ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第三話(19) 過去からの復讐人形

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 第四話(19) 過去からの復讐人形

ここはシルフィードの背中の上。
ラグドリアン湖の付近にあるタバサの実家から、
仇であるガリア王ジョゼフのいるヴェルサルテイル宮殿に向かっているところである。
そこで二人は、宮殿についてからのことを再度確認をしている。
特にその中で行動として重要な、復讐の前に王位を継承すること。
初めのうち、タバサはジョゼフを殺害して、王座を奪うものだと思っていた。
しかし、打ち合わせの内容を聞いて、それはジョゼフから正当な手順を踏んでの継承であることを認識した。
ただその具体的方法をプッチは話さない。
タバサは、あの伯父王が自分に王位を継承させることは、
普通に考えてありえないことではあると思ったが、何らかの方法があるのだろうと口を挟まなかった。
けれどもそのことに、表情にあらわれない程度に少しばかり落胆した。
なぜなら、その様なことをすれば、復讐はその分だけ遅くなる。
母が元の母に戻り、後は父の仇をとるだけであると、そしてそれは協力者によって早く、
加えて確実に成すことができるのであると、
なんともいえない心中で心待ちにしていたタバサにとって、少しばかりそれが遅くなるということは、
せっかくのチャンスが遠ざかって、
そのまま消えてしまうようにも感じられたからである。
だからといって取り乱したりするタバサではない。
どちらにしろ、実際は遠くない未来に確実に復讐は達成されるのだ。
また、タバサは国内のことも考えさせられた。
タバサ自身、復讐に関して頭がいっぱいで、王座につくということを、復讐を成功させるための、
プッチの計画を手伝うという条件の一部であり、過程としてしか考えが及んでいなかった。
千載一遇のチャンスに、いつもの冷静さがほんの少しかけていたとしか、言いようがない。
いくら王座につこうとも、国内が混乱していたのでは計画の協力も100%できるとも限らなくなるからだ。
それにジョゼフ派の人間によりどのような妨害をうけるかはわかったもんじゃあない。
だからこその正当な継承なのである。そのことをタバサはプッチに諭された。


一方、ジョゼフは悩んでいた。
あのアンリエッタが率先して神聖アルビオン帝国を承認したばかりか、
予期しない状況でのゲルマニア皇帝との婚約の破棄、
それに伴った女王への即位等、全く予想だにしなかった出来事が立て続けに起こったからである。
しかもそれだけでなく、貴族派とともに王党派狩りに乗り出したのだ。
何が何だか全くもって意味不明。
当のジョゼフの予想及び計画ではこうなっていた。
諸外国が神聖アルビオン帝国を仕方なく承認し、不可侵条約を締結する。
その後、アルビオンによる条約破りのトリステイン侵攻に対し、
アンリエッタが先頭をきって指揮をとり、アルビオンと戦争が開始される。
しかしそれは完全に外れたのだ。
また、シェフィールドを通してわかるアルビオンの現状をみても、
ジョゼフの意に反した行動は何一つ行われていない。
知る限りではクロムウェルも相変わらず掌で踊らされ続けている。
よって、予想及び計画が外れることはありえないことであるはずであった。
寧ろその為に、尚更ジョゼフを悩ませる種になるのであったが。


その頃、宮殿に到着していたタバサとプッチは、すれ違う衛兵やメイジ達の視聴覚や記憶等を抜き取り、
誰にも気付かれず着実にジョゼフが現在いるところにまで向かっていた。
そしてメイジ達の記憶から探った、ジョゼフがいるとする場所に入ろうとした瞬間、
そこからちょうど女性が退出しようとしていた。
モリエール夫人だ。
モリエール夫人はその侵入者に気づき、反射的に声を出そうとするが、
扉の奥に引っ張られて、そのままDISCを抜かれてしまう。
それにジョゼフは反応した。
「何奴だ!」
杖を持って立ち上がり、その扉に向きなおる。
そこで扉からタバサが出てくる。
ジョゼフは遂に業を煮やして復讐にきたか、とそう思う。
そして声を出そう、という、その瞬間に出てきたもう一人の人物の姿をみて、
言おうと思っていたのとは別の言葉を紡いでしまう。
「貴様は処刑されたはずの……」
それはプッチである。
次の瞬間、ホワイトスネイクによって投げられたDISCが突き刺さり、
ジョゼフは気が遠退いていった。


時はFFが召喚されるよりも前。
ジョゼフが自分の部屋に戻ると一人の男が倒れている。
ジョゼフが目に見えない何かに惹かれるようにその男に近づくと、
男は急に目をひらき、ジョゼフに向けて手をつきだす。
「おい!衛兵!!」
咄嗟にジョゼフは衛兵を呼ぶが、
その瞬間に男の腕から出てきた見えない何かによって記憶のDISCを抜かれてしまう。
「ここは……いったい!?」
その男、プッチは、そのままそのDISCを自らの頭に突き刺す。
すると様々な情報が流れてくる。
ここが地球ではない、ハルケギニアという大陸の、ガリア王国の宮殿で、
目の前の男は暗愚を演じているその国の王であるということ。
加えて虚無についての情報及び自身が虚無の担い手であるということ。
様々な情報をプッチは読み取っていき、
最後にこの王が衛兵を呼んだことを理解するとDISCをもとの頭に戻した。
衛兵たちを始末したり、逃げたりすることは不可能ではないと考えたが、少なくとも相手は王で、
ここが宮殿であることを考えると、いろいろと騒ぎを大きくすると後々動きにくくなるであろう、
と考えて、その場に立ち止まった。
「何事ですか!!」
その十分ともいえるタイミングで衛兵たちが入ってくる。
そこに広がる光景は倒れている王と、その傍らで立ち尽くしている見慣れぬ男が一人いる。
「貴様ぁ!そんなところで何をしているッ!」
衛兵たちはすかさず男を拘束し、部屋から引きずりだしていく。
その間、プッチは現在自分に対して行われている事ではなく、
数々の疑問の幾つかに考えをめぐらせていた。
一つは、無意識に使ったスタンドが、
メイド・イン・ヘブンではなくホワイトスネイクに戻っているという点について。
これについては、エンポリオにケープ・カナベラル以前に倒されたことが原因だろう、と仮定した。
もう一つは、この地球ではないハルケギニアなるところに飛ばされたことについて。
こちらは、この地で天国に到達せよという、主の思し召しだと考えた。
最後に、天国への到達方法。
この世界にDIOの骨が飛ばされているかは不明である。
だから捜してみようとも思った。
けれども、そうでない場合も頭に入れておかなくてはならない。
もし飛ばされていなかったら……。
この世界にも、他の代用になりうるものが存在するに違いない。それを利用する。
そうでなければ天国に到達することが不可能だからだ。
それは信仰のなせるものなのだろうか。
確実に代用があるであろうと心のどこかで確信していた。
プッチは頭の中の、先程の"愚王"から仕入れた情報に総ての思考をめぐらせた。
主は、私を天国に到達させるためにこちらにとばしたのだ。ジョースターのいないこの地に。
だから必ず何かを用意してくださっているはず。
そして考えの行き着いた先は、代用となるもの、それはつまり神聖なもの。
神聖なものは自分を押し上げて、天国に到達させてくれる。
この地で神聖なるものはブリミル。
そしてその力である虚無!
つまり虚無の能力であるそのDISCが、天国に導いてくれるだろうと。
しかし、ジョゼフの記憶を読み込んだとき、彼は伝説の使い魔のうち一体しか得ていなかった。
要は虚無は分散して、伝説の使い魔四体がそれぞれの虚無の主人を持っていることを推測した。
虚無は王家の血を引くものの中から現れる。
ただ、何回も王宮やそれに準ずるようなところに進入するのは、非常に骨の折れることである。
しかも、今すぐ抜き取ることのできるであろうジョゼフが現在いるところは、ヴェルサルテイル宮殿。
こんなところで何か罪を犯したら、虚無を手に入れるどころか、
虚無を捜すために各国の王族等に近づくことも困難になってしまう。
だから、この封建的な世界の仕組みと政情をうまく利用して、ことをなそうと決心した。
程なくして、プッチは地下牢に叩き込まれる。
こんなところを抜け出すことはプッチにとっては容易いことだ。
加えて、先程の思考の時間に罪を犯さずして逃げ出す方法も考えてある。
「ホワイトスネイク!私にDISCをッ!!」
ホワイトスネイクが即座にDISCを出し、
去っていこうとする衛兵二人の頭に投げて突き刺す。
すると衛兵の一人は先程閉めたばかりの牢の鍵を開き、もう一人は自害した。
「な、何なんだァァァァァ!!」
「ヒェェェッェェェェ!!!」
突然の意味不明の出来事に他の囚人たちが騒ぎ出す。
だが、その周りの雑音を気にもせず、鍵を開けた衛兵がそのまま、自害した衛兵の首を落とした。
この行為に他の囚人たちは更に混乱を強めていく。
そこでプッチは漸く牢から出ると、
液状化したホワイトスネイクの能力を地下牢全体に発動させる。
そして目的を達し、プッチは地下牢から去っていくのだった。
このあとジョゼフに伝達が来る。
先程侵入した男が、牢屋の手前で暴れたので、已むを得ず衛兵が処刑したと……。


宮殿から去って再び戻るまでに、他にもいろいろなことがあったのだが、それはまた別の項で語られるとして、とにかく現在に至る。
そして今、王都リュティスを中心に、あることが騒がれている。
現王の弟オルレアン公の忘れ形見、シャルロットが、愚王ジョゼフから王位を継承すると言う話だ。
近々式典も行われるらしい。
お偉い方々が他国からも祝いに来るという。
この話が民衆に騒がれている裏で、プッチがどのような動きをしているのかは、誰も知るよしも知られるよしもないのであった。

to be continued…

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