ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

風と虚無の使い魔-20

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匿名ユーザー

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「これがおれの本体のハンサム顔だ!」
文字通り肉壁を開け、自らの顔をさらけ出す。
そこにキュルケとタバサが魔法を放つ。
しかし、その魔法は肉に遮られる。

「『火』も『氷』も無駄なんだよッ!!俺には『弱点』はないんだよォーーッ!!偉そうなガキどもがァーーッ!」
続けてワムウがボディにパンチを叩き込む。
さすがの肉壁も耐え切れないのか、男の顔が少し歪む。

ワムウも驚く。
「ふむ、我が拳を受けて倒れないとは…面白い、実に面白い男だ!」
男は歯軋りをする。
「なめやがって…俺のこの肉は平民にも見えるし、触れもする…おめーらの一部はフーケのを見てるよなァ~~ッ!
そう、これは俺の能力!メイジの特権魔法に加え!新たなる能力、それが『スタンド』!
おめ~らよ~ッ…トリステイン魔法学院の生徒だってなァ~~ッ?あそこの俺は元生徒だったんだが…この俺をよぉ~~~ッ、
問題生徒だとか言って退学にしやがったところなんだよなァ~~、うるせえ上級生をバレないよう足元を俺のスタンド、
『イエローテンパランス』で固めて、ちょっとばかしい痛めつけてやっただけだってのによォ~~…
それはともかく…あそこの品性方正なガキどもを俺の『イエローテンパランス』で痛めつける願いは叶いそうだなぁ~~ッ」

ワムウが先ほど男を殴った拳に肉片がついている。
「教えてやる!それにさわると左手の指にも喰らいつく…片手を食われるか両手を食われるか選びたいなら好きにしな。
嫌なら左手の指は鼻でもほじってるんだな」

ワムウの右手の肉片が嫌な音を立てて蠢く。
「右手を食らってパワーアップしてやるぜェ~~ッ!」
しかし、ワムウは動じない。
「食らうか…面白い、実に面白い…そして、我々に似ている…」
ワムウの左手に肉片が吸い込まれていく。
「食らうのに特化しているだけあって…これだけ小さい肉片すらも食い返すのに少々時間がかかる…
つまり、力押しは無意味だということか…俺にとって強い戦士こそ真理、久々に楽しめそうだ…
あっちのデクの棒は貴様らに任せたぞ」

そう残りに言い、風を纏いだす。
「肉の壁くらいカーズ様の輝彩滑刀ならば真っ二つだろう…名づけるならば輝彩竜巻の流法ッ!」
水蒸気を含ませ、宝石のように光を反射する鋭利な竜巻ッ!

「いいところに目をつけたけどよォ~~刃物対策はもちろんしてあるぜェ~~ッ…エアカッター相手には
まともにやったら怪我だらけになるからなァ~~ッ!」

竜巻は肉の表面を切り裂くだけで、内部までにはいたらない。
「その辺の鉄くずやら木片やら不純物よォ~~肉の中に含ませておけば風の刃くらい受け止められるぜェ~~…
ちょっとやそっとの肉片じゃ効かねぇしよォ~~~その馬鹿力に『万が一』があるかもしれねェ~~…
ここは遠くから『ウェルダン』以上にじっくり焼いてェ~~ッ!俺のイエローテンパランスで食らってやるぜェ~~ッ!」

男は杖を振り巨大な炎の弾を放つ。
その炎の弾に魔法が着弾。爆発し、炎は消し飛ぶ。

「あっちのゴーレムとやらをやれと言ったはずだが?」
ワムウは後ろの杖を構えたルイズとワルドに向かって話す。
「フーケには因縁があるとかいって三人でやるって言って効かないのよ、第一あんたは私の使い魔でしょ?
私を守るのが任務なんだから大人しく協力しなさい」
「戦いに誇りを持っているのはわかるが、これは決闘ではなく任務だ、急がないといけない以上ぐだぐだ言ってる
暇は無い、僕も参戦させてもらうぞ」

ワムウは舌打ちする。
「あの程度の炎の弾、連射でもされない限りかわすのはわけない…そして、俺の再生力ならば一発や二発受けても
別に大したダメージにはならん、打ち消す余裕があるなら精神力を温存しておけ」

「言ってくれるなァ~~、どうやら『ウェルダン』は好みじゃないらしいなァ~~ッ!」
巨大な炎の弾が何発も現れる。
「弾幕だぜェ~~火符ってとこかァ~~ッ…速度を捨てて威力に特化した『ファイヤーボール』とくと味わいな!」

ワムウは隙間を抜け、男の前に突っ込む。
男は杖を肉の中に格納するが、ワムウは構わず殴る。
しかし、今度は男の顔は歪まない。
「あの炎の間を抜けるなら正面しかこれねェよなァ~~…正面に集中すればどんな打撃にだって俺の城は
落とせねぇぜぇ~~…ブヂュルヂュルつぶしてひきずりこみジャムにしてくれるぜェー!」

ワムウはバックステップで肉片をかわす。肉に仕込まれている金属片などで拳から血がしたたる。
「なるほど、なかなか堅牢な砦だ…さて、ここはジョセフならどうするだろうな…」

後ろに下がったところを男は火炎で狙う。
ワムウは大人しく下がり、二人のところへ戻る。

「なかなか厄介だ、少々小細工でも弄してみようと思うが…自慢の隊長殿に聞きたい、
貴殿は風のナイフと炸裂弾と破壊槌であの城を落とすならどうするかな」

ワルドは杖を振り炎の弾の軌道を逸らせながら考え込む。
「ふむ、そうだな…破壊槌で背後から陥れて、兵が出回ったところを正面突破するとするか」

 * * *

キュルケが化粧をしながらフーケに話し掛ける。
「奇遇ですわね、土くれのフーケさん、お世話になったので夏中見舞いでも出そうかと思ってたところで」
「あら、こちらこそ。学校はお休みなのかい?」
「いえ、数日間ミス・ロングビルの喪中休みになる予定で」
「あらそりゃおかしいね…0親等の喪中休みは無期限休業のはずだよッ!」

化粧を終えたキュルケが『ファイヤーボール』を放つのと同時にフーケのゴーレムの拳が街道の地面をえぐる。
ファイヤーボールは届かず、巨大なゴーレムに当たり、消える。

タバサは口笛を吹き、やってきたシルフィードに三人は飛び乗る。
「タバサの分以外は全部燃やしてやるわッ!」
「なあキュルケ、君、最近ガラが悪くなったなぁ……」

上昇しようとするシルフィードにフーケの石礫が飛ぶ。
シルフィードの体をひねってかわそうとするが、ギーシュに巨大な石が当たり真っ逆さまに落ちていく。

「ギーシュッ!」
キュルケが杖を振り、レビテーションで軟着陸させようとする。
「キュルケ、僕のことはいい、その杖はフーケに向けててくれ、お願いだからな」

そのまま落ちていく。
フーケはレビテーションをかけることを予想していたのか、先ほどまでギーシュがいたところに石礫が飛んでいく。
「うおおおおうッ、ワルキューレッ!」

ギーシュは地面に杖を振り、着地地点にワルキューレを出現させる。
フーケは再度そこを狙おうとするが、キュルケ達に魔法を放たれ、防御に時間を割かれ阻まれる。
ギーシュはワルキューレの腕に墜落する。かなりの高度からおちたため、多少軟化してある腕とはいえ、
かなりの痛みを伴う。
キュルケ達は心配で振り返る。

ギーシュはゴーレムの上で親指を立てた後、気を失った。

「…柄にも無い」
ぼそりとタバサが呟く。
「ええ、ギーシュの分もしっかり返してあげないとね、さてどうする?」
「空中なら離れていれば『ジャッジメント』は無意味、トライアングル2人なら勝ち目はある」
「確かに遠距離ならゴーレムに精神力を裂いてる分私たちのほうが有利だけど…埒があかないわね」
「なら開ける、急降下しながら急接近する、攻撃お願い」

シルフィードの高度を上げ、ゴーレムの真上のあたりから様子をうかがう。
フーケは急接近に警戒し、ゴーレムの腕を上げる。
「腕の隙間を抜けれそう?」
「五分五分」
「抜けるだけで五分じゃちょっと採算あわないわね、さてどうしましょうかね」
キュルケは唇に指を当て考える。
「フーケのゴーレムはギーシュのと違ってこの辺の土が詰まってて堅いし…」
そして、なにか思いつく。
「そうよ!いっぱい詰まってるからいいんじゃないの!タバサ、ゴーレムにあなたの氷の矢を突き刺せる?
できるだけ深いほうがいいんだけど」
「やってみる」

シルフィードの距離を一旦離し、胴体に向かって数本の氷の矢を飛ばす。
しかし、表面を覆った鉄がそれを阻む。

「私のゴーレムの自慢はでかいだけじゃないのさ!…さあ、今なら逃げても追わないよ」
「冗談言わないで、おばさん」

タバサは長い詠唱の後、巨大な氷の矢を強力な風圧で飛ばす。
ゴーレムの胴体にそれが突き刺さる。
「なかなか強力な呪文じゃないか、でも穴の一つや二つで崩れるほど私のゴーレムはやわじゃないよ!」

フーケのゴーレムは刺さった氷の表面より外の部分を叩き折り、大きな足取りでこちらへ動き始める。
再び、シルフィードを急上昇させる。

「タバサ、勝負を決めるわよ、首尾よくね」
「了解」

シルフィードが急降下し、フーケの胴体の穴に急接近しようとする。
ゴーレムの拳をギリギリでかわす。
キュルケが穴に向かって杖を振り、タバサが遅れて杖を振る。

そしてなんとか安全な場所に離脱する。

「あら、なかなか無茶なことしたみたいだけど…なにをしたのかわからないわね」
「あら、観察眼が足りないわよ」

変わった事は穴が厚い氷でふさがれているだけであった。
「そろそろ…変化がおこるはずだから」

ゴーレムの穴を塞いだ氷の隙間から蒸気が噴出し、甲高い音をあげる。
「まさかッ!」
「そのまさかよッ!」

ゴーレムの内部に残っていた氷をキュルケの炎が溶かし、蒸発させ水蒸気に変えた。
「氷で逃げ道を一時的にも塞いだら…あとはおわかりよね?」

約1500倍に体積の増えた水蒸気は逃げ場を求める。
フーケは叫ぶ。
「うおおおッ!だが!ゴーレム崩壊は許可しないィィィィィーーーッ」
穴の付近の固定化を解き、ゴーレムの穴を自ら広げる。
「キュルケ、どうするの?」
タバサは予想内の行動であったため動揺せずに、なにか次の一手を尋ねる。
しかし、キュルケは正反対に動揺して笑っていた。
「自分から穴を開けるなんて考えて無かったわ、どうしましょう、タバサ」
後先をあまり考えない親友の言葉にタバサはため息をつく。

しかし、穴の広がるスピードが異常に遅かった。
「錬金して穴を埋めるだけなら、トライアングルにも匹敵すると僕は自負している!」
ギーシュが杖を振り、穴を再度錬金し、蓋をする。
「なんだかよくわからないけど、フーケがやるってことは止めたほうがいいみたいだね」
ボロボロのギーシュが起き上がって穴に向けて杖を向けていた。
「ギーシュ、あんたかっこいいわよ!」
シルフィードがフーケの目の前に上昇する。
「さあ、選びなさい、私たちの魔法を食らうか、それともゴーレムが崩壊したところをボコボコにされるか」
魔法は同時に二つは唱えられない。
錬金をすれば二人の攻撃を受け、迎撃すればゴーレムが崩れ落ちる。
「こ、氷の矢で攻撃するの?」
「いいえ、違うわ」
「じゃあ炎の球で攻撃するの?」
「それも違うわ」
「もしかして、両方ですかァーーッ!」
「イエス!イエス!イエス!」

「それだけはお断りだね!」

キュルケは錬金を諦め、ゴーレムの拳を振るう。
しかし、シルフィードに拳が届く前に、ゴーレムは崩れ落ちた。

大きな土ぼこりが舞い、周りの温度と湿度があがる。
その中に残っている影、フーケに全員が杖を向ける。
「再起不能くらいにはなって貰うわよ」

キュルケが魔法を放とうとしたとき、そのフーケは崩れ落ちた。

「…あの土人形?」
「逃げられた」
「まあいいさ、追い払ったのは事実だ」
三人はワルド達の所へ戻っていく。

 * * *

肉壁を操る男の背後に透明なワムウが潜む。
正面からは風の刃と爆発が男を襲うが、肉の壁を越えれない。
「このままよォ~~ッ…『海をまっぷたつにさいて紅海を渡ったっつうモーゼ』のように……
おめーらの魔法を突破しておめーら全員ブヂュルブヂュル引きずりこんでジャムにしてくれるぜェ~~ッ!」

前に肉壁の盾をつくり、ゆっくりと進んでくる。
そこを潜んだワムウが攻撃しようとし、纏った水蒸気を払いのけ、腕を振り上げる。

しかし、その拳は届かなかった。
ワルドの放った風の刃が運悪くワムウに飛び、ワムウは身を守るのに一瞬時間を使うのを余儀なくされた。
「いつからいたのかしらねぇけどよォ~…もうちょこまかと避けさせやしないぜ…横も後ろも全封鎖だッ!」
縦に炎の弾を、横に広げたイエローテンパランスを。
しかし、ワムウは闘いの天才であった、
難なく大きくジャンプしてかわし、ルイズの横に立つ。

「すまない、君の姿が直前まで見えなかったから当たってしまった」
ワルドが謝るがワムウは別に気にした風もない。
「さて、どうする子爵。俺の風のプロテクターは所詮は水蒸気、一度手品を見せた以上適当に炎をばらまかれれば
軽く吹っ飛ぶ。策がもうないなら、今度は俺の話を聞いてもらおうか」

ワムウは話す。
「な…君は正気か?」
「お前の風程度で狂うほど弱くは無い」
「なんだって?スクウェアの風が弱くないだと?」
「風の流法の使い手だ、生きている風、死んでいる風くらいはわかる…貴様の風は死んでいる」
「ちょっとワムウ!なにわけのわからないこといってるの!やめなさいよ!」
「こんな侮辱は初めてだぞ、ワムウ」
険悪な雰囲気になる。

「いいだろう、君の作戦に僕たちは必要ないだろう、お手並み拝見といかせて貰おう」
ワルドはルイズを抱え、フライで飛びそこを離脱する。
「ワルド様、放してください!」
ルイズはもがき、男に魔法を放ちつづける。

ワムウはゆらめく炎の中、男に突っ込む。
「とうとう俺に食われる覚悟ができたかァ~~ッ!このタマナシヘナチンがァーーーーっ!」
「…わかったんでな」
「あ?」

ワムウは竜巻を発生させながら、男の目の前で構える。
発生させた竜巻はことごとこ男の肉の壁で打ち消される。

ワムウは左腕を関節ごと右回転させる。そして右腕もひじの関節ごと左回転!
そのふたつの拳の間に生じる真空状態の圧倒的破壊空間はまさに歯車的砂嵐の小宇宙と竜巻が男の肉の壁に
当たり続ける。
「俺のスタンド相手に力押しだとォ~~ッ!てめーの力がいくら強かろーがこの『イエローテンパランス』
の前には無駄だッ!俺を倒すことはできねーし、その両手は今も俺の肉片が食らいつづけているぜ!
ドゥーユゥーアンダスタンンンンドゥ!」

しかし、男のスタンドが次第にはがれ始める。
「な、なんだと…」
「わかったと言ったはずだ…」

とうとう、ほとんどの肉の壁ははがれる。
「ヒィィイイイイ~~ッ!」

ワムウは再度両腕を回転させ始める。
「闘技…神砂嵐!」

ほとんど露出した男の肉体に直撃し、男は断末魔を上げる。
男は吹っ飛び、ボロ雑巾のように地面に転がった。

「わかったのだ…策を弄するのはジョセフに任せるとしよう…俺はワムウ、風の使い魔ワムウだ」


イエローテンパランスの男…死亡
フーケ…再起可能

To be continued.


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