ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

神官! ロマリアから来た男

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
神官! ロマリアから来た男

アルビオン大陸の空軍基地ロサイスに上陸した連合軍は、さっそく陣を構えていた。
軍港であるロサイスには宿舎のような建物は少なく、至る所に天幕が張られている。
女王直属の女官であるルイズには専用の天幕が用意され、扱いは将官に等しい。
藁束の上に布を敷いただけのベッドは二人分用意され、
その内の一方に承太郎は寝転がっていた。
起きているのか眠っているのかは解らない。
一昨日の出撃からずっとこんな感じだ。
竜騎士隊の全滅を悼んでいるのかと思えば、何か考え事をしているようにも見える。
ルイズは承太郎にどう接していいか解らず、天幕の隅で本を読んでいた。
ちなみにデルフリンガーは天幕の真ん中に転がされて放置されてる。
承太郎が無口なのは普段通りなのだが、何だか居心地の悪さをルイズは感じる。
ありえない話だが、全滅した竜騎士隊のみんなが「実は生きてました!」と現れれば、
承太郎も元気になるんじゃないかなぁなんて馬鹿げた事を考えていると、
突然すごい風が起こり天幕が倒れかけた。
何事かと思って承太郎もルイズも外に出てみると、
一匹の風竜の上に竜騎士隊十名全員が乗っていた。
「やあ! 作戦が成功してよかったよ、命を張った甲斐があったってもんさ!」
「ななな……何で!? え、い、生きてたの!?」
ついさっきまでの妄想がいきなり現実化しルイズの思考は混乱の渦に飲み込まれる。
一方承太郎は普通に助かった理由を質問していた。
しかしどうせ上官に報告しないといけないから、その時ついでにと彼等は答える。
と、そこにもう一匹の風竜が降りてきた。
その風竜に乗っている男を見て承太郎とルイズは竜騎士隊生還よりも驚いた。
彼は学ランを着ていた。承太郎と違い前のボタンを閉じているが間違いなく学ランだ。

「どうも、ロマリアの神官の仗助といいます。
 ここの竜騎士隊に挨拶したいんで、ご案内していただけるとありがたいんスけど」
「仗……助? てめー……まさか、日本人……」
「あっ」
日本人の名前の男、仗助は、承太郎を見るとパッと笑顔を浮かべた。
しかし仗助は承太郎の服装をしばらく見つめると、困り顔で額を押さえる。
「あっちゃ~……やっぱりか。まあ覚悟はしてたけどよ~……結構ショックだぜ」
「おいてめー、いったい何の話だ? 俺を知っているのか?」
承太郎が質問攻めを開始しようとしたところで、周囲に兵隊が群がってきた。
トリステイン軍の関心はロマリアの神官ではなく、竜騎士隊の生還らしい。
すぐに大騒ぎになって、竜騎士隊とその関係者である承太郎とルイズ、そして仗助も、
竜騎士隊の天幕に集めらる。承太郎は一応デルフリンガーも担いで行く。
竜騎士隊の天幕にははみっつの竜騎士中隊を束ねる伯爵が待っていた。
「まず彼等の生還を喜ぼう! いやあ信じられん、まさに奇跡の生還だな!
 お前達、いったいどうやって助かったんだ!?」
「はい、実はこちらにいるロマリアの神官に助けられたんです」
「ほう? 説明したまえ」
まず、一匹だけ生き残った風竜はペイヤールという隊員の竜で、それ以外の竜は全滅。
ペイヤールの竜が助かった理由は、敵の魔法が竜ではなくペイヤールに命中したからだ。
風竜は戦闘能力を持たないため、主がやられたら戦闘は不可能になる。
だから風竜は主を守るため、やられたフリをして地面へと落下していったのだ。
他の隊員は竜をやられて落下している最中に気絶したらしい。
落下場所はサウスゴータ地方の森だった。
そして目が覚めてみれば、全員無傷で、このロマリアの神官がいたらしい。
「あ~、実は水のマジックアイテムで治療したんスよ。
 教皇様から頂いた貴重なやつで、たいていの傷なら治せる優れものっス。
 そのアイテムを見せろってのは無しでお願いします。
 人に見せないよう命令されてるんで」
戦地では場違いと思えるような軽い口調で仗助は説明した。
何だかこの男、祖父のジョセフに似ていると承太郎は感じた。

「で、後はご存知の通り彼等に案内されてここまで来たって訳です。
 アルビオンまで来たはいーけど、地図が読め……落として困ってたんスよ。
 ロマリアから話を聞いてないスか? 竜騎士として連合軍に参加します」
「ロマリア? ちょっと待っててくれ、書類を確認する。
 ええと、君、名前は何と言うのかね?」
「仗助っス。えーっと、ジョースケ・ヒガシカタって書いてあるはずです」
「変わった名前だな。……お、あったあったこの書類だ。
 うむ、ジョースケ・ヒガシカタ。間違いない。君の配属は第三中隊だ。
 第三中隊は外人部隊だからね。後で実力を見せてもらうよ。
 ペイヤールは第一中隊に入れ。他の者は、そうだな、ラ・ヴァリエールの護衛に」
こうして報告を終えた竜騎士隊は会議室を後にした。

竜騎士隊はとりあえず休息を取るため、ルイズ達の天幕へ行く事になった。
死亡扱いだった彼等の分の天幕は張られておらず、それまでのちょっとした時間潰しだ。
その帰り道に仗助もついてきた。承太郎もそれを黙認している。
道中、仗助がちょっと心配げな声色で承太郎に問いかけてきた。
「あの~……その服装、俺と同じ国の人ですよね? 名前教えてもらっていいスか?」
「……空条承太郎だ」
「そうっスか。……失礼ですが歳はいくつです?」
「十七だが……?」
『ええっ!?』
驚きの声を上げたのは、竜騎士隊のみんなとルイズだった。
ラ・ロシェールで年齢をカミングアウトした承太郎だが、その時ルイズはいなかった。
そのためルイズは、承太郎が学生である事を知っていても年齢までは知らなかった。
「あ、ああ……あんた、十七歳って事は、私と一歳違い!」
『何だってー!?』
今度はルイズ以外の全員が驚き、承太郎以外が叫んだ。
「ままま、まさか、君、十六歳!?」
「なっ……何歳だと思ってたのよ!」
失礼な事を言いやがった竜騎士隊の一人をルイズは蹴飛ばした。

仗助はというと、信じられないという目つきでルイズを凝視している。
「グレート。欧米人は日本人より年上に見えるっつーけど、まさか年下に見えるとは」
「ちょっと! あんたも何失礼な事言ってんのよ! 変な髪形の癖に!」
同様に失礼な事を言いやがったロマリアの神官をルイズは怒鳴りつけた。
が、次の瞬間、仗助の雰囲気が変わる。
人懐っこい猫のような態度から一転、人を喰らう虎のように。
「てめー……俺の髪型がキングゲイナーみてーだと?」
竜騎士隊は幸運であった。仗助が命の恩人だったため、変な髪形には触れなかったから。
承太郎も幸運だった。日本人である彼はリーゼントという髪型を知っていたから。
ルイズは不幸だった。触れてはならないタブーに触れてしまったから。
「な、何よ。誰もそんな事言ってな――」
次の瞬間、ルイズの眼前で太い腕がふたつ交錯した。
ひとつは承太郎のスタープラチナ。もうひとつは……仗助のスタンド!
「なな、何だぁ!?」
初めてスタンドを見た竜騎士隊の面々は、いきなり現れたスタンドに驚愕した。
無詠唱でゴーレムを出現させた? 杖を持ってないぞ?
っていうかあのゴーレムらしきものは身体の中から出てこなかったか?
困惑しているのはルイズも同じだった。仗助までスタンド使いだったとは。
いや、承太郎と同じ服装をしていたからもしかしたらとは思っていた。
でもまさか、いきなり自分を攻撃してくるなんて!
「おい……仗助とか言ったな。何のつもりだ?」
ガラにもなく冷や汗をかいている承太郎が仗助を睨みつけた。
どうやら仗助のスタンドのパワーは相当強烈らしい。
「俺の頭にケチつけてムカつかせた奴は……何モンだろーと許さねぇ!」
「やれやれ、クレイジーな野郎だぜ」
仗助のスタンドの腕が引かれ、もう片方の腕が新たに拳を繰り出す。
「ドララァッ!」
「オラッ!」
それを素早くスタープラチナの手刀が叩き落した。

「クレイジー・ダイヤモンドッ!!」
スタンド名を叫んだ仗助は、拳のラッシュをスタープラチナに向けて繰り出す。
「ぬううっ!」
スタープラチナの腕でガードした承太郎は後ろに弾き飛ばされ、
自分と相手のパワーの差を測る。
パワーはもしかしたらスタープラチナを上回るかもしれない、
だがスピードと精密動作性に関してはスタープラチナの方が上だ。
相手が激昂している事もあるが、冷静に対処すれば純粋な肉弾戦では負けないだろう。
しかしスタンドの強さというものは時や場所といった様々な条件によって変わり、
何よりもスタンドの持つ能力の正体が解らぬ限りは油断はできない。
「どうやら……俺やチャリオッツと似たタイプ、正統派スタンドのようだな」
「例え承太郎さんだろーと、頭を馬鹿にした奴をぶん殴る邪魔はさせねー」
「何……?」
承太郎さん、と呼びなれた口調で言う仗助に妙なものを感じた刹那、
クレイジー・ダイヤモンドがスタープラチナを襲う。
「ドララララララッ!」
「ぐうっ!」
即座にスタープラチナも拳の弾幕を張って迎撃する。
かつてDIOとしたようなラッシュの激突が起こった。
「ドララララララララララララーッ!!」
「オラオラオラオラオラオラオラッ!!」
スタープラチナの拳は的確にクレイジー・Dの拳を打ち返し、
スタンドだけでなく本体の仗助をも押し返していく。
「仗助とか言ったな。てめーのスタンドパワーには感心したぜ。だがここまでだ」
クレイジー・Dのパワーにスタープラチナのスピードで対抗し、
精密動作性を生かしてラッシュを潜り抜けると、鋭い拳を顔面に叩き込む。
同時に仗助は唇を切って出血し、その場にうずくまった。
「ぐっ……うう……」
「気合の入ったリーゼントはなかなか似合ってるが、こっちじゃ珍しいのは当然だ」

仗助は唇の傷をハンカチで拭いながら、ゆっくりと立ち上がり、
驚いた表情をして承太郎を見つめていた。
「あの……今、俺の髪型の事、何て言いました?」
「……気合の入った髪形だと言ったんだ、こっちの方じゃ珍しいがな。
 うちの学校にもリーゼントの奴はいるが、おめーのは様になってるぜ」
「ぐ、グレート! 承太郎さんが俺の髪型を褒めてくれるなんてよー!
 さすが十七歳ッ! 話が解るぜぇ~! ある意味今までより身近に感じるかもッ!」
何だか感激中の仗助を見ながら、この場にいる人間は全員悟った。
髪型を馬鹿にすると大変な目に遭う。今後注意しよう、死にたくないから。
一方承太郎は仗助の奇妙な発言について考えていた。
どうやらこの東方仗助は空条承太郎を知っているらしい。
むしろ知り合いであるかのような物言いをしている。
承太郎は日本で喧嘩した他の学校の不良達の事を思い出したが、
東方仗助という人物に心当たりは無かった。
「やれやれ……仗助、悪いが色々と訊きたい事がある」
「いいっスよ~。俺も承太郎さんを頼りにしてますから、協力して欲しいですしね~」

天幕に到着すると、とりあえず竜騎士隊のみんなにスタンドの事を秘密にするよう言い、
承太郎は仗助を連れて人気の無い場所を探して天幕を出て行った。
ルイズは後を追おうと思ったが、承太郎達に気づかれてまかれてしまった。
承太郎はデルフリンガーを持って行ったから、
後でデルフリンガーから聞き出せばいいかとルイズは考え直す。
そして承太郎と仗助は、天幕の張られていない森の中へと移動した。
そこで仗助は衝撃の事実を多数話す事になる。


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー