もしかしたら今私が体験していることは全て夢なんじゃないのだろうか?
目が覚めたら元の世界なんじゃないだろうか?実は人間になんてなってなくて幽霊のままなんじゃないだろうか?左腕は失ったままなんじゃないだろうか?
デルフやルイズにシエスタ、この世界全体が私の見ている夢なんじゃないのだろうか?
そんな馬鹿げたことを思いながら、眠気を払うように頭を振りかぶる。
「おはよう相棒。やっぱ起きるの早いのな」
「……ああ。そうだな」
その馬鹿げた考えをデルフの声を聞きながら打ち消した。この声が夢か?この体に伝わる感触が夢か?夢なワケがない。
ちょっと寝起きで頭がよく働かなかったみたいだ。
ん?そういえばなんでデルフが喋れるんだ?いつも鞘に収めてから眠っているはずなのに。
「お前、どうして鞘から出てるんだ?」
「あ?相棒が話してる途中で眠っちまったんじゃなねえか」
「え?」
そうだっただろうか?
昨日の夜のことを思い出してみる。スタンドの説明をし、キラークイーンの能力を話し、それから……それから?
ダメだ。デルフを鞘にしまった覚えが無い。どうやらデルフの言う通り知らず知らずのうちに眠っていたようだな。
「そうだった。私はお前を鞘に収めずに寝たんだった」
「そうそう。本当は起こそうかと思ったけどよ?でも相棒熟睡してから起こすのもなんだと思って結局起こさなかったんだよ」
デルフ……。そこまで私のことを考えていてくれたのか。
「そうか。すまないな」
「……なんだ?今日は雨でも降んのか?そんな風には見えねえけど」
「どういう意味だ」
こいつ、人がせっかく素直に感情を吐露してみれば……
「んなおっかねえ顔すんなよ。冗談じゃねえか冗談。相棒があんまりにも素直に俺にあやまるもんだからちと驚いちまっただけだって。
ほら、そんな素直になんか言うのはアルビオン以来だしよ。いや~、あんときはよかったな。相棒ピンチだったけど俺のこと相棒っていってくれ「だまれ!」」
自分でもまさしく神速といえるんじゃないかというほどの速さでデルフを鞘に収めた。
全く!そういったことは口に出すな!恥ずかしい。頭の中でリフレインしていろ。いや、デルフに頭はないか。
鞘に収めたデルフをベッドの横へ立てかける。その瞬間、
「いってぇえええええええええええええ!」
右手に激痛が走った。私の声に驚いたのか傍で眠っていた猫が跳ね起きる。
チクショウッ!なんだこの痛みは!?
驚いて右手を見てみる。右手には小指と薬指に包帯が巻かれていた。
「そうだったな」
右手に巻かれた包帯を見て思い出す。自分の見ての指が折れていることに。
そうだった。すっかり忘れていた。指が折れてたんだった。
おそらくデルフを置く際に、どこかに指をぶつけてしまったのだろう。チッ、忘れてなきゃこんな痛いしなくてもすんだのに。
あれ?おかしいぞ?
慌てて自分の左手を見る。もちろん武器なんて持っていない。だからルーンは発動してない当然だ。
だったらなぜ左手に痛みが無い?腹も痛くないぞ!昨日はあんなに痛かったのに。
幻痛だったからこんなにもあっさり痛みがなくなったのか?幻痛なんて言葉程度でしか知らないからな。
大体こんなもんだってのは想像つくがどんな風に治るかなんて全く知らなかったが、まさかこんな突然痛みが治まるなんて思いもしなかった。
しかしそれを悪いことだと思うか?思うわけが無い。むしろこれで自由に動けるから嬉しいくらいだ。
早速立ち上がり着ていた服を脱ぐと、机の上に置かれていた自分の服を手に取る。どうやらしっかり洗濯はしてあるようだ。誰がしたかは知らないけどな。
そう思いながら服を着、懐に銃を入れなおす。目に付くところに手袋と帽子がないから、多分それらはまだシエスタの家にあるのだろう。
ルイズめ、私の部屋に行ったんなら取ってきてくれてもよかったんじゃないか?気が利かない奴だ。
さて、ばあさんに普通の食事ができるようになったって伝えに行くか。私は患者だ。遠慮することはない。
それに年寄りは早起きだろうから、この時間帯ならもう起きてるだろう。
目が覚めたら元の世界なんじゃないだろうか?実は人間になんてなってなくて幽霊のままなんじゃないだろうか?左腕は失ったままなんじゃないだろうか?
デルフやルイズにシエスタ、この世界全体が私の見ている夢なんじゃないのだろうか?
そんな馬鹿げたことを思いながら、眠気を払うように頭を振りかぶる。
「おはよう相棒。やっぱ起きるの早いのな」
「……ああ。そうだな」
その馬鹿げた考えをデルフの声を聞きながら打ち消した。この声が夢か?この体に伝わる感触が夢か?夢なワケがない。
ちょっと寝起きで頭がよく働かなかったみたいだ。
ん?そういえばなんでデルフが喋れるんだ?いつも鞘に収めてから眠っているはずなのに。
「お前、どうして鞘から出てるんだ?」
「あ?相棒が話してる途中で眠っちまったんじゃなねえか」
「え?」
そうだっただろうか?
昨日の夜のことを思い出してみる。スタンドの説明をし、キラークイーンの能力を話し、それから……それから?
ダメだ。デルフを鞘にしまった覚えが無い。どうやらデルフの言う通り知らず知らずのうちに眠っていたようだな。
「そうだった。私はお前を鞘に収めずに寝たんだった」
「そうそう。本当は起こそうかと思ったけどよ?でも相棒熟睡してから起こすのもなんだと思って結局起こさなかったんだよ」
デルフ……。そこまで私のことを考えていてくれたのか。
「そうか。すまないな」
「……なんだ?今日は雨でも降んのか?そんな風には見えねえけど」
「どういう意味だ」
こいつ、人がせっかく素直に感情を吐露してみれば……
「んなおっかねえ顔すんなよ。冗談じゃねえか冗談。相棒があんまりにも素直に俺にあやまるもんだからちと驚いちまっただけだって。
ほら、そんな素直になんか言うのはアルビオン以来だしよ。いや~、あんときはよかったな。相棒ピンチだったけど俺のこと相棒っていってくれ「だまれ!」」
自分でもまさしく神速といえるんじゃないかというほどの速さでデルフを鞘に収めた。
全く!そういったことは口に出すな!恥ずかしい。頭の中でリフレインしていろ。いや、デルフに頭はないか。
鞘に収めたデルフをベッドの横へ立てかける。その瞬間、
「いってぇえええええええええええええ!」
右手に激痛が走った。私の声に驚いたのか傍で眠っていた猫が跳ね起きる。
チクショウッ!なんだこの痛みは!?
驚いて右手を見てみる。右手には小指と薬指に包帯が巻かれていた。
「そうだったな」
右手に巻かれた包帯を見て思い出す。自分の見ての指が折れていることに。
そうだった。すっかり忘れていた。指が折れてたんだった。
おそらくデルフを置く際に、どこかに指をぶつけてしまったのだろう。チッ、忘れてなきゃこんな痛いしなくてもすんだのに。
あれ?おかしいぞ?
慌てて自分の左手を見る。もちろん武器なんて持っていない。だからルーンは発動してない当然だ。
だったらなぜ左手に痛みが無い?腹も痛くないぞ!昨日はあんなに痛かったのに。
幻痛だったからこんなにもあっさり痛みがなくなったのか?幻痛なんて言葉程度でしか知らないからな。
大体こんなもんだってのは想像つくがどんな風に治るかなんて全く知らなかったが、まさかこんな突然痛みが治まるなんて思いもしなかった。
しかしそれを悪いことだと思うか?思うわけが無い。むしろこれで自由に動けるから嬉しいくらいだ。
早速立ち上がり着ていた服を脱ぐと、机の上に置かれていた自分の服を手に取る。どうやらしっかり洗濯はしてあるようだ。誰がしたかは知らないけどな。
そう思いながら服を着、懐に銃を入れなおす。目に付くところに手袋と帽子がないから、多分それらはまだシエスタの家にあるのだろう。
ルイズめ、私の部屋に行ったんなら取ってきてくれてもよかったんじゃないか?気が利かない奴だ。
さて、ばあさんに普通の食事ができるようになったって伝えに行くか。私は患者だ。遠慮することはない。
それに年寄りは早起きだろうから、この時間帯ならもう起きてるだろう。
お昼の少し前ごろ、竜騎士隊がその名の通り竜に乗って颯爽と現われた。
村の住人たちも珍しがって集まってきている。野次馬共め、うっおとしい。
ガキもワーワー喚くな!だがそれにしても、
「竜に乗る姿が様になってるな」
「当然でしょ。だって竜騎士隊なんだもん」
答えになってねえよ。
それにしても、やっぱり竜というのは恐ろしいな。あんな巨体で空を飛んでその上火まで吹けるんだろ?
考えただけでも恐ろしい。普通の人間じゃ絶対太刀打ち出来ないな。だからこそメイジが乗るのだろう。
奴らは魔法が使えるからな。きっと魔法で竜に対抗できるに違いない。
竜をよく見てみる。騎士たちが乗っている竜はタバサの使い魔の竜とはまた違う竜だった。タバサの竜より体がでかい。
きっとのその分力強いのだろう。この世界じゃ私の知ってる物理法則なんてあてにならないからな。そういう風に考えておけば大体あってるはずだ。
竜騎士隊とルイズがなんらかのやり取り(おそらくゼロ戦を運ぶ手順だろう)をした後、竜騎士隊が早速動き出した。
と言ってもどこかへ行っただけだ。方向からして草原のほうか?
「ルイズ、彼らはどこへ行くんだ?」
「ゼロセンの場所に決まってるでしょ。運ぶ準備はあっちがしてくれるから私たちは帰る準備をしちゃいましょ」
「ふ~ん。そうか」
なるほど。結構働いてくれんだな。
そうして帰る準備(といっても私はデルフと猫だけだが)を終え、あとはシエスタの家で竜騎士隊を待つのみとなった。
「そういえばシエスタは帰る準備はしないの?ドラゴンに乗っていけば今日中に学院につけるわよ」
「いいえ、私は残ります。もうすぐ姫さまの結婚式ですから。休暇をもらうときそのまま休暇をとっていいと言われてるんです。
ですからお言葉に甘えて、久しぶりに家族と過ごそうと思ってるんです」
「そう、よかったわね。シエスタって家族といるとすごく幸せそうだから」
「はい。私の大事な家族ですから。家族を臆面も無く愛してるって言えるぐらいに」
「聞くんじゃなかったわ。そんこと言われたら聞いてるこっちが恥ずかしくなるもの」
家族、家族か。
私の両親というのはどんな人間だったのだろう?キラヨシカゲの記憶を見たときはそこまで見る時間も無かったし興味も無かった。
しかし、こうして家族がどうだこうだと聞いていると自分のはどうだったのだろうと気になってくる。
両親はどんなのだ?兄弟はいたのか?殺人癖のことは知っていたのか?知っていたのなら止めなかったのか?
私を愛していたのか?愛していなかったのか?どれもこれもいくら想像しても全く想像もつかない。
不意に外のドアが開き、シエスタの父が入ってくる。
「貴族様、竜騎士隊が『竜の羽衣』もってきましたよ」
「わかったわ。それじゃあ行きましょうヨシカゲ」
「ああ」
「あ、ヨシカゲさんちょっと待ってくれ」
突然シエスタの父に呼び止められる。一体なんだろうか?
彼は私に向かって何かを放り投げてくる。私はそれを反射的に手で取った。これは、
「ゴーグル?」
「ああ、それと『竜の羽衣』は唯一じいさんが残したもんだ。じいさんと同じところからきたあんたに使ってもらったほうがじいさんも喜ぶかもって思ったんだ」
「……そうか。じゃあありがたく使わしてもらおう」
「それと、貴族様にはこれを」
彼はルイズに近づくとなにかを手渡した。それはワインだった。
あれ?私のときは放り投げたよな?なんだこの違いは。貴族とその従者だが同じ客だろう?
「これはこの村で作ったワインです。いつも貴族様が飲んでいるワインには劣るかもしれませんがもらってください」
「……ありがとう。わたし、この村にきてほんとによかったって思ってるわ」
「そう言ってもらえるとこちらも本当に嬉しいです。またいつでもきてください」
「ええ、また来るわ。絶対に」
こういして私たちはシエスタの家族たちに別れを告げ、竜騎士隊と共に村をあとにした。
村の住人たちも珍しがって集まってきている。野次馬共め、うっおとしい。
ガキもワーワー喚くな!だがそれにしても、
「竜に乗る姿が様になってるな」
「当然でしょ。だって竜騎士隊なんだもん」
答えになってねえよ。
それにしても、やっぱり竜というのは恐ろしいな。あんな巨体で空を飛んでその上火まで吹けるんだろ?
考えただけでも恐ろしい。普通の人間じゃ絶対太刀打ち出来ないな。だからこそメイジが乗るのだろう。
奴らは魔法が使えるからな。きっと魔法で竜に対抗できるに違いない。
竜をよく見てみる。騎士たちが乗っている竜はタバサの使い魔の竜とはまた違う竜だった。タバサの竜より体がでかい。
きっとのその分力強いのだろう。この世界じゃ私の知ってる物理法則なんてあてにならないからな。そういう風に考えておけば大体あってるはずだ。
竜騎士隊とルイズがなんらかのやり取り(おそらくゼロ戦を運ぶ手順だろう)をした後、竜騎士隊が早速動き出した。
と言ってもどこかへ行っただけだ。方向からして草原のほうか?
「ルイズ、彼らはどこへ行くんだ?」
「ゼロセンの場所に決まってるでしょ。運ぶ準備はあっちがしてくれるから私たちは帰る準備をしちゃいましょ」
「ふ~ん。そうか」
なるほど。結構働いてくれんだな。
そうして帰る準備(といっても私はデルフと猫だけだが)を終え、あとはシエスタの家で竜騎士隊を待つのみとなった。
「そういえばシエスタは帰る準備はしないの?ドラゴンに乗っていけば今日中に学院につけるわよ」
「いいえ、私は残ります。もうすぐ姫さまの結婚式ですから。休暇をもらうときそのまま休暇をとっていいと言われてるんです。
ですからお言葉に甘えて、久しぶりに家族と過ごそうと思ってるんです」
「そう、よかったわね。シエスタって家族といるとすごく幸せそうだから」
「はい。私の大事な家族ですから。家族を臆面も無く愛してるって言えるぐらいに」
「聞くんじゃなかったわ。そんこと言われたら聞いてるこっちが恥ずかしくなるもの」
家族、家族か。
私の両親というのはどんな人間だったのだろう?キラヨシカゲの記憶を見たときはそこまで見る時間も無かったし興味も無かった。
しかし、こうして家族がどうだこうだと聞いていると自分のはどうだったのだろうと気になってくる。
両親はどんなのだ?兄弟はいたのか?殺人癖のことは知っていたのか?知っていたのなら止めなかったのか?
私を愛していたのか?愛していなかったのか?どれもこれもいくら想像しても全く想像もつかない。
不意に外のドアが開き、シエスタの父が入ってくる。
「貴族様、竜騎士隊が『竜の羽衣』もってきましたよ」
「わかったわ。それじゃあ行きましょうヨシカゲ」
「ああ」
「あ、ヨシカゲさんちょっと待ってくれ」
突然シエスタの父に呼び止められる。一体なんだろうか?
彼は私に向かって何かを放り投げてくる。私はそれを反射的に手で取った。これは、
「ゴーグル?」
「ああ、それと『竜の羽衣』は唯一じいさんが残したもんだ。じいさんと同じところからきたあんたに使ってもらったほうがじいさんも喜ぶかもって思ったんだ」
「……そうか。じゃあありがたく使わしてもらおう」
「それと、貴族様にはこれを」
彼はルイズに近づくとなにかを手渡した。それはワインだった。
あれ?私のときは放り投げたよな?なんだこの違いは。貴族とその従者だが同じ客だろう?
「これはこの村で作ったワインです。いつも貴族様が飲んでいるワインには劣るかもしれませんがもらってください」
「……ありがとう。わたし、この村にきてほんとによかったって思ってるわ」
「そう言ってもらえるとこちらも本当に嬉しいです。またいつでもきてください」
「ええ、また来るわ。絶対に」
こういして私たちはシエスタの家族たちに別れを告げ、竜騎士隊と共に村をあとにした。