ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は手に入れたい-34

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匿名ユーザー

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「あ?誰って相棒は相棒じゃねえか」
私の問いにデルフは、そう答えた。
だが違う。違うんだデルフ。
確かに言葉が少なかったかもしれないがそれは私の問いの答えにはならない。
「……私の名前を言ってみろ。デルフリンガー」
「名前?」
「そうだ、名前だ」
本当はこんな風に言うつもりは無かったんだがな。
もっと自然に、強要ではなくデルフから言いかけられたかったのだが。
「えーと、なんだったけかな……」
「……」
うそーん!
憶えてねえのかよこの駄剣!
…………………………………………………………………………………………
……………………涙が出そうだ。
「なんてな。ちゃんと憶えてるっての!キラヨシカゲだろ」
憶えてるなら焦らさずに言えよ!
ちょっぴり悲しかっただろ!
「お互い自己紹介までした仲だぜ。しかもあのときデルフって言ってたしな。憶えてる憶えてる。印象深いしよ」
「そんなに印象に残ってるか?」
「ああ。あんな風に剣に自己紹介してきた奴なんて初めてだし、相棒が俺を相棒だってちゃんと認めてくれたときだしな」
「ままま、まあな!じ、自分が今後使う剣だし魔法も吸い込める優れものだしな!それが無かったら認めてないぞ!だ、だからと言って使わないわけでは……!」
クソッ!
そんな直球で言われると照るじゃないか!
何でそんな恥ずかしいことを平気で言えるんだ!?
「で、そのキラヨシカゲがどうしたんだ?」
「え?ああ!」
そうだったそうだった。
思考が脱線していたようだ。
私らしくも無い。
「お前の知っての通り、私の名前は吉良吉影だ」
そう、私の名前は吉良吉影。
「だが私は本当に吉良吉影なのか?」
「ん?どういう意味だ?」
「名前なんていくらでも偽れる。私が自分の名前を、たとえば平賀才人としよう」
平賀才人とは私がここに来る原因になった奴の名前だ。
「私が自分のことを平賀才人と名乗っていたら今頃私はサイトと呼ばれていただろう」
「たしかにそうだな。初対面の人間の名前なんて誰もわからねえんだから、偽っちまえば誰にもバレねえな」
「その通りだ。そして私が言いたいことは、名前は人にとって記号に過ぎないということだ」
だが、私にとってそれはあまり重大なことではない。
「そして私の吉良吉影という名前も記号に過ぎない」
「つまり相棒の名前は偽名ってことか?」
「違う。私の名前は確かに吉良吉影さ。そして私が言いたいのは偽名云々ということとか、そういうのじゃない」
「じゃあなんなんだ?」
「精神の話だ」
「精神?」
「そうだ。精神だ」
精神、意思ある全ての生物の根源だ。
少なくとも私はそう思っている。幽霊だったからな。
「いくら名前を偽ろうがその精神は偽れない。私がいくら平賀才人と名乗ろうが所詮私は偽者だ。本物じゃない。本当ではない」
「あ~、なんとなくわかってきたよな気がするわ。ようはあれだろ?相棒は自分が偽者かどうか心配なんだろ?」
「まあ、簡単に言ってしまえばそうだ」
精神に付けられている名前。
いくら肉体の名前が変わろうが変えようがなんと呼ばれようが変わらない、精神に刻まれた完全なる自己。
それが精神の名前だ。
だが、私の精神の名は肉体の名と合致しているのだろうか?
「なんで自分に疑問なんか持ってんだ?自分が本物か偽者か、本当か嘘かなんて自分でわかるだろ?」
「普通ならな」
「相棒は普通じゃないっていうのか?」
「私には昔の記憶がない。気がついたらこの姿でそこにいた」
「記憶がない?」
「全てというわけじゃない。微かだがちゃんと憶えている事もある。その中の一つが吉良吉影という名前だ」
そう、初めて自分を自覚したとき頭に浮かんだ名前『吉良吉影』。
「私はそれが自分の名前だと感じた。そしてその日から私は吉良吉影と名乗っている」
「記憶喪失ねえ」
「私は今まで自分が吉良吉影であることに疑問を持っていなかった。持つ理由なんてないしな。しかしさっき見た夢で疑問を持ってしまった。
本当に自分は吉良吉影なのか?もしかしたら吉良吉影は私のことではなく他の誰かではないか?それを私が自分と勘違いしているだけではないのか?」
「その夢ってどんな夢だったんだ?それがわからなきゃ話にならねえよ」
「そうだな。そうだったな」
そして私はデルフに夢の内容を話し始めた。


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