猫を肩に乗せながら壁に寄りかかり、デルフと他愛もないことをだらだらと喋る。喋るといっても大部分はデルフしか喋っていない。私は相槌をうったり、たまに意見を言うぐらいだ。
「あんときゃ大笑いしたぜ。武器屋の親父の情けねえ顔ってったらな「ヨシカゲー!」お、どうやら嬢ちゃんが帰ってきたみたいだぜ」
デルフに言われるまでもなく、私はその姿を目視していた。何せデルフとの会話中にいきなり無粋な声が聞こえてきたのだ。誰だこの野朗と思い声が聞こえてきた方向を見るのは当然だろう。
ルイズはこちらに全力疾走して来ていた。さっきの使者のように、もしかしたらそれ以上に慌てた様子だ。一体どうしたのだろうか?
そしてすぐに私の前に立ち止まった。
「どうしたルイズ。そんな血相を変えて走ってきて。もしかして貴族制が崩壊でもしたのか?」
絶対にありえないだろうけどな。
ルイズは私の質問には答えず、乱れていた息を整えていたがやがて息が整ったのか勢いよく私を見上げてきた。その顔はまさに真剣そのもので冗談など挟む余地もなかった。その顔を見て、さすがに片手間で聞くような話題ではないと判断し、デルフを喋らせないように鞘におさめ、体勢を整えルイズの方へ顔を向ける。
「ヨシカゲ、よく聞きなさい。姫さまの結婚式は中止よ。アルビオンがトリステインに宣戦布告してきたわ」
「……は!?宣戦布告だと!?アルビオンが!?」
んなバカな!?宣戦布告ってことはアルビオンと戦争するってことじゃねえか!
「ちょ、ちょっと待て!俺はアルビオンとは不可侵条約を結んだって聞いたぞ!なのに宣戦布告ってのはどういうことだ!?」
「知らないわよ!わたしに聞かないで!わたしだってなにがなんだかわからないんだから!」
ちっ!戦争だと!?冗談じゃねえ!アルビオンめ、内戦だけで我慢できねえのかよ!しかし、始まってしまったものは仕方がない。戦争なんてものは個人で止められるような喧嘩じゃないからな。止めようと思うのがそもそもの間違いだ。こういったときは何とか生き残ろうと思わなければならない。生き残り戦争をやり過ごすのだ。そうすれば平和はまたやってくる。
私はトリステインという国に愛着なんて持ち合わせていない。この国が戦争に負けてアルビオンになろうと知ったことか!私の周りが平和ならそれでいいんだ!
「アルビオンの軍は今タルブの草原に陣を張ってるらしいの」
ルイズの顔は俯いていて見ないが、声が震えている。何かを我慢しているようだ。
「タルブの草原……」
タルブの草原と言われ、思い出すのはあのときの見た夕焼けに彩られた草原だった。あそこがタルブの草原といわれているのかどうかは知らないが、タルブの村のすぐ近くにあるのだからあそこがタルブの草原かもしれない。
「それで……それで、敵の竜騎兵がタルブの村を焼いてるって……」
「タルブの村を!?」
驚かないわけがない。あの村にはつい数日前まで滞在していたのだ。私もルイズも世話になった。私にとっては自身の人生が変わったところでもある。そんな思い出の場所が今蹂躙されているのだ。そう考えると心の奥からひとつの感情が湧き出してきた。
「……ヨシカゲ。ゼロセンって空を飛べるのよね。どれくらい速いの?馬よりも速いの?」
「タルブに日帰り旅行できるくらい速いさ」
「それじゃあわたしをゼロセンでタルブの村まで連れて行って!」
ルイズは勢いよく顔を上げるとはっきりとそう言い切った。
「何しに行くつもりだ?村人を助けるってか?それともアルビオン軍に戦いを挑むのか?どっちも出来るわきゃねえだろ!死にに行くようなもんだ」
「でも、シエスタたちを助けなきゃ!」
「お前にそれだけの力があるのか?シエスタたちを助けるってことは敵を倒さなきゃいけないってことだ。シエスタは敵陣にいるわけだからな。
だが、戦争ってことは敵も相当な戦力を投入してきているだろう。それを打倒する力をお前が持ってるのか?持たずに行きゃ犬死確実だぜ」
「確かに助けられる可能性はほとんどないわ。でも、ゼロじゃないわ!ほんの少しでも可能性はあるはずよ!ヨシカゲは!シエスタたちを助けたいと思わないの!?
またあの景色を、村を、村の人を守りたいと思わないの!?」
私の中で湧き上がった感情は瞬く間に心全体を覆っていく。体を侵食していく。感情の正体は、
「思わないわけはない。あそこで過ごしたときのことは片時も忘れることはない、私の思い出だ。美しい私の思い出だ。また村へ行ってみたいと思っているし、景色も見てみたいと思っている。それらがなくなるのは確かに悲しい、惜しい、悔しい。だけどな、死ぬよりはマシだ」
感情の正体は、諦めだった。
「ルイズ、お前は助けられる可能性がゼロじゃないって言ったな。それは間違いだ。助けられる可能性はゼロだ。何故なら助けに行けば、助けに行った奴が死ぬからだ。アルビオンっての空に浮かんでる国だったな。ってことは空を飛ぶ船がごろごろあるわけだ。それも戦闘用のな。戦争するならそれらを引き連れてくるだろう。きっとメイジもいるだろう。相手はこっちを魔法でガンガン攻撃して来るんだ。竜騎兵もいるって言ったな。竜なんてまともに戦ったら勝ち目なんかあるわけがねえ。そんな中に飛び込んで行って可能性がゼロじゃない?笑わせんな!お前がすげえ強いメイジなら可能性もあるだろうな。でもお前は魔法が扱えない!伝説の『虚無』って魔法に戦局を変えるほどの力があるかもしれないなら、村へ連れて行ったかもしれない。お前は『虚無』の系統だからな。だが、お前は『虚無』の力を何一つ使えない!そんな奴のために命をかけるなんて俺にはできねえ!俺は、死にたくないんだ!『幸福』になりたいんだ!死んでたまるか!」
みるみるうちにルイズの目に涙が溜まっていく。結構直球で否定したからだろうか?どうでもいいけどな。
自分の命の安全が保障されるなら、たとえそこがどんなに大事なところであろうとも、諦めることができる。この世に自分の命ほど大切なものがあるだろうか?
……無いに決まっている。
「諦めろルイズ。お前が行ってもなにも変わらない。お前は貴族というだけで平民と変わらないだから」
「貴族……そうよ、わたしは貴族よ」
ルイズはぼそりとそう呟く目に溜まっていた涙を拭き取り、私の胸倉を掴む。そしてそのまま私を引き寄せた。反動で猫が肩からずり落ちる。それほど体に力を入れていなかったため、いとも容易くルイズの眼前に引き寄せられてしまう。なんだってんだ?
「わたしは、あんたが言うように貴族なのよ!だったら!国を、国に住む人たちを、守るのは当然だわ!それは義務なのよ!あんただって前に自分でそう言ったじゃない!自分の国の貴族はその義務を放棄したから貴族じゃなくなったって!それにわたしは誓ったのよ!義務じゃない、自分の心の底から守るって!でも、これじゃあまた見てるだけ。見てるだけはもういや!あんたが連れて行ってくれないならそれでもいいわ!そのかわりゼロセンの飛ばし方を教えなさい!わたし一人で行くわ!」
ちっ!このガキが!
「無茶言ってんじゃねえ!飛ばし方を1時間教えたところでお前に戦闘機が飛ばせるか!」
「やってみなきゃわからないでしょ!」
「わかるんだよ!だからあ「もう諦めろよ相棒」きら……デルフリンガー?」
「今の声誰?」
なぜデルフが喋れるんだ?そう思いデルフを見ると、完全には鞘に収まってなかった。だからぎりぎりだが喋れたのだ。失態である。
「相棒の負けだって。もう嬢ちゃんになに言っても無駄だな。このままじゃゼロセンも勝手に弄くられて壊れるかもしれねえぜ」
「だからって、わざわざ死にに行けってか?ふざけるな」
「んなこと言ってねえだろ。最後まで聞けよ相棒。おい嬢ちゃん。祈祷書のページをめくりな」
「え?」
「お前さんが必要としていればそいつは読めるはずだ。読めりゃ、相棒も村までゼロセンを飛ばしてくれるかもな」
「わたしが必要としていれば、読める」
それを聞くと、ルイズは私の胸倉を離し、ポケットから『水』のルビーを取り出して指に嵌めた。そして左腕に抱えていた祈祷書を両手に持つ。その瞬間、『水』のルビーと『始祖の祈祷書』が光りだしたのだ。
「な、なにこれ!?」
「光ってる……」
「ほれ、さっさと読めって」
ルイズは気を取り直し、祈祷書のページをめくった。そしてすぐめくるのをやめる。
「読める部分が増えてる。これが、わたしの必要としてる呪文なの?」
「いったい何が読めるようになったんだ?」
「『初歩の初歩の初歩。【エクスプロージョン】』」
「エクスプロージョン?」
エクスプロージョンって言ったら確か、英語で爆発って意味だ。初歩が爆発の魔法ってなんだよ。爆発なんていつもルイズがしてるじゃねえか。それとも規模が違うのか?戦局が変わるくらいの力を持っているのか?
「……ジュー・ハガ…………オークン・イル……」
ルイズはさっきからなにらぶつぶつと呟いている。おそらくその『エクスプロージョン』の呪文なんだろうがな。
「相棒、『エクスプロージョン』は強力だぜ。俺が保障する」
「お前が保障しても信用しきれん」
「ひでえ」
まあ、デルフがそう言うのなら信用はできるがやはり心配だ。しかし、なんでデルフは祈祷書のことを知ってたんだ?それに『虚無』のことも知っているみたいだ。
「ヨシカゲ、お願い。わたしを村へ連れて行って。きっと何とかできるから」
「お前は死ぬのが怖くないのか?」
「怖いわよ。でもシエスタたちはもっと怖い思いをしてるはずよ」
……デルフが言うように本当に何を言っても無駄らしい。仕方が無い。
「……もし、命が危ないと思ったら逃げるからな」
「それじゃあ!」
「連れてってやるよ」
実際飛ばすのにもいい機会かもしれない。やばいと思ったら逃げればいいんだし。いくら竜でもゼロ戦にはそう簡単に追いつけないだろうからな。まったく、ルイズめ。デルフに感謝しろよ。口が裂けてもそんなこと言わないが。
そんなことを思いつつ私はデルフを持ち、コルベールの研究所へ歩き出した。ルイズももちろんついてくる。
「どこ行くのよ。ゼロセンはこっちじゃないでしょ?」
しかし、疑問があったようだ。まあ、全然別の方向へ行ってるんだから当たり前か。
「ゼロ戦は燃料が無けりゃ飛ばないんだ。だから燃料を取りにいかにといけないだろ」
どうせコルベールなら必要分の燃料ぐらい作っているだろう。作れてなかったら作れてないでいけない理由ができる。
さあ、どっちだろうな?
「あんときゃ大笑いしたぜ。武器屋の親父の情けねえ顔ってったらな「ヨシカゲー!」お、どうやら嬢ちゃんが帰ってきたみたいだぜ」
デルフに言われるまでもなく、私はその姿を目視していた。何せデルフとの会話中にいきなり無粋な声が聞こえてきたのだ。誰だこの野朗と思い声が聞こえてきた方向を見るのは当然だろう。
ルイズはこちらに全力疾走して来ていた。さっきの使者のように、もしかしたらそれ以上に慌てた様子だ。一体どうしたのだろうか?
そしてすぐに私の前に立ち止まった。
「どうしたルイズ。そんな血相を変えて走ってきて。もしかして貴族制が崩壊でもしたのか?」
絶対にありえないだろうけどな。
ルイズは私の質問には答えず、乱れていた息を整えていたがやがて息が整ったのか勢いよく私を見上げてきた。その顔はまさに真剣そのもので冗談など挟む余地もなかった。その顔を見て、さすがに片手間で聞くような話題ではないと判断し、デルフを喋らせないように鞘におさめ、体勢を整えルイズの方へ顔を向ける。
「ヨシカゲ、よく聞きなさい。姫さまの結婚式は中止よ。アルビオンがトリステインに宣戦布告してきたわ」
「……は!?宣戦布告だと!?アルビオンが!?」
んなバカな!?宣戦布告ってことはアルビオンと戦争するってことじゃねえか!
「ちょ、ちょっと待て!俺はアルビオンとは不可侵条約を結んだって聞いたぞ!なのに宣戦布告ってのはどういうことだ!?」
「知らないわよ!わたしに聞かないで!わたしだってなにがなんだかわからないんだから!」
ちっ!戦争だと!?冗談じゃねえ!アルビオンめ、内戦だけで我慢できねえのかよ!しかし、始まってしまったものは仕方がない。戦争なんてものは個人で止められるような喧嘩じゃないからな。止めようと思うのがそもそもの間違いだ。こういったときは何とか生き残ろうと思わなければならない。生き残り戦争をやり過ごすのだ。そうすれば平和はまたやってくる。
私はトリステインという国に愛着なんて持ち合わせていない。この国が戦争に負けてアルビオンになろうと知ったことか!私の周りが平和ならそれでいいんだ!
「アルビオンの軍は今タルブの草原に陣を張ってるらしいの」
ルイズの顔は俯いていて見ないが、声が震えている。何かを我慢しているようだ。
「タルブの草原……」
タルブの草原と言われ、思い出すのはあのときの見た夕焼けに彩られた草原だった。あそこがタルブの草原といわれているのかどうかは知らないが、タルブの村のすぐ近くにあるのだからあそこがタルブの草原かもしれない。
「それで……それで、敵の竜騎兵がタルブの村を焼いてるって……」
「タルブの村を!?」
驚かないわけがない。あの村にはつい数日前まで滞在していたのだ。私もルイズも世話になった。私にとっては自身の人生が変わったところでもある。そんな思い出の場所が今蹂躙されているのだ。そう考えると心の奥からひとつの感情が湧き出してきた。
「……ヨシカゲ。ゼロセンって空を飛べるのよね。どれくらい速いの?馬よりも速いの?」
「タルブに日帰り旅行できるくらい速いさ」
「それじゃあわたしをゼロセンでタルブの村まで連れて行って!」
ルイズは勢いよく顔を上げるとはっきりとそう言い切った。
「何しに行くつもりだ?村人を助けるってか?それともアルビオン軍に戦いを挑むのか?どっちも出来るわきゃねえだろ!死にに行くようなもんだ」
「でも、シエスタたちを助けなきゃ!」
「お前にそれだけの力があるのか?シエスタたちを助けるってことは敵を倒さなきゃいけないってことだ。シエスタは敵陣にいるわけだからな。
だが、戦争ってことは敵も相当な戦力を投入してきているだろう。それを打倒する力をお前が持ってるのか?持たずに行きゃ犬死確実だぜ」
「確かに助けられる可能性はほとんどないわ。でも、ゼロじゃないわ!ほんの少しでも可能性はあるはずよ!ヨシカゲは!シエスタたちを助けたいと思わないの!?
またあの景色を、村を、村の人を守りたいと思わないの!?」
私の中で湧き上がった感情は瞬く間に心全体を覆っていく。体を侵食していく。感情の正体は、
「思わないわけはない。あそこで過ごしたときのことは片時も忘れることはない、私の思い出だ。美しい私の思い出だ。また村へ行ってみたいと思っているし、景色も見てみたいと思っている。それらがなくなるのは確かに悲しい、惜しい、悔しい。だけどな、死ぬよりはマシだ」
感情の正体は、諦めだった。
「ルイズ、お前は助けられる可能性がゼロじゃないって言ったな。それは間違いだ。助けられる可能性はゼロだ。何故なら助けに行けば、助けに行った奴が死ぬからだ。アルビオンっての空に浮かんでる国だったな。ってことは空を飛ぶ船がごろごろあるわけだ。それも戦闘用のな。戦争するならそれらを引き連れてくるだろう。きっとメイジもいるだろう。相手はこっちを魔法でガンガン攻撃して来るんだ。竜騎兵もいるって言ったな。竜なんてまともに戦ったら勝ち目なんかあるわけがねえ。そんな中に飛び込んで行って可能性がゼロじゃない?笑わせんな!お前がすげえ強いメイジなら可能性もあるだろうな。でもお前は魔法が扱えない!伝説の『虚無』って魔法に戦局を変えるほどの力があるかもしれないなら、村へ連れて行ったかもしれない。お前は『虚無』の系統だからな。だが、お前は『虚無』の力を何一つ使えない!そんな奴のために命をかけるなんて俺にはできねえ!俺は、死にたくないんだ!『幸福』になりたいんだ!死んでたまるか!」
みるみるうちにルイズの目に涙が溜まっていく。結構直球で否定したからだろうか?どうでもいいけどな。
自分の命の安全が保障されるなら、たとえそこがどんなに大事なところであろうとも、諦めることができる。この世に自分の命ほど大切なものがあるだろうか?
……無いに決まっている。
「諦めろルイズ。お前が行ってもなにも変わらない。お前は貴族というだけで平民と変わらないだから」
「貴族……そうよ、わたしは貴族よ」
ルイズはぼそりとそう呟く目に溜まっていた涙を拭き取り、私の胸倉を掴む。そしてそのまま私を引き寄せた。反動で猫が肩からずり落ちる。それほど体に力を入れていなかったため、いとも容易くルイズの眼前に引き寄せられてしまう。なんだってんだ?
「わたしは、あんたが言うように貴族なのよ!だったら!国を、国に住む人たちを、守るのは当然だわ!それは義務なのよ!あんただって前に自分でそう言ったじゃない!自分の国の貴族はその義務を放棄したから貴族じゃなくなったって!それにわたしは誓ったのよ!義務じゃない、自分の心の底から守るって!でも、これじゃあまた見てるだけ。見てるだけはもういや!あんたが連れて行ってくれないならそれでもいいわ!そのかわりゼロセンの飛ばし方を教えなさい!わたし一人で行くわ!」
ちっ!このガキが!
「無茶言ってんじゃねえ!飛ばし方を1時間教えたところでお前に戦闘機が飛ばせるか!」
「やってみなきゃわからないでしょ!」
「わかるんだよ!だからあ「もう諦めろよ相棒」きら……デルフリンガー?」
「今の声誰?」
なぜデルフが喋れるんだ?そう思いデルフを見ると、完全には鞘に収まってなかった。だからぎりぎりだが喋れたのだ。失態である。
「相棒の負けだって。もう嬢ちゃんになに言っても無駄だな。このままじゃゼロセンも勝手に弄くられて壊れるかもしれねえぜ」
「だからって、わざわざ死にに行けってか?ふざけるな」
「んなこと言ってねえだろ。最後まで聞けよ相棒。おい嬢ちゃん。祈祷書のページをめくりな」
「え?」
「お前さんが必要としていればそいつは読めるはずだ。読めりゃ、相棒も村までゼロセンを飛ばしてくれるかもな」
「わたしが必要としていれば、読める」
それを聞くと、ルイズは私の胸倉を離し、ポケットから『水』のルビーを取り出して指に嵌めた。そして左腕に抱えていた祈祷書を両手に持つ。その瞬間、『水』のルビーと『始祖の祈祷書』が光りだしたのだ。
「な、なにこれ!?」
「光ってる……」
「ほれ、さっさと読めって」
ルイズは気を取り直し、祈祷書のページをめくった。そしてすぐめくるのをやめる。
「読める部分が増えてる。これが、わたしの必要としてる呪文なの?」
「いったい何が読めるようになったんだ?」
「『初歩の初歩の初歩。【エクスプロージョン】』」
「エクスプロージョン?」
エクスプロージョンって言ったら確か、英語で爆発って意味だ。初歩が爆発の魔法ってなんだよ。爆発なんていつもルイズがしてるじゃねえか。それとも規模が違うのか?戦局が変わるくらいの力を持っているのか?
「……ジュー・ハガ…………オークン・イル……」
ルイズはさっきからなにらぶつぶつと呟いている。おそらくその『エクスプロージョン』の呪文なんだろうがな。
「相棒、『エクスプロージョン』は強力だぜ。俺が保障する」
「お前が保障しても信用しきれん」
「ひでえ」
まあ、デルフがそう言うのなら信用はできるがやはり心配だ。しかし、なんでデルフは祈祷書のことを知ってたんだ?それに『虚無』のことも知っているみたいだ。
「ヨシカゲ、お願い。わたしを村へ連れて行って。きっと何とかできるから」
「お前は死ぬのが怖くないのか?」
「怖いわよ。でもシエスタたちはもっと怖い思いをしてるはずよ」
……デルフが言うように本当に何を言っても無駄らしい。仕方が無い。
「……もし、命が危ないと思ったら逃げるからな」
「それじゃあ!」
「連れてってやるよ」
実際飛ばすのにもいい機会かもしれない。やばいと思ったら逃げればいいんだし。いくら竜でもゼロ戦にはそう簡単に追いつけないだろうからな。まったく、ルイズめ。デルフに感謝しろよ。口が裂けてもそんなこと言わないが。
そんなことを思いつつ私はデルフを持ち、コルベールの研究所へ歩き出した。ルイズももちろんついてくる。
「どこ行くのよ。ゼロセンはこっちじゃないでしょ?」
しかし、疑問があったようだ。まあ、全然別の方向へ行ってるんだから当たり前か。
「ゼロ戦は燃料が無けりゃ飛ばないんだ。だから燃料を取りにいかにといけないだろ」
どうせコルベールなら必要分の燃料ぐらい作っているだろう。作れてなかったら作れてないでいけない理由ができる。
さあ、どっちだろうな?
「うおー、飛びやがった!おもしれえな!」
「すごい……。ほんとに飛んでる!」
ゼロ戦は空を飛んでいた。私は帽子を外し、シエスタの父からもらったゴーグルを身につけている。
ルイズは座席の後ろに乗っていた。本来ならそこには無線機があるのだが、この世界では無用なものであるため、軽量化をかねて取り外していたのだ。
どうやって乗るか疑問に思っていたが、まさかそんな場所に乗るなんて思いもしなかった。
今、空を飛んでいるということはコルベールが燃料を必要分作っていたということだ。喜んでいいのか悲しんでいいのか微妙な気分だ。デルフやルイズほど素直に感動できない。これから戦場へ行くのだから当然だ。本当に大丈夫なんだろうなデルフ?
そんなことを思いながら、ルイズにタルブの村の方角を聞きながら私はゼロ戦をな飛ばし続けた。飛ばし続けると、やがて黒い煙が見えてきた。火事やなんかでよく見られる類の煙だ。おそらく村が燃えているのだろう。
案の定、村は跡形も無く燃えていた。原形を留めている家などここからでは一つも確認出来ない。森も草原も燃え上がりあのとき感じた美しさなど微塵も感じられない。それ見て私は多大な寂しさと一抹の恐怖を感じた。寂しさは失われた風景を思って、恐怖は燃え盛る村を見てだ。
燃え盛る炎とちらほらと見える竜がここが戦場だということを感じさせ恐怖してしまう。隙を見せれば死ぬとわかってしまう。
それでも一抹であるということは、すぐに逃げれるだろうという自身の表れだった。しかし、念を入れさらに高度を上げなるべく敵に見つからないようにする。音で気づかれるだろうが、見つからないようにするのにいき過ぎは無いだろう。
「村が……」
ルイズが悔しさを滲ませた声で呟く。が、そんなことを気にしている時間は無い。さっさとけりをつけなければならない。
そう思っているとき、眼前の雲の隙間から、巨大な船を見つけた。いや、船ではない。もはや戦艦だ。異常に馬鹿でかい戦艦が空に浮かんでいるのだ。
「相棒、あのでかいのが親玉だ。あいつをやりゃあ、戦局が変わるぜ。相棒じゃ無理だけど」
「……無理だ無理。あんなのに勝てるわけが無い。さっさと引き返そう」
しかもその巨大な戦艦よりは小さいものの、やはり戦艦と呼べる船が他にも多く浮かんでいる。何も言えなくなるような威圧感を持つ艦隊だった。
「なに言ってるのよ!今更引き返すなんて!」
ルイズが私の言葉に反発し叫んでくる、五月蠅い!お前はあの艦隊が目に入らないのか!?
「ふざけんな!あんなのに勝てると思ってんのか!無理に決まってんだろ!それに命の危険を感じたら逃げるって言っただろうが!」
「そんなの戦ってみてから決めなさいよ!とにかくあの巨大戦艦に近づけて!」
「無茶言いやがって!前に見た船にも大砲がついてたんだ。戦艦だから当然あれにもついてはずだ。でかさからしてかなりの数ついてるだろうと予測できる。そんなもんにどうやって近づくんだ!」
近づいたら最後、砲撃でバラバラにされてしまう!
「相棒、上か下だ。俺の勘じゃ上だな」
デルフが突然そう呟く。
「こいつをあの船の真上に持っていきな。空じゃ大砲を上に向ける意味なんてねえだろ?そこが死角だ。んで、そこまで行ったらあとは嬢ちゃん次第だ」
「ヨシカゲ!真上よ、あの戦艦の真上まで行って!」
クソッ!デルフめ!余計なこといいやがって!お前が言うと断りづらいんだよ!
嫌々ながら、巨大戦艦へと近づいていく。するとルイズは座席の後ろから隙間をくぐり前に出てきた。なんだ一体!?
そしてルイズは私の前までやってきた。
「なにやってんだ!前が見えない!」
ルイズは私の言葉に反応したのかどうかわからないが開いていた私の間に座った。うざったい!
「相棒、真下から4騎くるぜ」
「ちっ!やっぱりか!」
ついに気づかれたらしい。ここからでは見えないが、デルフの言葉言う通りならしたから4騎竜が来ているのだろう。追いつかれないように全速力で戦艦の上を目指す。
「続いて7騎。右下から上がってくる。左下からも5騎きたな」
「……どうやら引き返すって選択肢が消えたようだなチクショウ!」
「安心しな相棒。この速度ならあいつらは追いつけねえ。真上まで攻められることなくいけるさ」
そんなこと知っても気休めにしかならないが、ありがたく聞き入れとくよ。
そして予想より速く戦艦の真上へつくことができた。さすがゼロ戦、最高時速500㎞を超える速さを持つだけある。
「はええな~おい。これじゃあドラゴンが止まってるみてえだぜ」
デルフの呟きを聞きながらその場で旋回し始める。デルフの予想通り大砲が飛んでくることは無かった。しかし、問題は竜騎兵だ。引き離したとはいえ追ってきている。早くこの場から逃げなければならない。
ルイズに声をかけようとした瞬間、ルイズは突然私の肩に跨り、風防を開け放った。猛烈な勢いで風が吹き込んでくる。ゴーグルをしていなければ目すら開けられないだろう。
「なにをしてるんだ!早く閉めろ!寒い!」
ルイズはそんな私の言葉を無視し、祈祷書に書かれているであろう呪文を詠み上げ始めた。わざわざ防風を開ける意味があるのか?普通に唱えればいいだろうが!
「相棒。右から10騎、前から5騎だ。もうすぐ来るぞ」
ついにきやがったか。
竜の姿がちらほらと見え始める。そしてその多さにゾッとする。勝てるわけがない。あんな大群に勝てるわけが無い!竜に機関砲が利くのか?機銃が利くのか?とても利くようには見えない!
「相棒、あいつらのブレスを浴びるなよ。一瞬で燃えちまうぜ」
竜が近づいて来るに連れてもう一つ見えてくるものがあった。それは竜に乗る人間だった。そうだった、奴らは竜じゃあない。竜騎兵だ。
それなら人間を殺せば竜は統率力を失うはずだ。そう結論をつけた瞬間、一気に急上昇する。そして向かってきていた竜の一群に向かって急降下しながら人間に狙いをつけて機関砲を発射した。
発射した機関砲弾は乗っていた人間をバラバラに引き裂き、竜の翼ももぎ取る。さらに機関砲をうち次々と竜と人間を始末していく。
なんだよ。そこまで強いわけじゃないじゃないか!竜はちゃんとした道具と手段をもって相手をすれば決して叶わない相手じゃない!
それがわかると、竜に対する恐れが無くなり一気に冷静になる。機関砲の弾を心配する余裕すらできたほどだ。
一度の攻撃で6騎も落とすことができた。敵もこちらを恐れてか散会する。これでいい。私の目的は倒すことじゃない。時間稼ぎだ。弾も温存したいしな。
そう思った矢先、私は光に包まれた。
そして光が収まり初めに見えた光景は、燃え盛る艦隊だった。いったい何が起こったんだ!?
「おいおいおいおいおいおいおい!なんだこれは!?なにがどうなってやがる!?」
まさか!自分の肩に乗っている少女の服を掴むとj無理やり引き下ろす。
「きゃっ!」
「ルイズ!お前が、お前がやったのか!?これはお前がやったのか!?これが『虚無』か!?」
「そ、そうよ。あと休ませてくれない?疲れたわ」
ルイズはそう言うと私に寄りかかり目をつぶった。眠ったわけではないだろう。こうして飛んでいる間にも戦艦が次々と地面へ落ちていく。
私は近くに敵がいないことを確認し、学院へ向けゼロ戦を飛ばし始めた。
「デルフリンガー」
「ああそうさ。あれが『エクスプロージョン』さ。ま、あんなでっかいのは一年に一度撃てるか撃てねえかだけどな」
「そうか」
それを聞き私はルイズを殺そうかどうか悩み始めた。あんな力を自分に向けられたらひとたまりも無い。ルイズが自分に使わないとも限らない。
なら使われる前に殺してしまおうか?
そんなことを本気で考えるほど私はルイズに、ルイズの力に恐怖を抱いていた。
「すごい……。ほんとに飛んでる!」
ゼロ戦は空を飛んでいた。私は帽子を外し、シエスタの父からもらったゴーグルを身につけている。
ルイズは座席の後ろに乗っていた。本来ならそこには無線機があるのだが、この世界では無用なものであるため、軽量化をかねて取り外していたのだ。
どうやって乗るか疑問に思っていたが、まさかそんな場所に乗るなんて思いもしなかった。
今、空を飛んでいるということはコルベールが燃料を必要分作っていたということだ。喜んでいいのか悲しんでいいのか微妙な気分だ。デルフやルイズほど素直に感動できない。これから戦場へ行くのだから当然だ。本当に大丈夫なんだろうなデルフ?
そんなことを思いながら、ルイズにタルブの村の方角を聞きながら私はゼロ戦をな飛ばし続けた。飛ばし続けると、やがて黒い煙が見えてきた。火事やなんかでよく見られる類の煙だ。おそらく村が燃えているのだろう。
案の定、村は跡形も無く燃えていた。原形を留めている家などここからでは一つも確認出来ない。森も草原も燃え上がりあのとき感じた美しさなど微塵も感じられない。それ見て私は多大な寂しさと一抹の恐怖を感じた。寂しさは失われた風景を思って、恐怖は燃え盛る村を見てだ。
燃え盛る炎とちらほらと見える竜がここが戦場だということを感じさせ恐怖してしまう。隙を見せれば死ぬとわかってしまう。
それでも一抹であるということは、すぐに逃げれるだろうという自身の表れだった。しかし、念を入れさらに高度を上げなるべく敵に見つからないようにする。音で気づかれるだろうが、見つからないようにするのにいき過ぎは無いだろう。
「村が……」
ルイズが悔しさを滲ませた声で呟く。が、そんなことを気にしている時間は無い。さっさとけりをつけなければならない。
そう思っているとき、眼前の雲の隙間から、巨大な船を見つけた。いや、船ではない。もはや戦艦だ。異常に馬鹿でかい戦艦が空に浮かんでいるのだ。
「相棒、あのでかいのが親玉だ。あいつをやりゃあ、戦局が変わるぜ。相棒じゃ無理だけど」
「……無理だ無理。あんなのに勝てるわけが無い。さっさと引き返そう」
しかもその巨大な戦艦よりは小さいものの、やはり戦艦と呼べる船が他にも多く浮かんでいる。何も言えなくなるような威圧感を持つ艦隊だった。
「なに言ってるのよ!今更引き返すなんて!」
ルイズが私の言葉に反発し叫んでくる、五月蠅い!お前はあの艦隊が目に入らないのか!?
「ふざけんな!あんなのに勝てると思ってんのか!無理に決まってんだろ!それに命の危険を感じたら逃げるって言っただろうが!」
「そんなの戦ってみてから決めなさいよ!とにかくあの巨大戦艦に近づけて!」
「無茶言いやがって!前に見た船にも大砲がついてたんだ。戦艦だから当然あれにもついてはずだ。でかさからしてかなりの数ついてるだろうと予測できる。そんなもんにどうやって近づくんだ!」
近づいたら最後、砲撃でバラバラにされてしまう!
「相棒、上か下だ。俺の勘じゃ上だな」
デルフが突然そう呟く。
「こいつをあの船の真上に持っていきな。空じゃ大砲を上に向ける意味なんてねえだろ?そこが死角だ。んで、そこまで行ったらあとは嬢ちゃん次第だ」
「ヨシカゲ!真上よ、あの戦艦の真上まで行って!」
クソッ!デルフめ!余計なこといいやがって!お前が言うと断りづらいんだよ!
嫌々ながら、巨大戦艦へと近づいていく。するとルイズは座席の後ろから隙間をくぐり前に出てきた。なんだ一体!?
そしてルイズは私の前までやってきた。
「なにやってんだ!前が見えない!」
ルイズは私の言葉に反応したのかどうかわからないが開いていた私の間に座った。うざったい!
「相棒、真下から4騎くるぜ」
「ちっ!やっぱりか!」
ついに気づかれたらしい。ここからでは見えないが、デルフの言葉言う通りならしたから4騎竜が来ているのだろう。追いつかれないように全速力で戦艦の上を目指す。
「続いて7騎。右下から上がってくる。左下からも5騎きたな」
「……どうやら引き返すって選択肢が消えたようだなチクショウ!」
「安心しな相棒。この速度ならあいつらは追いつけねえ。真上まで攻められることなくいけるさ」
そんなこと知っても気休めにしかならないが、ありがたく聞き入れとくよ。
そして予想より速く戦艦の真上へつくことができた。さすがゼロ戦、最高時速500㎞を超える速さを持つだけある。
「はええな~おい。これじゃあドラゴンが止まってるみてえだぜ」
デルフの呟きを聞きながらその場で旋回し始める。デルフの予想通り大砲が飛んでくることは無かった。しかし、問題は竜騎兵だ。引き離したとはいえ追ってきている。早くこの場から逃げなければならない。
ルイズに声をかけようとした瞬間、ルイズは突然私の肩に跨り、風防を開け放った。猛烈な勢いで風が吹き込んでくる。ゴーグルをしていなければ目すら開けられないだろう。
「なにをしてるんだ!早く閉めろ!寒い!」
ルイズはそんな私の言葉を無視し、祈祷書に書かれているであろう呪文を詠み上げ始めた。わざわざ防風を開ける意味があるのか?普通に唱えればいいだろうが!
「相棒。右から10騎、前から5騎だ。もうすぐ来るぞ」
ついにきやがったか。
竜の姿がちらほらと見え始める。そしてその多さにゾッとする。勝てるわけがない。あんな大群に勝てるわけが無い!竜に機関砲が利くのか?機銃が利くのか?とても利くようには見えない!
「相棒、あいつらのブレスを浴びるなよ。一瞬で燃えちまうぜ」
竜が近づいて来るに連れてもう一つ見えてくるものがあった。それは竜に乗る人間だった。そうだった、奴らは竜じゃあない。竜騎兵だ。
それなら人間を殺せば竜は統率力を失うはずだ。そう結論をつけた瞬間、一気に急上昇する。そして向かってきていた竜の一群に向かって急降下しながら人間に狙いをつけて機関砲を発射した。
発射した機関砲弾は乗っていた人間をバラバラに引き裂き、竜の翼ももぎ取る。さらに機関砲をうち次々と竜と人間を始末していく。
なんだよ。そこまで強いわけじゃないじゃないか!竜はちゃんとした道具と手段をもって相手をすれば決して叶わない相手じゃない!
それがわかると、竜に対する恐れが無くなり一気に冷静になる。機関砲の弾を心配する余裕すらできたほどだ。
一度の攻撃で6騎も落とすことができた。敵もこちらを恐れてか散会する。これでいい。私の目的は倒すことじゃない。時間稼ぎだ。弾も温存したいしな。
そう思った矢先、私は光に包まれた。
そして光が収まり初めに見えた光景は、燃え盛る艦隊だった。いったい何が起こったんだ!?
「おいおいおいおいおいおいおい!なんだこれは!?なにがどうなってやがる!?」
まさか!自分の肩に乗っている少女の服を掴むとj無理やり引き下ろす。
「きゃっ!」
「ルイズ!お前が、お前がやったのか!?これはお前がやったのか!?これが『虚無』か!?」
「そ、そうよ。あと休ませてくれない?疲れたわ」
ルイズはそう言うと私に寄りかかり目をつぶった。眠ったわけではないだろう。こうして飛んでいる間にも戦艦が次々と地面へ落ちていく。
私は近くに敵がいないことを確認し、学院へ向けゼロ戦を飛ばし始めた。
「デルフリンガー」
「ああそうさ。あれが『エクスプロージョン』さ。ま、あんなでっかいのは一年に一度撃てるか撃てねえかだけどな」
「そうか」
それを聞き私はルイズを殺そうかどうか悩み始めた。あんな力を自分に向けられたらひとたまりも無い。ルイズが自分に使わないとも限らない。
なら使われる前に殺してしまおうか?
そんなことを本気で考えるほど私はルイズに、ルイズの力に恐怖を抱いていた。