ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ディアボロの大冒険Ⅱ-3

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朝、先に目を覚ましたのは当然、ディアボロであった。
彼は不眠不休で24時間ダンジョンに潜り続ける事ができるのである。睡眠の必要性はあまり無い。
そして、ディアボロがまずした事は―――――――――
(ハーミットパープルのDISC!周辺感知!)
ざわざわざわと、ディアボロの手から、得体の知れない触手のような茨が伸びて行く。
そして伸び切ったと思った瞬間、その茨は消え、代わりにディアボロの頭には周辺の詳細な地図が浮かんできた。
「ふん……部屋の大きさから考えて、食堂はあっちか…
 ここは……ハーヴェストの感知では……大量のアイテムが入ってるようだな…武器庫か?」
とか何とか言っていたその時。
グウゥゥゥッ
『お腹が減ってきた……』
又しても、ディアボロの頭に何処からか声が聞こえて来た。
「チッ」
舌打ちをするディアボロ。
まだ少し余裕があるとは言えモタモタしていられる程では無いと感じる。
ディアボロはルイズを見た。幸せそうに眠っている。
昨晩、下着を洗濯しろと言われた事をディアボロは思い出したが
ルイズが脱ぎ捨てた下着は今現在ナイルの川底である。
(まあ、どうしようもないな)
腹いせに自分がやった事を適当に考えながら、安眠中のルイズを放って、部屋から出るディアボロ。
――と、隣のドアが開き、中からエロい女が現れた。 何処と無く痴女っぽく見える。
「あら?どちら様?」
「…………」
「あっ!?ルイズが召喚したって平民の変態なのかしら?へぇー・・・・・・本当に人間なのねぇ」

感心したようにディアボロを見る痴女だったが、根底にはどこか小バカにしたような態度があった。
ディアボロ自身も何処か女の事が気に入らなかった。微妙に身構えている。
彼の中で1,2を争うほど嫌いな敵に入っている、ブ男と死んでも脳みそだけで動く化物を何故か思い出すからだ。

「ねえあなた、名前は?それぐらいあるでしょう?」
「……ディアボロだ」
「私はキュルケ、そしてこの子が私の可愛い使い魔、フレイムよ」
痴女・・・・・・キュルケの背後からのそのそと現れたのは尻尾に火が点いた巨大な蜥蜴だった。

『消し炭にしてくれるわッ!』『レッドバインド!』『くらってくたばれ『怪焔王』の流法!』

それを見たディアボロは、大嫌いな敵の言葉を思い出し、反射的に攻撃しかけた。
(DISCがある・・・私には防御手段がある・・・・・・殺す必要は無い)
トラウマと化した記憶を思い出しながらも、自分を何とか落ち着かせるディアボロ。
「火竜山脈のサラマンダー、好事家に見せたら値段なんかつかないわよ?」
キュルケが何か言っている。
だが、攻撃しないように必死で自分を抑えているディアボロには届いていない。
(フーハーフーハー)「あ、ああ。そうだな」
生返事をするディアボロを笑いながら、繁々と見つめるキュルケ。
「それにしても……その髪を直してちゃんとした服を着れば、結構良い感じになるんじゃないのアナタ?」

誰かの笑い声でルイズは目を覚ました。
欠伸を噛み殺しながらベッドから抜け出て、顔を洗い服を着替える。
着替え終わってから、床に落ちている毛布を見た
「あれ?居ない?」
そこで、自分が平民の変態を召喚した事を思い出して憂鬱となる。
「はぁ………あの平民の変態どこ行ったのかしら?」
彼女の疑問に答えるようにドアの外から笑い声が聞こえる。
ディアボロが誰かと話しでもしてるんだろうか?ルイズは疑問のままドアを開けた。
そして見た。
彼女の目にはディアボロがキュルケと楽しそうに話し合っているように映った。
ルイズは自分の沸点が臨界を突破したのを感じた。 まるで瞬間湯沸し機である。

「キュルケ!私の使い魔と何してんの!?」
「あら?おはようルイズ」
キュルケがルイズの顔を見ながら微笑む。 割と小バカにした態度で。
ルイズはディアボロを見た。何故かルイズの目には心なしかホッとしたような顔に見える。

「あ、あんた、キュルケと何してんのよ?」
「お前には関係無い話しだ」
「だーかーらー!お前って言うな!ルイズ様かご主人様って呼びなさいよね!」
「プッ」
吹き出したのはキュルケだ。
「な、なによ?」
「いや、ねぇ。アンタ達って割とお似合いのコンビよねぇと思ってさ。
 じゃあお先に失礼するわ、使い魔さんもがんばってね」
手を振りながら立ち去るキュルケをルイズは睨んでいた。
今にもハンカチを噛み締めそうなぐらいギリギリしている。

「プンプン!朝から不愉快だわ!ディアボロ!これからキュルケには絶対近づいちゃ駄目だからね!これはご主人様からの命令よ!」
「それより……そろそろ朝食の時間のようだが」
「え?ああ!?そうね!着いて来なさい!」

トリステイン魔法学院の食堂は敷地内で一番背の高い真ん中の本塔にあった。
そこへ歩く途中に、ルイズはディアボロに使い魔と言う名の奴隷だという自覚を持たせるため話をする。
「いい?あなたは私の使い魔なんだから、 私より早く目を覚まして、私が寝坊しないようちゃんと起こしなさいよ!
 それから、あんたがいるって忘れてたから、自分で着替えちゃったじゃない」
「……………」
「ねえ、聞いてるのディアボロ?」
「……………」
「ねぇったら!私の使い魔なんだから話ぐらい聞きなさいよ!」
「……………」
ご主人様を無視し続けるディアボロの態度に、ルイズは再度カチンと来た。
さて、問題のディアボロだが、彼はルイズと話をする余裕は一欠片も存在していなかった。
グウゥゥゥッ
腹の音と共に聞こえる何処からかの声。
『ハラペコで目が回ってきた……』
(マズイマズイマズイマズイ!早く食堂に行かなければ!)
持っているDISCを使えば何とかなる。が、ディアボロは勿体無い精神を徹底すると決めている。
それ故、彼は急いで食堂に向かう必要があった。
割と余裕無しで急いで歩いているディアボロを見ながら、主従関係をしっかり教え込む算段をルイズは立てる。
どっちが上で下か。それを教えるためには手っ取り早く朝食の待遇を―――――

トリステイン魔法学院の食堂『アルヴィーズ』。
百人は楽に座れそうなほどアホのように長いテーブルが三つも並んでいる。
ルイズの説明によれば、2年生は真ん中のテーブルで食事をとるらしい。
朝っぱらからワインまである。未成年なのに、まあ、ファンタジー世界では朝からグビグビ飲んでいてもオカシクは無いだろうが。
「なかなかだな」
遠目からでも分かるほど上機嫌になったディアボロを見て、ルイズは胸の内で嘲笑する。
この平民の変態は貴族と同じ食事ができると思っている。そして腹を十二分に空かせているようだ。
(ふふふ、せいぜい盛り上がれば良いわ)

席に着いたルイズ。ディアボロはその隣に座ったが、ルイズの手が床を指し示した。
ルイズの指の先を辿ると皿が一枚。
やたら小さな肉の破片が浮いたスープと皿の端っこに硬そうなパンが二つあるだけ。
(うふふふふ、さあ悔しそうな顔をしてご主人様に刃向かった事を後悔しなさい!)
ほくそ笑むルイズ、かなり根性が悪い。

しかし、そこで、予想外の声が聞こえた。
「さすがは貴族の料理……美味いな」
「ヘ?…………ナヌッ!?」

ディアボロの満足そうな声に振り向いたルイズは驚愕した。
(た、確か…私が視線を外したのは5秒程度だったはずなのに!?)
ルイズの目の前にあった料理が全部平らげられていた。
残っているのは綺麗になった皿だけ。
「ななななな、何したのディアボロ!?」

摩訶不思議な事態に混乱し、ディアボロに詰め寄るルイズ。
彼女は知らなかった。
目の前の男は、壁ぐらいの大きさの巨大なピザを1秒で完食できる早食いができると言う事を。
………まあ、知っていたからと言ってもルイズはどうしようもなかったが。
「目の前の料理を食べただけだが?私は外で待っているぞ」
軽やかにルイズの問いかけを避け、悠々と外に歩いて行くディアボロ。
序列と言う物を朝食で教えてやる目論見はあっさりご破算になった。
ルイズは今更のように鳴り出したお腹を抱えながら、ディアボロの背中を殺気が篭った目で見送った。

「危ない所だった…」
食堂から出たディアボロは自然に流れ出した冷や汗を拭って安堵の息を突く。
ついさっき、彼はある意味絶体絶命だった。
ルイズの隣に座る直前、3度目の腹の音が聞こえて来たからだ!
グウゥゥゥッ
『駄目だ! もう倒れそうだ!』
『早く…何か食べないと…』
『飢え死にしてしまう!』
彼にとっては死刑宣告に等しい声が何処からか聞こえてきた。
最後まで聞いた後、ディアボロは次の行為の躊躇はしなかった。
瞬時に目の前の鶏肉を口に放りこみ、続く手でフルーツを掻っ攫って飲み込む。
そのまま無心で料理を食べ続けて、遂には完食したディアボロ。
その間5秒。異常な早食い力であった。



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