『ぼく』は今どうしようもなく抑えきれない衝動に突き動かされている。
ピチャリ!ピチャリ!
そんな何かが滴るような音が廊下から聞こえてくる。
「パパ!ママ!」
少女の声が聞こえる。しかしその声にはあまり恐怖の色は無い。
その少女が私のほうへ手を出してきた。
「ククーン」
甘えたような声を出しながら『ぼく』は迷わずその手をペロペロ舐める。
ああ!最高の気分だ!
思わず興奮して勃起してしまう。しかしそれを抑えようとも思わない。
それから何十分か経った。音は滴るような音は相変わらず聞こえ続けている。
少女は耐え切れなくなったのかベッドから立ち上がりドアを開け廊下に出る。
「ヒッ!?」
少女の短い悲鳴が聞こえる。その声にはとてつもない恐怖が詰まっていた。当然か。自分の愛犬が首を切られて壁のコートかけにぶら下がって死んでいるのだから。
その様子に『ぼく』はもう耐えられなくなる。
「おじょうちゃんの手ってスベスベしててカワイイね。クックックッーン」
『ベッド』の下から出ながらそう喋りかける。
「う、うそ……」
少女がそう呟きながら恐怖に満ちた目で『ぼく』を見詰める。
「両親もすでに殺したぞ」
完全にベッドの下から這い出て立ち上がる。それと同時に少女がどこかへ駆け出す。
逃げるつもりか。そう思いながら追いかける。玄関や窓にはあらかじめ鍵をかけておいた。そこから逃げるにしても鍵を開けるか壊すかしなければいけない。
その間に『ぼく』はあの子を『殺せる』!
逃げている少女を追っていると、少女は一つの部屋に入る。しまった!その部屋には入っていなかった!窓も開いているかもしれない!
危機感を感じ『ぼく』もすぐさまその部屋に入る。
少女は窓から身を乗り出していた。逃がさない!
手に持っていたナイフをおもいっきり振り上げその勢いのまま少女の背中に深々と突き刺した!
「あぐぁっ!」
そしてこちらに引き寄せるようにしてナイフを一気に手前に持ってくる。
少女の背が深々と切り裂かれる。致命傷なのは誰の目から見ても明らかだ。
「ろ……は…………ちゃん…………にげ……」
少女は何かを呟いていたがそれもわずかな間で、命の灯火はすぐに消えてしまった。
殺したことに後悔はなかった。むしろとても晴れ晴れとした気分だった。長年抑えてきたものを開放することが出来たのだから。
それに今の『ぼく』が捕まるわけが無い!だって『ぼく』は絶好調なのだから!
だれも『ぼく』をとめることはできやしない!
そんな夢を『私』は見ていた。
ピチャリ!ピチャリ!
そんな何かが滴るような音が廊下から聞こえてくる。
「パパ!ママ!」
少女の声が聞こえる。しかしその声にはあまり恐怖の色は無い。
その少女が私のほうへ手を出してきた。
「ククーン」
甘えたような声を出しながら『ぼく』は迷わずその手をペロペロ舐める。
ああ!最高の気分だ!
思わず興奮して勃起してしまう。しかしそれを抑えようとも思わない。
それから何十分か経った。音は滴るような音は相変わらず聞こえ続けている。
少女は耐え切れなくなったのかベッドから立ち上がりドアを開け廊下に出る。
「ヒッ!?」
少女の短い悲鳴が聞こえる。その声にはとてつもない恐怖が詰まっていた。当然か。自分の愛犬が首を切られて壁のコートかけにぶら下がって死んでいるのだから。
その様子に『ぼく』はもう耐えられなくなる。
「おじょうちゃんの手ってスベスベしててカワイイね。クックックッーン」
『ベッド』の下から出ながらそう喋りかける。
「う、うそ……」
少女がそう呟きながら恐怖に満ちた目で『ぼく』を見詰める。
「両親もすでに殺したぞ」
完全にベッドの下から這い出て立ち上がる。それと同時に少女がどこかへ駆け出す。
逃げるつもりか。そう思いながら追いかける。玄関や窓にはあらかじめ鍵をかけておいた。そこから逃げるにしても鍵を開けるか壊すかしなければいけない。
その間に『ぼく』はあの子を『殺せる』!
逃げている少女を追っていると、少女は一つの部屋に入る。しまった!その部屋には入っていなかった!窓も開いているかもしれない!
危機感を感じ『ぼく』もすぐさまその部屋に入る。
少女は窓から身を乗り出していた。逃がさない!
手に持っていたナイフをおもいっきり振り上げその勢いのまま少女の背中に深々と突き刺した!
「あぐぁっ!」
そしてこちらに引き寄せるようにしてナイフを一気に手前に持ってくる。
少女の背が深々と切り裂かれる。致命傷なのは誰の目から見ても明らかだ。
「ろ……は…………ちゃん…………にげ……」
少女は何かを呟いていたがそれもわずかな間で、命の灯火はすぐに消えてしまった。
殺したことに後悔はなかった。むしろとても晴れ晴れとした気分だった。長年抑えてきたものを開放することが出来たのだから。
それに今の『ぼく』が捕まるわけが無い!だって『ぼく』は絶好調なのだから!
だれも『ぼく』をとめることはできやしない!
そんな夢を『私』は見ていた。
使い魔は手に入れたい Until It Sleeps
目を覚ますとそこは全く知らない部屋だった。そして暗かった。
ここは何処だ?わたしはなぜこんな場所にいる?わたしは桃色がかった髪をもつ少女に抱えられていたはずなのに。
いや、その前にあの道で振り向かされてどうなったんだ?
振り向かされて、少女に抱えられ、ベッドで寝ている。なにがどうなっているんだ!?
毛布を跳ね除け立ち上がる。
いくら見回してもやはり知らない場所だった。
もしかしたらここがあの世というやつか?手を握る。そこにはしっかりとした感触があった。
この感触が死んでいる者の感触だとでもいうのか!
体が少し重いがそれを意に介さずドアを開け部屋から出る。この吉良吉影が死んでいるものか!
……なんだあれは。
ドアを開けるとそこには窓があった。そしてそこから二つの大きな月が見えている。
月が二つあるわけ無いだろう。目を瞑り目頭をもむ。そしてもう一度目を開ける。
そこにはやはり二つの大きな月があった。
ここはあの世かもしれない。そんなことを本気でおもってしまう光景だった。
月が二つあるなんて見たこともなければ聞いたこともない。
月から目を逸らし歩き出す。ここがどこかはわからない。少なくとも危険でないことはわかる。どうしてわかるかはわからない。
しばらく歩いたが誰一人として出会わない。無人なのだろうか?それに建物が映画のセットで見そうな昔の城みたいな感じだ。
本当にここは何処なんだ。
手を顎に当てる。そこで気がつく。手の爪が随分と伸びている。爪を見るとやはり手の爪が伸びていた。
それを意識すると自分の中の性が自己主張するのを感じた。
しかしここには人っ子一人いない。そんな時明かりが見えた。その明かりはこちらに近づいてくる。
思わず丁度あった物陰に身を隠す。
誰だ一体?
ようやく見えるようになる。歩いていたのは隣に犬を連れた女だった。手に持った杖から明かりが放たれている。どういう仕組みなのだろうか?
しかし女を見ていると性は益々激しく自己主張をする。
なにを抑えつけることがあろうか、わたしはこの性を受け入れて生きてきたではないか。
そう、生まれながらにして『人を殺さずにはいられない』という性を。
女の前に出ようとしたとき犬が突然立ち止まり、私のほうを見る。
「どうしたのアーノルド?」
気づいたのか。まあいい。
女の前に出る。
「こんばんは」
「だ、誰!?」
彼女はひどく驚いた顔をする。アーノルドと呼ばれた犬はわたしを睨みつけうなり声をあげてくる。
「わたしに名前は吉良吉影といってね。すまないがここが何処だか教えてくれないか?それと名前も教えてくれないかい?」
「あ、あなた何を言ってるのよ!?」
彼女はひどく動揺した様子で後ろに後ずさりする。
「そうだ。ついでに案内なんかしてくれるととてもいいね。見るときみはとても手が綺麗だし」
「ア、アーノルド!」
彼女が叫ぶと犬がわたしに飛び掛ってくる。
しかしそんなことしても無駄だというのに……
「『キラークイーン』!」
発現したキラークイーンは拳を振り上げると、犬の頭に叩きつけそのまま床に押し付け頭を叩き潰した。
キラークイーンを改めてみるとやはりあのときのようにキラークイーンに右腕は無かった。
どうしてそうなっているのかはわからないが今は目の前の彼女に集中しなければいけない。
でなければこれから付き合うことになるの彼女に失礼だろう。
「あ、ああ……ああ!アーノルド……」
その光景を目撃した彼女はその場にへたり込んでしまう。彼女の足元には犬の目が転がってる。
「案内はやはりきみのその素敵な手に引かれ行きたいものだ。でも」
彼女の目が見開かれる。
「手だけの方がもっといい」
キラークイーンの抜き手が彼女の咽喉へ突き刺さっていた。
ああ、なんて清々しい。こんなにも清々しいのは本当に久しぶりだ。まるで何年も我慢してきた気がする。
そして彼女の手をキラークイーンで切り取る。その手に血が付く前にキラークイーンの手に取らせる。
そしてそれを自分の手に持ってこさせる。彼女の手に自分の手が触れた瞬間たとえようも無い恍惚に襲われる。
その勢いで手に頬ずりする。
ああ、清々しい、なんて清々しいんだ!スベスベしていて温かみもあって形も綺麗だ。
今まで付き合ってきた女性のなかで間違いなく上位に入るだろう。彼女の指に舌を這わせる。ああ、今自分が勃起しているのがわかる。
恥ずかしいことだとは思わない。それだけ彼女に魅力があるだけだ。そして彼女に触れながら初めて人を殺したときの感触を思い返した。
ここは何処だ?わたしはなぜこんな場所にいる?わたしは桃色がかった髪をもつ少女に抱えられていたはずなのに。
いや、その前にあの道で振り向かされてどうなったんだ?
振り向かされて、少女に抱えられ、ベッドで寝ている。なにがどうなっているんだ!?
毛布を跳ね除け立ち上がる。
いくら見回してもやはり知らない場所だった。
もしかしたらここがあの世というやつか?手を握る。そこにはしっかりとした感触があった。
この感触が死んでいる者の感触だとでもいうのか!
体が少し重いがそれを意に介さずドアを開け部屋から出る。この吉良吉影が死んでいるものか!
……なんだあれは。
ドアを開けるとそこには窓があった。そしてそこから二つの大きな月が見えている。
月が二つあるわけ無いだろう。目を瞑り目頭をもむ。そしてもう一度目を開ける。
そこにはやはり二つの大きな月があった。
ここはあの世かもしれない。そんなことを本気でおもってしまう光景だった。
月が二つあるなんて見たこともなければ聞いたこともない。
月から目を逸らし歩き出す。ここがどこかはわからない。少なくとも危険でないことはわかる。どうしてわかるかはわからない。
しばらく歩いたが誰一人として出会わない。無人なのだろうか?それに建物が映画のセットで見そうな昔の城みたいな感じだ。
本当にここは何処なんだ。
手を顎に当てる。そこで気がつく。手の爪が随分と伸びている。爪を見るとやはり手の爪が伸びていた。
それを意識すると自分の中の性が自己主張するのを感じた。
しかしここには人っ子一人いない。そんな時明かりが見えた。その明かりはこちらに近づいてくる。
思わず丁度あった物陰に身を隠す。
誰だ一体?
ようやく見えるようになる。歩いていたのは隣に犬を連れた女だった。手に持った杖から明かりが放たれている。どういう仕組みなのだろうか?
しかし女を見ていると性は益々激しく自己主張をする。
なにを抑えつけることがあろうか、わたしはこの性を受け入れて生きてきたではないか。
そう、生まれながらにして『人を殺さずにはいられない』という性を。
女の前に出ようとしたとき犬が突然立ち止まり、私のほうを見る。
「どうしたのアーノルド?」
気づいたのか。まあいい。
女の前に出る。
「こんばんは」
「だ、誰!?」
彼女はひどく驚いた顔をする。アーノルドと呼ばれた犬はわたしを睨みつけうなり声をあげてくる。
「わたしに名前は吉良吉影といってね。すまないがここが何処だか教えてくれないか?それと名前も教えてくれないかい?」
「あ、あなた何を言ってるのよ!?」
彼女はひどく動揺した様子で後ろに後ずさりする。
「そうだ。ついでに案内なんかしてくれるととてもいいね。見るときみはとても手が綺麗だし」
「ア、アーノルド!」
彼女が叫ぶと犬がわたしに飛び掛ってくる。
しかしそんなことしても無駄だというのに……
「『キラークイーン』!」
発現したキラークイーンは拳を振り上げると、犬の頭に叩きつけそのまま床に押し付け頭を叩き潰した。
キラークイーンを改めてみるとやはりあのときのようにキラークイーンに右腕は無かった。
どうしてそうなっているのかはわからないが今は目の前の彼女に集中しなければいけない。
でなければこれから付き合うことになるの彼女に失礼だろう。
「あ、ああ……ああ!アーノルド……」
その光景を目撃した彼女はその場にへたり込んでしまう。彼女の足元には犬の目が転がってる。
「案内はやはりきみのその素敵な手に引かれ行きたいものだ。でも」
彼女の目が見開かれる。
「手だけの方がもっといい」
キラークイーンの抜き手が彼女の咽喉へ突き刺さっていた。
ああ、なんて清々しい。こんなにも清々しいのは本当に久しぶりだ。まるで何年も我慢してきた気がする。
そして彼女の手をキラークイーンで切り取る。その手に血が付く前にキラークイーンの手に取らせる。
そしてそれを自分の手に持ってこさせる。彼女の手に自分の手が触れた瞬間たとえようも無い恍惚に襲われる。
その勢いで手に頬ずりする。
ああ、清々しい、なんて清々しいんだ!スベスベしていて温かみもあって形も綺麗だ。
今まで付き合ってきた女性のなかで間違いなく上位に入るだろう。彼女の指に舌を這わせる。ああ、今自分が勃起しているのがわかる。
恥ずかしいことだとは思わない。それだけ彼女に魅力があるだけだ。そして彼女に触れながら初めて人を殺したときの感触を思い返した。
吉良にとってもはや死体には何の価値もなく、目すら向けなかった。殺された女の瞳から一筋の涙が零れ落ちた。
そして吉良は知らなかった。『吉良吉影』が何故ルイズを殺そうとできるかを。
吉良は自分の変化に気づいていなかった。
そして吉良は知らなかった。『吉良吉影』が何故ルイズを殺そうとできるかを。
吉良は自分の変化に気づいていなかった。