ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

反省する使い魔!-3

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反省する使い魔!  第三話「報いか試練か反省か」


出所当日、オレは家に帰ろうと駅に向かい電車に乗ろうとしたところを
いきなりルイズとか言う奴のおかげでわけのわからねーところに連れてこられちまった…
神様よぅ、あんたはまだオレを許してくれねーわけか?恨んでるわけか?
ええおい?三年前、確かにオレは形兆を殺した、盗みもやった
なのになんでだ?オレは三年間、刑務所に入って反省はした筈だ。

実際今だって、形兆を殺したことをオレは後悔しているんだぜぇ…
あいつは気に入らなかったがオレなんかと違いかわいそーな奴だった。
形兆は自分の父親を救ってやりたいが為に弓と矢を使ってきたんだ。
それに比べオレはどうだぁ?ええ?当時の俺はただ日頃のつまらねえ
繰り返しをするだけの社会に不満を感じ刺激的の人生を求めるがために
弓と矢を奪い…使っていたんだ。
虹村形兆という男を殺してまで……最低だな、オレ

都合のいい話かもしれないが音石は刑務所に入ってから
ゆっくりと時間を掛け自分の行いを思い返していくことにより
自分がどれだけ酷い事をしたのか自覚することができていた…
そしてそれを自覚し反省したが上で彼は今日出所した…
そう!自分の罪を受け入れたからこそ彼は杜王町に戻る覚悟があったのだ!!

東方仗助、虹村億泰、広瀬康一、岸辺露伴などといった
「黄金の精神」を持つ若者達と向き合う覚悟が彼にはあったのだ!!

(杜王町で億泰に会ったらまたぶん殴られるのを覚悟してたんだがなぁ~…)
「ちょっと!アンタちゃんと聞いてんの!?」
「ん?ああワリィ…考え事してた」
「ッ~~~~!!あんたねぇ~!」
「悪かったって、俺だっていきなりで結構混乱してんだよ、
サモン・サーヴァントだっけ?その使い魔っつーのを召喚する儀式で
オレを召喚したってことはちゃんと理解してるぜ」
「そう!そしてここは!」
「ハルケギニアっつー世界の神聖なるトリステイン魔法学院……だろ?」
「…なによあんた…やっぱ知らないとか言って実は知ってるんじゃあ…」
「そんなんじゃねーよ、ただ単に記憶力がいいだけだ」

その言葉にルイズがふーんと言って目を細めている。
先程のハルケギニアを知らないと言う音石の質問を
自分をバカにしてるんじゃないかとまだ疑っているようだ。

「でも、最後の所だけ聞きそびれちまったんだ、なんだっけ…使い魔の…えーと…」
「使い魔の役目よ」
「そうそうそれだ、そこんとこよくわかんねーんだよ、もう一回頼むわ」
「たくっ、仕方が無いわね…いい?使い魔って言うのは
主人を守り、手となり足となり一生主人に仕える、それが使い魔よ!」
「なるほど……ん!?ちょっと待て…一生?今、一生って言ったのか!?」
「そう一生よ、当たり前じゃない」

ハァ~~~~~~~~~~~ッと音石は深くため息をついた。
当然だろう、いきなり呼び出され一生使えろなど無理な話である。

「なによそのため息、何か不満があるわけ!」
「逆に聞くがこんな状況にされて不満を感じねーって言うのもどうかと思うぜ…」
「う……、うるさいわね!私だってまさか人間が召喚されるなんて
思っても見なかったもの!仕方ないでしょう!」
「随分といい加減な召喚だなァ、おい…」
「あんた!神聖なるサモン・サーヴァントを侮辱するつもり!?」
「そうは言ってねーよ…なあ、悪いことは言わねぇから俺を送り返してくれねーか?」
「無理よ」
「即答かよッ!!」
「だって、使い魔を送り返す魔法なんて聞いた事ないもの、仕方が無いでしょう」
「改めて言うがマジでいい加減だなァおい!」
「うるさいうるさい!私だって本当はドラゴンとそういうのを期待してたのよ!?
それなのにアンタみたいな平民を召喚した私の気持ちがわかる!?」
「オレ魔法使いじゃねーからわかんねーよ」
「メイジよ!!」
「はいはい………!」

その時音石は気付いた、ルイズが涙目になっているのを…
それと同時に昼間のことを思い出す彼女が自分という平民を
召喚したことにより周りからバカにされたあの一部始終を…

「………はァッ」
「なによそのため息!まだ文句あるの!?」
「……なるよ…」
「大体アンタ平民の癖に生意気……え?」
「なにマヌケな顔してんだよ…、なってやるよ…その使い魔とかによォ~」
「使い魔になるって……、ほ、ホント!?ほんとにほんと!?」
「ホントにホントだ、ただし帰る手段が見つかるまでだがな…」
「そ、そう…わ、わかればいいのよ!わかれば!」
(涙目で威張られてもな…それと無い胸で胸を張るな)

そして音石は壁にもたれ掛かり、ルイズはベットに腰を下ろした。

「そう言えばあんた異世界からどうとかって言ってたけど異世界ってどういうこと?」
「言葉通りの意味だよ、このハルケギニアとは異なる世界から呼び出されたってこった」
「信じられないわね…、大体アンタなんでハルケギニアが異世界だって断言できるのよ?」
「簡単だ、文化が違いすぎるからな…そしてなにより」

そういうと音石は窓を見た

「なにより…なによ?」
「俺がいた世界には月は1つしかねーよ」
「はあっ!?なにそれ!?月が1つってどんな世界よ!?」
「オレからしたら月が2つあんのがどんな世界だって話だがな…」
「…やっぱり信じられないわね、わたしをバカにしてるんじゃないの?」
「まあ、好きにしな…信じようが信じなかろうがおまえの勝手だ」
「お前って…私はアンタの主人よ!ご主人様と呼びなさい!」
(めんどくせぇ……しかし、まあ退屈はしなさそうじゃねーか)

その時、窓を見ながら音石の顔は薄く笑っていた。

「それじゃあ、これ明日になったら洗濯しといて…」
「ああ、悪い…せっかくだしちょっとそこらへん散歩してくるわ」
「はっ!?え、ちょっと…あんた」【バタンッ】


「行っちゃった…、もう!なんなのよアイツ!!いきなり変な楽器で演奏するし
異世界からとか訳わからないこと言うし、散々文句言ってたくせに急に素直になるし…」

その時、ルイズはハッと気づいた。

「も、もしかしたらアイツ、散歩とか言って逃げる気じゃあ…」

そんな何気ないマイナス思考な一言がルイズの顔色を青く変えた。

(も、もし召喚初日に使い魔に逃げられちゃったら…みんなになんて言われるか
…い、いいえ、それだけじゃないわ!実家にいるお父様やお姉様になにされるか…
こ、こ、こ、こうしちゃいられないわ!直ぐにアイツを連れ戻さないと!!)

バタンッ!と甲高い音が廊下に響き渡らせ、ルイズは階段を駆け下りた。


現在音石も階段を駆け下りながらいろいろ考えていた。

異世界か…、出所していきなりとんでもねーゴタゴタに巻き込まれちまったが
悩んでてもしょうがねぇ、前向きに行くとするか…
そうだぜ音石明、逆に考えるんだ
異常な事に巻き込まれているが逆に言えばオレはとても貴重な体験をしている。
よし、これでいこう!

そして階段を降りると廊下に突き当たった。そしてその廊下には
金髪のいかにもナルシストを思わせるキザっぽい少年と
茶色のマントをしたおとなしそうな少女が楽しそうに会話していた。

「ケティ…君はやはりいつ見ても美しいよ…まるで女神のようだ」
「まあ、ギーシュ様、本当ですか?」
「もちろんだともケティ、僕が君にウソをつくわけ無いじゃないか」
「ギーシュ様……」
「ケティ……」

「あー…、お楽しみのところ悪いんだがちょっといいか?」
「うわァッ!?」「きゃあッ!!!」

二人とも音石の存在に気づいていなかったのか
突然声をかけられたため予想以上に驚き、声が重なっていた。
少女に関しては驚いた勢いで床に倒れ尻餅をついている。

「ああ、ワリィ…驚かせるつもりは無かったんだが…大丈夫かよ?」
「イタタタ…」
「ケティ!ちょっと君ぃ、横からいきなり口出ししてくるなんて無礼だぞ!」

ギーシュという少年が音石をキッ!と睨む。
ふと、ギーシュはその男に見覚えがあるのを思い出した。

「君は…たしか、ゼロのルイズが呼び出した平民か?」
「覚えてもらっているとは光栄じゃねーか」

すると尻餅をついているケティという少女が意外そうな顔で音石を見る。

「この人が!?一年の間でも有名ですよ!……ッ、あいたた」
「おいおい、足でも挫いたんじゃねーのか?立てるか?ほら……よっと!」
「え!?…あ、ちょ…」
「なッ!?……な、な…」

すると音石はケティの手を取り、彼女を引っ張り立たした、
ギーシュは音石の予想外の行動に唖然している。

「なんともねーか?」
「あ…いえ、あ、ありがとう…ございます…」

まさかいきなり手を掴まれるとは思ってもいなかったのか
ケティは若干顔を赤くしている。

「おい、君!本当に無礼な平民だな!!平民が貴族の手に気安く触れるなど
立場をわきまえたまえ!!」
「いえ、いいですギーシュ様!私は別に気にしてませんから!」

勢い余るギーシュをケティが静止をかける。

「だから悪かったって、ただちょっと道を尋ねたいんだが…外に行くにはあの階段を降りればいいのか?」

そう言って音石は下に通じているであろう下り階段を指差した。
ギーシュは興醒めといわんばかりに薔薇を顔に寄せる。

「ふん、愛しのケティに免じて許してやろう…、ああ、その通りだよ」
「そいつはどうも…」

そう言うと音石は何事も無かったかのように階段を下りていった。

「たくっ…大丈夫かいケティ?」
「ええ、私は大丈夫です」

すると音石がやってきた登り階段から足音が聞こえてくるのに気づき
ギーシュとケティは何事かと階段を覗き込んだ、そこからやって来たのは…

「おや?ルイズじゃないか、どうしたんだいそんなに慌てて…」
「ギーシュ!私の使い魔見なかった!?」
「君の使い魔?彼ならさっき階段から降りていったが……、おいおいルイズ
まさか君は使い魔に逃げられたのか?フッ、まったく、使い魔もロクに扱えないとは
さすがは『ゼロのルイズ』だな、期待は裏切らないでくれるよ」
「うるさいわよギーシュ!もう、あいつ変に足が速いんだから…ギーシュ!ちょっと
捕まえるの手伝って!!」
「やれやれ仕方がないな、いくらゼロとは言え女性の頼みだ
すまないケティ、すぐに戻るよ」
「あ!ぎ、ギーシュ様ぁ!!」

下り階段に向かうルイズの後をギーシュが続いた。
階段を下り室内噴水広場にでるとそこにはルイズが良く知る褐色肌の女性と
小柄で眼鏡をかけた水色の髪をした少女がいた。

「あら、ルイズにギーシュじゃない、一体どうしたのよそんなに慌てて?」
「キュルケ!私の使い魔見なかった!?」
「ああ、顔に大きな傷のある彼なら向こうの階段に降りていくのを見かけたけど?」
「ギーシュ、行くわよ!」
「やれやれ…」『タタタタタ……』

「なんだかおもしろそうねぇ、タバサ!行ってみましょう!」

タバサと呼ばれる少女は読んでる本を閉じ、無言のままキュルケの後に続いた。


「改めて見てみるとマジで異世界っつーことが実感できるな」

音石は学院の外に出てみると視界に入るものすべてが元の自分の世界とは
かけ離れている事を実感した。
夜空に浮かぶ2つの月、見たことも無い巨大な城、使い魔を引き連れているメイジ
どれもこれもがファンタジーやメルヘンの世界だった。

「おや?君は…」
「ん?」

すると不意に声をかけられ音石は顔を向けると
そこにはいたのは昼間の禿げ頭の男だった。

「あんた…確か昼間の」
「コルベールです、この魔法学院で教師を務めています」
「あ~どうも、オレ音石明っつーもんです」
「オトイシアキラ?変わった名前だね」
「(そりゃ変わってるだろーよ…)あのー、俺になんか用ッスか?」
「おお、そうだった!なに…君の『ルーン』をスケッチするのをうっかり忘れていてね
今からミス・ヴァリエールの部屋に伺おうとしていたのだが手間が省けたよ」
「『ルーン』?なんスかソレ?」
「『ルーン』を知らないのかい?使い魔としての紋章だよ」

「紋章」という言葉に音石は心当たりがあった。

「あ!もしかして左手にあるこいつッスか?さっきから気になっていたんスけど…」
「おお!それだよそれ!…ふむ、珍しい『ルーン』だな、後で図書館で調べてみよう
ところでオトイシ君、さっきから気になっているのだが…」
「…?…なんスか?」
「君がぶら下げているソレは…楽器かなんかかい?」

それを聞いた瞬間、音石は納得した。
なるほど、確かにこの世界は俺らの世界で言えば中世ヨーロッパあたりだからな…
ギターがないのは当たり前か…、楽器はあるみてーだが良くてもヴァイオリンあたりだな。

「こいつはギターッス」
「ギター?」
「オレの故郷にある楽器みたいなもんッスよ」
「民族楽器みたいなものかい?」
(民族楽器って…このハゲ、オレをなんだと思ってんだぁ?…)
「ふむ…実に興味深いな、よければまた今度
演奏してみてくれないか?今夜はさすがにもう遅いが…」
「はぁ~、わかりました……って、うおおッ!!?」
「なっ!?オ、オトイシ君!?」

なんと突然、音石の体が宙に浮き始めた!

「やれやれ、貴族の手をここまで煩わせるとはとは…、終わったよミス・ヴァリエール」
「助かったわギーシュ」

そこにいたのはルイズとギーシュ、そして面白半分でついてきたキュルケ
そしてそのキュルケについてきたタバサであった。

「お、おい!一体なんのつまりだァコラッ!?降ろしやがれ!」
「うっさいわね!あんたがいきなりどっか行くからじゃない!」
「だから散歩だって…」
「嘘ッ!!そんなこと言って逃げる気だったんでしょう!?」
「なんでそうなんだよ!?」
「あっはっはっは、さすが『ゼロのルイズ』ね!使い魔に逃げられるなんて!」
「黙りなさいキュルケ!!」
「だから散歩だって言ってんだろーがぁ!誤解だ!さっさと降ろせぇ!!」
「彼の言うとおりだ、ミスタ・グラモン…降ろしてあげなさい」

その日頃聞き慣れた声がコルベールだと気付き
それを最初に驚いたのはギーシュだった。

「コ、コ、コ、コルベール先生!?」

キュルケも「やっば…」と小さく呟いたが
その一方でタバサは本を読んだまま動かないでいる。
しかしルイズは…

「先生!あいつは使い魔のくせに逃げ出そうとしたんですよ!」
「それは何かの誤解じゃないのかい?落ち着きたまえミス・ヴァリエール
彼とはさっきから一緒にいたがそんな素振りは全くありませんでしたよ?」
「で…でも、勝手にいなくなる使い魔なんて…」
「ミス・ヴァリエール…確かに彼は使い魔ではあるが人間だ
人間である以上、自分で行動するのは当たり前だろう?
…それとミスタ・グラモン、いい加減降ろしてあげなさい」
「あ!は、はい!」
【ドサッ!】「いってぇ~~…」

「わかりましたか?ミス・ヴァリエール」
「…はい」
「よろしい…ではみなさん、私は部屋に戻ります
明日も授業がありますからくれぐれも寝坊しないように…」

コルベールはそう言うとその場を後にし
続いてキュルケ、ギーシュ、タバサも続いてその場を後にした。


ルイズと音石もその場を去り部屋に戻ってきた、


「おい…」
「……………」
「今更どうこう言うつもりはねーがよー…お前なに焦ってんだよ?」
「……あんたには…関係ないでしょう…」

そう言うとルイズは制服のままベッドに入り込んだ。

「おい待てコラ!オレはどこで寝ればいいんだァ!?」
「そこの藁の上」
「………」
(ないよりは…マシだな…)

音石は自分に言い聞かせ藁の上に腰をかけゆっくりと
眠りに付いた…。


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