貴族らしく死ね その②
ギーシュが芝居がかった仕草で腕を組み、青ざめた表情のシエスタを見下ろ
している。
取り巻き連中は、野次馬根性丸出しで見つめているものもいれば
少し哀れむような目で見ているものもいるが、誰もが傍観を決めこんでいる
のか、成り行きを見つめるばかりだ。
「ちょっと、なにみっともないことやってんのよのよギーシュ!」
「『ゼロ』のルイズは黙っていたまえ」
ギーシュを非難するルイズだが、ギーシュの取り巻き連中の間にに広がった
笑いの波にうつむく。
している。
取り巻き連中は、野次馬根性丸出しで見つめているものもいれば
少し哀れむような目で見ているものもいるが、誰もが傍観を決めこんでいる
のか、成り行きを見つめるばかりだ。
「ちょっと、なにみっともないことやってんのよのよギーシュ!」
「『ゼロ』のルイズは黙っていたまえ」
ギーシュを非難するルイズだが、ギーシュの取り巻き連中の間にに広がった
笑いの波にうつむく。
そのとき、ミスタが弾丸の装填されたリボルバーを片手に握り
取り巻きをかき分けてギーシュとシエスタの間に割り込んだ。
「なんだ、貴様は?」
「ミ、ミスタさん?」
ギーシュの顔に浮かんでいた疑問の表情が軽蔑のそれに変わる。
「なんだ…『ゼロ』のルイズが召喚したとか言う平民か。何の用だ?
無礼だぞ、下がりたまえ。…礼儀も全くなっていない、さすがルイズの
使い魔だというだけはある」
後ろで怒りに震えているルイズにギーシュが勿体をつけた調子で言う。
周囲の連中の一部もニヤついている。
それを無視してミスタがもう一歩前に出る。
「シエスタに謝罪するんだ」
「何?」
ミスタの言葉に眉をひそめるギーシュ。
「聞こえなかったみてーだから言ってやる。謝罪するんだ。
二股ゴマかすために自分の浮気を人のせいにしてごめんなさい、ってな…」
あっけにとられているギーシュと取り巻きの連中。
平民が貴族に対して無礼な態度をとるという、彼らの常識の範疇の外の事態
に思考が一瞬止まったが、立ち直ったギーシュの頭に血が上っていく。
「ぶ、無礼だぞ!平民の分際で!」
「テメーらはそれしか言えねーのか?もし考える頭があるっつーのなら、
オメー自身の『無礼』を謝罪するんだ…」
こんどは怒りが原因で口を閉ざしたギーシュだったが、少ししてから
怒りを隠そうともしない口調で話し始める。
「どうやら身をもって礼儀を教えて欲しいらしいな…
『決闘』だ!無礼の償いは命でしてもらうぞ!」
取り巻き連中はニヤつき始めた。ギーシュは『ドット』クラスのメイジ
だが、相手は平民。決闘とは名ばかりの鬱憤晴らしのリンチとなるだろう。
「ヴェストリの広場まで来い!逃げるんじゃあないぞ…」
背を向けて去っていこうとするギーシュ。
「ミ、ミスタさん殺されちゃう…貴族の方を本気で怒らせたら…」
言うと、厨房のほうに逃げていくシエスタ。それを確認しミスタはギーシュ
に向き直って呼びつける。
「おい、テメーちょっと待て」
「なんだ?まさか怖気づいたのか?」
鼻で笑うギーシュ。
「そのなんとかの広場ってのに行く必要はねー。時間の無駄だ。
ここでいい」
取り巻きをかき分けてギーシュとシエスタの間に割り込んだ。
「なんだ、貴様は?」
「ミ、ミスタさん?」
ギーシュの顔に浮かんでいた疑問の表情が軽蔑のそれに変わる。
「なんだ…『ゼロ』のルイズが召喚したとか言う平民か。何の用だ?
無礼だぞ、下がりたまえ。…礼儀も全くなっていない、さすがルイズの
使い魔だというだけはある」
後ろで怒りに震えているルイズにギーシュが勿体をつけた調子で言う。
周囲の連中の一部もニヤついている。
それを無視してミスタがもう一歩前に出る。
「シエスタに謝罪するんだ」
「何?」
ミスタの言葉に眉をひそめるギーシュ。
「聞こえなかったみてーだから言ってやる。謝罪するんだ。
二股ゴマかすために自分の浮気を人のせいにしてごめんなさい、ってな…」
あっけにとられているギーシュと取り巻きの連中。
平民が貴族に対して無礼な態度をとるという、彼らの常識の範疇の外の事態
に思考が一瞬止まったが、立ち直ったギーシュの頭に血が上っていく。
「ぶ、無礼だぞ!平民の分際で!」
「テメーらはそれしか言えねーのか?もし考える頭があるっつーのなら、
オメー自身の『無礼』を謝罪するんだ…」
こんどは怒りが原因で口を閉ざしたギーシュだったが、少ししてから
怒りを隠そうともしない口調で話し始める。
「どうやら身をもって礼儀を教えて欲しいらしいな…
『決闘』だ!無礼の償いは命でしてもらうぞ!」
取り巻き連中はニヤつき始めた。ギーシュは『ドット』クラスのメイジ
だが、相手は平民。決闘とは名ばかりの鬱憤晴らしのリンチとなるだろう。
「ヴェストリの広場まで来い!逃げるんじゃあないぞ…」
背を向けて去っていこうとするギーシュ。
「ミ、ミスタさん殺されちゃう…貴族の方を本気で怒らせたら…」
言うと、厨房のほうに逃げていくシエスタ。それを確認しミスタはギーシュ
に向き直って呼びつける。
「おい、テメーちょっと待て」
「なんだ?まさか怖気づいたのか?」
鼻で笑うギーシュ。
「そのなんとかの広場ってのに行く必要はねー。時間の無駄だ。
ここでいい」
「何?どういうことだ」
「ここで『いい』つってるんだ。ここでかかってこい…それとも、それもできない
ぐれーに腰抜けなのか?」
また一瞬呆けた表情をするギーシュだが、意味を理解したとたんに
怒りをみなぎらせ杖を振り上げた。
「貴様ぁぁぁッ!」
だが、ミスタが構えたリボルバーから吐き出された銃弾が杖を吹っ飛ばす。
「なっ!」
事態が把握できないギーシュに
ミスタはさらに一歩近づき薔薇の杖を踏み砕いた。
「オヤオヤ…エモノはしっかり握ってないとだめだろう?落としちまったら
ステキなステキな魔法使いさんがかたなしじゃねーか」
言いつつ向上した身体能力でボディーブローを叩き込む。
「ぐげぇっ!」
膝をつくギーシュ。
しばらく沈黙していた取り巻きたちだが、
貴族が平民に負けた、という事実に気づき始めて、騒然となった中で
ミスタが続ける。
「おやおや、おねんねにはちょいとはやいんじゃねーか?寝る前に
ちょっとしたゲームをしようぜ…とーっても楽しいゲームだぜ」
痛みにうめくギーシュを無視し、空になった薬莢を弾倉から
振るい落としてから6箇所の弾倉に3発弾丸をこめる。
「ここで『いい』つってるんだ。ここでかかってこい…それとも、それもできない
ぐれーに腰抜けなのか?」
また一瞬呆けた表情をするギーシュだが、意味を理解したとたんに
怒りをみなぎらせ杖を振り上げた。
「貴様ぁぁぁッ!」
だが、ミスタが構えたリボルバーから吐き出された銃弾が杖を吹っ飛ばす。
「なっ!」
事態が把握できないギーシュに
ミスタはさらに一歩近づき薔薇の杖を踏み砕いた。
「オヤオヤ…エモノはしっかり握ってないとだめだろう?落としちまったら
ステキなステキな魔法使いさんがかたなしじゃねーか」
言いつつ向上した身体能力でボディーブローを叩き込む。
「ぐげぇっ!」
膝をつくギーシュ。
しばらく沈黙していた取り巻きたちだが、
貴族が平民に負けた、という事実に気づき始めて、騒然となった中で
ミスタが続ける。
「おやおや、おねんねにはちょいとはやいんじゃねーか?寝る前に
ちょっとしたゲームをしようぜ…とーっても楽しいゲームだぜ」
痛みにうめくギーシュを無視し、空になった薬莢を弾倉から
振るい落としてから6箇所の弾倉に3発弾丸をこめる。
「リボルバーは見たことねーか?大丈夫、ルールはとっても簡単だぜ。
これを頭にあてて、引き金を引く。そーすると撃鉄が二回に一回の確率で
信管をぶッ叩いて、鉛ダマがでてくる。簡単だろ?」
拳銃の弾倉を指で弾いて回転させつつ、続ける。
「頭に向かって引け。それで許してやる。もし『ハズレ』たら、オメーは
五体満足で帰れる。『アタリ』なら・・・まあ、オレの知ったことじゃあ
ねーな」
ガシン!という金属音を響かせて弾倉を位置に収める。その音に我に返り、
それまで事態の成り行きに呆然としていたルイズが出てくる。
「ちょっと!ミスタ!何をやってるの!?」
ルイズに向き直るミスタ。
「ゲームだよ!難しいことはねー。二分の一で銃からタマがでるかどうか
っつーゲームだ。オメーはさがってな」
「それは銃なの!?なにそんなアブないことやってんのよ!さっきのは
ギーシュが悪かったかもしれないけど、もういいわ、やりすぎよ!」
ミスタ再び視線をギーシュにうつす。
「いいや、そんなこたーないね。コイツは杖を振り上げた。つまり、
オレの命を奪おうとした。そして敗北した。こいつには『覚悟』が
あったってことだ。その上で負けて、まだ生きる『確率』が半分あるって
いうことは、十分な慈悲のハズだぜ。出血大サービスだ・・・
まあ血をぶちまけるのはたぶんコイツのほうだがな」
ギーシュの足元に拳銃を放る。
「さあやれ。なーに、もし脳ミソが床にぶちまけられても・・・
おめーがバカにしてる『平民』の誰かが掃除してくれるだろうな」
ギーシュは青白い顔でふるえながら拳銃を手に取る。
「はやくしねーと、『確率』が50%じゃあなく、100%になるぜ?
もちろん死ぬほうの確率だ・・・早くやれッ!」
ミスタの言葉にギーシュの恐怖は臨界点を超えたようだ。
「う・・・うぁぁぁぁぁ!」
拳銃をミスタに向けて引く。
だが、バシン!というハンマーの音だけがで静まり返った食堂に響く。
リボルバーは引き金を引く力でコックされ、弾倉が60度回転する。
「おやおや・・・もし自分に撃ってれば五体満足で帰れたってえのに・・・」
ミスタがギーシュに『1歩』近づく。
「来るなぁぁぁぁ!」
再び響くハンマーの音。だがさっきと同じように空しく響き渡る。
「おやおや、2発目も大丈夫なよーだな・・・」
いいつつミスタは『2歩』目の足を進める。
「ああああ!」
またハンマー音。弾倉は180度回転しきった。
『3歩』。ミスタはそこで歩みを止め、
ギーシュをにらみつける。
「最後の忠告だが・・・そこで止めとけ。自分の人生の幸せを願うなら…
『4』発目は撃たないほーがいい…『不吉』だからな」
「だ、黙れ!し、死ぬのはお前だ!」
ギーシュは血走った目つきで拳銃をしっかりとミスタに向け・・・
『4』たび引き金を握りしめた。ガーン!という轟音が響く。
拳銃は信管の爆発音と共に鉛ダマを吐き出し・・・
これを頭にあてて、引き金を引く。そーすると撃鉄が二回に一回の確率で
信管をぶッ叩いて、鉛ダマがでてくる。簡単だろ?」
拳銃の弾倉を指で弾いて回転させつつ、続ける。
「頭に向かって引け。それで許してやる。もし『ハズレ』たら、オメーは
五体満足で帰れる。『アタリ』なら・・・まあ、オレの知ったことじゃあ
ねーな」
ガシン!という金属音を響かせて弾倉を位置に収める。その音に我に返り、
それまで事態の成り行きに呆然としていたルイズが出てくる。
「ちょっと!ミスタ!何をやってるの!?」
ルイズに向き直るミスタ。
「ゲームだよ!難しいことはねー。二分の一で銃からタマがでるかどうか
っつーゲームだ。オメーはさがってな」
「それは銃なの!?なにそんなアブないことやってんのよ!さっきのは
ギーシュが悪かったかもしれないけど、もういいわ、やりすぎよ!」
ミスタ再び視線をギーシュにうつす。
「いいや、そんなこたーないね。コイツは杖を振り上げた。つまり、
オレの命を奪おうとした。そして敗北した。こいつには『覚悟』が
あったってことだ。その上で負けて、まだ生きる『確率』が半分あるって
いうことは、十分な慈悲のハズだぜ。出血大サービスだ・・・
まあ血をぶちまけるのはたぶんコイツのほうだがな」
ギーシュの足元に拳銃を放る。
「さあやれ。なーに、もし脳ミソが床にぶちまけられても・・・
おめーがバカにしてる『平民』の誰かが掃除してくれるだろうな」
ギーシュは青白い顔でふるえながら拳銃を手に取る。
「はやくしねーと、『確率』が50%じゃあなく、100%になるぜ?
もちろん死ぬほうの確率だ・・・早くやれッ!」
ミスタの言葉にギーシュの恐怖は臨界点を超えたようだ。
「う・・・うぁぁぁぁぁ!」
拳銃をミスタに向けて引く。
だが、バシン!というハンマーの音だけがで静まり返った食堂に響く。
リボルバーは引き金を引く力でコックされ、弾倉が60度回転する。
「おやおや・・・もし自分に撃ってれば五体満足で帰れたってえのに・・・」
ミスタがギーシュに『1歩』近づく。
「来るなぁぁぁぁ!」
再び響くハンマーの音。だがさっきと同じように空しく響き渡る。
「おやおや、2発目も大丈夫なよーだな・・・」
いいつつミスタは『2歩』目の足を進める。
「ああああ!」
またハンマー音。弾倉は180度回転しきった。
『3歩』。ミスタはそこで歩みを止め、
ギーシュをにらみつける。
「最後の忠告だが・・・そこで止めとけ。自分の人生の幸せを願うなら…
『4』発目は撃たないほーがいい…『不吉』だからな」
「だ、黙れ!し、死ぬのはお前だ!」
ギーシュは血走った目つきで拳銃をしっかりとミスタに向け・・・
『4』たび引き金を握りしめた。ガーン!という轟音が響く。
拳銃は信管の爆発音と共に鉛ダマを吐き出し・・・
ギーシュ自身のアゴをブチ砕いた。
「ガべ!ガボガボ・・・」
崩れ落ちるギーシュに、銃声で我にかえった取り巻き連中らが駆け寄る。
「おやおや・・・『4』発目を撃っちまったか。だが、チャンスは
3度もあった…自業自得っつーことだな」
昏倒したギーシュと、必死に水の魔法をかけるモンモランシーを無視して
弾倉から空の薬莢一発と弾丸二発をとりだし、弾丸のほうを帽子にしまう。
「弾丸のムダだったな・・・まあ二発ぐれーはいいか。これは餞別だ。
お偉い貴族さんのことだ、あの世でもうまくやってくれるだろーよ」
空の薬莢をギーシュのほうに放る。
優雅な昼食には場違いな硝煙の臭いと血の臭いが立ち込める中、水の魔法
の呪文を唱える声以外は何も聞こえない。
「ガべ!ガボガボ・・・」
崩れ落ちるギーシュに、銃声で我にかえった取り巻き連中らが駆け寄る。
「おやおや・・・『4』発目を撃っちまったか。だが、チャンスは
3度もあった…自業自得っつーことだな」
昏倒したギーシュと、必死に水の魔法をかけるモンモランシーを無視して
弾倉から空の薬莢一発と弾丸二発をとりだし、弾丸のほうを帽子にしまう。
「弾丸のムダだったな・・・まあ二発ぐれーはいいか。これは餞別だ。
お偉い貴族さんのことだ、あの世でもうまくやってくれるだろーよ」
空の薬莢をギーシュのほうに放る。
優雅な昼食には場違いな硝煙の臭いと血の臭いが立ち込める中、水の魔法
の呪文を唱える声以外は何も聞こえない。
残り弾丸数:リボルバー…34発
ベレッタ …30発
ベレッタ …30発
To Be Continued...