「あんたにとって貴族ってどんな存在なの?」
それがルイズの質問だった。
「どういうことだ?私にとっての貴族?」
「そうよ。ヨシカゲにとっての貴族が何かを聞きたいの」
「何でまた急に」
それに私にとっての貴族がどういうものかを聞いてどういう意味があるんだ?
「……ウェールズ皇太子殿下が聞いたのよ。わたしにとって貴族はどういうものなのかって。わたしは敵に後ろを見せない者って答えたわ。そしたら殿下はじゃあ平民にとって貴族はどういうものなのかって聞いてきたわ。わたしはその質問に答えられなかったの」
ルイズは少しくらい顔をして言う。
しかしその言葉は何の感情も込められず淡々としている。おそらくわざとだろう。
「殿下は答えられなかったわたしに微笑んで言ったわ。自分で貴族はこういうものだと決めることは簡単に出来る、でも大衆が求める貴族になることは難しいって。
平民あってこそ貴族、王族がいるんだって。わたし今までそんなこと考えたことも無かった。平民がこっちをどう思ってるかなんて考えたこと無かったわ。だって今までは全部自分の中で完結してたんだもの……」
「だから平民で自分の使い魔である私に聞こうと思ったのか」
ルイズは静かに頷いた。
なるほどね。自分の知らない世界に触れて今に疑問を持ったのか。しかし皇太子も変なこと考えてたんだな。
トリステインとアルビオンじゃやっぱ考え方が違うのかね。
「か、勘違いしないでよ!たまたまあんたが目の前にいたから聞いただけよ!」
ルイズが顔を真っ赤にして言ってくる。
たまたまって、お前がここに来たからいるんだろうが。
「なら私に聞かなくても他の平民に聞けばいいだろう。メイドとか」
「い、いいから答えなさいよ!」
もうわけわからん。
しかし貴族ね。なにか不利があるわけでもないし暇つぶしにもなるから答えてやってもいいが……
正直貴族なんてどうでもいいんだよな。でもそれじゃ納得しそうにないし適当に貴族について知ってることをそれっぽく話しとくか。
それがルイズの質問だった。
「どういうことだ?私にとっての貴族?」
「そうよ。ヨシカゲにとっての貴族が何かを聞きたいの」
「何でまた急に」
それに私にとっての貴族がどういうものかを聞いてどういう意味があるんだ?
「……ウェールズ皇太子殿下が聞いたのよ。わたしにとって貴族はどういうものなのかって。わたしは敵に後ろを見せない者って答えたわ。そしたら殿下はじゃあ平民にとって貴族はどういうものなのかって聞いてきたわ。わたしはその質問に答えられなかったの」
ルイズは少しくらい顔をして言う。
しかしその言葉は何の感情も込められず淡々としている。おそらくわざとだろう。
「殿下は答えられなかったわたしに微笑んで言ったわ。自分で貴族はこういうものだと決めることは簡単に出来る、でも大衆が求める貴族になることは難しいって。
平民あってこそ貴族、王族がいるんだって。わたし今までそんなこと考えたことも無かった。平民がこっちをどう思ってるかなんて考えたこと無かったわ。だって今までは全部自分の中で完結してたんだもの……」
「だから平民で自分の使い魔である私に聞こうと思ったのか」
ルイズは静かに頷いた。
なるほどね。自分の知らない世界に触れて今に疑問を持ったのか。しかし皇太子も変なこと考えてたんだな。
トリステインとアルビオンじゃやっぱ考え方が違うのかね。
「か、勘違いしないでよ!たまたまあんたが目の前にいたから聞いただけよ!」
ルイズが顔を真っ赤にして言ってくる。
たまたまって、お前がここに来たからいるんだろうが。
「なら私に聞かなくても他の平民に聞けばいいだろう。メイドとか」
「い、いいから答えなさいよ!」
もうわけわからん。
しかし貴族ね。なにか不利があるわけでもないし暇つぶしにもなるから答えてやってもいいが……
正直貴族なんてどうでもいいんだよな。でもそれじゃ納得しそうにないし適当に貴族について知ってることをそれっぽく話しとくか。
「私の国にも昔は貴族はいた」
今でもいるけどな。けどいないことにしとこう。
ルイズは私の驚いた顔をする。
「ヨシカゲの場所にも貴族がいたの?」
「いないなんて言ってないだろ。ただここら辺の貴族みたいに魔法は使えなかったがな」
ルイズにそう返す。
「貴族はその頃は絶対で政治権力を握っていた。そのことをアリストクラシーといって、『最上の者による支配』を意味する」
「最上の者による支配……」
ルイズが呟く。
「だがアリストクラシーって言葉は元々軍の先頭に立って剣を抜く若い市民に対しての表現だったんだ。昔は戦争における勇敢さは非常に高い美徳と考えられていたからだ。
危険を顧みず率先して民衆を守る、まさに英雄的行為だった。
でもどんな英雄だろうと時が経てば死ぬ。時がたって貴族による支配はもはや『最上の者による支配』ではなくなってしまった。
先頭に立って戦う者たちは技術の進歩によって安全地帯で部隊を指揮するようになり、危険を冒す伝統的な役割を放棄したときから、伝統的な特権も維持するのはもはや困難になった」
「自分たちで戦わないから平民たちの不満に思ったのね」
「その通りだ。その頃には『貴族』という言葉自体が生まれながらにして贅沢や特権を主張する人々の象徴になっていて、本来の意味からは遠くなっていたからな」
そこで一端区切る。
「そこで貴族たちはどうなったと思う?平民が革命を起こして貴族たちは権利も財産も奪われて平民たちと同じなってしまった」
「平民が革命なんて……」
「ここの貴族は魔法が使える。もし無かったらとっくに革命が起こってるよ」
ルイズの顔が驚愕に歪む。
今でもいるけどな。けどいないことにしとこう。
ルイズは私の驚いた顔をする。
「ヨシカゲの場所にも貴族がいたの?」
「いないなんて言ってないだろ。ただここら辺の貴族みたいに魔法は使えなかったがな」
ルイズにそう返す。
「貴族はその頃は絶対で政治権力を握っていた。そのことをアリストクラシーといって、『最上の者による支配』を意味する」
「最上の者による支配……」
ルイズが呟く。
「だがアリストクラシーって言葉は元々軍の先頭に立って剣を抜く若い市民に対しての表現だったんだ。昔は戦争における勇敢さは非常に高い美徳と考えられていたからだ。
危険を顧みず率先して民衆を守る、まさに英雄的行為だった。
でもどんな英雄だろうと時が経てば死ぬ。時がたって貴族による支配はもはや『最上の者による支配』ではなくなってしまった。
先頭に立って戦う者たちは技術の進歩によって安全地帯で部隊を指揮するようになり、危険を冒す伝統的な役割を放棄したときから、伝統的な特権も維持するのはもはや困難になった」
「自分たちで戦わないから平民たちの不満に思ったのね」
「その通りだ。その頃には『貴族』という言葉自体が生まれながらにして贅沢や特権を主張する人々の象徴になっていて、本来の意味からは遠くなっていたからな」
そこで一端区切る。
「そこで貴族たちはどうなったと思う?平民が革命を起こして貴族たちは権利も財産も奪われて平民たちと同じなってしまった」
「平民が革命なんて……」
「ここの貴族は魔法が使える。もし無かったらとっくに革命が起こってるよ」
ルイズの顔が驚愕に歪む。
「そしてこれが私の貴族に対する意見だが、貴族っていうのは支配してもいい人間のことだ。それと同時にするべき義務が発生する。
その義務さえ果たしてくれれば支配されることに不満は持たない。果たさなければ障害だ。それが私にとっての貴族だな」
眠たくなってきたな。薬の効果だろう。
「わかったか?わかったなら部屋から出て行ってくれないか?もう眠たいんだ」
「え、ええ」
ルイズが慌てて返事をする。
「ねえ、ヨシカゲがいったするべき義務って何なの?」
「自分で考えろ。それは自分で見つけないと意味が無い」
適当に言ったんだから聞かれても困る。
ルイズはなにやら考え込みながら去っていった。
適当なこと並べただけなのによく考えれるものだ。そう思いながら自分の手を見る。
正確に言えば爪を見る。大分伸びている。最近爪が伸びるのが早いような気がする。そんなことを思いつつ眠りについた。
その義務さえ果たしてくれれば支配されることに不満は持たない。果たさなければ障害だ。それが私にとっての貴族だな」
眠たくなってきたな。薬の効果だろう。
「わかったか?わかったなら部屋から出て行ってくれないか?もう眠たいんだ」
「え、ええ」
ルイズが慌てて返事をする。
「ねえ、ヨシカゲがいったするべき義務って何なの?」
「自分で考えろ。それは自分で見つけないと意味が無い」
適当に言ったんだから聞かれても困る。
ルイズはなにやら考え込みながら去っていった。
適当なこと並べただけなのによく考えれるものだ。そう思いながら自分の手を見る。
正確に言えば爪を見る。大分伸びている。最近爪が伸びるのが早いような気がする。そんなことを思いつつ眠りについた。