ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロのスネイク-2

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「ナルホド…ツマリコウイウ事カ? 『オ嬢サンハ私ノ新タナ主人ダ』…ト」
「『新たな』ってどういう事よ? あんた、前に別のメイジの使い魔だったわけ?」
「イヤ、私ノ以前ノ主人ハメイジデハナイ」
「じゃあ何よ?」
「『スタンド使イ』ダ」
「スタンド…使い?」



ゼロのスネイク 2話



時刻は既に真夜中。
窓の外では月が淡い光を放ち、その光はルイズの部屋にも注いでいた。
で、何故こんな真夜中になってまでルイズとホワイトスネイクが話し込んでいるのかというと――

「だから『スタンド使い』って何よ!?」
「文字通リ『スタンド』ヲ使役スル者ダ。私ハ『スタンド』ダカラナ」
「『スタンド』? 何の種族よ? そんな系統の亜人なんて聞いたこと無いわ!」
「無理ハ無イ。私ノ予想ガ正シケレバ、私ガ『以前』イタ場所ト『今』イル場所ハ根本的ニ異ナル世界ダカラナ」
「はあ? どういうことよ?」
「早イ話、別ノ世界カラ来タトイウコトダ」
「…そんなわけ無いでしょ。第一聞いたこと無いわよ? 
 召喚の儀式でまったく別の世界から使い魔が呼び出されるなんて」

一体どれだけこの話題をループしただろうか、とホワイトスネイクは思った。
この小娘――ルイズの服装にしても、この部屋の内装にしても、加えて自分とルイズとのまったく話が咬み合わない事からしても、
自分が以前いた世界――つまり地球だが、そことは別の世界にワープさせられた、とでも表現するのが正しいのだろう。
ここはプッチ神父が目指した「天国」こと一巡後の世界では無いらしい。

そのことも含めて、ホワイトスネイクはこのルイズに話てはみたのだが…まったく通じない。
ホワイトスネイクも色々言い回しを工夫したが、
「異世界から使い魔が召喚されるわけないでしょう。ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから」といった調子だ。

さて、このまま夜が明けるんじゃないか、とホワイトスネイクが思い始めた頃――

「はあ…まあいいわ。あんたがどこから来たのかって事はとりあえず後回しよ。
 あんたはわたしの使い魔なんだから、わたしの使い魔としてしなくちゃあならないことを説明するわ。
 いい? 心して聞くのよ?」
「分カッタ」
「まず、使い魔は主人の目となり耳となる。つまりあんたが見えてるものがわたしにも見えるってことよ」
「ソレハ当タリ前ノ事ジャアナイノカ?」

スタンドであったホワイトスネイクには当然のことである。
スタンド自体が視覚を持たない場合もあることにはあったが、幸いホワイトスネイクは視覚を持っている方だったからだ。
とはいえプッチ神父から大きく離れているときは自分の視覚は自分に一任されていたが、
ある程度の距離ならばプッチ神父は自分と視覚聴覚を共有していた。
だが――

「…見えないわね」

何故かルイズにはそれが出来なかった。

「出来テ当タリ前ト思ウコトガ大事ラシイゾ」

昔、DIOの館で見た両手が右手の占い師のババアが言っていたことを受け売るホワイトスネイク。

「それもそうね。 ~~~~~~~~あたしはできるあたしはできるあたしはできるあたしはできるあたしはできるッ! よし、これで!」

しかし。

「・・・やっぱり見えないわ」
「訓練ガ足リナインジャナイノカ?」
「そんなわけないでしょ。使い魔と視覚を共有するのに訓練なんて要るわけ無いじゃない」

召喚の儀式を成功させるためにありとあらゆる書物を読み漁ったルイズからしてみれば当然の事である。
だがホワイトスネイクにはそれが納得いかない。

「イヤ・・・ソンナハズハナイ。第一私ハ視覚ノ共有ガ可能ナタイプノスタンドダシ・・・」
「もういいわ。あんたがちょっと変わってるだけってことよ」

おかしいのは共有できない君の方だ、とホワイトスネイクは思った。

「じゃあ次よ。使い魔は主人のために秘薬の原料材料を集める」
「出来ルワケガ無イダロウ。私ハ別ノ世界カラ来タンダカラナ」

別の世界から来たホワイトスネイクにはどだい無理な話である。

「はあ・・・あんたって本当に変わってるのね」
「ダッタラ何デ私ヲ呼ンダノダ」

次第にホワイトスネイクは、目の前の小娘に辟易し始めた。
無理も無い話だ。
何せ、彼の以前の本体はエンリコ・プッチ神父なのだから。
亡き親友DIOの目的の達成のために「天国」を目指し、
そのためにあらゆる犠牲をいとわず残酷さ、そして比類なき精神的強さを兼ね揃えた男。
加えて、ホワイトスネイクを己の手足のように自在に駆使し、スタンド使いとしても他を圧倒した男。
意思を持つが故にアイデンティティ
――スタンドとしてのアイデンティティを必要とするホワイトスネイクにとって、
これ以上に優れたスタンド本体は無かった。

それに比べて、この小娘のこの有様。
我侭だし、ヒステリーだし、あまり考えは深くなさそう、と来ている。
プッチ神父とでは雲泥の差だ。

などとホワイトスネイクが考えているとは露知らず、ルイズは話を続ける。

「じゃあ最後に、使い魔は主人を守る。自分の体を犠牲にしてでもね」
「無理ダ」
「どうしてよ?」
「私ハスタンドダ。スタンドノダメージハ本体、ツマリオ嬢サンに反映サレル。
 例エバ私ガ右腕ヲ切リ飛バサレタナラ、オ嬢サンノ右腕モ同様ニ切リ飛バサレル」
「・・・何言ってんの? あんたバカ?」

これにはさすがのホワイトスネイクもイラっときたが、
ルイズのスタンドについての知識が皆無に等しいことを考慮して、思いとどまった。
その代わり――

「ナラ試シテミルトイイ」

そう言って、自分の脚をルイズにひょいと差し出した。
スネを蹴っ飛ばせ、というメッセージである。

「・・・後悔しないのね?」
「ダカラサッサトヤレバイイ」

それを聞くと、ルイズは容赦なく、全力で、ホワイトスネイクのスネを――

バグオォッ!!

蹴っ飛ばした。

「グオォッ!」

そしてそのあまりの威力にホワイトスネイクが呻き声を上げるッ!

余談だが、訳あって魔法を使えない…もとい、使わないルイズは
他の生徒がレビテーションで移動するところを常に走るだの歩くだので移動していた。
つまり細くてすらっとした見た目とは裏腹に、ルイズの足には実に健康的なレベルで筋肉がついていたのだ。
背も低いしやせっぽちのルイズに蹴られたところで大して痛くは無かろう、
と踏んだホワイトスネイクのアテは大きく外れたわけだ。

というわけで、痛みのあまり蹴られた方のスネを庇うホワイトスネイク。
だがルイズのほうはちっとも痛がってるフシが無い。

「…オ嬢サンは痛クナイノカ?」
「は? 何言ってんのよ。痛い訳ないじゃない」
「…失礼スル」

そう言うと、ホワイトスネイクは素早くルイズに近寄り、その右足を確認する。
かなり急いで移動したため、風圧でルイズのスカートが捲くれ上がるが、そんなことは一向に気にしない。
というか、ホワイトスネイクはそんなことには気づきすらしない。
それよりも確認すべきものがホワイトスネイクにはあったからだ。
そして――

「馬鹿ナ…」

果たして、ルイズの右足のスネにはアザ一つ無かった。

ホワイトスネイクは混乱する頭で考える。
これは一体どういうことだ?
スタンドである自分のダメージが、どうして本体である小娘に反映されない?
これも魔法とかによるものなのか?

などと考えたところで、ふとあることに気づいた。
今、自分はこの小娘を「本体」だと考えた。
ならばその逆、この小娘が「本体」でないとしたら…。

「…の……」

何か声が聞こえた気がしたが、そんなことは些細なことでしかない。
ここでホワイトスネイクはある仮説を思いつく。

①スタンドは個々の精神がヴィジョンとなって現れたもの。
②だが自分はあくまでプッチ神父の精神のヴィジョンなのであって、小娘の精神のヴィジョンではない。
③また会話をする限り小娘とプッチ神父の精神はあからさまに正反対なので、
 プッチ神父が水族館でやっていたようにスタンドと精神が結合するとは考えづらい。
④視覚聴覚の共有、ダメージの共有が無いのはこれが原因か?

「……この………」

おそらくはこれであっているのだろうが、まだまだ検証は必要だ。

とそこまで考えて、やっとホワイトスネイクは頭上から聞こえる声に気づいた。
そして顔を上げると――

「この大バカーーーーーーーッ!!」

ドグシャアッ!

顔面を全力で蹴り飛ばされたッ!!!

「ブゲアァーーーーッ!!」

思いっきりぶっ飛ばされ、ドアをブチ破って廊下に転がるホワイトスネイク。
スタンドは基本的に質量を持たないので、無防備のところを蹴られるとよく飛ぶのだ。

「ナ、何ダ!? 一体何ヲスル!」
「召喚されて早々に…ご主人様のパンツを覗くなんて…」

その言葉にはっとするホワイトスネイク。
そういえば、さっきルイズの足を見たときに何かが捲くれ上がったような音がしたようなしなかったような……
そうこう考えているうちに、ルイズが短い棒のようなものを取り出した。
そして、その棒がバチバチと白い火花を上げるッ!
その様子に、ホワイトスネイクは直感的にヤバイと感じたッ!!

「マ、待テッ! 何ヲスル気ダ!」
「何をする気、ですって・・・? そんなの決まってるじゃない!」

キッとホワイトスネイクをにらむルイズ。
そして――

「オシオキよッ!!」

ルイズの言葉とともに、杖が振り下ろされるッ!
そしてッ!!

ドッグオォォォォオオオン!!

爆発したッ!!
屋内だということを微塵も考慮しない、豪快な爆発がルイズの部屋の前で巻き起こったッ!

「あんたにはあたしの部屋に入る権利も無いわッ! 今日一晩、大人しく廊下で過ごしなさいッ!!」

バタン!、と荒々しく自室のドアを閉めるルイズ。
さらにそのすぐ後にガチャリと鍵を閉める音がした。
言葉通り、ホワイトスネイクを締め出す気満々である。
そして部屋の前にもうもうとたちこめる爆煙が晴れると…

「マッタク…酷イ目ニアッタナ…」

爆発でコスチュームをボロボロにしたホワイトスネイクがいた。
幸い指が吹っ飛んだり腕が根こそぎなくなったりすることは無かったが、モロに食らっていたらどうなったか、分かったものではない。
本来ならそれなりに抵抗したり、人間を無力化できるタイプの命令DISCを差し込んでやるところだが…
自分にスタンドパワーを供給してくれていることもあって、かろうじてガマンした。

「コレカラガ…大変カモシレナイナ…」

そしてホワイトスネイクはそんなことを呟きながら、ドアを幽霊のようにすり抜けて堂々とルイズの部屋に入っていった。
ルイズが疲れて寝てしまっていなければ、きっとホワイトスネイクは地獄を見ていたに違いない。



To Be Continued...

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