日本時間で朝六時半、そのくらいの時間に自然に目を覚ます。
家族の分の朝食を作り、簡単な家事をするためにはこの時間が一番いいからだ。
一応セットしてあるがあまりお世話にならない目覚まし時計を止めようとして―――思い出した。
死んだこと、生き返ったかもしれないこと、ここが異世界であること、
家族の分の朝食を作り、簡単な家事をするためにはこの時間が一番いいからだ。
一応セットしてあるがあまりお世話にならない目覚まし時計を止めようとして―――思い出した。
死んだこと、生き返ったかもしれないこと、ここが異世界であること、
―――しなくてはならないことがあること。
『それ』をするための準備をして部屋を出る。近くに人はいない。
そして一階まで降り、人を探す。
うまい具合に一人見つけ、そいつに近づく。
あと五メートルほどの所でそいつがこっちに気づいた。女だった。驚いた顔をしている。
そしてあと二メートルくらい距離を縮める、女の顔が怯えているように見える。
そして一階まで降り、人を探す。
うまい具合に一人見つけ、そいつに近づく。
あと五メートルほどの所でそいつがこっちに気づいた。女だった。驚いた顔をしている。
そしてあと二メートルくらい距離を縮める、女の顔が怯えているように見える。
「おはよう。イキナリですまないが洗濯の道具は何処にあるか教えてもらえるか?」
これ以上怯えさせないため、形兆はなるべく爽やかに挨拶をした。
「こちらにある道具なら自由使ってかまわないと思います」
「ありがとう。助かったよ」
「では、私はこれで」
そういって黒髪のメイド、シエスタは去っていく。
簡単な自己紹介で自分が使い魔であることを見抜かれた。
見抜かれたというよりは他に考えられなかっただけなのだろうが、そんなことはそうでもいい。
とにかくこれで洗濯ができる。形兆にあるのはそれだけだった。
「ありがとう。助かったよ」
「では、私はこれで」
そういって黒髪のメイド、シエスタは去っていく。
簡単な自己紹介で自分が使い魔であることを見抜かれた。
見抜かれたというよりは他に考えられなかっただけなのだろうが、そんなことはそうでもいい。
とにかくこれで洗濯ができる。形兆にあるのはそれだけだった。
シエスタに教えてもらった水汲み場に行く。
ここで洗濯をすれば良いと言われたからだ。
ここで洗濯をすれば良いと言われたからだ。
まず形兆は持ってきたタライに水をいれる。
次に洗濯板の片方を浸け、もう片方をおなかで固定するッ!これで板がぐらつくことはもう無いッ!
濡らした衣類を板の上に広げてッ、両手の手のひらの手首に近いところを使いッ!揉む様に洗うッ!
コツは肩の力を抜き手首をなるべく軟らかく動かすことッ!
そして何よりも重要なのはッ!何よりも重要なのは『汚れを落とすッ!』という強い意志をもつことッ!
次に洗濯板の片方を浸け、もう片方をおなかで固定するッ!これで板がぐらつくことはもう無いッ!
濡らした衣類を板の上に広げてッ、両手の手のひらの手首に近いところを使いッ!揉む様に洗うッ!
コツは肩の力を抜き手首をなるべく軟らかく動かすことッ!
そして何よりも重要なのはッ!何よりも重要なのは『汚れを落とすッ!』という強い意志をもつことッ!
億泰が服に付けたしょうゆとかのシミをよくこんな風に落としてやったな、
そんな事を思い出しながら時間は過ぎてゆく。
そんな事を思い出しながら時間は過ぎてゆく。
洗濯を終え清々しい気分で部屋に戻った形兆を出迎えたのは主人の怒りだった。
起きたばかりなのかまだ寝間着のままルイズは自分の使い魔を怒鳴りつける。
「どこに行ってたのよ!」
「水汲み場だ」
「何でそんなところに行ったのよ!」
「洗濯をしろ、といったのはそっちだが?」
「う……で、でも何で私を起こさないのよ!」
形兆に非は無い、それを知ったルイズは別のところに矛先を向けた。
「起こせ、とは言われてなかったぞ?」
「そうだけど……えーと、えーと、と、とにかく謝りなさい!」
わざわざ怒る理由を探した割には無茶な怒り方だった。
起きた時姿が見えなかったのがそんなに不安だったのだろうか。
別に形兆は悪くないのだから謝る必要は無いのだが、このままだとどんなことになるか分からない。
「謝らないとご飯抜きよ!」
起きたばかりなのかまだ寝間着のままルイズは自分の使い魔を怒鳴りつける。
「どこに行ってたのよ!」
「水汲み場だ」
「何でそんなところに行ったのよ!」
「洗濯をしろ、といったのはそっちだが?」
「う……で、でも何で私を起こさないのよ!」
形兆に非は無い、それを知ったルイズは別のところに矛先を向けた。
「起こせ、とは言われてなかったぞ?」
「そうだけど……えーと、えーと、と、とにかく謝りなさい!」
わざわざ怒る理由を探した割には無茶な怒り方だった。
起きた時姿が見えなかったのがそんなに不安だったのだろうか。
別に形兆は悪くないのだから謝る必要は無いのだが、このままだとどんなことになるか分からない。
「謝らないとご飯抜きよ!」
謝る理由も意味もないのに謝れと言われ形兆にも怒りがでてきた…………だがしかしッ!
(この場所であってはならないのは…『精神力』の消耗だ…くだらないストレス!
それに伴う『体力』へのダメージ…!!
おれはこの『異世界』で!!『やるべき目的』(帰る方法を探すこと)があるッ!
必ずやり遂げてやる…そのためには…!くだらない消耗があってはならないッ!
いや…逆にもっと強くなってやるッ!)
それに伴う『体力』へのダメージ…!!
おれはこの『異世界』で!!『やるべき目的』(帰る方法を探すこと)があるッ!
必ずやり遂げてやる…そのためには…!くだらない消耗があってはならないッ!
いや…逆にもっと強くなってやるッ!)
「すまなかった。次から気をつける」
腰をキッチリ四十五度曲げ、謝った。
腰をキッチリ四十五度曲げ、謝った。
自分の使い魔がアッサリと謝ったことにルイズは驚く。
自分でもこれは理不尽なことだと薄々は思っていたのだが、主人としてのプライドがルイズを意固地にさせていた。
自分でもこれは理不尽なことだと薄々は思っていたのだが、主人としてのプライドがルイズを意固地にさせていた。
『形兆は謝らない』……『自分も後には引けない』つまり、堂々巡りの形になるな…
ルイズはそう考えていた。
ルイズはそう考えていた。
だが余計な消耗を嫌った形兆の謝罪によってそうはならなかった。
この話題を蒸し返されたら、また面倒なことになる。そう判断したルイズは次の命令をした。
「早く服を着せなさい」
「それも使い魔の仕事なのか?」
「そうよ。貴族は目の前に従者がいる時、自分で服を着たりしないのよ」
「そうか……」
「それも使い魔の仕事なのか?」
「そうよ。貴族は目の前に従者がいる時、自分で服を着たりしないのよ」
「そうか……」
正直言ってやりたくないことだったが、文句を言っても余計な消耗をするだけなのでさっさと服を着せた。
ルイズに服を着せ、二人で部屋を出ると、廊下にあるドアの一つから赤い髪の女が出てきた。
「おはよう、ルイズ」
「おはよう、キュルケ」
「おはよう、ルイズ」
「おはよう、キュルケ」
相手の名前以外は同じことを言っているのだが
ルイズの方は何故だか分からないが不機嫌そうな、
キュルケとか言う女の方はお気に入りのおもちゃを見つけて、喜びを隠し切れない子供みたいな言い方だった。
ルイズの方は何故だか分からないが不機嫌そうな、
キュルケとか言う女の方はお気に入りのおもちゃを見つけて、喜びを隠し切れない子供みたいな言い方だった。
「それがあなたの使い魔?」
「そうよ」
「へ~~~ぇ」
「何よ」
「ほんとに平民を使い魔にしたんだな~~~って関心してたのよ。流石は『ゼロのルイズ』ね」
「うるさいわね」
「そうよ」
「へ~~~ぇ」
「何よ」
「ほんとに平民を使い魔にしたんだな~~~って関心してたのよ。流石は『ゼロのルイズ』ね」
「うるさいわね」
形兆はこの一言で二人の大体の関係を把握し、なるべく関らないことに決めた。
「そうそう私の使い魔をよく見せてなかったわね。来なさい、フレイム」
キュルケが自分の使い魔を呼ぶ。
そして現れたのは、赤くて大きい爬虫類だった。
キュルケが自分の使い魔を呼ぶ。
そして現れたのは、赤くて大きい爬虫類だった。
「火トカゲよ。サラマンダーとも言うわね」
勝ち誇った声でサラマンダーを見せてくる。
勝ち誇った声でサラマンダーを見せてくる。
形兆は火トカゲだとどこかの博士からもらえる三匹の内の一匹のイメージがあったため、
『こいつの種族はサラマンダー』と覚えた。ちなみに彼は聖剣の伝説のゲームはやっていなかった。
『こいつの種族はサラマンダー』と覚えた。ちなみに彼は聖剣の伝説のゲームはやっていなかった。
そしてキュルケは使い魔の自慢話を始める。
内容は尻尾の炎の事やそこから推測したサラマンダーの出身地、
それ(出身地)がブランドものであること、
好事家に見せたら値段なんかつかない事など、形兆にはよく分からないことを話し始めた。
分からないから適当に相槌を打っていれば良かったのだが
形兆はさっき関らないことを決めていたので何も言わなかった。
内容は尻尾の炎の事やそこから推測したサラマンダーの出身地、
それ(出身地)がブランドものであること、
好事家に見せたら値段なんかつかない事など、形兆にはよく分からないことを話し始めた。
分からないから適当に相槌を打っていれば良かったのだが
形兆はさっき関らないことを決めていたので何も言わなかった。
だから適当に聞き流してさっさと去ってしまえばそれで良かったのだが、
ルイズはそれをしなかった。つまり聞き流さなかったのだ。
ルイズはそれをしなかった。つまり聞き流さなかったのだ。
それでもルイズは何も言い返さない、
そしてキュルケの話が終わり、キュルケがこの場を去った後に、
「なんなのよあの女はッ!」
盛大に怒りを音に変換した。
そしてキュルケの話が終わり、キュルケがこの場を去った後に、
「なんなのよあの女はッ!」
盛大に怒りを音に変換した。
「まあそう大声を出すな、そのうちお前にも運が巡ってくるさ」
形兆がフォローをいれようとしても、
「あんたが原因でしょうがっ!」
やはり怒鳴られた。
形兆がフォローをいれようとしても、
「あんたが原因でしょうがっ!」
やはり怒鳴られた。
「何であの女がサラマンダーで私はあんたなのよ!」
「それをおれに言われてもな」
「あ~~~くやし~~~」
「それをおれに言われてもな」
「あ~~~くやし~~~」
「そういえば『ゼロのルイズ』ってのは何なんだ?」
これ以上ルイズの恨み言を聞く前に何とか話題を変えようといった言葉だが、これが良くない結果を生んだ。
これ以上ルイズの恨み言を聞く前に何とか話題を変えようといった言葉だが、これが良くない結果を生んだ。
「うるさ~~~~~いッ!」
火に油を注いでしまったのだ。
火に油を注いでしまったのだ。
しばらくしてルイズの怒りがおさまったので、二人とも一階にある食堂に移動する。
食堂の中には三桁くらい座れそうなテーブルが三つ並んでいて、結構な人数がもう食事をしていた。
右のテーブルには茶色のマントの生徒、真ん中がルイズと同じ黒、そして左が紫である。
形兆はふと思ったことを聞く。
「マントの色は学年で決まっているのか?」
「そうよ、茶色が一年生で紫が三年生」
「黒が二年か」
「ええ、そうよ」
食堂の中には三桁くらい座れそうなテーブルが三つ並んでいて、結構な人数がもう食事をしていた。
右のテーブルには茶色のマントの生徒、真ん中がルイズと同じ黒、そして左が紫である。
形兆はふと思ったことを聞く。
「マントの色は学年で決まっているのか?」
「そうよ、茶色が一年生で紫が三年生」
「黒が二年か」
「ええ、そうよ」
そしてルイズは立ち止まる。
つられて形兆も立ち止まり、
「早く椅子を引きなさいよ、気の利かない使い魔ね」
無言で椅子を引き、形兆も座ろうとして―――
「あんたは下よ」
と、ルイズに言われた。
つられて形兆も立ち止まり、
「早く椅子を引きなさいよ、気の利かない使い魔ね」
無言で椅子を引き、形兆も座ろうとして―――
「あんたは下よ」
と、ルイズに言われた。
下を見るとそこにあったのは皿に入った明らかに粗末なスープとパンだった。
「感謝しなさい。使い魔は外で食べるのに私のおかげで中で食べれるんだから」
「感謝しなさい。使い魔は外で食べるのに私のおかげで中で食べれるんだから」
形兆はプッツンしそうになったが、プッツンしても状況は何も変わらない、
それどころか悪くなるだろうことを考え、自分を抑えた。
いっそ脱走しようかとも考えたが、まだ情報が少ないためそれすら不可能と判断し、
情報を集めたらさっさと逃げること、後で食べられそうなキノコを探すことを決め、形だけの感謝を述べた。
それどころか悪くなるだろうことを考え、自分を抑えた。
いっそ脱走しようかとも考えたが、まだ情報が少ないためそれすら不可能と判断し、
情報を集めたらさっさと逃げること、後で食べられそうなキノコを探すことを決め、形だけの感謝を述べた。
To Be Continued ↓↓