「それはまた・・・・・・大変でしたね」
任務から戻った使い魔へ、教皇エイジス三十二世は、そう労いの言葉を掛けた。
友人の疲れきった顔を見ていたら、申し訳ない気持になったのだ。
少し焦りすぎたとの思いがある。
友人の疲れきった顔を見ていたら、申し訳ない気持になったのだ。
少し焦りすぎたとの思いがある。
「ああ、まずいことになった。・・・・・・我々のことを知られてしまった――――問題になるのではないか?」
「いえ、それほどの事は無いでしょう。捕らわれたわけでもありませんからね。知らぬ存ぜぬで通しましょう」
青年は顔色も変えない。
この楽観には理由がある。
というのも、トリステインを切り盛りしている宰相マザリーニは、このロマリアの出なのだ。
故に、トリステインはロマリアに強く出ることが出来ない。
マザリーニへの風当たりは強くなるかもしれないが、その程度のことに動じる漢でもないだろう。
なにしろ、あの暢気な連中を率いて、ゲルマニアやガリアの悪党どもとこれまで渡り合ってきたのだから。
この楽観には理由がある。
というのも、トリステインを切り盛りしている宰相マザリーニは、このロマリアの出なのだ。
故に、トリステインはロマリアに強く出ることが出来ない。
マザリーニへの風当たりは強くなるかもしれないが、その程度のことに動じる漢でもないだろう。
なにしろ、あの暢気な連中を率いて、ゲルマニアやガリアの悪党どもとこれまで渡り合ってきたのだから。
「・・・・・・ですから、もうそのあたりでジュリオを許してやってはくれませんか」
ジュリオの形の良い頭部を、握りつぶさんばかりだったホワイトスネイクが、不意に力を抜いた。
ヴィットーリオにはスタンドは見えない。
しかし、ジュリオの様子からおおよそのことは分かる。
それまで何かに宙吊りにされていたジュリオが、地面に落下したのを見て微笑んだ。
涙を浮かべた若者へ下がるように伝える
ヴィットーリオにはスタンドは見えない。
しかし、ジュリオの様子からおおよそのことは分かる。
それまで何かに宙吊りにされていたジュリオが、地面に落下したのを見て微笑んだ。
涙を浮かべた若者へ下がるように伝える
「ありがとうございます。・・・・・・しかし、トリステインは・・・・・・難しいでしょうか」
憂い顔すら美しい教皇の質問へ、プッチは答えた。
「わたしはそう思う。ジョースターがわたしに協力することはないだろう」
「ジョースター・・・・・・かなり手強いのですね?」
使い魔の能力に自信を持っていた彼にとって、今回の事はいささか衝撃的だった。
それが、多勢に無勢とはいえ、まるで良いところがなく一方的に叩きのめされたというのだ。
不安を覚えるのも当然とはいえる。
それが、多勢に無勢とはいえ、まるで良いところがなく一方的に叩きのめされたというのだ。
不安を覚えるのも当然とはいえる。
「戦っても勝てない、少なくとも正面からは」
十度戦えば十度負けるだろう、と率直に言う。
それほどの力の差があった。
それほどの力の差があった。
「特に承太郎。帽子の男に戦いを挑むのは自殺に等しい。可能であれば罠に誘い込むべきだ」
「可能であれば」
「そう、可能な限り。しかし、難しいだろう」
それを聞いてヴィットーリオの眉が上がった。
「何故です?」
「わたしの存在を知られてしまったからな。これからは警戒されるだろう」
プッチはつまらなそうに答える。
何か、別のことを考えているのだとヴィットーリオには分かった。
身を乗り出して尋ねる。
何か、別のことを考えているのだとヴィットーリオには分かった。
身を乗り出して尋ねる。
「それで、どうすれば良いのでしょう」
「どうすれば良いと思う?」
逆に問い返されて考え込んだ。
「・・・・・・分かりません。しかし、虚無の担い手を敵に回すわけにはいきません。何とかしなければ」
「それだ」
「えっ?」
ヴィットーリオは聞き返した。
一体何だというのか。
静かに続きの言葉を待つ。
一体何だというのか。
静かに続きの言葉を待つ。
「我々の相手は、使い魔では無くその主だよ」
「・・・・・・なるほど。そもそも、我々の目的はあくまで虚無にあったのですからね。」
ヴィットーリオは、自分がスタンドという異能に幻惑されて、当初の目的を見失っていたことに気付いた。
優先するべきは使い魔では無くその主で、彼らはトリステインの貴族の子弟だ。
もっとも、タバサだけはトリステインの出ではない。
彼はまだそれを知らなかった。
優先するべきは使い魔では無くその主で、彼らはトリステインの貴族の子弟だ。
もっとも、タバサだけはトリステインの出ではない。
彼はまだそれを知らなかった。
「と、なると・・・・・・枢機卿へ働きかけるべきでしょうか」
マザリーニを通じて四人の見習い貴族達を掌握する。
教皇の構想に対し、プッチは即答はしなかった。
教皇の構想に対し、プッチは即答はしなかった。
「いや・・・・・・我々の狙いに気付かれても面倒だ」
マザリーニが虚無の存在に気付けば、むざむざとロマリアへ渡そうとはするまい。
むしろマザリーニを排除して・・・・・・駄目か。
彼は、ロマリアにとって都合の良い存在でもある。
むしろマザリーニを排除して・・・・・・駄目か。
彼は、ロマリアにとって都合の良い存在でもある。
「トリステインを、我々に従う他無い状況へ追い込むことが出来ればな」
「・・・・・・まあ、担い手が今すぐ我々と敵対することは無い、ということは分かりましたね」
そんなにすぐに名案が浮かべば苦労は無い。
ヴィットーリオは気分を変えることにした。
ヴィットーリオは気分を変えることにした。
「ところで、ガリアの件なのですが・・・・・・ああ、これです」
羊皮紙に目を通したプッチが唇を吊り上げた。
笑っているように見えないこともない。
やはり。
ヴィットーリオは思った。
この友人は何かに気付いている。
笑っているように見えないこともない。
やはり。
ヴィットーリオは思った。
この友人は何かに気付いている。
「それで、彼は何者なのです」
教皇の声は詰問するように、少しだけ強かった。
「大したことじゃあない。この使い魔・・・・・・そう、使い魔なんだろうな・・・・・・わたしはこの男を知っている」
「・・・・・・本当ですか」
「本当さ」
馬鹿馬鹿しい、といった面持ちでプッチは言った。
「この男はわたしの弟さ」