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R解答@昆虫学

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1.総合的害虫管理技術について解説しなさい。

「あらゆる適切な技術を相互に矛盾しない形で使用し,経済的被害を生じるレベル以下に害虫個体群を減少させ,かつその低いレベルに維持するための害虫管理システム」を総合的害虫管理(Integrated Pest Management,IPM)という.実施に当たっては以下のことが必要となる.
 a:害虫個体数の推定
 b:発生時期と発生量の予測
 c:被害予測と要防除密度
 d:モデル化とシミュレーション

2.いわゆる天敵の利用方法について例を上げて解説しなさい。

 天敵による害虫駆除を行う場合,害虫の原産地に行ってその天敵を捜すということがしばしば行われる.その最初の例であり,劇的な成功を収めたベダリアテントウによるイセリアカイガラムシ駆除について解説する.
 イセリアカイガラムシは1868年にカリフォルニアにてアカシアに寄生しているのが発見され,当時のカリフォルニアにおける柑橘栽培に壊滅的な打撃を与えた.
 この害虫はオーストラリア原産であると判断した当時のアメリカ農務省昆虫局長官であったC.V.ライレーは1888年8月,オーストラリアへ昆虫学者のA.ケーベレを派遣し,天敵を探させた.そこでケーベレが発見したのがイセリアカイガラムシの捕食虫であるベダリアテントウで,その年の11月から翌年3月まで総数600匹近くをカリフォルニアへ送った.ベダリアテントウは新しい環境にもよく適応し,このテントウムシが放された果樹園ではイセリアカイガラムシがほとんど絶滅に近い状態になるほどの効果であった.
 日本では,このアメリカでの成功を受け,当時台湾総督府技師であった素木得一がまずカリフォルニアから台湾へこのベダリアテントウを導入,翌々年にこれを静岡県へ導入し大成功を収めた.

3.放射線不妊化法について例を上げて解説しなさい。

 日本での成功例であるウリミバエについて解説する.
 放射線不妊化法とは自滅的防除の一つで,放射線により精原細胞を破壊し,生殖能力を奪った不妊化雄を大量に放飼することにより正常な雄の比率を下げ,次世代の個体数を大幅に減少させるというものである.これは数世代繰り返すだけで根絶に追いやることができる,非常に効果的な防除法であるが,以下の条件を満たす必要がある.
 1.雄の行動範囲が広い
 2.雌は1回しか交尾せず,雄は複数回交尾する
 3.処理雄は精子以外正常であること
 4.地域的に隔離されていて新たな正常虫の侵入がないこと
 5.対象昆虫の大量な人工飼育が可能なこと
 さらに加えて言うなら,防除期間中は一時的に個体密度が上がるので,成虫が作物や生態系などに被害をもたらさないものであるということも重要である.
 この点ウリミバエは1,2,3,5の性質を持っているうえ,防除対象地域も南西諸島であり地域的な隔離もあった.害虫として問題になるのも幼虫であり,まさに不妊化法にうってつけの害虫だったのである.
 まず1975年2月から久米島での防除が実施された.那覇市にウリミバエ生産工場を建設し,当初は集100~150万匹の不妊化雄を放していたが足りず,翌1976年5月より密度計算に基づき週350~400万匹を放飼した.これにより翌1977年9月には根絶宣言が出されるという劇的な効果をあげた.続いて沖縄全域の根絶計画に入り,1990年7月に沖縄諸島で,1993年10月に八重山諸島で根絶宣言が出された.
 この計画全体には約170億円の予算を要し,放飼されたハエの総計は500億匹を上回るほどであった.

4.昆虫の色覚について説明しなさい。

 昆虫の色覚について特徴的な一つの点は紫外線が見えるということにある.例えばニカメイガは330~400nmの波長に最もよく誘引される.その一方で赤色波長を認識することはできず,反応するのは黄色までである.すなわち,昆虫の色覚は人間と比較して100nmほど長波長側へ偏っているということが言える.
 昆虫の色覚に関するもう一つの特徴として,偏光分析が可能であるということも挙げられる.これは個眼の感桿小体の微繊毛の配列方向が複眼全体として一定で,しかも表層と深層で90°異なるという構造による.昆虫は偏光の震動面を読み取る事により,例えば太陽が隠れていても太陽の方向を知ることができるし,水面上に定位することもできる.

5.農薬の種類を分けて、その作用点を説明しなさい。



6.昆虫の脱皮と変態についてホルモンを使って説明しなさい。



7.昆虫のフェロモンについて解説し、応用的な利用方法を説明しなさい。

 フェロモンとは生物間で情報交換に使用される化学物質のうち,とりわけ同種内の個体間に作用するもののことをいう.昆虫のフェロモンには様々あるが,特に代表的なものとその役割を以下に挙げる.
 1.性フェロモン:昆虫の配偶行動に関与.特に雄が求愛行動として分泌する場合が多い.
 2.警報フェロモン:外敵からの攻撃を他の個体へ知らせる働きがある.他個体は分散する場合もあるし,攻撃性を誘発される場合もある.種特異性が低く,有効距離と時間が短いという特徴がある.
 3.道しるベフェロモン:巣から出た社会性昆虫が分泌し,帰巣の目印になり,また食物の場所を知らせるという作用もある.
 4.集合ホルモン:集団生活を行う昆虫において,集団の形成に関与する.
 5.密度調節フェロモン:個体の過剰発生を抑え,密度を適当に保つ働きがある.
 これらのうち応用的な利用がなされているものとして有名なのは性フェロモンと集合フェロモンである.
 性フェロモンの利用方法の一つとしてフェロモントラップによる大量捕殺が挙げられる.フェロモンで成虫を誘引して殺すというものだが,極めて高い誘因性が必要なので実用例は少ない.それよりも,フェロモントラップにより捕殺された雄の数から個体数増減のモニタリングを行うといった利用の方が多くの昆虫で実用化されている.もう一つの利用方法として,交信かく乱がある.これは性フェロモンを広範囲に漂わせることにより,雌雄の出会いを無くすというものである.必ずしも性フェロモンの正確な成分比が必要でなく,現時点で最も確実性の高い,期待されている方法である.
 集合ホルモンも性フェロモンと同じく害虫駆除に用いられる.有名なのは家庭でよくゴキブリ駆除に用いられる「ゴキブリホイホイ」である.これは集合ホルモンにゴキブリが集まるという習性を利用している.

8.昆虫の生殖様式に関わる、雌性単為生殖、雄性単為生殖、幼生生殖、多胚生殖、雌ヘテロ型、雄ヘテロ型について説明しなさい。

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