ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ラ・ロシェールにて-4

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しかし立ち向かうといってもどうすればいいか検討も付かないのが現状だった。
ゴーレムの大きさは身の丈40メイルほどもあるのだ。まともに戦っては勝ち目が無いことは火を見るより明らかだ。
ただ特攻したって傭兵たちのようになるのは目に見えている。
ギーシュがどうすればいいか考えていると不意に袖を引かれる。引っ張っていたのはタバサだった。
「なんだね?」
「薔薇」
タバサはギーシュが持った杖を指差し、それを振る仕草をしてみせる。
「花びら。たくさん」
意味はわからなかったがきっとゴーレム打開策だろう感じ、ギーシュは薔薇の杖を振るう。そして大量の花びらが宙を舞った。
これにどんな意味があるかわからない。でも今出来るのは仲間を信じ己に出来ることをするだけだとギーシュは思っていた。
見るとタバサは魔法を唱えている。舞い上がっている花びらは周りの炎に燃やされる前にタバサの魔法によりさらに舞い上がりゴーレムに絡みつく。
……本当に何がしたいのかわからない。でもこんなときに意味の無いことなんかしない筈。
ギーシュがタバサの行動に混乱していると、
「錬金」
タバサはそう呟いた。
その言葉でギーシュはタバサの考えを悟った。そして素早くゴーレムに張り付いた花びらを『錬金』によって油に変える。
その瞬間炎が油に引火しゴーレムが燃え上がる。
キュルケはダメ押しで魔法を唱えさらに炎を燃え上がらせる。それはもはやゴーレムでなく火柱になっていた。
ゴーレムがもがき苦しむような暴れまわる。それを見ながら急いで安全圏まで下がる。さすがに巻き込まれたら大変だ。
「や、やった!倒したぞ!」
ギーシュは勝利を確信していた。あれだけ燃え盛ればいくらゴーレムとて耐えれるはずも無い。

しかし突然炎の中から何かが物凄い勢いで飛び出してくる。
それはゴーレムだった。周りにはまだいくらか炎を纏っているがそれはたしかにゴーレムだった。
やばい!
ギーシュがそう思った瞬間ゴーレムの拳はすぐそこまで迫っていた。
キュルケたちもさすがに油断して気を抜いていたのだろう。驚いた表情で拳が迫り来るのを見ている。ギーシュにはそれらがゆっくりに見えていた。
このままでは三人ともゴーレムに殺されてしまう。どうすれば!
とっさにワルキューレを作り出し二人に向かって突進させる。そして自分はその反対側に向かって体をひねる。
視界の端でキュルケとタバサがワルキューレの突進によって吹っ飛ばされゴーレムの拳の範囲から出たのを確認できた。
そして次の瞬間体に物凄い衝撃が走った。

フーケは自分を満足させるため手当たりしだいそこら辺にある建物を破壊し人間を殺していた。
ゴーレムの手足は既に血によって紅くなっており、それ以外の場所も所々血が付いている。それを炎が赤々と照らしていた。
これだけ殺し、破壊してもフーケの闇は晴れなかった。自分は壊れているのにまだ壊れていないものがあると思うと落ち着いてはいられなかった。
体は凍えるように冷たく、そしてそうなればなるほど心の炎は燃え上がり、痛む右手と霞む目は彼女に苛立ちと力を与えてる。
そう思いながらフーケは笑う。おかしな話だ。もはや体に痛みなど無い。なのに無いはずの右手が痛むなんて。
そんなことを考えながら次の攻撃目標に目を向ける。
自分の体がどうして冷えているだとか、どうして目が霞むのかとかは意図的に考えなかった。
そして攻撃しようとすると突然花びらがゴーレムに向かって飛んできた。
花びら?
そんなことを思っているうちに花びらがゴーレムに絡みついていく。花びらが飛んできた方向を見るとそこには3人のメイジらしき人間がいた。
一体何をしようというのか?そう思うと同時に花びらが突然液体に変わる。
『錬金』か!
それを理解した瞬間ゴーレムが炎に包まれる。それにより油に錬金されたのだと気が付いた。
炎によってローブが焦げ、髪が縮れる。
しかしこれだけ炎に炙られているにも係わらずフーケは熱を感じていなかった。
炎の勢いはさらに強くなる。それでようやくフーケはあったかいと感じた。しかし炎の勢いを見てこれ以上炎をそのままにしておくの危険だと判断する。
ゴーレムを暴れさせてみるが炎は治まらない。そして考える。
どうすればいい。どうすれば炎を消して奴らを殺せるか。
すぐに答えは出る。呪文を唱え杖を振る。するとゴーレムの表面の岩が土に変わる。少し小さくなるがこれなら周りのまとわり付いている炎を振り払うことが出来る。
そして炎の合間から見えた人影に突っ込む。
その衝撃でゴーレムの表面の燃えていた部分が土と一緒に落ちる。そして突進したそのままの勢いでゴーレムに拳を突き出させた。

キュルケとタバサは素早く立ち上がりゴーレムから距離をとる。ギーシュのゴーレムがギリギリのところで二人を助けたのだ。
ギーシュのゴーレムは力なく倒れ付している。
ギーシュは何処!
キュルケがあたりを見回すとギーシュがゴーレムからの拳から少し離れたところにいるのを見つけた。ギーシュは自分のゴーレムと同じように倒れ付している。
違うところがあるとすればギーシュが血まみれというところだけだ。
「ギーシュ!」
キュルケが叫んで駆け寄ろうとする。しかしそれはタバサによって止められる。そしてギーシュのいたところに敵のゴーレムの拳が突き刺さった。


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