「怒らないって言ったじゃねえか相棒!」
デルフが泣き喚くような声で言ってくるがそんなものは当然無視だ。
「てめぇ人を散々期待させといてそれはねえだろ!俺をおちょくってんのか!?本当なら錆びた剣なんか使いたくもねえし、喋る機能なんかいらねー!それでもお前を
使ってるのは何か知ってそうだったからだ!それに賭けてたからだ!それなのに知らねえだとー?へし折ってやろうかこの駄剣がーーー!!」
「あんまりだ……、あァァァんまりだァァアァ!!本当に知らねえんだよおおお!いや、実際は知らないんじゃなくて忘れたってのが正しいんだけど!」
「忘れた?」
「俺ってこれでもすげえ長いこと生きてるもんだから色々忘れてるんだよ」
「使えないな。捨てるか……」
割と本気でそう考える。
「ちょっと!ちょっと待てって相棒!ほら、思い出すまで待つとかさ!努力してみないか!?そ、それに『ガンダールヴ』っていうのもどっかで聞いたことある気が するし!何か頭に引っかかるっていうかそんな感じで!いや、マジで!ほら必死で思い出すからさ!」
「……わかった。じゃあ1週間以内に思い出せ。思い出せなけりゃ誰も来ないような場所持っていって埋めてやるからな」
そう言ってベッドから下りデルフを拾いに行く。
「そういや相棒、さっき俺のことデルフって呼ばなかったか?」
一瞬動きが止まる。しまった、つい言ってしまった。
「あれだな、実際は何だかんだ言っても相棒は俺のこと認めてるんじゃねえか。おおっと、『ガンダールヴ』のことならちゃんと思い出すぜ。心配しなくてもな」
水を得た魚のごとくニヤニヤした声で話しかけてくる。
「これが今流行のツンデ……」
素早くしかし乱暴にデルフを拾い上げ鞘に収める。
やれやれだ。終始こっちのペースかと思っていたら最後にはあっちにペースを握られてしまったな。
しかしそんなに悪い気分ではなかった。ギーシュを部屋の隅に追いやりベッドに戻る。デルフをベッドの横に立てかけ寝転ぶ。
寝転んでから少し眠たくなっていることに気づく。しかしまだ眠れるほどではない。
こういうときは目を瞑りながら時を待つ。明かりは消さない。
明かりがあるほうがいくらか安全だろう。
もし自分が生き返らずに幽霊だったら今頃どうなっていただろう。
鏡に入らなければターゲット(確か平賀才人とかいう奴だ)を始末していただろう。その後いつも通り報酬を貰っていただろう。
そしてその後もずっと同じことを繰り返す。そしていつかマンション借りていたかもしれない。
そこは眺めのいい部屋で、風に吹かれず落ち着いて本が読めて花の絵を描いたり、スピーカーの音響でワーグナーの音楽に陶酔できるような部屋だ。
私だけの「結界」のある部屋……
だが現状はどうだ。ルイズの子守をしてルイズの代わりに命をかけて働く。報酬は無く食事は質素。
ストレスばかりが溜まっていく。幽霊の方がよかったと思えるぐらいだ。ああ、だから切れやすくなったのかもしれないな。
だがもうすぐだ。もうすぐ自由になれる。この機会を逃してはならない。
なんとしてもルイズを殺さなくてはならない。障害は多い。まるで私の邪魔をするようにルイズを殺すことは難しくなっていく。
だからと言って諦めるわけはない。私は『幸福』になる。なってみせる。
心の平……穏を……取り……戻……
デルフが泣き喚くような声で言ってくるがそんなものは当然無視だ。
「てめぇ人を散々期待させといてそれはねえだろ!俺をおちょくってんのか!?本当なら錆びた剣なんか使いたくもねえし、喋る機能なんかいらねー!それでもお前を
使ってるのは何か知ってそうだったからだ!それに賭けてたからだ!それなのに知らねえだとー?へし折ってやろうかこの駄剣がーーー!!」
「あんまりだ……、あァァァんまりだァァアァ!!本当に知らねえんだよおおお!いや、実際は知らないんじゃなくて忘れたってのが正しいんだけど!」
「忘れた?」
「俺ってこれでもすげえ長いこと生きてるもんだから色々忘れてるんだよ」
「使えないな。捨てるか……」
割と本気でそう考える。
「ちょっと!ちょっと待てって相棒!ほら、思い出すまで待つとかさ!努力してみないか!?そ、それに『ガンダールヴ』っていうのもどっかで聞いたことある気が するし!何か頭に引っかかるっていうかそんな感じで!いや、マジで!ほら必死で思い出すからさ!」
「……わかった。じゃあ1週間以内に思い出せ。思い出せなけりゃ誰も来ないような場所持っていって埋めてやるからな」
そう言ってベッドから下りデルフを拾いに行く。
「そういや相棒、さっき俺のことデルフって呼ばなかったか?」
一瞬動きが止まる。しまった、つい言ってしまった。
「あれだな、実際は何だかんだ言っても相棒は俺のこと認めてるんじゃねえか。おおっと、『ガンダールヴ』のことならちゃんと思い出すぜ。心配しなくてもな」
水を得た魚のごとくニヤニヤした声で話しかけてくる。
「これが今流行のツンデ……」
素早くしかし乱暴にデルフを拾い上げ鞘に収める。
やれやれだ。終始こっちのペースかと思っていたら最後にはあっちにペースを握られてしまったな。
しかしそんなに悪い気分ではなかった。ギーシュを部屋の隅に追いやりベッドに戻る。デルフをベッドの横に立てかけ寝転ぶ。
寝転んでから少し眠たくなっていることに気づく。しかしまだ眠れるほどではない。
こういうときは目を瞑りながら時を待つ。明かりは消さない。
明かりがあるほうがいくらか安全だろう。
もし自分が生き返らずに幽霊だったら今頃どうなっていただろう。
鏡に入らなければターゲット(確か平賀才人とかいう奴だ)を始末していただろう。その後いつも通り報酬を貰っていただろう。
そしてその後もずっと同じことを繰り返す。そしていつかマンション借りていたかもしれない。
そこは眺めのいい部屋で、風に吹かれず落ち着いて本が読めて花の絵を描いたり、スピーカーの音響でワーグナーの音楽に陶酔できるような部屋だ。
私だけの「結界」のある部屋……
だが現状はどうだ。ルイズの子守をしてルイズの代わりに命をかけて働く。報酬は無く食事は質素。
ストレスばかりが溜まっていく。幽霊の方がよかったと思えるぐらいだ。ああ、だから切れやすくなったのかもしれないな。
だがもうすぐだ。もうすぐ自由になれる。この機会を逃してはならない。
なんとしてもルイズを殺さなくてはならない。障害は多い。まるで私の邪魔をするようにルイズを殺すことは難しくなっていく。
だからと言って諦めるわけはない。私は『幸福』になる。なってみせる。
心の平……穏を……取り……戻……
目を開ける。どうやらいつの間にか寝ていたようだな。
窓に目を向けると日が少しまぶしく感じられる。
「う~~~~ん……」
部屋の隅から何かが聞こえる。目を向けるとギーシュがいた。そういえば隅に追いやったんだったな。
「あれ?ここは何処だ?僕は一体……ああ!頭が痛い!ズキズキする!何か瘤が出来てないか?しかもでかい!いた、いたたたた!」
大丈夫だろうか?
「うう……、確か皆と別れて宿を出て、それから~それからどうしたっけ?」
どうやら記憶が一部無くっているようだ。
「あ、ヨシカゲ!ここは何処だ!ぼくは一体!?」
厄介なことになったな。五月蠅いぞ、付きまとうな。
ギーシュをいかに黙らせるか考えていると部屋がノックされる。誰だろうか?
窓に目を向けると日が少しまぶしく感じられる。
「う~~~~ん……」
部屋の隅から何かが聞こえる。目を向けるとギーシュがいた。そういえば隅に追いやったんだったな。
「あれ?ここは何処だ?僕は一体……ああ!頭が痛い!ズキズキする!何か瘤が出来てないか?しかもでかい!いた、いたたたた!」
大丈夫だろうか?
「うう……、確か皆と別れて宿を出て、それから~それからどうしたっけ?」
どうやら記憶が一部無くっているようだ。
「あ、ヨシカゲ!ここは何処だ!ぼくは一体!?」
厄介なことになったな。五月蠅いぞ、付きまとうな。
ギーシュをいかに黙らせるか考えていると部屋がノックされる。誰だろうか?