―――『夢』を見た。
とても変な夢だった。
夢の中で暗闇を歩いていると光が見えた。そして弟に会った。『億泰』だ……
とても変な夢だった。
夢の中で暗闇を歩いていると光が見えた。そして弟に会った。『億泰』だ……
この弟はちゃんとやっているのだろうか、そう思い聞いてみる。
「どこへ行くんだ 億泰」
「兄貴について行くよ」
億泰は即答した。
「どこへ行くんだ 億泰」
「兄貴について行くよ」
億泰は即答した。
嬉しいがそれじゃダメだ。おれはもう側にいてやれないんだ。
「おまえが決めろ」
突き放す。こいつが一人で歩けるように。
「億泰…行き先を決めるのは おまえだ」
突き放す。こいつが一人で歩けるように。
「億泰…行き先を決めるのは おまえだ」
億泰は考えている。どうせ次は困った顔をしてこう言うだろう
『オレはバカだから分からねえよぉ~。兄貴が決めてくれよぉ~』だ。
だがそれではコイツは成長できない。
『オレはバカだから分からねえよぉ~。兄貴が決めてくれよぉ~』だ。
だがそれではコイツは成長できない。
「杜王町に行く」
―――違った。
億泰はもう成長していた。一人で歩いていた。
「それでいい」
聞こえているかは分からない。
だが、言いたかった。成長を認めてやりたかった。
聞こえているかは分からない。
だが、言いたかった。成長を認めてやりたかった。
さあ、おれも立ち上がらなくては
目が覚めると同時に背中から地面にぶつかる。
どうやら気絶していたのは殴られてから倒れるまでのほんの一瞬らしい。
殴られた腹が痛む。だが立ち上がれない程ではない。
どうやら気絶していたのは殴られてから倒れるまでのほんの一瞬らしい。
殴られた腹が痛む。だが立ち上がれない程ではない。
立ち上がる。
「へぇ?まだ戦う気かい?」
ギーシュが小バカにしたような言い方で挑発してくる。が気にしないで精神を集中する。
ギーシュが小バカにしたような言い方で挑発してくる。が気にしないで精神を集中する。
思い込んでいた。自分は死んだのだと。だから何もできないと。そんな状態じゃ何もできない。
必要なのは『できて当然』と思う精神力。それが無かった。
必要なのは『できて当然』と思う精神力。それが無かった。
形兆には知る由も無いが、本体が死んでもスタンドだけ動くということはある。
生死があやふやなことは理由にならない。
生死があやふやなことは理由にならない。
『人は成長してこそ生きる価値あり』いつも億泰に言ったことだ。
億泰は『成長』を見せた。それなのに自分は成長どころか弱くなっていた。
億泰は『成長』を見せた。それなのに自分は成長どころか弱くなっていた。
それで言いわけが無い。だからコイツで自分の成長を証明する。
―――「バッド・カンパニー!」
形兆の能力『バッド・カンパニー』はミニチュア軍隊を操るスタンドだ。
生み出した歩兵隊を形兆の位置を頂点としたV字に配置する。他はまだ出さない。
生み出した歩兵隊を形兆の位置を頂点としたV字に配置する。他はまだ出さない。
「な!?何だねソレは!?」
ギーシュにはスタンドが見えているらしい。(理由は分からないが)
ギーシュにはスタンドが見えているらしい。(理由は分からないが)
左足を軽く下げ、左手をポケットに突っ込む、
そして上半身を少し後ろに傾けながら、右ひじを曲げた右手で相手を指差す。
「お前のワルキューレの頭を吹き飛ばすモノだ…」
そして上半身を少し後ろに傾けながら、右ひじを曲げた右手で相手を指差す。
「お前のワルキューレの頭を吹き飛ばすモノだ…」
「射撃開始!」
歩兵達が前にいるワルキューレの頭に集中射撃をする。
ワルキューレの頭は『予告』通り吹き飛ぶ。頭を失ったまま倒れるワルキューレ。
歩兵達が前にいるワルキューレの頭に集中射撃をする。
ワルキューレの頭は『予告』通り吹き飛ぶ。頭を失ったまま倒れるワルキューレ。
「何!?クソっ!まだだ!」
そういって後ろから気配が近づいてくる。最初に蹴飛ばした一体目のワルキューレだろう。
そういって後ろから気配が近づいてくる。最初に蹴飛ばした一体目のワルキューレだろう。
「爆撃ッ!」
爆発と共に一体目のワルキューレも頭を失う。
撃ったのは成長した証。「ハリアー2」のロケットランチャーだ。
爆発と共に一体目のワルキューレも頭を失う。
撃ったのは成長した証。「ハリアー2」のロケットランチャーだ。
「な、何ぃ~~~!」
ギーシュは慌てている。だが、すぐに落ち着き、杖を振った。
ワルキューレの頭が修復される。それなら銃で狙うのは間接部。
ギーシュは次々と新たなワルキューレを作り出していく。
ギーシュは本来なら全部で七体だせるのだが、修復も行ったために作れたのは全部で六体。
ギーシュは慌てている。だが、すぐに落ち着き、杖を振った。
ワルキューレの頭が修復される。それなら銃で狙うのは間接部。
ギーシュは次々と新たなワルキューレを作り出していく。
ギーシュは本来なら全部で七体だせるのだが、修復も行ったために作れたのは全部で六体。
形兆も残りの部隊を出していく。アパッチ、戦車、歩兵隊そしてハリアー2。
距離は四メイルほど。決着は、近い。
「ワルキューレたちよ」
「全体ィィィィィィィ」
「全体ィィィィィィィ」
「行けェ―――ッ!」
「突撃ィ―――ッ!」
「突撃ィ―――ッ!」
攻撃力も、リーチも、ワルキューレではバッド・カンパニーに及ばない。
防御力なら分があっただろうが、それも殴り合いにならないのなら意味が無い。
防御力なら分があっただろうが、それも殴り合いにならないのなら意味が無い。
結果。バッド・カンパニーに傷一つ負わせることなくワルキューレは敗れた。
ミサイルや砲撃を受けたものは体を吹き飛ばされていたり、
歩兵隊の攻撃を受けたものは間接部分を壊され動けなくなっている。
ミサイルや砲撃を受けたものは体を吹き飛ばされていたり、
歩兵隊の攻撃を受けたものは間接部分を壊され動けなくなっている。
「そ、そんな、バカな」
ギーシュは固まっている。
ギーシュは固まっている。
形兆はバッドカンパニーごと歩き出す。
そして目の前まで近づくとバッド・カンパニーでギーシュの顔を狙う。
殺される。本能でそれを感じ取るギーシュ。
「キ、君の勝ちだ。だ、だから、や、やめてくれ…」
ギーシュの懇願。
「キ、君の勝ちだ。だ、だから、や、やめてくれ…」
ギーシュの懇願。
「さっきそう言われたらお前は止めたか?」
「そ、それは…その」
「そ、それは…その」
「…いいだろう」
意外な一言。
意外な一言。
「え?」
そういったのはギーシュだけではない。ギャラリーまでもが同じ気持ちだった。
そういったのはギーシュだけではない。ギャラリーまでもが同じ気持ちだった。
そのまま形兆は振り返り歩き出す。
五メイルほど歩いたところで後ろにルイズがやってきた。
「形兆?その…何をしたの?いや、それより……(何で殺さなかった?)」
ルイズも形兆がギーシュを殺すつもりだったと思っていたらしい。
五メイルほど歩いたところで後ろにルイズがやってきた。
「形兆?その…何をしたの?いや、それより……(何で殺さなかった?)」
ルイズも形兆がギーシュを殺すつもりだったと思っていたらしい。
形兆は振り向くことなく答える。
「『何も殺すこたあねー』さっきはそー思っただけだ」
少しだったが成長した億泰に会えた。なら親父のことはアイツにまかせて良いだろう。
元の世界に帰るのを諦めたわけではないが、急ぐ必要も無くなった。
この世界での生活を少し楽しむのも良いだろう。
そう思った形兆は自分の人生が始まるのを実感していた。
元の世界に帰るのを諦めたわけではないが、急ぐ必要も無くなった。
この世界での生活を少し楽しむのも良いだろう。
そう思った形兆は自分の人生が始まるのを実感していた。
ゼロの奇妙な使い魔 Part29 完
ギーシュ―舎弟になった。
ルイズ―大体原作通り。
シエスタ―同上
モンモン―自分の部屋へ行き二時間ねむった…目をさましてからしばらくしてギーシュの事を思い出し…泣いた。
ルイズ―大体原作通り。
シエスタ―同上
モンモン―自分の部屋へ行き二時間ねむった…目をさましてからしばらくしてギーシュの事を思い出し…泣いた。