その日の晩、夕食を食べ終え部屋に戻る。
夕食をとる時間は普段より遅めだった。理由は勿論昼間の決闘についてのことだ。
授業が終わると先生に呼び出されそのことでお叱りを受けたのだ。しかし気分がよかったわたしにはその説教は右耳から左耳へと抜けていったため殆ど内容は憶えていない。
憶えている限りではギーシュの怪我は手に穴が開いて、手の骨が折れて、鼻と頬の骨が折れていたということ。
それらを治すための秘薬の代金が物凄く掛かるということぐらいか。可哀想なギーシュ。
激しくどうでもいいけど。
まあそんなこともあり遅くなったのだ。
部屋に戻るとヨシカゲが椅子に座っていた。しかも帰ってきたわたしに目を向けさえしない。
いつものわたしならそれだけで使い魔が椅子に座るんじゃない!と怒鳴るだろうが機嫌がよかったので見逃すことにする。
わたしはなんて寛大なんだろうか。これでヨシカゲもご主人様の寛大さに感動して、二度と昼間のような暴言をわたしに吐かなくなるだろう。
そんなことを思いながらわたしも椅子に座る。
するとテーブルの向こうにいたヨシカゲがこちらに視線を向けてくる。
「ルイズ、聞きたいことがあるんだが……」
はて、何であろうか?
ヨシカゲの聞きたいことというのは武器のことだった。いったいどういった武器があるのかわからなくて聞いたらしい。
寛大なルイズ様は勿論答えてあげました、懇切丁寧に。
しかし疑問に思う。
「どうしてそんなこと聞くの?」
そうだ。気づいたらこんな質問するほうがおかしくないか?常識なのに。
夕食をとる時間は普段より遅めだった。理由は勿論昼間の決闘についてのことだ。
授業が終わると先生に呼び出されそのことでお叱りを受けたのだ。しかし気分がよかったわたしにはその説教は右耳から左耳へと抜けていったため殆ど内容は憶えていない。
憶えている限りではギーシュの怪我は手に穴が開いて、手の骨が折れて、鼻と頬の骨が折れていたということ。
それらを治すための秘薬の代金が物凄く掛かるということぐらいか。可哀想なギーシュ。
激しくどうでもいいけど。
まあそんなこともあり遅くなったのだ。
部屋に戻るとヨシカゲが椅子に座っていた。しかも帰ってきたわたしに目を向けさえしない。
いつものわたしならそれだけで使い魔が椅子に座るんじゃない!と怒鳴るだろうが機嫌がよかったので見逃すことにする。
わたしはなんて寛大なんだろうか。これでヨシカゲもご主人様の寛大さに感動して、二度と昼間のような暴言をわたしに吐かなくなるだろう。
そんなことを思いながらわたしも椅子に座る。
するとテーブルの向こうにいたヨシカゲがこちらに視線を向けてくる。
「ルイズ、聞きたいことがあるんだが……」
はて、何であろうか?
ヨシカゲの聞きたいことというのは武器のことだった。いったいどういった武器があるのかわからなくて聞いたらしい。
寛大なルイズ様は勿論答えてあげました、懇切丁寧に。
しかし疑問に思う。
「どうしてそんなこと聞くの?」
そうだ。気づいたらこんな質問するほうがおかしくないか?常識なのに。
するとヨシカゲは、
「わたしのいたところと違うかもしれないだろ」
そう言った。そうだった、こいつは貴族も魔法も知らないような辺鄙な田舎からきたんだった。それを思い出し納得する。
それと同時に今まで浮かれていた気分が一気に冷めた。
「実は剣士でな」
突然ヨシカゲがそんなことを言い出した。
「嘘でしょ」
それをきっぱり嘘と断言する。わたしだって剣士ぐらい見たことがあるが、ヨシカゲはどうみても今まで見た剣士と明らかに違う。
見る限り体は鍛えてなさそうだし、一番の理由は剣士なのに剣を持っていないことだ。
「いや、嘘じゃない。本当に剣士だ。召喚されたときに剣がなくなってしまったがね」
……もしかしてわたしのせいとでも言いたいのか?
「しかし剣士の身なのに剣がないというのはなかなか落ち着かなくてな。出来れば代わりの剣を買ってくれないか?そうすれば護衛にも出来るだろう」
ああ、認めよう。もし本当に剣士だとしたら剣がなくなってしまったのはわたしのせいだろう。
さすがに悪い気がしてきた。なんの前触れも無く呼び出された上に荷物も無いのだから剣が買えないのも当然だし。
剣ぐらいは買ってあげるとするか。それにヨシカゲの言うとおり護衛にもなるし。
それに剣士じゃなくても剣持ってればそれなりに格好もつくでしょう。普通の平民よりマシだわ。
「わかったわ。買って上げる」
「ありがとう」
その時何故か昼間の決闘を思い出していた。
「わたしのいたところと違うかもしれないだろ」
そう言った。そうだった、こいつは貴族も魔法も知らないような辺鄙な田舎からきたんだった。それを思い出し納得する。
それと同時に今まで浮かれていた気分が一気に冷めた。
「実は剣士でな」
突然ヨシカゲがそんなことを言い出した。
「嘘でしょ」
それをきっぱり嘘と断言する。わたしだって剣士ぐらい見たことがあるが、ヨシカゲはどうみても今まで見た剣士と明らかに違う。
見る限り体は鍛えてなさそうだし、一番の理由は剣士なのに剣を持っていないことだ。
「いや、嘘じゃない。本当に剣士だ。召喚されたときに剣がなくなってしまったがね」
……もしかしてわたしのせいとでも言いたいのか?
「しかし剣士の身なのに剣がないというのはなかなか落ち着かなくてな。出来れば代わりの剣を買ってくれないか?そうすれば護衛にも出来るだろう」
ああ、認めよう。もし本当に剣士だとしたら剣がなくなってしまったのはわたしのせいだろう。
さすがに悪い気がしてきた。なんの前触れも無く呼び出された上に荷物も無いのだから剣が買えないのも当然だし。
剣ぐらいは買ってあげるとするか。それにヨシカゲの言うとおり護衛にもなるし。
それに剣士じゃなくても剣持ってればそれなりに格好もつくでしょう。普通の平民よりマシだわ。
「わかったわ。買って上げる」
「ありがとう」
その時何故か昼間の決闘を思い出していた。
次の日さっそく城下町に行った。授業は先生に適当な理由を言って休んだのだ。
初めは大抵1年生のときの復習だろうからわざわざ習わなくてもわかっている。それこそ何百回と練習したり先生の話を熱心に聴いたりしていたのだから。
そうでなければいくら使い魔のためとはいえ授業など休むものか。
そんなことを考えながらヨシカゲを引き連れ武器屋へ向かった。そしてしばらくして武器屋にたどりつく。
武器屋がある場所は汚いところだ。出来ればあんまり来たくなかったんだけど。
そう思いながら武器屋に入る。
店の奥には五十がらみの男がパイプを吸っていた。きっとあの男がこの店の主人なのだろう。
そして店主が話しかけてきた。どうやら取締りと勘違いしているようだ。
こちらが客だと伝えると酷く驚いた様子だった。
そのあと暫らく喋り剣のことはわからないから適当に剣を選んで持ってくるよう伝える。
店主が持ってきたのはレイピアという剣だった。なんでも宮廷の貴族たちが下僕に剣を持たせるが流行っているらしくその際選ぶのがこのレイピアらしい。
下僕に剣を持たせるのは『土くれ』のフーケとかいうメイジの盗賊がいて散々荒らしまわっているからだそうだ。
そんなものに興味は無いしどうでもいい。
初めは大抵1年生のときの復習だろうからわざわざ習わなくてもわかっている。それこそ何百回と練習したり先生の話を熱心に聴いたりしていたのだから。
そうでなければいくら使い魔のためとはいえ授業など休むものか。
そんなことを考えながらヨシカゲを引き連れ武器屋へ向かった。そしてしばらくして武器屋にたどりつく。
武器屋がある場所は汚いところだ。出来ればあんまり来たくなかったんだけど。
そう思いながら武器屋に入る。
店の奥には五十がらみの男がパイプを吸っていた。きっとあの男がこの店の主人なのだろう。
そして店主が話しかけてきた。どうやら取締りと勘違いしているようだ。
こちらが客だと伝えると酷く驚いた様子だった。
そのあと暫らく喋り剣のことはわからないから適当に剣を選んで持ってくるよう伝える。
店主が持ってきたのはレイピアという剣だった。なんでも宮廷の貴族たちが下僕に剣を持たせるが流行っているらしくその際選ぶのがこのレイピアらしい。
下僕に剣を持たせるのは『土くれ』のフーケとかいうメイジの盗賊がいて散々荒らしまわっているからだそうだ。
そんなものに興味は無いしどうでもいい。
このときはそんなこと思ってたけどまさか闘うことになるとは……
剣は細く叩いたら折れてしまいそうだ。それにあんまり豪華じゃない。やはり豪華なほうがいいだろ。
そんなわけでさらに太く大きなものを所望する。
すると、
「剣のこともわからねえくせに生言ってんじゃねえ!わかったら、さっさと家に帰りな!貴族の娘っ子!てめぇもだ!ひょろっちい青二才!」
そんな声が聞こえた。
何だって!貴族であるこのわたしになんて失礼な口を!
そう思いながら声のしたほうを振り向くが誰もいない。どういうこと?
「やい!デル公!お客様に失礼なことを言うんじゃねぇ!」
店主には何が起こったかわかっているのか怒鳴り声をあげる。
するとまた声が聞こえてきた。今度はわかった。剣から聞こえてきた。おそらくインテリジェンスソードだろう。
店主に聞くとやはりそうらしい。この剣は口が悪く、客にケンカを売るから閉口しているとか。じゃあなんでそんな剣を置いているのだろうか?バカじゃない?
するとヨシカゲが近くでそれを観察していたと思うと、
「ルイズ、これを買ってくれ」
そんなことを言ってきた。そんな剣よりもっといい剣を買わせようとしたがこれでいいというので渋々買うことにした。
あんな錆びているのよりも、高くても良いからもっと見栄えがいいのにしてもらいたかったのだが仕方が無い。本人が良いという剣が一番いいだろう。
安いのはよかったが。
そんなわけでさらに太く大きなものを所望する。
すると、
「剣のこともわからねえくせに生言ってんじゃねえ!わかったら、さっさと家に帰りな!貴族の娘っ子!てめぇもだ!ひょろっちい青二才!」
そんな声が聞こえた。
何だって!貴族であるこのわたしになんて失礼な口を!
そう思いながら声のしたほうを振り向くが誰もいない。どういうこと?
「やい!デル公!お客様に失礼なことを言うんじゃねぇ!」
店主には何が起こったかわかっているのか怒鳴り声をあげる。
するとまた声が聞こえてきた。今度はわかった。剣から聞こえてきた。おそらくインテリジェンスソードだろう。
店主に聞くとやはりそうらしい。この剣は口が悪く、客にケンカを売るから閉口しているとか。じゃあなんでそんな剣を置いているのだろうか?バカじゃない?
するとヨシカゲが近くでそれを観察していたと思うと、
「ルイズ、これを買ってくれ」
そんなことを言ってきた。そんな剣よりもっといい剣を買わせようとしたがこれでいいというので渋々買うことにした。
あんな錆びているのよりも、高くても良いからもっと見栄えがいいのにしてもらいたかったのだが仕方が無い。本人が良いという剣が一番いいだろう。
安いのはよかったが。