「新宿? だっけ? みたいに、周囲から隔たれていて……」
「単純に、ここが地球から離れた場所である可能性は?」
「いや重力働いてるし」
「空気がある理由もわからないよな。じゃあ、セラフィックスみたいに実は仮想空間で……」
「誰が? 何のために? まあわからないことを言ってもしょうがないわよね」
僕を受け止めた後、アーチャーが落ちてくるのを待って、撃墜したニケちゃんを捜索したが見つからず、僕達はニケちゃんに教えてもらったことを共有し、会議を始める。
「芸術幻霊を全員やっつければなんとかなるわよ、きっと」
「いや、慎重になったほうがいい。冬木の聖杯戦争のように、敵を倒すことでなんらかが起動する罠である可能性も考慮しよう」
「じゃあ私達は何をすればいいのよ。観光?」
「それはそうだが……」
二人の意見はどちらも正しいように思える。折衷案として、出会う芸術幻霊が話の通じそうなやつだったら何か聞き込んでみる、というのはどうか。
「異議なし」
「異議なし」
じゃあそれで。また適当に歩くのを続けよう。
ここら辺りは絵画のコーナーだ。そして鉢合わせするのは絵画のバーサーカー。
「絵画における純粋な色彩の高揚を目指し理論的な運動というよりは交友関係の中から自然発生的に生まれ前者において細分化つまり分析されていた対象の形態が再び統合されることとなった段階における大きな特徴は技法のひとつですが実際にはそれを鑑賞する人々に、ものごとを多角的に様々な側面に脚光をあてて観察する技法のひとつであり」
絵に描いたような狂化だ。
「次の時代は実験的であった三次元空間を捨て単純な色と平面的な絵画のスタイルを選びその中に知的に力強く何かを訴えるように中央の緑色の縦線で二つに分け人工的な影の線を作っている妻の冷めた一面と温かみのある一面を表現しているのである」
しかし、肝心のバーサーカーの姿が見当たらない。声の聞こえる方角にも。
「自然の中の全ての事物は幾何学的形式円柱球円錐で構成されているとするものであった09年頃に始まった最初の動向は対象を細分化することによって」
嫌な予感がして、二歩退いた。
とたんに、今まで僕の脚があった空間が反転する。
「二十世紀前半の、芸術運動や必ずしも運動体とは言えないグループに対してさえも実に様々なネーミングがなされた伝統的な芸術の価値観が一気に揺さぶられた時期にはその意味で多中心的な遠心性を備えていたがピカソのスタジオを訪れその後カウンター・レリーフやコーナー・レリーフを制作したタトリンは」
やばい。バーサーカーは既に攻撃を始めていた。
回廊の遠近感と配色が狂う。近くが遠くになり赤くなり、遠くが近くになり青くなり、天が地になり、地が天になり、アーチャーがポリゴンに分解され黒くなり、ミロビちゃんのテクスチャが剥がれ白くなり、僕の当たり判定が喪失し。
「マスター!」
おそらくアーチャーは僕を保護しようとしていて、ミロビちゃんは敵を探しているだろう。僕達ごと空間が脱構築されている。バーサスバーサーカー、これは苦戦しそうだな。
+
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現状見取り図 |
マスター |
藤丸立香 |
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芸術のアーチャー |
エロイカ |
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芸術のキャスター |
ミロのヴィーナス |
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セイバーの芸術幻霊 |
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アーチャーの芸術幻霊 |
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ランサーの芸術幻霊 |
塔&青騎士 |
撃破 |
ライダーの芸術幻霊 |
サモトラケのニケ |
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キャスターの芸術幻霊 |
ロゼッタ・ガイド |
撃破 |
アサシンの芸術幻霊 |
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バーサーカーの芸術幻霊 |
不明 |
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最終更新:2018年03月14日 01:31