ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

サーヴァント・スミス-10

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日が沈みかけている。馬車は、やっとのことで学院へ着いた
途中、フーケの体に蜂が住み着き始めたり(ナランチャがこの世界で見るのはギーシュ以来の二度目である)
ルイズの、タバサとの関係についてナランチャへの執拗な質問攻め
凄まじくルイズに追い詰められたナランチャが馬車から落ちたりした。

「なんで帰るだけで……あんな目にあうんだ」

「知らない」

「ルイズの所為じゃない。ねえ?ナランチャ」

「何よ!」

胸を張り合っても差は歴然である。
その差、見ていて悲しくなってくる
だが、そんなルイズの手を握る小さい手。

「タバサ……」

「仲間」

タバサはナランチャとルイズという仲間を見つけた。
奇しくも、それは一組の使い魔とご主人であった。
仲間はずれにされた気がしてキュルケは隅っこで泣いた。


数十分後。オスマンはボコボコにされていた。
それも、ロングビル……フーケを秘書にした理由だが

「お尻を触られて怒らなかったら秘書になれるんですか?え?オスマンさぁん」

コルベールは完全に正気を失っている。
キュルケとルイズとタバサとナランチャ。全員で団結して止めた。
体の彼方此方から血と変な汁(?)を流しながら、オスマンは咳払いをする

「えー、えー、ゴホン。こ、今夜は『フリッグの舞踏会』じゃから、楽しんできなさい。じゃ、じゃあこれで」

「まだ話すことがあるでしょーが」

コルベールは相変わらず怒っている
その姿は宛ら茹でダコで、フーケ討伐隊一同、笑うのを堪えていた。
中途半端に髪の毛があるのも笑いを誘発してしまう。

「えーと、全員に『シュヴァリエ』の爵位を与える」

「ええ!?本当れすか!?」

「ブフッ」

ルイズが驚きのあまり噛んだのを見てその場にいる全員が吹き出した。ルイズまで茹でダコと化す。茹でダコと言う言葉をみんな知っているのだろうか?
『タコなのに髪の毛がいっぱい』と考えると、ナランチャ含めて全員がいよいよ大笑いしだす。
タバサに至ってはおかしさのあまりその場にうずくまっていた。茹でダコを知る知らないに関わらず。
次の瞬間、一瞬にして大爆笑と大爆発の餌食となった学院長室に、オスマンの声がまた響く。

「……ミス・タバサには、『精霊勲章』を。ナランチャ君には……えと、貴族じゃないので何もなしで。こ、これでええかの、ミスタ・コルベール」

「まだです。ナランチャ君に話があるでしょう」

「ああそうじゃった。おぬし。ちょっと残ってくれ。他の者は支度をして来なさい」

「はーい……」

ルイズは密かに、ナランチャに何もないことが不満だった。
ナランチャの不思議な力のおかげで勝てたわけで。
寧ろ、居なかったら死んでいたかもしれない。
蟠りを残しながら、バタンとドアを閉めた。


「なんだよ、話でも?それともそっち系?」

「そっち系ってなんじゃい。ミスタ・コルベールがの、ルーンを見直したいとな」

「あー、その前に聞きたいことひとーつ。あの破壊の杖ってどこにあったの?」

「……んー、いつじゃったかのう。森の中にわしが居たらワイバーンが出てきてそれを命の恩人がどーん。ってとこじゃのうふぅッ!?」

「アバウトすぎです」

またコルベールに突っ込みを喰らう。

「まあ、その命の恩人がワイバーンを吹き飛ばしたのが、その破壊の杖ってことで。もしかしたら君と同じ異世界の住人かもしれんぞい」

「なーる。えーとあれなんだっけ、M……38ロケットランチャー?」

数字が一つも合ってなかった。

「おお!これはやっぱり、伝説の『ガンダールヴ』のルーン!」

「ほほー。やっぱりそうじゃったかー。たいしたモンじゃ。とすると……ミス・ヴァリエールは化けるかも知れんな」

「バケモンに?」

「いやいやいや、実力を解放する時がくるかも知れんってことじゃ」

ナランチャには良く分からない話だったが、ガンダールヴとは、武器を使いこなす伝説の使い魔。
いろいろ異名があるらしいが。
ナランチャが早く休みたいと愚図り出したので、一旦切り上げとなった。
また今度話そうという約束は、ナランチャが一方的にそのことを忘れる事によって破られる。

医務室で怪我を治す。脇腹にまだ痛みがあるが、仕方ない。
少し休むと、いつの間にかギリギリの時間になっていたので、オスマンの言う『フリッグの舞踏会』とやらに急ぐ事にした。

……着くなり、ナランチャは飯にかぶりついていた。
厨房でもこんな豪華な料理はなかった。タバサと一緒に食い荒らす。

「……これ」

タバサが差し出したサラダ。
それは――伝説のはしばみ草サラダであった

「くれるの?」

その苦味の前には、何人倒れたか分からない。
スタンドだけではなく、スタンド使いまで月までぶっ飛ぶ。そんな感じである。
無邪気な笑顔を振りまいて口に運ぶナランチャ

「うん、大丈夫」

タバサの顔が一瞬煌いた

「……あああ!違う!違う!違う!」

トーキングヘッドが発動してしまった。
肩を落とすタバサ。

「いや、ごめん。嘘。大丈夫。」

二口目を運ぶ所を見て、ようやくタバサが表情を戻した。

「美味いよ。うん」

その言葉でさらに加速するタバサの不思議な感情
ナランチャの脳裏には……

昔にゴミ箱の中に入っていた物体Xを食べた事が焼き付けられている
その苦さといったら、凄かった。いや、苦さだけではない。いろいろな味が嵐を巻き起こす。
こてん、とその場に転がり、数秒間のた打ち回ったかと思えば、体の全機能が一瞬停止した。
腐っていたのかどうかは定かではないが、とにかくよく分からないものである。

それと比べる。うん、まだ美味い方。やはりあの頃の経験は役に立つなあ。としみじみ思う。

「………」

もぐもぐ食べ進めるナランチャに、何かが秘められた眼差しを送るタバサであった。
その後、食べ過ぎた2人はバルコニーで風に当たっていた。ルイズの立場が全く無い。
だが、もちろん会話は進まなかった。
それなのに気まずいわけでもない。何かいいムード……

「ナランチャ。ちょっとこっち来なさい」

ルイズに引っ張られていったナランチャを見送るタバサ。
数秒たたずに起こる爆音。

タバサと入れ替わりにルイズが来た。
ナランチャの隣にルイズが来た途端、ACT2に「ズーン」の音を張られたように気まずい空気が。

「……ナランチャ」

肩を震わせて「ごめんなさい」を連呼するナランチャ。勘違いしているらしい。

「……ありがとう」

一陣の風が、その場に吹いた。
ナランチャは何がなんだかよく分からないといった様子で黙っていたが、ニヤッと笑って

「あ?よく聞こえなかったぞおい」

「何にーも言ってない!何にも言ってない!」

「言った!」

「言ってない!」

「言った!」

「言ってない!」

そのやり取りを30セットほど繰り返し

「ワンモアセッ!言った!」

「言ってない!」

「ワンモアセッ」

「しつこいわよ!」

双方が疲れきった所で、空を見上げる。
見事なほどに綺麗な月が浮かんでいる。最初ここにナランチャが来た夜のようだ。
ちらりと横目でルイズの服を見て、呆れたように言う

「あー、ったくよ、なーに着飾ってんだか。月のほうがよっぽど綺麗だっつーの」

「な、何よ!あんただって少しは気を使いなさいよ!なにその服装、ボロボロじゃないの!」

「………」

時が止まる。

「嘘ッス」

「……へ?」

嘘?嘘……
つまり『お前より月の方がよっぽど綺麗』の反対……
ルイズはしばらく考えて、顔を赤くする。
ナランチャはそこを考えて言ったのかどうかは別として、好感を持っている自分が恥ずかしかった

「また茹でダコか?」

「うっさいわよッ!」

「ククク、張り合いがあっていい、『ありがとう』なんてお前の柄じゃねーだろ、普通」

「……聞いてたの」

「だから『言った』って……ぶほうぉ!?」

大笑いしたナランチャの背中に爆発。

「おわああああ!落ちる!落ちる!落ちる!」

悪意の無い笑みを浮かべて立ち去るルイズの姿を見れなかったナランチャは、『やっぱアイツ凶暴だ』と思いながら月を再度見つめるのであった
だが、思いなおしたようにナランチャがルイズの元に駆け寄る

「なあ……踊ろうぜ。みんなやってるし」

「え?え。ええ。いいわ。特別に」

迷いつつ下したその判断が、その場を大惨事へと陥れることになった……

ズッタン ズッズッタン

「………」

ズッタン ズッズッタン

グイン グイン 

「………」

バッ バッ バッ 

とりあえず殴ってやめさせる事に成功したルイズは、舞踏会が終わるまで、ナランチャと、一緒にやっていたギーシュをバルコニーに吊るした。
タバサもやっていたが、流石に彼女を吊るのは気が引けた。ちなみにやっていたのは合わせて計3人
彼女は恨みがましいのか、潤んだ目でこっちを睨んでくる

「………」

「うっ」

「………」

「………」

こうして、ルイズは味の悪い舞踏会をすごすことになる
翌日、吊るした男達を引き上げに来たルイズはげっそりとしていて、ナランチャがどうしたのかと問えば、無言で首を横に振るだけでだった

第一章『サーヴァント・スミス』 完


To Be continued ...

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