まとめwiki ~ 「♀29匹のボックスに♂1匹を入れてみた」

04話 - 自己紹介

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 >ボックス奥:リビング

 ゲンガーが、パチリスとコリンクの間に座ったので、ちゃぶ台には、計8匹のポケモンが座っていることになる。

デリバード
「えーっと、まずは簡単な自己紹介をしないとね」

 デリバードが生き生きとした声でいった。

デリバード
「まずはウチからね。ウチの名前はデリバード。タイプは『こおり』と『ひこう』よ。覚えておいてね」
ガーディ
「ガーディです。私は『ほのお』タイプです。よろしく」
ロコン
「私はロコンといいます。ガーディさんと同じ『ほのお』タイプです。よろしくお願いします」
キレイハナ
「私はキレイハナ。見ての通り、『くさ』タイプよ。よろしくね」
パチリス
「パチリスだよ~。よろしく~。……あっ、あたし『でんき』タイプだからね~」
コリンク
「あたしの名前はコリンクで~す。パチちゃんと同じ『でんき』タイプで~す。よろしくね~」
エネコ
「あたしの名前はモエネコです。タイプはいたって普通……」
デリバード
「こら、エネコ。何がモエネコで、タイプが普通よ……」

 エネコの発言に対して、素早くツッコミを入れるデリバード。
 そのコントっぽいやりとりは、周りのポケモンたちをクスリと笑わせた。
 待ってましたとばかりに、デリバードのツッコミを受けたエネコは、「テヘッ」といって、にっこり笑った。そして、改めて自己紹介を始めた

エネコ
「あたしはエネコ。ノーマルタイプです。よろしく~」
デリバード
「まったく。エネコはいつもこの調子なんだから」

 デリバードは呆れて、ため息を漏らした。
 2匹のやりとりと、周りの様子からして、ここにとって、これは、日常茶飯事なんだな、とゲンガーは思った。

デリバード
「これで、一応、みんな自己紹介がすんだわね。それで、あなたは?」

 デリバードがゲンガーに問うと、みんなの視線は、ゲンガーに注がれた。
 ゲンガーは、周りを見回し、みんなが、こちらを見ていることを確認してから、落ち着いた声で話し始めた。

ゲンガー
「俺の名前はゲンガー。ゴーストタイプのポケモンだ。よろしく」

 ゲンガーがいい終えると、みんな、拍手や口笛を吹いたりして、ゲンガーを歓迎した。

デリバード
「そう……、ゲンガーっていうの……。これからはよろしくね」

 歓迎の音が小さくってから、デリバードがいった。

デリバード
「さっそくで悪いんだけど、ここについての説明をするわ。
 この部屋は、あなたも含め、私たち8匹のポケモンが使えることになっているの。
 あなたは運がいいわね。あなたから見て、左側のドア、右側のドアは、また別のポケモンたちがいる部屋へと通じているんだけど、ここ以外は、どの部屋も満員だったのよ。
 それと、奥に見えるドアは、私たちの部屋。つまり、寝床よ。あなたは……、余ってるあの部屋を使って」

 そういって、デリバードは、奥にある、8つ並んだドアの、一番右端のドアを指差した。
 8つのドアは、それぞれ、色が塗られており
 左から、赤、橙、黄、レモン、緑、青、ピンク、紫色の順である。
 ゲンガーに与えられた部屋は、一番右端のドアだから、紫色のドアが、彼の部屋の目印となる。

デリバード
「これで説明は終わり。何かききたいことがあったら、なんでもいって」
ゲンガー
「じゃあ、ちょっと2、3質問したいことがあるんだけど」
デリバード
「ええ、どんな些細なことでもきいてちょうだい」
ゲンガー
「ここって、いったい何をするところなんだ?」

 予想外の質問だったのか、みんな、ポカーンと、固まってしまった。

デリバード
「えっ? あなた、ボックスに来るのは初めてなの?」
ゲンガー
「ボックス?」

 ゲンガーの反応からして、彼は、ボックスに預けられたことすら、きづいていないようだ。

ゲンガー
「俺、きがついたら、暗い部屋のなかにいて、適当に歩いていると、正面にドアが見えたんだ。そのドアを開いたら、ここに辿りついたってわけなんだ」

 ゲンガーは、ここに来るまでの経緯をできるだけ詳しく話した。
 ゲンガーの話をきいて、デリバードは何か考えごとをしていたが、やがて、その尖ったくちばしを開いた。

デリバード
「とりあえず、ボックスについて説明するわ。
 ボックスっていうのはね、トレーナーの手持ちのポケモンが7匹以上になると、7匹目にゲットされたポケモンは、自動的にトレーナーの『パソコンのボックス』っていうものに送られるの。
 そこへ送られたポケモンは、ずっと、ボックス内で生活する。ってとこかしら」
ロコン
「付け加えですが、ボックスは私たちポケモンを自由に預けたり、引き出したりすることが、できるらしいんですよ。詳しいことは、私もよく知らないのですが、とにかく、とても不思議なシステムなんです」
デリバード
「そういえば、そうだったわね。流石はロコンね!」
ロコン
「いえ……、それほどでも……ないです」

 デリバードに誉められて、ロコンの顔は紅潮した。

ガーディ
「確かに、人間にしてみれば、それは便利なシステムかもしれない……。
 でもね……」

 と、ガーディが寂しそうな声で、ポツリと呟いた。

ガーディ
「預けたのはいいけど、そのまま『長期間放っておいて、終いには預けたことすら忘れてしまう』トレーナーもいるらしいのよ……。存在を忘れられた私たちはどうなると思う? 自由という権利を奪われるのよ……」

 ガーディの声は少し震えていた。
 しばらくの間、リビングに重い沈黙が続いた。

デリバード
「あのさ、ゲンガー君」
ゲンガー
「ゲンガーでいいよ」
デリバード
「じゃあ、ゲンガー。疲れているでしょうから、少し部屋で休んだら?
 みんなも、そうしません?」

 デリバードの提案に、みんな相槌を打ち、それぞれ、自分の部屋へと入っていった。
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