ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

Shine On You Crazy Diamond-11

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匿名ユーザー

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いつもではありえない時間に目を覚ます。
決闘だ。
起きた瞬間それが頭の中に思い浮かぶ。
こんな時間に起きたのも、全てはあの憎きツェルプストーを決闘でギャフンと言わすためだ。
ベッドから下りて立ち上がる。
今は夜だがランプをつける必要は無い。
窓から差し込む月明かりだけで十分明るいからだ。
窓から月を見ると、月が高く上っている。そろそろ時間だ。
それを確認して部屋から出ようとしたときふと気づく。
ヨシカゲはどこにいるのかしら?さっき起きてから今まで全く姿が見えなった。
そういえばヨシカゲが眠っている姿なんて見たことが無い。
いつも自分より速く起きて、自分が寝たあとに寝ているのだから見れるわけ無いのだが。
どこにいるのか探してみると部屋の隅っこに何かを発見した。
部屋の隅にまで月明かりが届いてるわけではないでは無いのでよく目を凝らす。
目を凝らしてみると、それは毛布の塊だった。
耳を澄ますとその毛布の塊から寝息が聞こえてきた。
どうやらこの毛布の塊がヨシカゲらしい。
部屋の隅で丸まって寝てるんだ。
「変なの」
本当は毛布を引っぺがしてどんな格好で丸まっているのか興味があったが起きると困るのでやめておく。
ドアノブに手をかけドアを開ける。
そして本塔の中庭へ向かった。

「あら、よく逃げずにきたわね」
「あんたこそ。てっきり部屋でゲルマニアに帰る荷造りでもしてるかと思ってたわ」
中庭既にツェルプストーがいた。
それはいい。相手がいないと決闘はできないのだから。
しかし、
「どうしてあんたの友達がいるわけ?」
そこにはお昼にツェルプストーと一緒に私の部屋に来た青い髪の少女がいた。
あの時と同じように、我関せずといった具合に本を読んでいる。
しかも寝巻きだ。
「別にいいじゃない。観客がいたほうが盛り上がるってものよ」
「それはいいけど、なんで観客が寝巻き姿なのよ」
「なんでって、寝てるところを起こしたからに決まってるじゃない」
えー……
わざわざ起こしたのか。しかも寝ているところ。
「あんたよく文句の一つも言わないわね」
少女に同情し話しかけてみる。
「慣れた」
わたしの言葉に少女は本から顔も上げずそれだけを呟き返した。
つまりもう諦めの境地に入っているということか。
「どうしたのヴァリエール?速く始めないの?それとも観客がいたら恥ずかしくて動けないの?」
突然ツェルプストーが笑いながらそういってくる。
「なんですって!あんたこそ自分の友人の目の前でやられる覚悟はしてる?」
そういいながら杖を手に握る。
「してるわけ無いじゃない。だって勝つのはあたしに決まってるもの」
ツェルプストーもわたしに合わせるかのように胸から杖を引き出した。
こいつ……自慢かチクショウッ!
わたしのコンプレックスを熟知しているとでも言いたいのか!
凹ましてやる!その胸凹ましてやる!
そんな馬鹿なことを考えながら杖を構える。
しかしツェルプストーは杖を持っているだけで一向に構えようとしない。
「なんで杖を構えないのよ」
「初めに攻撃してきていいわよ。魔法が使えないあなたへ、あたしからの大サービス」
ツェルプストーの言葉で自分に罅が入るのを感じる。
「……もう一回言ってみなさい。ツェルプストー」
「耳が悪いのね、『ゼロ』のルイズは」
「あんた……!」
絶対に後悔させてやる!
頭に血が上りそれだけしか考えられない。
そしてその勢いに任せて呪文を唱え思いっきり杖を振るう。
唱えた呪文は『ファイヤーボール』。成功すれば杖の先から火の玉が出る魔法だ。
しかし火の玉は出なかった。その代わりにツェルプストーの背の本塔の壁が爆発した。
「よくあんな場所に当たるわね。ちゃんと狙ってるの?」
ツェルプストーは爆発した壁を見ながらそう言ってくる。
「うるさい!」
たしかに怒りに任せて狙いなんてつけていなかったけどそれをツェルプストーに指摘される覚えはない。
「それにしてもやっぱりあなたはゼロのルイズね。どんな魔法を使っても爆発するんだから。呪文からして『ファイヤーボール』かしら?」
ツェルプストーはそう言うと杖を持った腕を上に持ち上げる。
「だったらあたしが本当の『ファイヤーボール』を見せてあげる」
ツェルプストーは呪文を唱え大仰に杖を振り下ろす。
すると杖の先からメロンほどの大きさの火球が現れ自分のすぐ傍を通り過ぎる。
熱風が頬撫でた。それと同時頭に上っていた血が少し下がる。
「これが『ファイヤーボール』よ。よろしくて?」
「だからなによ!外れたじゃない!」
「外してあげたのよ。わざわざね。それぐらいも分からないの?」
どこまでもわたしをコケにして!
頭が爆発するかと思うほど血が上る。
杖を思いっきり握り締めツェルプストーを睨みつける。
そのときふと、違和感を感じた。
そしてそれは違和感の元はすぐに分かった。
ツェルプストーの後ろに巨大なゴーレムが歩いてきていたのだ。
それに気がつくと同時にツェルプストーも気配を感じたのか後ろを振り向く。
「きゃぁああああああああああああああああ!」
ゴーレムに気がついたキュルケが悲鳴を上げて逃げていく。それを視界の端に捕らえながらわたしはその場に立ってゴーレムを見ていた
立ち向かうとかそんなことを思っていたわけではなく、ただあまりの大きさに呆然としていただけだ。
そんなとき、
「きゃっ!」
突然体が浮かび上がる。
何事かと首を動かしあたりを見渡す。
すると青髪の少女がこちらに杖を向けていた。そして魔法でわたしを引き寄せながらゴーレムから離れていく。
ゴーレムはわたしたちには目もくれず壁に向かって拳を振り下ろす。
わたしたちがゴーレムにできることなど何も無く、ただゴーレムのすることだけを見ることしかできなかった。


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