「説明してもらうわっ!!」
山岸由花子は開口一番に叫んだ。
ここは杜王グランドホテルの一室である。
「やれやれ・・・ノックをすればこちらから開けるってのに。」
空条承太郎は般若のごとき形相で睨みつけてくる由花子を前に、溜息をついた。
山岸由花子は、制止するホテルマンたちを(文字通り)ちぎっては投げ、ちぎっては投げ、『ラブ・デラックス』で部屋の鍵を無理矢理に開けて入ってきたのだ。
「用件は大体見当がつくがな。」
「当然、康一くんのことよ!」
由花子は承太郎に詰め寄った。
「イタリアにいった康一くんからの連絡が、四日前から途絶えたわ。一日一回は連絡するっていっていたのに!そして帰国予定日になっても帰ってこないの!」
「これってどういうわけかしら。康一くんは責任感のある人よ。予定を曲げてわたしに心配をかけるようなことをする人じゃない!なにかあったのよ!」
由花子は拳を握り締めた。
「もし、康一くんに何かがあったら、あんたを絶対に殺してやるわッ!」
由花子の髪がざわめく。
象でも気絶しそうな殺気のなかで、承太郎は静かに口を開いた。
「康一くんは無事だ。」
「・・・なんであんたにわかるのよっ。」
由花子が眉をひそめた。
「康一くんに何かがあったのではないかとは、俺も思っていた。こちらへの連絡も途絶えていたからな・・・。だから康一くんがどうしているか調べることにした。」
「だからどうやってよ!!」
「ジジイ――ジョセフ・ジョースター――に『ハーミット・パープル』で『念写』をさせた。ジジイは電話口で言った、『康一くんは無事だ』とな。そして・・・」
承太郎は一通の手紙を出して見せた。切手も印鑑もあて先すら書いてない手紙である。
「これがさっきSW財団の特別便で届いたばかりの、念写した写真だ。ジジイは、『写真を見ればわかる』といった。ちょうどこれから開けるところでな。」
というと、ペーパーナイフで手紙の上部を切り、写真を取り出した。
「こ・・・これは・・・!」
承太郎はその写真を見た瞬間に冷や汗を流した。
「(ま、まずいぜ・・・『これ』をこいつに見せるわけには・・・!)」
写真を見たまま固まってしまった承太郎に、由花子が痺れを切らす。
「ねぇ。何が写ってるの?わたしにも見せて!」
承太郎は沈黙したまま答えない。
ようやっと、重い口を開く。
「・・・この写真は俺が預かる。見ないほうがいい。」
由花子は目を見開いた。
「どういうこと!?まさか康一くんの身に何かあったわけ!?見せて!」
「康一くんは無事だ。安心しろ。だが、君がこの写真を見る必要は・・・」
「いいから見せろって言ってんのよこのウスラボゲッ!!!」
由花子は承太郎の手から写真をひったくった。
承太郎は早くも二度目の溜息をついた。
山岸由花子は開口一番に叫んだ。
ここは杜王グランドホテルの一室である。
「やれやれ・・・ノックをすればこちらから開けるってのに。」
空条承太郎は般若のごとき形相で睨みつけてくる由花子を前に、溜息をついた。
山岸由花子は、制止するホテルマンたちを(文字通り)ちぎっては投げ、ちぎっては投げ、『ラブ・デラックス』で部屋の鍵を無理矢理に開けて入ってきたのだ。
「用件は大体見当がつくがな。」
「当然、康一くんのことよ!」
由花子は承太郎に詰め寄った。
「イタリアにいった康一くんからの連絡が、四日前から途絶えたわ。一日一回は連絡するっていっていたのに!そして帰国予定日になっても帰ってこないの!」
「これってどういうわけかしら。康一くんは責任感のある人よ。予定を曲げてわたしに心配をかけるようなことをする人じゃない!なにかあったのよ!」
由花子は拳を握り締めた。
「もし、康一くんに何かがあったら、あんたを絶対に殺してやるわッ!」
由花子の髪がざわめく。
象でも気絶しそうな殺気のなかで、承太郎は静かに口を開いた。
「康一くんは無事だ。」
「・・・なんであんたにわかるのよっ。」
由花子が眉をひそめた。
「康一くんに何かがあったのではないかとは、俺も思っていた。こちらへの連絡も途絶えていたからな・・・。だから康一くんがどうしているか調べることにした。」
「だからどうやってよ!!」
「ジジイ――ジョセフ・ジョースター――に『ハーミット・パープル』で『念写』をさせた。ジジイは電話口で言った、『康一くんは無事だ』とな。そして・・・」
承太郎は一通の手紙を出して見せた。切手も印鑑もあて先すら書いてない手紙である。
「これがさっきSW財団の特別便で届いたばかりの、念写した写真だ。ジジイは、『写真を見ればわかる』といった。ちょうどこれから開けるところでな。」
というと、ペーパーナイフで手紙の上部を切り、写真を取り出した。
「こ・・・これは・・・!」
承太郎はその写真を見た瞬間に冷や汗を流した。
「(ま、まずいぜ・・・『これ』をこいつに見せるわけには・・・!)」
写真を見たまま固まってしまった承太郎に、由花子が痺れを切らす。
「ねぇ。何が写ってるの?わたしにも見せて!」
承太郎は沈黙したまま答えない。
ようやっと、重い口を開く。
「・・・この写真は俺が預かる。見ないほうがいい。」
由花子は目を見開いた。
「どういうこと!?まさか康一くんの身に何かあったわけ!?見せて!」
「康一くんは無事だ。安心しろ。だが、君がこの写真を見る必要は・・・」
「いいから見せろって言ってんのよこのウスラボゲッ!!!」
由花子は承太郎の手から写真をひったくった。
承太郎は早くも二度目の溜息をついた。
なるほど。康一くんは確かに無事である。
写真の康一くんは、ベッドに寝そべる、胸の大きな赤髪の美女に抱きしめられていた。
そしてその腕を、ピンクブロンドの美少女が引っ張っている。
二人とも、康一くんを渡すまいという気持ちが一目で見て取れる。
状況を見たまま一言で説明するならば、『修羅場』の写真なのだった。
写真の康一くんは、ベッドに寝そべる、胸の大きな赤髪の美女に抱きしめられていた。
そしてその腕を、ピンクブロンドの美少女が引っ張っている。
二人とも、康一くんを渡すまいという気持ちが一目で見て取れる。
状況を見たまま一言で説明するならば、『修羅場』の写真なのだった。
承太郎は写真を見つめたまま微動だにしない由花子を置いて、部屋を出た。
廊下では、ホテルの支配人が心配そうにしながら様子を伺っていた。
「部屋の修理費用はスピードワゴン財団に請求してくれ。」
承太郎はそれだけを言った。
ふと気づいて、封筒を逆さに振った。
封筒の中には、小さなメモが入っていた。
『康一くんもやるもんじゃ!!しかしこの写真、由花子くんには見せないほうがいいのぉ。』
「ジジイ・・・。そういうことは先に言え!」
承太郎は支配人を連れてそこを離れた。
「やれやれだぜ・・・」
それが合図だったのだろうか。
300キロはある巨大なベッドが、頑丈なホテルの扉を爆音と共にぶち破った。
廊下では、ホテルの支配人が心配そうにしながら様子を伺っていた。
「部屋の修理費用はスピードワゴン財団に請求してくれ。」
承太郎はそれだけを言った。
ふと気づいて、封筒を逆さに振った。
封筒の中には、小さなメモが入っていた。
『康一くんもやるもんじゃ!!しかしこの写真、由花子くんには見せないほうがいいのぉ。』
「ジジイ・・・。そういうことは先に言え!」
承太郎は支配人を連れてそこを離れた。
「やれやれだぜ・・・」
それが合図だったのだろうか。
300キロはある巨大なベッドが、頑丈なホテルの扉を爆音と共にぶち破った。