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彼は嫌々、かつ興味ありげに僕に話す。彼もやはりサーヴァントなのだろうか。芸術幻霊? だとしたら、残りはセイバーだけだ。

「ここはそのフォルダから溢れたものの一時的な退避場所。『ゴミ箱』のような感じだ。ゴミ箱の中はフォルダ分けが無視されているから互いを認識できる。しかし隣り合っているわけではないので僕の宝具『濁った目、あるいは人の世(クエスト・ベルフェゴール)』は作用しない」

 真名判明
芸術のアサシン 真名 ベルフェゴール

ルーヴルだけが空間に浮かんでいたのではない、そこには、それしかなかったんだ。
芸術幻霊はそこに発生したバグ。イレギュラーのようなもので。

「飲み込みが早い」

とすると、あのフォーリナーは?

「あいつは別だ。なんか知らんけど強引にやってきた。マジでわからん」

ここまでの疑問点は三つ。
  • なぜこの空間がカルデアから観測され、レイシフトできたのか
  • 芸術幻霊を造ったのは誰か
  • この特異点を修正する手段は何か

「一つ目に関してはもう答えが出てるだろ」

僕がここにいる以上、レイシフトは成功している。アーチャーとミロビちゃんもいるし。
カルデアと通信ができなかったのは、今となっては合点がいく。断絶された空間だから。
ダ・ヴィンチちゃんが説明してくれたこの特異点の問題は。



あれ?
ここはルーヴルじゃないぞ?
僕は、ルーヴルにレイシフトをしたはずなんだ。

「前提が違ってるぞ」

僕は、そもそもレイシフトをしていない。

「ここは超美術館空間だ。美術品以外が入れるわけないだろ」

第一の疑問が氷解する。脳味噌がすっと冷たくなる感覚があった。
カルデアとの通信が断絶しているのは、あちらが通信をしようとしていないから。
観測されたこの空間は、位置情報はルーヴルのものと同一だから。
そもそも特異点ではなかったルーヴルへのレイシフトは失敗していて。

「この空間にレイシフトを試みは藤丸立香はそれに失敗し、弾かれ、藤丸立香のコピーだけがここに混じりこんだ。二体のサーヴァントを連れて」

 真名判明
セイバーの芸術幻霊 真名 ID藤丸立香

僕は、美術品ということにされたんだ。

「藤丸立香のガワだけがこの空間に発生した。真名(なかみ)は後付けだ」

脳味噌が空転する。

「人を含める全ての生物は大いなる存在にデザインされたものである、という考え方をする人間もそこそこの数いるらしい」

インテリジェント・デザインズド。

整理のため時系列順に箇条書き。
  • セイバーを除く芸術幻霊の六騎が何らかを理由に発生する
  • カルデアに観測されるが、本物のルーヴル美術館と取り違えられる
  • 藤丸立香がレイシフトを試み、それに失敗する
  • 藤丸立香は弾かれるが、その名前だけがこの空間に入り込む
  • 無理矢理セイバーの芸術幻霊として召喚される
  • 僕の意識・人格はレイシフト時点の藤丸立香の完全なコピーであるため、変化に気づかず、この空間の探索を始める
  • アーチャー、ミロビちゃんは芸術作品であるため、僕と同様にサーヴァントとしてコピーされ、空間に入り込めていた

本物の藤丸立香は、カルデアでホットココアでも飲んでいる。マシュと。

「セイバーなのは、人理の未来を切り拓いたから。あと、そこしか枠がなかったから」



+ 現状見取り図
マスター 藤丸立香 不在
芸術のアーチャー エロイカ
芸術のキャスター ミロのヴィーナス
セイバーの芸術幻霊 ID藤丸立花
アーチャーの芸術幻霊 九相図眼球譚 脱落
ランサーの芸術幻霊 塔&青騎士 撃破
ライダーの芸術幻霊 サモトラケのニケ
キャスターの芸術幻霊 ロゼッタ・ガイド 撃破
アサシンの芸術幻霊 ブレイクタンゴ 脱落
バーサーカーの芸術幻霊 キュビズム・フォーヴィズム 撃破
芸術のフォーリナー 不明
芸術のアサシン ベルフェゴール



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最終更新:2018年05月14日 00:07