ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

二人! 使い魔が疾ぶ!

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二人! 使い魔が疾ぶ!

空条承太郎絶体絶命。周囲を取り囲んだメイジ達の詠唱は今にも終わろうとしていた。
放たれるのは炎か、氷か、風か。何にせよ承太郎を絶命させるには十分な威力。
何とか時を止めて窮地を脱しようにも、ついさっき止めたばかりで休みが足りない。
冷静に、承太郎は判断した。自分はここで死ぬのだと。
そして魔法の詠唱が終わるのを静かに聞いて――鎖がジャリと音を鳴らす。
視線を向けてみれば、付け根近くから壊された学ランの鎖が、重力に逆らい屹立して震えていた。
それが何なのか理解するよりも早く、詠唱を終えた魔法が放たれるよりも早く、鎖は見えない糸に引っ張られるように上空へと飛び上がった!
繋がれている学ランごと! 学ランを着ている承太郎ごと!
一瞬遅れて承太郎がさっきまで倒れていた地面に魔法が叩き込まれ土煙が上がる。
魔法をはずしてしまったメイジ達は、慌てて空を見上げた。
承太郎はグングンと高度を上げていて、その先には一匹の風竜の姿。
「これは……まさか!」
「ぶった切った鎖を直せばよぉ~……当然引っ張られる。
 俺が鎖をしっかり掴んでおけば……!
 UFOキャッチャーよりも確実に承太郎さんを拾い上げれるぜぇ~」
風竜の上まで引っ張り上げられた承太郎は、風竜の主の個性的な髪型を見た。
「ルイズさんは無事送り届けました。助けに来たっスよ、承太郎さん!」
仗助の手の中にあった鎖が、承太郎の学ランの鎖と繋がる。
間に合ってよかったと笑顔を浮かべる仗助を見て、承太郎も思わず微笑を見せて返した。
「この高度なら竜騎士でもない限り手出しはされません、安心していーっスよ」
そう言いながらクレイジー・Dで承太郎の身体や学ランに触れる。
すると身体の傷どころか破れた服まで元通りになった。
「助かった……。礼を言うぜ、仗助」
「一緒に1999年の杜王町へ行くまでは、死ぬ訳にはいかねーっスから」

二人は笑みを交わす。
仗助はようやく十七歳の承太郎と真に信頼できる関係になれたと思った。
勇気と闘志が湧いてくる。
大人の承太郎のようにクールなばかりではなく、烈火のような熱さを秘める承太郎の姿を垣間見たため、親近感は大幅アップだ!
「それじゃあ帰るとしますか。旗艦のヴュンなんたら号でいいスよね?」
「仗助。1999年の俺はいい歳だったろうが、今の俺は十七歳だ。
 敬語や丁寧語を使う必要はねーぜ……。それと……できれば行き先は変えてもらいたい」
「行き先? どこへっスか?」
「首都ロンディニウム……。クロムウェルを倒す」
七万の軍に突っ込んだ事もそうだが、やはりこの承太郎プッツンしてるらしいと、仗助は再び頭を抱えた。若い頃はあんまりクールじゃなかったのかな~? とすら思う。
「承太郎さん、それは勘弁してください。俺は自分の傷は治せねーんスから、
 敵陣の真っ只中に飛び込むなんて真似はさすがに……」
「アルビオン軍の主力は今俺達の下で混乱している連中だ……。
 つまり首都ロンディニウムには最低限の戦力しか残されていない。
 俺と仗助のスタンド、そして使い魔の力があれば……」
「クロムウェルの野郎一人ぶちのめすくれー簡単って訳か~……。
 連合軍が敗退しちまったし、それくらいしかアルビオンに勝つ手段は無さそーだなぁ」
「クロムウェルを討ち取り、このくだらねー戦争を終わらせて、とっとと日本に帰る方法を探すとするぜ仗助。覚悟はいいか? 俺はできている」

仗助の風竜、アズーロは威勢よく吼えると、ロンディニウム目指して飛翔した。
狙うはクロムウェル! 奴を倒してこの戦争を終わらせる!!
地べたを這いずり回る主力部隊を無視して、ジョースターの血統が空を舞う!

アズーロの接近に気づいた首都ロンディニウムは、たった一騎で主力の七万を混乱に陥れた風竜の乗り手を恐れ、城の警備をさせていた竜騎兵をすべて出して撃ち落とすよう命令した。
連合軍との戦いで数を減らした竜騎兵だが、それでも数は五十もある。
そのすべてがたった一騎の風竜に向かって襲ってきた。

「作戦は以上だ。いいな? 仗助」
「任せてください。連中にヴィンダールヴの真骨頂を見せてやるぜ~。
 アズーロ! おめーも気合入れろよォ~……お前は俺の相棒なんだからよー」
「キュイキュイッ」
ガンダールヴ+デルフリンガー+ヴィンダールヴ+アズーロ VS 竜騎兵五十騎
絶望的な数の差を前に仗助は笑みを崩さない。余裕の笑みを崩さない!
「頼むぜアズーロ! どの竜よりもお前が一番高く飛べるってところを見せてやれ!」
「キュイッ!」
ゴウッと風を切ってアズーロは天高く飛翔し、太陽の中へと飛び込む。
とはいえ敵の数は五十、いかに太陽に隠れようと角度の問題で、アズーロの姿を視認できる者は多かった。
さっそく魔法を詠唱し杖を向けるが、途端にアズーロは宙返りをして退却を開始する。
たった一騎で突っ込んでおきながら、今さら怖気づいたのか?
そう思った直後、火竜のブレスが数騎の竜騎兵を焼き払った。

「よしよし、いい子だ。この調子で頼むぜェ~」
そう言いながら仗助が撫でる竜は、火竜。アズーロではない。
太陽の光の中に隠れた承太郎と仗助は、時間を止めて敵の竜に飛び移ったのだ!
承太郎は火竜の騎手を蹴り飛ばすと、仗助を手綱の前に座らせて時間停止を解く。
そして仗助はすぐさまヴィンダールヴの力で火竜を操り同士討ちをさせる。
突然味方を攻撃した竜に戸惑いながらも竜騎兵はその火竜を攻撃する。
「避けろ!」
仗助は初めて乗った、しかも敵の火竜を誰よりも見事に操って見せ、次々に敵のブレスや魔法を回避しながら火竜のブレスで反撃する。
さらに他の竜とすれ違い様に、承太郎は銃弾を弾いて乗り手を落とす。
空中を飛び回っている竜の背中からでも、スタープラチナの精密な射撃は的確に乗り手だけを撃ち落とした。
とはいえ数の差は埋め難い、次第に火竜は敵竜騎兵に囲まれてしまう。
「次のターゲットはあの火竜がよさそうっスね~……。
 いい体格してるからブレスの威力もありそうだしよ~」
「あの竜だな。行くぜ、スタープラチナ・ザ・ワールド!!」
時間を止めた承太郎は仗助を脇に担ぐと、スタープラチナの脚力で火竜の背中をめり込ませながら新たな獲物に飛び移る。
そして新しい火竜の乗り手を軽く蹴飛ばして火竜から落として、仗助を手綱の前に座らせる。
「時は動き出す。……仗助!」
「ほれほれ、俺が新しいご主人様だぜェ~。名前は何ていうんだ?
 へえ、エドワウか。それじゃさっそく言う事を聞いてもらうぜ」
新たな竜を得た二人は、即座に奇襲をかけ他の竜騎兵を次々に落としていく。
時折反撃を受けエドワウが負傷するが、仗助が即座に治す。
スタープラチナの時間停止とジャンプ力で竜から竜へと飛び移り、ガンダールヴの身体能力で振り回すデルフリンガーが敵の魔法を吸収し、クレイジー・ダイヤモンドの能力が負傷した竜を治療し、ヴィンダールヴの能力が竜の能力を最大限に発揮させる。

四つの力が合わさり竜騎兵は次々に落とされていき、最後に残ったのはエドワウに乗る承太郎と仗助のみであった。
そうすると雲を背中に白い身体を隠していたアズーロが降りてきて、お疲れ様とばかりに仗助に顔をすり寄せる。
「よしよし、いい子だ。ところで承太郎さんって竜に乗れますか?」
「振り落とされない程度には……な……」
「じゃ、そのエドワウは承太郎さんに任せます。火竜の火力も必要っスからね~」

仗助がアズーロに乗り移った時、竜巻が二人を襲った。
咄嗟にアズーロを操縦しバランスを取らせた仗助はともかく、承太郎はエドワウごと地面に落ちていった。
「承太郎さん!」
仗助が叫んだ直後、上空から雲に隠れていた風竜が一騎、急降下してくる。
「ガンダールヴ! 今度こそ、今度こそ討ち取ってやるぞ!」
怒りと憎しみに燃えるワルドが杖を掲げて叫んでいた。
ワルドは仗助を無視してアズーロの脇を抜けると、承太郎目掛けて竜を突進させる。
「アズーロ!」
「キュイッ!」
一心同体ともいえるアズーロは、即座に主の考え通りに急降下してワルドを追う。
しかし助走距離が足りない!
いかにヴィンダールヴといえど、自分より先に、しかも上空から急降下を始めた風竜に、同じ風竜で追いつく事はできない。
承太郎は必死にエドワウの手綱を握り締め、振り落とされまいとするが、上空から新たに魔法を放とうとするワルドを見てそうもいってられない状況と理解する。
「フフッ……いかに時間を止められようと、場所が空ではどうにもできまい!
 足場が無ければ跳ぶ事もできぬ! 地面に到達する前に決着とつけてやるぞ!」
ワルドは嗜虐の笑みで表情を歪めると、再びウインド・ブレイクを放った。
エドワウの手綱がちぎれ、承太郎は空に放り出される。
「死ね、ガンダー……ゴブッ!?」
突然ワルドは口から血を吐いた。身体を大の字に広げて落下速度を抑えながら、スタープラチナの指は次々と銃弾を上空に向けて弾き飛ばす。
的確に口へと撃ち込んだ次は杖を持つ指、続いて右目、左目と命中させる。
「ガボゴボッ……!」
悲鳴を上げながらワルドは風竜から振り落とされ、杖を手放した状態で地面に向けて落下して行った。
一方承太郎も眼下に広がる岩肌を睨みつけ、スタープラチナでショックを和らげようとしている。
しかし。

「承太郎さぁぁぁん!」
アズーロを駆る仗助が地面に激突せんばかりの勢いで助けに向かってきたため、即座に承太郎は学ランの鎖を切断して仗助に向かって投げた。
鎖を掴んだ仗助は即座にクレイジー・Dの能力を発動する。
地面からわずか数メイルという距離で承太郎は止まり、壊れた鎖が引っ張り合った事によりアズーロの背中へと舞い戻っていった。
「ドラァーッ!」
「オラァッー!」
クレイジー・ダイヤモンドがスタープラチナを抱き止め、承太郎はアズーロの手綱を掴んでその背中に乗る。
しかしアズーロの鼻先もまた地面までわずか数メイル。
「アズーロォォォッ!!」
「キュッイィィィーン!」
一際大きく鳴いたアズーロは円を描くようにして急上昇する。
どんな高性能コンピューターでも計算できないようなギリギリの神業で、アズーロの腹は岩肌のわずか五サントほど上をかすめた。
その岩肌から少し離れた位置に、潰れたトマトのようになっているワルドがあった。

「竜騎兵隊ィ! 全ッ滅ッ!!」
「やれやれ……ちと苦労したが、行くぜ。ロンディニウムの城に殴り込みだッ」
「キュイィィィーッ!!」
快進撃を続ける二人と一匹はロンディニウムの城へと疾ぶ!
目指すはクロムウェルがいるだろう玉座の間!
空から見えるベランダから突撃すればすぐだろう……。

時を止めるスタープラチナ! 神の左手ガンダールヴ! 伝説の剣デルフリンガー!
物を直すクレイジー・ダイヤモンド! 神の右手ヴィンダールヴ! 風竜アズーロ!
ジョースター!! 虚無の使い魔!! その相棒!!

もう誰にも止められない。
しかし待ち受ける者のスタンド能力を彼等はまだ知らない。
それに対抗する手段を手放してしまっていると彼等はまだ、知らない……。

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