ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は静かに暮らしたい-17

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匿名ユーザー

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外はもうすっかり暗くなっていた。あの図書館は広いので見るのに時間が掛かってしまった。
その代わり20ページ程の本を見つけることが出来た。これ位の厚さなら教えてもらいながら読み進めれるだろう。
小さめなので持ち運びも便利だ。内容はわからないが楽しみだな。
部屋に戻るとルイズがベッドの上に服も着替えずうつ伏せで寝ていた。しかし私が部屋に入る音で起きたのか、顔を上げる。
そして首をこちらに動かして私を見つめてくる。なんだろうか?
「1ヶ月ご飯抜きね」
そんな宣告をいきなりされる。唐突過ぎだろ……
「あんたってご飯食べなくても生きていけそうだし」
そう言ってまた顔を伏せ眠り始めた。あれか?キュルケの剣を選んだことがそんなに悔しいことなのか?
食事抜きは主人の意に沿わなかった罰と言った所か。まぁ食事は厨房ですればいいか。そんなことで怒るようなことじゃない。
厨房の食事がなければ行方不明にしてるところだ。しかし彼女は私が1ヶ月もここにいると思っているらしいな。
お前みたいな奴のところにとどまる人間がいると思うのか?
いるとすれば家柄目当てに違いないな。そう思いながら私も眠りに着いた。
次の日の朝、私はルイズに連れられどこかに向かっている。着いた場所は宝物庫と呼ばれる所だった。何故か大きな穴が開いている。
私たちの他にはキュルケ、昨日のキュルケの連れの他、多くの教師がいた。
何故ルイズはこんなところに呼び出されているんだろうか。付いていかなくはならない私の気持ちも考えろ。
話しを聞く限りどうやら秘宝である『破壊の杖』とやらが『土くれ』のフーケとやらに盗まれたらしい。
壁を見るとなにやら文字が刻み込まれている。それがフーケの犯行声明らしい。
まぁ、盗まれたからといって私には関係ないがね。そんな風に思っていた私が間違いだった。
ルイズ、キュルケ、キュルケの連れ(タバサというらしい)はフーケがここに侵入するのを見たらしい。
話を聞く限り私が眠った後、キュルケと決闘しに行ったらしい。
決闘をし始めた直後フーケのものと思われるゴーレムが出現。宝物庫の壁を破壊したらしい。
この穴はその時の穴か。しかし厄介なものに巻き込まれたものだ。
そしてミス・ロングビルと呼ばれる女がフーケの場所を掴んだらしく捜索隊が結成されることになった。
捜索隊になるものは杖を掲げろと言われたが誰も上げない。困ったように顔を見合わせている。
「おらんのか?おや?どうした!フーケを捕まえて、名を上げようと思う貴族はおらんのか!」
オールド・オスマンと呼ばれる老人が声を荒げる。
するとルイズが杖を掲げる。何してんだお前は!
「何をしているのです!あなたは生徒ではありませんか!ここは教師に任せて……」
「誰も掲げないじゃないですか」
シュヴルーズが驚き声を上げるがルイズが遮る。
その後もキュルケ、タバサと杖を掲げる。それを見てオスマンが笑う。
「そうか。では頼むとしようか」
普通生徒に行かせるか!ルイズが行くとなったら私もどうせ連れて行かれるんだぞ!ルイズは魔法も使えない役立たずだ!
後ろこそこそ隠れるくらいしか出来ないんだぞ!誰が前に出て戦うと思っている!相手は『トライアングル』らしいじゃないか!
くそっ!私に平穏はないのか!幸福にはなれないのか!
こうなったら相手が魔法を使う前に殺すしかない!それしかない!
ロングビルが案内役として一緒に来るらしい。
馬車に乗り込む。剣はデルフリンガーを持ってきた。こいつでも人くらいは簡単に切れるだろう。
「ちょっと。なんで私が上げた剣を使わないの?」
キュルケがそう言って来る。
「あれは目立つから駄目だ。目立ったら相手に気づかれやすいだろ」
そう思ったのでデルフリンガーを持ってきたのだ。鞘さえ抜かなければこいつも喋らないただの剣だ。
キュルケは渋々納得した。
馬車が深い森に入る。ここからは徒歩で移動らしい。
暫らく移動すると開けた場所に出た。この開けた空き地の真ん中に廃屋があった。
ロングビルによるとあそこの中にいるらしい。
ルイズやキュルケ達が作戦を話し合う。
決まった作戦は私が囮として小屋中の様子を確認、中にフーケがいれば挑発して外におびき出す。
フーケが外に出たところを一斉に攻撃というものだ。小屋の中ではゴーレムを作るほどの土はないらしい。
ゴーレムを作り出すには外に出るしかないわけだ。
いい作戦だと思う。
そして早速実行する。デルフリンガーの柄に手を添え何時でも抜けるようにする。
小屋に近づき窓に移動し、中を覗き見る。中には誰もおらず人が隠れるような場所は見当たらない。
しかし魔法を使えば隠れられそうなので警戒は解かない。少し壁を叩いてみる。反応はない。もしかしたら本当にいないのか?
皆のところに戻り誰もいないことを告げる。そして今度は皆で近づく。タバサがドアに向け杖を振る。
「罠はないみたい」
どうやら罠の有無を確認したようだ。ドアを開け中に入る。ルイズは外の見張り、ロングビルはあたりの偵察をするといい森の中に行った。
フーケの痕跡を調べているとタバサがチェスとの中から何か取り出した。
「破壊の杖」
タバサが持ち上げ私とキュルケに見せる。
「あっけないわね!」
キュルケと違い私は眼を大きく見開く。
「嘘だろぉ」
そう言葉が漏れてしまうほど驚いた。なぜなら破壊の杖はロケットランチャーだったからだ。テレビや雑誌で見たことがある。
「ちょっと貸してく「きゃぁああああああああ!」なんだ!」
ルイズの悲鳴が聞こえる。そして上から大きな音がする。上を見ると巨大な人影が見えた。
「ゴーレム!」
キュルケの声が聞こえる。これがか!でかすぎる!タバサとキュルケが魔法で攻撃するが効いた様子はない。
こんなものどうやって対処しろっていうんだチクショウ!
「退却」
タバサのその言葉をきっかけに私たちは逃げ始める。ゴーレムのほうから爆発音が聞こえる。振り向くとルイズがゴーレムの後ろにいた。
何してんだあのバカは!もし殺されたら守りきれなかった私の責任か!?くそっ!
ルイズのほうへ駆け寄る。
「逃げるぞ!」
ルイズにそういい手を握り引っ張ろうとする。
「いやよ!あいつを捕まえれば、誰ももう、わたしをゼロのルイズと呼ばなくなるでしょ!」
「考えてものを言え!魔法も使えないお前が勝てるか!」
そう怒鳴りつける。ゴーレムの動きが何故か止まっているがチャンスだ!今のうちに逃げなければ!
「やってみなくちゃ、わかんないじゃない!」
「無理だ!」
「ここで逃げたらゼロのルイズだから逃げたって言われるわ!」
「どうでもいいだろうそんなこと!」
そんなことに拘っているのか!こいつは!
「わたしは貴族よ。魔法が使える者を、 貴族と呼ぶんじゃないわ!敵に後ろを見せない者を、貴族と呼ぶのよ!」
それを聞くと何故だかすっきりした気分になる。何故かはわかってる。あたりを見ると誰もいないのを確認する。
キュルケたちは無事逃げ出したようだ。それを確認しルイズの手を離す。
ルイズは突然手を離されたのに驚きこちらを見る。
私はルイズの腹を蹴り上げる。
「げほぉ!」
ルイズが咳き込みながら地面にうずくまる。どうやらしっかりと鳩尾に入ったらしい。
「そんなに死にたいなら手伝ってやるよ。皆には必死で戦ったって言っといてやる」
足手まといは切り捨てるに限る。ルイズが涙を流しながらこちらを見つめてきた。


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