あのあと何とか女性の誤解を解き、シエスタの家に戻ることができた。
そういえば上半身裸だったんだよな俺。
すっかり忘れていた。
今度こういう格好になることがあれば忘れないように心掛けなければならない。
そう心に誓いながら自分の部屋に戻った。
幸いなことに家の人間に見つかることはなかった。
もし家の入り口や廊下なんかにいたら見つかってさっきほどではないにしろ変な目で見られただろう。
部屋に入るとベッドの上に寝ていた猫が眠たそうに首を持ち上げこちらを見る。
ドアを開ける音に反応して起きたのだろう。
そう思いながら私もベッドに寝転ぶ。
そしてデルフをベッドの横に立て掛けておく。
「ふぁ~……」
あくびが漏れる。
早く起きたことと練習のせいか、まぶたが重い。
このまま寝てしまおう。
自分が起きなかったら誰かが起こしに来てくれるだろうし。
なんとなく猫を胸に抱き寄せ目をつぶる。
そして暫らくするとそのまままどろみの世界へ落ちていった。
そういえば上半身裸だったんだよな俺。
すっかり忘れていた。
今度こういう格好になることがあれば忘れないように心掛けなければならない。
そう心に誓いながら自分の部屋に戻った。
幸いなことに家の人間に見つかることはなかった。
もし家の入り口や廊下なんかにいたら見つかってさっきほどではないにしろ変な目で見られただろう。
部屋に入るとベッドの上に寝ていた猫が眠たそうに首を持ち上げこちらを見る。
ドアを開ける音に反応して起きたのだろう。
そう思いながら私もベッドに寝転ぶ。
そしてデルフをベッドの横に立て掛けておく。
「ふぁ~……」
あくびが漏れる。
早く起きたことと練習のせいか、まぶたが重い。
このまま寝てしまおう。
自分が起きなかったら誰かが起こしに来てくれるだろうし。
なんとなく猫を胸に抱き寄せ目をつぶる。
そして暫らくするとそのまままどろみの世界へ落ちていった。
「いたっ!?」
顔に走る鋭い痛みによって心地よいまどろみの世界が崩壊する。
一体なんなんだチクショウッ!?
顔に乗せられている痛みの原因であろう物体を掴み全力で払いのける。
「きゃあ!」
……きゃあ?
顔を押えながら(主に右目のあたりだ)目を開き、上半身を起こす。
そして痛みの原因であろう物体を払いのけた方向を見る。
「なにすんのよ!」
そこにはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールがいた。
ベッドの横の床に尻餅をついておりこちらを睨みあげている。
ルイズのフルネームに特に意味は無い。
ただ頭にそう浮かんだだけだ。
しかしよくフルネームで憶えていたものだ。
自分でも驚きの記憶力だ。
……いやいやいや、
「どうしてここにいるんだ?」
そうだ。自分の記憶力に驚いている場合ではない。
何故ここにルイズがいるんだ?
「どうしてって、あんたがいつまで経っても起きてこないから起こしに来てあげたのよ。することもなくて暇だったし」
「へえ、ルイズがね」
こりゃまた新鮮なことだ。
いつもは私が起こす立場なのに、まさかルイズが起こしに来るなんて。
体勢を整え、ベッドに腰掛ける。
しかし、
「それで、なんで私はこんなに顔が痛いんだ。起こすだけならこんなことにはならないだろう?」
ズキズキと痛む顔を手で押えつつルイズに問いかける。
チクショウ、まだ痛いぞ。
「そ、それは!えっと、それは」
問いかけるとルイズは急にそわそわしだし、目を泳がせ始める。
もし、しらばっくれてもこの態度じゃ何かがあったってことはまるわかりだな。
「起こそうと思って近づいたら」
「近づいたら?」
「足元に何かってそれに躓いちゃって」
足元?躓く?まさか……
ベッドの横に立て掛けておいたデルフのほうを見やる。
デルフの姿が見当たらない。
立て掛けておいたあたりの床を見る。
「その躓いた拍子にヨシカゲのほうに倒れちゃって」
デルフは惨めに床に転がっていた。
鞘の半分ほどは躓いたときに蹴飛ばされたのかベッドの下に入り込んでいる。
きっとベッドの下は埃まみれだ。
「そのときにわたしの肘がヨシカゲの顔に、こう、グサッ!って感じでぶつかったのよ」
死ね。
もちろんそんなことは口に出しては言わない。
しかし死んでほしいのは確かだ。
デルフに躓いたのはまだいい。
しかし蹴飛ばして埃で汚し、さらに私の顔に肘を入れるなんて死んだほうがいいに決まってる。
「その……悪かったわよ!まさかわたしだって肘が当たるだなんて思ってなかったし……」
「もういい。今度私を起こす機会があったら気をつけてくれればいい」
文句を言いたいのは山々だが、言ってしまうと多分10分は怒鳴るだろうしな。
それに、その理由の半分以上がデルフ、つまり剣だ。
それを怒るときに露見してしまう可能性が高い。
露見すれば周りから奇異の視線で見られることになるだろう。
なぜあそこまで剣に入れ込んでいるのか?たかだか錆びたインテリジェンスソードなのに。ってな具合でな。
私のデルフに対する思い入れは少し変わってることは自覚しているからな。
別にこれは露見しても道に転がる小石ぐらいの話題にしかならないのかもしれない。
しかし『幸福』到るにはそれぐらいの小石すら取り除かなければいけない。
その小石が『幸福』を乱す要因にもなりえるのだから。
だから何も文句は言わない。
デルフを床から取り上げ鞘についた埃を手で払いのけ、まだ寝ている猫(よく起きなかったものだ)の横に置く。
つまりベッドの上だ。
そしてベッドから立ち上がりルイズに手を差し伸べる。
「何時まで尻餅ついたまま何だ?」
こんなこと普通はしないのだが文句を我慢した代わりにちょっとしたストレス発散を思いついたからだ。
「な、あんたがわたしを払いのけたからこうしてんでしょ!」
「自業自得だろ?」
そんな掛け合いをしつつもルイズは私の手を取ろうと手を伸ばしてくる。
作戦は実に子供じみたものだ。
引っ張り起こす途中で手を離す。
これだけだ。
しかしこれならいくらでも言い訳できる。
「結果的に起きたんならいいじゃない」
「まだ顔が痛いんだぞ」
ルイズが私の手を握る。
私はそれを確認するとルイズを引っ張る。
ルイズの体が浮き上がる。
よし、手を離すタイミングは今だ!
「そういえば、なんであんた上半身裸なのよ」
「え?」
その一言に気がとられ普通にルイズを立たせてしまう。
……忘れてた。
顔に走る鋭い痛みによって心地よいまどろみの世界が崩壊する。
一体なんなんだチクショウッ!?
顔に乗せられている痛みの原因であろう物体を掴み全力で払いのける。
「きゃあ!」
……きゃあ?
顔を押えながら(主に右目のあたりだ)目を開き、上半身を起こす。
そして痛みの原因であろう物体を払いのけた方向を見る。
「なにすんのよ!」
そこにはルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールがいた。
ベッドの横の床に尻餅をついておりこちらを睨みあげている。
ルイズのフルネームに特に意味は無い。
ただ頭にそう浮かんだだけだ。
しかしよくフルネームで憶えていたものだ。
自分でも驚きの記憶力だ。
……いやいやいや、
「どうしてここにいるんだ?」
そうだ。自分の記憶力に驚いている場合ではない。
何故ここにルイズがいるんだ?
「どうしてって、あんたがいつまで経っても起きてこないから起こしに来てあげたのよ。することもなくて暇だったし」
「へえ、ルイズがね」
こりゃまた新鮮なことだ。
いつもは私が起こす立場なのに、まさかルイズが起こしに来るなんて。
体勢を整え、ベッドに腰掛ける。
しかし、
「それで、なんで私はこんなに顔が痛いんだ。起こすだけならこんなことにはならないだろう?」
ズキズキと痛む顔を手で押えつつルイズに問いかける。
チクショウ、まだ痛いぞ。
「そ、それは!えっと、それは」
問いかけるとルイズは急にそわそわしだし、目を泳がせ始める。
もし、しらばっくれてもこの態度じゃ何かがあったってことはまるわかりだな。
「起こそうと思って近づいたら」
「近づいたら?」
「足元に何かってそれに躓いちゃって」
足元?躓く?まさか……
ベッドの横に立て掛けておいたデルフのほうを見やる。
デルフの姿が見当たらない。
立て掛けておいたあたりの床を見る。
「その躓いた拍子にヨシカゲのほうに倒れちゃって」
デルフは惨めに床に転がっていた。
鞘の半分ほどは躓いたときに蹴飛ばされたのかベッドの下に入り込んでいる。
きっとベッドの下は埃まみれだ。
「そのときにわたしの肘がヨシカゲの顔に、こう、グサッ!って感じでぶつかったのよ」
死ね。
もちろんそんなことは口に出しては言わない。
しかし死んでほしいのは確かだ。
デルフに躓いたのはまだいい。
しかし蹴飛ばして埃で汚し、さらに私の顔に肘を入れるなんて死んだほうがいいに決まってる。
「その……悪かったわよ!まさかわたしだって肘が当たるだなんて思ってなかったし……」
「もういい。今度私を起こす機会があったら気をつけてくれればいい」
文句を言いたいのは山々だが、言ってしまうと多分10分は怒鳴るだろうしな。
それに、その理由の半分以上がデルフ、つまり剣だ。
それを怒るときに露見してしまう可能性が高い。
露見すれば周りから奇異の視線で見られることになるだろう。
なぜあそこまで剣に入れ込んでいるのか?たかだか錆びたインテリジェンスソードなのに。ってな具合でな。
私のデルフに対する思い入れは少し変わってることは自覚しているからな。
別にこれは露見しても道に転がる小石ぐらいの話題にしかならないのかもしれない。
しかし『幸福』到るにはそれぐらいの小石すら取り除かなければいけない。
その小石が『幸福』を乱す要因にもなりえるのだから。
だから何も文句は言わない。
デルフを床から取り上げ鞘についた埃を手で払いのけ、まだ寝ている猫(よく起きなかったものだ)の横に置く。
つまりベッドの上だ。
そしてベッドから立ち上がりルイズに手を差し伸べる。
「何時まで尻餅ついたまま何だ?」
こんなこと普通はしないのだが文句を我慢した代わりにちょっとしたストレス発散を思いついたからだ。
「な、あんたがわたしを払いのけたからこうしてんでしょ!」
「自業自得だろ?」
そんな掛け合いをしつつもルイズは私の手を取ろうと手を伸ばしてくる。
作戦は実に子供じみたものだ。
引っ張り起こす途中で手を離す。
これだけだ。
しかしこれならいくらでも言い訳できる。
「結果的に起きたんならいいじゃない」
「まだ顔が痛いんだぞ」
ルイズが私の手を握る。
私はそれを確認するとルイズを引っ張る。
ルイズの体が浮き上がる。
よし、手を離すタイミングは今だ!
「そういえば、なんであんた上半身裸なのよ」
「え?」
その一言に気がとられ普通にルイズを立たせてしまう。
……忘れてた。