止請求や、同法第114条に基づく損害賠償請求を受ける可能性があります。また、刑事罰については、同法第119条第1項により、10年以下の拘禁刑若しくは1,000万円以下の罰金、又はこれを併科する対象となる場合があります。
目次
新Scratch利用規約に基づく音源の判定
Scratchに、Scratch外で作成・取得された音源を含む歌ってみた作品を投稿する場合、 音源の利用許可 や 音源取得先の利用規約 だけでなく、音源に含まれる原曲、歌詞、メロディー、編曲、実演および録音物について必要な権利が確保されているかを確認する必要がある。
また、 Scratchの利用規約 および 適用される著作権法その他の法令 も確認しなければならない。
必要な権利・許諾を有し、かつ各利用規約・ライセンスの条件をすべて満たすものだけを、Scratchで使用・公開できる。
ここでいう「外部音源」には、オフボーカル音源、公式音源、CDや配信音源、他人が作成した伴奏、他人のカバー音源、効果音などだけでなく、Scratch外で自分が録音したアカペラの歌唱音源も含まれる。
ただし、完全なアカペラで自分の歌声だけを録音した場合と、既存の伴奏・原盤・他人の録音音源を使用した場合では、関係する権利が異なる。
この確認はオフボーカル音源に限らず、インターネット上の音源、画像、動画、効果音その他の素材をScratchで使用する場合にも必要となる。
Scratch利用規約8.2・8.5
8.2(a) 他の利用者に対するライセンス
新Scratch利用規約8.2(a)では、ユーザーコンテンツを投稿することによって、投稿者が権利を有する最大限の範囲で、他のScratch利用者に対し、Scratchサービス内で個人的に利用するためのライセンスを与えることが定められている。
| + | 新Scratch利用規約8.2(a) |
ここで重要なのは、8.2(a)のライセンスが、投稿者が実際に権利を有する範囲に限られている点である。
また、他の利用者に認められる利用も、引用文上は、 Scratchサービス内での個人的な利用 に限定されている。
したがって、8.2(a)は、他の利用者に対してScratch外での自由な再配布、商用利用、または無制限の利用を認める条項ではない。
また、8.2(a)に「リミックス」という日本語が直接記載されているわけではないが、「modify(改変)」および「create derivative works(派生作品を作成)」には、Scratch内でのリミックスに相当する利用が含まれ得る。
ただし、投稿者が第三者の音源について権利を持っていない場合、8.2(a)によってその権利が新たに発生したり、投稿者が第三者の権利をScratch利用者に許諾できるようになったりするわけではない。
8.2(b) Scratch側に対するライセンス
新Scratch利用規約8.2(b)では、投稿者からScratch側に対して、ユーザーコンテンツを次のような目的で利用するための、非独占的、永続的、取消不能、ロイヤリティフリーのライセンスを与えることが定められている。
- ユーザーコンテンツを公に表示すること
- ユーザーコンテンツを公に実演すること
- デジタル音声送信を含めて利用すること
- ユーザーコンテンツを複製すること
- ユーザーコンテンツを配布すること
- ユーザーコンテンツから派生作品を作成すること
- 本サービスを提供すること
- Scratch側の内部業務に利用すること
- Scratchの広告、マーケティング、プロモーションに利用すること
- 製品・サービスを改善すること
- 新しい製品・サービスを開発すること
- AIモデルの訓練を含む方法で利用すること
| + | 新Scratch利用規約8.2(b) |
ここで重要なのは、8.2(b)が、第三者の著作物について投稿者が持っていない権利をScratch側に与える条項ではないという点である。
投稿者は、ユーザーコンテンツに含まれる第三者の著作物や録音物について、Scratch側に対して上記のような利用を許諾できる権利・許可を、あらかじめ有していなければならない。
例えば、配布者から「歌ってみたに使用してよい」という許可だけを受けていても、その許可が次の利用まで認めていない場合、8.2(b)に基づくScratch側へのライセンスを十分に与えられない可能性がある。
- Scratchでの公開・共有
- 公開表示
- 公開実演
- デジタル音声送信
- 複製
- 配布
- 派生作品の作成
- Scratchによる宣伝・マーケティング
- サービス改善
- AIモデルの訓練を含む利用
8.5 投稿者が投稿コンテンツについて権利を持っていることの表明・保証
新Scratch利用規約8.5では、投稿者が、投稿するユーザーコンテンツのすべての要素について、権利者であるか、または必要な権利・ライセンス・同意・許可を持っていなければならないと定めている。
投稿者自身がすべての権利の所有者である必要があるとは限らない。しかし、少なくとも、Scratch側および他の利用者が規約で想定された方法でユーザーコンテンツを利用・配布できるようにするための、必要な権利・ライセンス・同意・許可を持っていなければならない。
この対象には、録音物に含まれるBGMその他の音楽、録音物の基礎となる音楽作品、歌詞、メロディー、編曲、実演および録音物などが含まれ得る。
| + | 新Scratch利用規約8.5 |
外部音源を含む歌ってみた作品で確認すべき利用範囲
外部音源を含む歌ってみた作品を投稿する場合、投稿者は、単に「歌ってみたに使用してよい」という許可を得るだけでは不十分な場合がある。
投稿者は、音源に含まれる原曲、歌詞、メロディー、編曲、実演および録音物について、必要な権利・許諾を有していなければならない。
さらに、その権利・許諾は、少なくとも次の利用を許可できる範囲のものでなければならない。
- Scratchで作品を公開・共有すること
- Scratch上で作品を表示・再生できるようにすること
- Scratchの機能および利用規約の範囲内で、他の利用者が作品を使用、複製、改変できること
- Scratch内で、作品を基に派生作品を作成できること
- Scratch側がサービス提供のためにユーザーコンテンツを表示、実演、複製、配布、改変、利用できること
- Scratch側がユーザーコンテンツから派生作品を作成できること
- Scratch側がサービスの広告、マーケティング、プロモーション、改善などのためにユーザーコンテンツを利用できること
- Scratchの規約に定められた範囲で、AIモデルの訓練を含む利用が行われ得ること
8.2(a)に基づく他の利用者へのライセンスは、引用文上、Scratchサービス内での個人的な利用に限られる。
そのため、ここでいう「他の利用者による利用、複製、改変」には、Scratch外での自由な再配布や商用利用まで含まれるわけではない。
また、Scratchの仕様上、プロジェクトの構成要素が他の利用者から閲覧、利用、複製または改変可能となる場合がある。したがって、投稿者は、Scratchの仕様および利用規約の範囲内で、作品やその構成要素が他の利用者に利用され得ることを踏まえ、その利用について必要な権利を有していなければならない。
ただし、8.2(a)または8.5の条文だけから、他の利用者に対してScratch外での音源ファイルの自由な取得、再配布または商用利用まで許可されていると解釈することはできない。
音源取得先の利用規約・ライセンスの確認
音源を外部サイト、配布ページ、動画サイト、素材サイトその他の場所から取得した場合は、著作権者や音源配布者の利用規約・ライセンス条件も確認する必要がある。
例えば、次のような条件が定められている場合がある。
- 個人利用のみ許可
- 非商用利用のみ許可
- Scratchでの利用を禁止
- インターネット上での再公開を禁止
- 改変を禁止
- 再配布を禁止
- クレジット表記を要求
- 原曲の権利者への確認を要求
- 歌唱、公開、リミックス、派生作品作成の一部または全部を禁止
音源配布者が「歌ってみたに使用してよい」と説明していても、その配布者が原曲の著作権、歌詞、編曲、録音物などについて必要な許可を持っているとは限らない。
したがって、配布者の許可だけで、原曲に関するすべての権利やScratchでの利用が認められるとは限らない。
完全なアカペラの場合
完全なアカペラで、自分の歌声だけをScratch外で新たに録音する場合、CD、配信音源、公式カラオケ音源、他人が作成した伴奏、他人のカバー音源などの既存の録音物は使用しない。
そのため、通常、元の録音物についてのレコード製作者の複製権・送信可能化権や、元の録音に参加した実演家の権利を直接利用する問題は生じない。
しかし、元曲の歌詞やメロディーを使用して歌唱・録音する場合は、原曲の音楽著作物に関する権利の問題が残る。
また、そのアカペラの歌唱録音をScratchで公開・共有する場合は、Scratch側および他の利用者が、利用規約で定められた範囲でそのユーザーコンテンツを利用できるようにするための権利・許諾が必要となる。
自分の歌声や自分で作成した録音物について権利を持っていても、それだけで元曲の作詞者・作曲者が持つ権利や、元曲をScratchで公開するための権利まで取得したことにはならない。
権利を確認できない音源の扱い
投稿者が次の権限を与えられる根拠を確認できない場合、Scratch利用規約8.5に定められた表明・保証を適切に行えない可能性がある。
- Scratchで作品を公開・共有する権限
- Scratch上で作品を表示・再生する権限
- Scratch内で作品を複製・改変・リミックスする権限
- Scratch内で派生作品を作成・公開する権限
- Scratch側に作品の表示、実演、複製、配布、改変、派生作品作成などを許可する権限
- Scratch側にサービスの提供、宣伝、マーケティング、改善などのための利用を許可する権限
- 必要に応じて、Scratch側のAIモデルの訓練を含む利用を許可する権限
このような権限を投稿者が持っていない音源を、Scratchに投稿してはいけない。
少なくとも、必要な権利・許諾を有していない状態で、8.5の表明・保証を行ってはならない。
なお、8.2(b)に定められたScratch側へのライセンスは、投稿者が第三者の著作物について持っていない権利を補うものではない。また、クレジット表記、原曲URL、音源URL、非営利であること、または「権利は原作者に帰属する」という記載だけで、必要な許可が得られるわけではない。
著作権法上の問題
著作権法上の問題(オフボーカルを使用し、歌ってみたをする場合)
権利者の許諾や有効なライセンスがなく、著作権法上の権利制限も適用されない場合、音源をScratchに投稿する行為は、実際の利用方法に応じて次の権利の侵害となる可能性がある。
元曲の歌詞・メロディーを自分で歌唱・録音したり、既存の録音音源をプロジェクトにコピーしたりすること
| + | 第21条の複製権 |
自分で元曲を歌って録音する場合、元曲の歌詞やメロディーを録音することについて、元曲の著作権に基づく複製権が問題となる可能性がある。
また、CD、配信音源、公式音源、他人が作成した伴奏音源などをプロジェクトに取り込む場合は、元曲の著作権に加えて、録音物に関する著作隣接権も問題となる可能性がある。
Scratchで作品を公開・共有し、元曲を含む音声を他人がネットワーク経由で再生できる状態にすること
| + | 第23条の公衆送信権等 |
Scratchで作品を共有し、他の利用者が元曲を含む音声を再生できる状態にする場合、公衆送信権・送信可能化権が問題となる可能性がある。
元曲の翻訳、編曲、替え歌、メロディーや歌詞の大幅な改変など
| + | 第27条の翻案権等 |
元曲を通常どおり歌唱するだけの場合、第27条の翻案権が必ず問題になるわけではない。
一方、替え歌、歌詞の翻訳、メロディーの変更、大幅な編曲その他の改変を行う場合には、翻案権・編曲に関する権利が問題となる可能性がある。
既存の録音音源をコピー・アップロード・送信可能化すること
| + | レコード製作者の複製権・送信可能化権(第96条・第96条の2) |
著作権法上の問題(完全なアカペラの場合)
完全なアカペラで元曲を歌唱・録音すること
| + | 第21条の複製権 |
完全なアカペラであっても、元曲のメロディーや歌詞を使って自分で歌い、その歌唱を録音する場合、元曲の音楽著作物を録音物に固定することについて、著作権法第21条の複製権が問題となる可能性がある。
ここでいう「アカペラ」とは、CD、配信音源、カラオケ音源、他人が作成した伴奏などを使わず、自分の歌声だけで歌う場合をいう。
アカペラにすることで、元の録音音源をコピーする問題は避けやすくなる。しかし、元曲のメロディーや歌詞そのものを利用していることには変わりがないため、作曲者・作詞者などが持つ著作権の問題がなくなるわけではない。
アカペラの歌唱録音をScratchで公開すること
| + | 第23条の公衆送信権等 |
アカペラで録音した歌唱をScratchにアップロードし、作品を共有して他の利用者が再生できる状態にする場合、元曲を含む音声を公衆送信または送信可能化することについて、著作権法第23条の公衆送信権・送信可能化権が問題となる可能性がある。
自分の歌声だけを録音している場合でも、Scratch上で不特定多数、または多数の利用者がアクセスして聴ける状態にすることは、個人的に歌うこととは異なる。
したがって、
- 自分の声だけで歌うこと
- 元のCDや配信音源を使わないこと
- 非営利で公開すること
- 原作者名や曲名を表示すること
だけで、Scratch上での公開が自動的に許可されるわけではない。
替え歌、翻訳、メロディーの変更などを行う場合
| + | 第27条の翻案権等 |
元曲の歌詞やメロディーを大きく変更せず、通常どおり自分で歌うだけの場合、第27条の翻案権が必ず問題になるわけではない。
一方、次のような変更を行う場合は、翻案権や編曲に関する権利が問題となる可能性がある。
- 歌詞を別の内容に変更する
- 替え歌にする
- 歌詞を翻訳する
- メロディーを大きく変更する
- 元曲に新しい構成や表現を加える
- 元曲を別の作品として作り変える
また、歌詞やメロディーを作者の意に反して大きく変更する場合は、著作者人格権の一つである同一性保持権が問題となる可能性もある。
「再配布」という言葉は、それだけで一つの権利を指すものではない。音源をコピーしたのか、インターネット上に公開したのか、改変したのか、第三者が取得できる状態にしたのかなど、具体的な行為ごとに複製、公衆送信、翻案、著作隣接権などの問題を判断する必要がある。
歌唱者が自分で歌って録音した場合でも、伴奏音源や原曲の作詞・作曲の権利がなくなるわけではない。自分の歌声を加えたことだけで、伴奏音源の複製・公開・再利用の許可を得たことにはならない。
著作権者の許諾がある場合、または作品ごとのライセンスがScratchで必要となる利用範囲を明示的に認めている場合は、クレジット、原曲URL、音源URL、改変表示などの条件を守って利用する。ただし、クレジット表記だけでは、許可されていない複製・公衆送信・改変・再配布が許可されることにはならない。(*1)(*2)(*3)
Q&A
Q1 本家の人が配布していて、「非商用利用OK」と書いてあったから使っていいですか?
A1 それだけでは、Scratchで使用できるとは判断できません。
「本家が配布している」+「非商用利用OK」=自動的にScratchで使用可能にはならない。
Scratchでの公開・リミックス・派生作品・Scratch側の利用まで許可されているかを確認する必要あります。
Q2 アカペラならいいですか?
A2 アカペラというだけでは、Scratchで使用できるとは限りません。
既存のCD・配信音源・伴奏を使わないため、元の録音物に関する権利の問題は通常避けられます。
しかし、元曲の歌詞やメロディーを歌って録音すること、そしてその録音をScratchで公開することについて、元曲の著作権や公衆送信権が問題になる可能性があります。
権利者の許諾や、Scratchで必要となる利用範囲を認めるライセンスが確認できる場合に限り、使用できる可能性があります。
Q3 ピアノで既存の曲を弾いて、それに歌をつける弾き語りならいいですか?
A3 弾き語りであっても、それだけでScratchに投稿できるとは限りません。
既存のCD、配信音源、カラオケ音源、他人の伴奏音源などを使わなければ、元の録音物に関するレコード製作者や実演家の権利を直接利用する問題は通常避けられます。
しかし、元曲の歌詞やメロディーを使って歌唱・録音し、その録音をScratchで公開するため、元曲の複製権や公衆送信権・送信可能化権が問題となる可能性があります。
また、ピアノ伴奏を大幅に編曲したり、替え歌、歌詞の翻訳、メロディーの変更を行ったりする場合は、編曲権・翻案権や著作者人格権が問題となる可能性があります。
したがって、弾き語りでも、原曲の利用とScratchでの公開・リミックス・派生作品作成などに必要な権利・許諾を確認できる場合に限り、使用できる可能性があります。
Q4 簡単に言うと権利者にはなんの許諾を取ればいいんですか?
A4 「Scratchで歌って演奏した音源を録音し、公開・共有し、Scratchの規約の範囲で他の利用者やScratch側が利用すること」について許諾を取る必要があります。
必要な許諾
- 元曲の歌詞・メロディーを使って歌唱・演奏すること
- その歌唱・演奏を録音すること
- 録音した作品をScratchにアップロードすること
- Scratch上で作品を公開・共有すること
- Scratch上で他の利用者が作品を再生すること
- Scratch内で他の利用者が作品を使用、複製、改変、リミックスすること
- Scratch内で作品をもとに派生作品を作成・公開すること
- Scratch側が、利用規約の範囲で作品を表示、実演、複製、配布、改変、派生作品作成などに利用すること
- 歌詞やメロディーを変更すること
- 編曲すること
- 翻案すること
- 替え歌・翻訳を行うこと
- 変更された作品をScratchで公開すること
誰から許諾を得るのか(弾き語り)
- 作詞者
- 作曲者
- 音楽出版社 #JASRAC、NexToneなどの著作権管理事業者
- その他、権利を正式に管理している者
誰から許諾を得るのか(オフボーカル)
- レコード製作者
- レコード会社
- 音源の配布者・制作者
- 録音に参加した歌手・演奏者などの実演家・編曲者
許諾として不十分なものの例
- 「非商用利用OK」
- 「歌ってみたに使ってOK」
- 「自由に使ってOK」
- 「個人利用ならOK」
- 「クレジットを書けばOK」
- 「収益化しなければOK」