ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

凶~運命の使い魔~第一岩

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匿名ユーザー

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人は運命に使役される使い魔である。


「・・・・・・あれ?」

その日は年に一度の恒例行事、使い魔召還の儀。
彼女、ルイズ・フランソワーズ・ル・プラン・ド・ラ・ヴァリエールもまたほかの生徒と同じく使い魔を召喚しようとして、
”失敗”した?

「あれ? え? え?」

机の影に隠れてた生徒たちが顔を出す。彼らもまた驚いている。
”ゼロのルイズ”たるルイズの失敗など日常茶飯事だと言うのに。
それもそのはず、”爆発”が起きてないからだ。
数多の平行世界の彼女であってもここで爆発しないということは絶対にありえない。そのはずなのだが。

「おっほん、ミス・ヴァリエール。これは召喚に失敗したと見てよろしいのですかね?
「ま、まって下さいミスタ・コルベール。ま、まだ失敗と決まったわけじゃ」

その時

ヒュ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ン

ドグシャア!!

「おべがげべはぁ!」
「うわああああああ、いきなり岩が落ちてきたー! しかも運悪くギーシュが下敷き!」
「ああ、でも見てっ! ギーシュの足元にいたカエルはなぜか無傷」
「これが波紋なのか!?」
これが彼女と”運命”との邂逅であった。

「ええっと・・・とりあえずギーシュはすぐに医務室に運びました。気を失ってますが命に別状はないそうです。」
「うーむ、あれだけのダメージを負って気を失う程度なのか彼は・・・」

そりゃ天井からあのサイズの岩石が落ちてくれば普通即死だろう。
とりあえず自分の失敗で死人を出さなかったことに彼女は安堵した。

「ミスタ・コルベール、やはりこれは私の使い魔なのでしょうか?」
「そうですね、ゴーレムが呼び出されること自体はそう珍しくないので十分あり得るでしょう。
 ・・・少々珍しいゴーレムのようですがね、彼は」

そう言ってコルベールは岩に目を向ける。
その岩は見れば見ること不思議な岩だった。
まず球体だ。ほぼ完全な。岩を完全な球体にするなど、どこぞの中国四千年くらいしかできるものではない。
そう考えるとやはりゴーレムの線が濃いだろう。
ゴーレムに手や足はなく、ただ一部に変な模様が刻まれていた。

「ミスタなんなんでしょうこの・・・四角の一本線が足りないのに×印がついたマークは」
「ふうむ、私も始めてみる紋章ですね。あるいは何らかの文字でしょうか」

コルベールは知的探究心を刺激されたのか岩のあちこちを触って感触を確かめている。

「ミスタ・コルベール、どうやって契約を行えば・・・」
「おっと、失礼。使い魔の契約は口付けが原則ですが生憎このゴーレムには口らしきものはありませんね。
 仕方ありません。とりあえずどこでもいいので口付けをしてみて下さい」

由緒と伝統のある使い魔召還の契約の儀式がどこでもいいでよかろうんだろうか。
ルイズは多少不安になりつつもそっと紋章のちょっと上に口付けた。すると


ペキ ペキペキ ペキペキペキ

「やった!」

岩の裏側に使い魔のルーンらしき文字が彫られていく。
つまりこれは正真正銘私が呼び出した、私の使い魔だ。

「よろしい。これで全員が使い魔を召喚できたことになりますな。よかったよかった」
「つまんないの。これでルイズだけ留年したりしたら面白かったのに」

キュルケが野次を飛ばすがルイズは気にしない。

「よろしくね・・・ええっとあなたの名前何にしようか」


「さぁとりあえず学校を案内するわついてきなさい。あなたの名前も考えないといけないし」

しかし岩はピクリとも動かなかった。

「ちょっと、聞いてるの?今更知らんふりしたって無駄よ。あなたが私の使い魔だってことは分かってるんだから」

やっぱり岩は動かない。

「むむむむむむむ・・・もしかして何か動かす方法があるのかしら」

ルイズは手を組んでうんうん考えたが特に何も思い浮かばなかった。
それはそうだ。ゴーレムの知識など彼女は0だからだ。ギーシュじゃあるまいし。

「とりあえずこのままにしてく訳にもいかないし・・・ああもう! 」

ゴーロ ゴーロ ゴーロ

クスクス

ゴーロ ゴーロ ゴーロ ゴーロ

なにあれ? 知らないの?

ゴーロゴー

「・・・っぷ、何やってるのあなた?」
「・・・うるさい」
「大変ねえ。レビテーションなんてコモンマジックすら扱えないと。手伝ってあげましょうか?」
「結構。私の使い魔の面倒は私が見るわ」
「あらそう。でも、どうすんのここから」

なんとかルイズは岩を寮まで運んだが、ここからは階段だ。
ルイズの細腕ではとても運べるものじゃない。

「・・・いいのよ!こいつは入り口においてく! どうせまた明日授業に連れて行くんだし」
「・・・あんた毎日それ押して授業受けに行く気?」
「私の勝手よ! いいからあっちに行って!」

キュルケを追い返し彼女も部屋に戻った。

「はぁ・・・なんなのよもう」

正直使い魔の契約が出来たとき彼女は有頂天だった。
爆発も起こさず使い魔を召喚できた。魔法の成功自体彼女の人生の中では快挙だった。奇跡だった。
呼び出せたのは多少変なのだったが、文句を言うレベルではない。
だからこそ他人の嘲笑に耐えてあそこまで岩を運んだんだから。


「ほんとに・・・私の使い魔なのかな」

彼女がもう一度大きなため息をつこうとしたその時

ゴト

「きゃっ!?」

誰かいるの? ルイズが振り向いたそこには

「・・・あんた、もしかして自分で来たの?」

いつの間にか部屋には岩が鎮座していた。

「なによ、動けるんなら最初からいいなさいよ、バカ」

彼女は岩をパシンと叩く。手が痛いだけだった。

「そだ、あんたの名前考えたわ。可憐で高貴で素晴らしい岩と言う意味の・・・『ローリングストーン』よ。かっこいいでしょ?」
「・・・・・・・・・・・」

無論岩がその名前に不平を言うことも不満を言うこともなかった。
むろん違うだろ、と言う突っ込みさえも。

「おはよう、キュルケ。いい朝ね」

次の日の朝、授業が始まる前にルイズはキュルケに挨拶した。
いつもは目すら殆どあわせないのだが。

「あら、おはようルイズ。あなたの大事な使い魔さんは運べたの?」
「ご心配なくこれこの通り」

ぽんぽんと足元をたたくルイズ。そこには岩が昨日と変わらずその身を晒していた。

「・・・使えるようになったの? レビテーション」
「使い魔が主人に付き従うのは当然のことでしょ? わざわざそんな必要はないわ」

といいつつルイズも実はよく分かっていなかった。
岩を動くところも彼女は見たことはないからだ。ただいつの間にか”岩は側に立っている”のだから。
食事のときもいつの間にか足元にいた。パンとスープを与えてみたがやはり食べることはなかったが。
なんと忠義に厚い使い魔だろうか。彼女はその程度にしか考えてなかったが。

「ふーん・・・まあいいや。ところで聞いた? あの話」
「あの話?」
「実はね・・・」

「はい、皆さん席について。授業を始めます」

シュブルーズが教室に入ってきたことにより、その話は中断された。

「皆さん、春の使い魔召喚は、大成功のようですね。おめでとうございます」

授業は滞りなく進んでいく。ルイズが爆発したことも含め。さいわいシュブリーズに怪我はなかったようだが。
おかげで授業は途中で取りやめになった。ルイズは罰として教室の後片付けを命じられた。
当然ローリングストーンは手伝ってくれるわけもないため一人で片付ける。

「はぁ・・・今度はうまくいくと思ったんだけどなあ」

やっぱり召喚の時のあれは偶然だったのだろうか。教室を片付けながらルイズ昨日つけなかった分のため息をついた。

「はぁ~~~やっぱルイズはこうでなくっちゃ。スッキリしないわ」
「あら、そう。じゃあ昨日の分を貸し付けて失敗して差し上げましょうか?」
「うわ、ちょちょちょ、冗談よ冗談。あ、それより聞いた? あの話?」
「あの話?」

そういえば授業の前もいってたな。

「何の話?」
「アルビオンってあるじゃん。あの浮遊大陸の」

そんなの知ってる。少なくともゲルマニアなんかよりもよっぽど親交が深い。
そういえばアルビオンは現在内戦中だったと聞いたがなにかあったのだろうか。

「あそこの王子様さ、死んじゃったらしいわよ」
「死んだ? 王国が滅亡したの?」
「いやそれがね」





   ・ ・ ・
「事故死なんだってさ」


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