ディオは追い詰められていた。――いや、機を伺っていたという方が正しいだろう。
酒を飲んでは暴れ回る父、ダリオを毒殺して七年間、生前ダリオが恩を売っていたジョースター卿の
養子となったディオはジョースター家の財産を乗っ取って世界一の男となるため、卿に気に入られるように
努める一方で卿の一人息子ジョナサンを徹底的に追い詰めて堕落させようとした。
しかしジョナサンは持ち前の前向きでどんな事にも諦めない性格により太く逞しく成長した。
だがディオは計画を変更し、ジョースター卿にダリオと同じく遅効性の毒を飲ませて殺害を謀る一方
『石仮面』と呼ばれる謎の仮面によってジョナサンを闇に葬ろうと考えたのだ。
しかし偶然見つけたダリオの手紙によりダリオの病状と父のそれとが同じ事に気づいたジョナサンは
ディオの陰謀を未然に防ぎ、毒薬の入手元である中国人を捕らえて動かぬ証拠を握ると、何も知らないディオが
ジョースター邸に帰ってきたところを警官隊で包囲したのである!
酒を飲んでは暴れ回る父、ダリオを毒殺して七年間、生前ダリオが恩を売っていたジョースター卿の
養子となったディオはジョースター家の財産を乗っ取って世界一の男となるため、卿に気に入られるように
努める一方で卿の一人息子ジョナサンを徹底的に追い詰めて堕落させようとした。
しかしジョナサンは持ち前の前向きでどんな事にも諦めない性格により太く逞しく成長した。
だがディオは計画を変更し、ジョースター卿にダリオと同じく遅効性の毒を飲ませて殺害を謀る一方
『石仮面』と呼ばれる謎の仮面によってジョナサンを闇に葬ろうと考えたのだ。
しかし偶然見つけたダリオの手紙によりダリオの病状と父のそれとが同じ事に気づいたジョナサンは
ディオの陰謀を未然に防ぎ、毒薬の入手元である中国人を捕らえて動かぬ証拠を握ると、何も知らないディオが
ジョースター邸に帰ってきたところを警官隊で包囲したのである!
ジョジョの奇妙な冒険 第11話 人間を超越する!
「ディオ、話はすべて聞いたよ 残念で…ならない…君のおとうさんは命の恩人…そして君には
息子と同じくらいの愛情と期待をこめたつもりだったが…寝室に行って休むよ…
息子がつかまるのを見たくはない…」
ジョースター卿は深い悲しみに包まれていた。いくら自分を毒殺しようとしたとはいえ実の息子のように
可愛がっていたディオが捕まるのを卿は見るに忍びなかったのだ。
「ジョジョ…逮捕されるよ…だがせめて君の手で手錠をかけてほしい7年間のつきあいで…
わがままを言わしてもらえれば肩をケガしているんだ…きつくしめないでくれ」
ディオが哀れな声でジョナサンに語りかける。ゆれる蝋燭の明かりでその顔ははっきりとはわからない。
だがその声はジョナサンに哀れみの心を呼び起こすには十分だった。
「わかった…僕が手錠をかけよう!」
正直ディオはいけすかない奴だった。彼がジョースター家にやって来て以来ジョナサンは常にディオの嫌がらせに遭い
最後まで友情を感じる事ができなかった。でもディオは同時に七年間共に過ごした兄弟だった。
その最後の頼みを無下にする事はとてもできない…。
息子と同じくらいの愛情と期待をこめたつもりだったが…寝室に行って休むよ…
息子がつかまるのを見たくはない…」
ジョースター卿は深い悲しみに包まれていた。いくら自分を毒殺しようとしたとはいえ実の息子のように
可愛がっていたディオが捕まるのを卿は見るに忍びなかったのだ。
「ジョジョ…逮捕されるよ…だがせめて君の手で手錠をかけてほしい7年間のつきあいで…
わがままを言わしてもらえれば肩をケガしているんだ…きつくしめないでくれ」
ディオが哀れな声でジョナサンに語りかける。ゆれる蝋燭の明かりでその顔ははっきりとはわからない。
だがその声はジョナサンに哀れみの心を呼び起こすには十分だった。
「わかった…僕が手錠をかけよう!」
正直ディオはいけすかない奴だった。彼がジョースター家にやって来て以来ジョナサンは常にディオの嫌がらせに遭い
最後まで友情を感じる事ができなかった。でもディオは同時に七年間共に過ごした兄弟だった。
その最後の頼みを無下にする事はとてもできない…。
ジョナサンは甘い男だった。もう少し冷たい思考を持った人物なら気がついただろう。
あのディオにしては往生際が良すぎるという事に…。七年間共に暮らした男の真意に気づけなかったジョナサンは甘かった。
「ジョジョ…人間ってのは能力に限界があるなあ」
手錠を持って近づいたジョジョの目にディオの顔が写る。それは明らかに観念した顔ではなかった。
そう、例えるならば目の前に馬鹿な蛙が跳びだしてきたのを見つけた蛇のような顔――
あのディオにしては往生際が良すぎるという事に…。七年間共に暮らした男の真意に気づけなかったジョナサンは甘かった。
「ジョジョ…人間ってのは能力に限界があるなあ」
手錠を持って近づいたジョジョの目にディオの顔が写る。それは明らかに観念した顔ではなかった。
そう、例えるならば目の前に馬鹿な蛙が跳びだしてきたのを見つけた蛇のような顔――
「おれが短い人生で学んだことは…人間は策を弄すれば弄するほど予期せぬ事態で
策がくずれさるってことだ!…人間を超えるものにならねばな…」
「なんのことだ?なにを言っているッ!」
策がくずれさるってことだ!…人間を超えるものにならねばな…」
「なんのことだ?なにを言っているッ!」
「おれは人間をやめるぞ!ジョジョーッ!!」
ディオはマントに隠していた石仮面を高々と掲げると、同じく隠していたナイフを振り上げてジョナサンに襲いかかった。
ディオはこの一瞬を待っていたのだ。憎き敵、ジョナサンの血で人間を超越し、幾千年、何世紀もの間を
永遠に生きる吸血鬼へと変貌する瞬間を!!!
ディオはマントに隠していた石仮面を高々と掲げると、同じく隠していたナイフを振り上げてジョナサンに襲いかかった。
ディオはこの一瞬を待っていたのだ。憎き敵、ジョナサンの血で人間を超越し、幾千年、何世紀もの間を
永遠に生きる吸血鬼へと変貌する瞬間を!!!
だが、ディオの野望が果たされる事はなかった。
突如ディオの背後から光り輝く鏡のようなものが現れたと思うと、ディオの身体をその中へと吸い込みはじめたのだ。
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉッ!!!!!」
普段のディオならば背後からとはいえ避ける事もできたであろう。だがディオはジョナサンを殺す瞬間に意識を集中しており
背後から迫るものに気づくことはできなかったのだ!
突如ディオの背後から光り輝く鏡のようなものが現れたと思うと、ディオの身体をその中へと吸い込みはじめたのだ。
「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉッ!!!!!」
普段のディオならば背後からとはいえ避ける事もできたであろう。だがディオはジョナサンを殺す瞬間に意識を集中しており
背後から迫るものに気づくことはできなかったのだ!
「ディオーーーーッ!!!」
ジョナサンが手を差し伸べてディオを掴もうとする。己を殺そうとした相手をも助ける、それがジョナサンという男であった!
だがディオはその手を振り払うと、目で人が殺せるのであればまず間違いなく殺せたであろう目付きでジョジョを睨み
ジョナサンが手を差し伸べてディオを掴もうとする。己を殺そうとした相手をも助ける、それがジョナサンという男であった!
だがディオはその手を振り払うと、目で人が殺せるのであればまず間違いなく殺せたであろう目付きでジョジョを睨み
―――そして光り輝く鏡と共にこの世から消滅した。
1889年、イギリスはとある田舎での出来事であった。
1889年、イギリスはとある田舎での出来事であった。
ジョナサン・ジョースター…かねてからの夢を叶えて考古学者となり、イギリス史を書き換える数々の発見をした。後に幼なじみエリナ・ペンドルトンと結婚するとアメリカに渡り、インカやマヤ、アステカの遺跡の研究に一生を捧げた。
ジョージ・ジョースター卿…息子の夢を叶える為に様々な手助けを行った。また周囲が反対する中ディオの為に
ささやかな墓を作った。時折ディオの墓の前で寂しそうに佇む卿の姿があったという。1912年、アメリカに渡ったジョナサンを訪ねる途中に乗った大型客船が沈没して死亡。
ささやかな墓を作った。時折ディオの墓の前で寂しそうに佇む卿の姿があったという。1912年、アメリカに渡ったジョナサンを訪ねる途中に乗った大型客船が沈没して死亡。
ロバート・スピードワゴン…ジョナサンがアメリカに渡ると後を追うようにしてアメリカに行く。株で財をなして20世紀初期のアメリカンドリームを体現する人物となった。その独特の勘で世界大恐慌をも切り抜け、アメリカの復興に貢献した。また生涯にわたりジョナサンの研究を支援し続けたという。彼の残した組織はSPW財団となり、現在でもアメリカ経済界の中心となっている。
ジョジョの奇妙な冒険 完
「…」
「……」
「…あんた誰?」
to be continued…
「……」
「…あんた誰?」
to be continued…