ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ゼロの番鳥-3

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ここは魔法学院にある教室の内の一つ。
ルイズ達は、ここで『土』系統の魔法の講義を受けることになっている。
後ろの壁に様々な使い魔が並んでいる。サラマンダー、ネズミ、モグラ、ヘビ、ドラゴン…
召喚が終わってから初めての授業、本来なら使い魔の見せ合いでかなり騒がしくなるはず。
だが、教室はとても静かだった、ある種の異様な雰囲気に包まれている。

その原因は何故かルイズの傍らに居る使い魔。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ただ立っているだけなのに、周囲に奇妙な威圧感を撒き散らしている
教室の空気がやたらと重い。ルイズの周りの空気は更に重く、隣に居る生徒達は物凄く不幸だった。胃に穴が開くかもしれない
授業が早く終ることを殆どの生徒達が祈っていた
それはルイズも例外では無い、が。
(お腹減った・・・・・・)
早く終わってくれ、と祈る理由は彼女だけ全く別。
寝坊した結果、朝食に間に合わなかった。故にルイズはお腹が空いていた
頭には昼食の事しか無く、ペットショップの威圧感など全く感じていない。ある意味大物である

生徒達が威圧感に苦しみ、ルイズが空きっ腹に苦しんでいる時
「ミス・ヴァリエール、あなたの使い魔ですが・・・・・・何と言うか・・・・・・外に出してもらえないでしょうか?」
空気を掻き乱す雑音が全く無い空間は、教師にとってある意味理想的である
が、担当教師のミス・シュヴルーズは空気の重さに耐えられる程の神経を所有していなかった
とうとう耐えかねて発言した途端、教室に妙な安心感が漂う。しかし。

ギロッ!
ペットショップからガンを飛ばされた!
シュヴルーズの細い神経は千切れる寸前になりかける
口から悲鳴が漏れかけるが、貴族としてのプライドを限界まで使用し何とか抑える。強い女性である。
言い知れぬ敗北感を感じながら、先程の言葉をスルーしてそのまま授業を続けようとする。
だが、彼女の不幸は更に続いた。

「え・・・は、はいミス・シュヴルーズ!な、何でしょうか!?」
テンパったルイズの声
昼食の事で頭がいっぱいいっぱいだった彼女は、シュヴルーズの声を全く聞いていなかったのである!
そんなルイズの顔を苦虫を噛み潰したような目で見るシュヴルーズ。
彼女は『教室から使い魔と一緒に出て行ってください』と伝えたかった・・・・・・本当に伝えたかった!
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
強烈な威圧感に続いて殺気まで放ってくるペットショップがそれを許さない
「え。えーっとミス・ヴァリエール、この石の『錬金』をやってもらいましょうか」
代わりに取り敢えず錬金をやらせようとしたが
彼女がそう口にした途端、教室の生徒の顔が恐怖に染まった。
生徒達はペットショップの威圧感を忘れてシュヴルーズに抗議する!

「先生、ルイズにやらせるのは止めてください!」
「爆発するんですよ、先生!」
「『ゼロのルイズ』に魔法を使わせるなんて『許可』しないで!」

だが、被害に遭ってない彼女は何で生徒達がそんなに怯えるか『理解不能ッ!』
それよりもペットショップが怖い彼女は、とっととルイズに錬金をやらせて授業を終わりにさせたかった。
「皆さん静かに!ミス・ヴァリエール、この石の『錬金』をやってごらんなさい!」
教壇へ向かっていくルイズとペットショップ。
それを見る生徒達は、何故に使い魔がルイズに着いて行くのか?と疑問に思った
しかし今重要な事は疑問を解くより先に、一刻も早く自分の身を守る事!急いで机の下に避難したり、教室から脱出する!

それを尻目に見ながらルイズは杖を掲げて、石の錬金を始めようとする。
彼女は失敗して爆発する事など毛の先ほども考えていなかった。
腹が減って思考力が減退していたのもあったが、サモン・サーヴァントを成功させたのが自信になっていたからである
ペットショップの召喚により間違った自信が付いてしまったルイズ
万全を期して、石に自分の限界を超える勢いで魔力を込めて詠唱を始める
そして――――――――巨大な爆発が起こった。

凄い爆発が起こった、石が、先生が、その他諸々が吹っ飛んじゃった
「・・・・・・・・・ちょっと失敗しちゃったようね」
あはは、と笑って済ませようとしたが、顔の引き攣りを止める事が出来ない。サモン・サーヴァント成功の自信が崩れそうだわ。
と、そこで私は気付いた
「あれ?」
至近距離で爆発が起きたのに、私無事だ。埃一つ付いてない

机の下に避難していたクラスメイトも黒い煙を吐いていたりして無傷じゃないのに。これってどういうこと?
疑問に思った私は周囲を注意深く見てみる、粉々になった石の欠片、気絶した先生、粉々になった―――
「これって氷?」
床に氷が散乱している、誰かが『水』の魔法でも使ったのかしら?
――――思い出した。今朝、滅茶苦茶に粉砕された廊下にも氷が落ちてたわね
それにキュルケが、―廊下の窓や床もアンタの使い魔が滅茶苦茶に―とか何とか言ってたような。ムカツクからあまり思い出したくは無いけど
隣のペットショップを見る・・・・・・こいつも無事ね。となると、こいつが何かやったから私も無事なのかしら?
「この氷出したのってあんた?」
床に落ちている氷を杖で指しながら質問してみる私。だけどペットショップは何か考えてるみたいで私の質問に答えない。ご主人様を無視するとは良い度胸してるわね
・・・・・・・・・まあそんな事は別にいいや、爆発させた罰として教室の後片付けを命じられそうだし、今の内に箒と塵取りをペットショップに持って来させよ。
あぁ、それにしてもお腹減ったなぁ

私は女の言っている事を聞いていた。すると様々な事が分かった
驚くべき事にこの世界には『魔法』があると言う事だ
スタンドとは違い、一つだけでも色々なことができるようだ。
マスターの部屋に侵入した二人の女は新手のスタンド使いかと思ったが、どうやら違うらしい。あの時あの二人が使ったのが『魔法』と言う事か
(何で驚く?)(この世界?)
・・・・・・・・・・・・疑問が浮かぶのはこれで何回目だ?さすがにウンザリする。
考えても分からない事なので、無理矢理疑問を忘却して前を向く。
「え。えーっとミス・ヴァリエール、この石の『錬金』をやってもらいましょうか」
女が何かを言っている。『錬金』。あの石を金属に変えろと言う事か
マスターが立ち上がって前に歩いていく、私もそれに続く。
「先生、ルイズにやらせるのは止めてください!」
「爆発するんですよ、先生!」
「『ゼロのルイズ』に魔法を使わせるなんて『許可』しないで!」
黙っていた奴等が何かを喚いている。『ゼロのルイズ』とは?何をそんなに慌ててるんだ?
そして、マスターが杖を掲げて、何かを唱え始め――――私の本能が警鐘を鳴らした!『危険!』『危険!』『危険!』
理由を考えるより早く!本能が命ずるままにスタンドを使い、マスターと私を氷の盾で包む!

ドグォォォォン!

一瞬後に爆発!
強烈な爆風が急造の氷の盾を粉々にするが、辛うじて私とマスターは無傷だ。
そして『理解』した。なるほど・・・・・・マスターが魔法を使うと爆発するから奴等はあんなに慌てていたのか。
奴等の言動から考えるに、マスターが爆発を起こすのは1度や2度の事では―――――

(違う!)(マスターは!)(マスターの能力は!)(マスターの『スタンド』は!)(『世界』を―――)

「ペットショップ!!!あそこにある塵取りと箒持って来て!」
いきなりのマスターの声に意識が覚醒した。顔を上げるとマスターの怒ったような顔
もう少しで何かを思い出せそうな気がした、が。
自身の思考活動を優先するより先に、マスターの命令を優先させる事が重要だと判断
私は、マスターが杖で指し示す用具入れに向けて飛んで行った

・・・・・・この後、掃除の大部分をペットショップがやらされる事になったのは割と関係無い蛇足である


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