ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

DIOが使い魔!?-41

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匿名ユーザー

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ルイズは木々の間をかいくぐり、猛然とゴーレムに突撃した。
フーケの作り出したゴーレムは、
ルイズが一歩足を踏み出す度に、視界いっぱいに、グンと大きくなっていく。
これだけ大掛かりな魔法は、いくら『トライアングル』クラスといえども、
そうそう気軽に使えるものではない。
フーケはあのゴーレムで、全てを終わらせるつもりなのだ。
そのせいでキュルケ達にバレるのが早まってしまっただろうことは、
愚かと言えば愚かだが、
逆にそれは自信の表れでもある。
一筋縄ではいかないだろう。
盗賊は、よほど成功の確信がないかぎり動かないのだから。

暫く駆け、視界にもはやゴーレムの股下しか映らないほどまでにルイズが接近すると、
それまで沈黙していたゴーレムが、その大木と見紛うほどの右腕を振り下ろした。
もちろん、その途中で拳が鋼鉄の塊に変わるというオマケ付きで。
喰らったら、間違いなくミンチだ。

拳風だけで人一人ぐらいは軽く飛ばされてしまうほどの一撃を、
ルイズは地を蹴ることで回避した。
ルイズがいた地面に、ボッコリと大きなクレーターができた。

……………ここで、誤算が起こった。
その誤算は、フーケにとっても、
ルイズ本人にとってもであった。
―――ルイズは『跳びすぎた』のだ。
拳を避けるためだけに跳んだつもりが、
なんとゴーレムの顔のあたりまで上昇していたのだ。
身体全体で感じる浮遊感と爽快な風に、
場違いにもルイズは酔った。
桃色掛かったブロンドの髪が激しく揺れる。
ふと視線を横に向けると、ゴーレムの肩に立っているフーケと目が合った。

ルイズもフーケも、暫く呆けた顔をして見つめあっていたが、

先に状況を把握したルイズが、歯をむき出しにして笑い、
杖を構えた。
それに引き続いて真顔に戻ったフーケは、間髪入れずにゴーレムの左腕を、
ルイズ目掛けて繰り出させた。

「無駄ァ!!」
即座にルイズは身を捩って、
フーケからゴーレムの左拳へと目標を変えた。
ゴーレムの拳と、ルイズとの間の空間で爆発が起こり、
ゴーレムの左拳は崩れ落ちた。
その爆風を利用する形でゴーレムから離れたルイズは、
レビテーションを使っているわけでもないのに、
"ズダン!"と地表に着地していた。
四つん這いで着地したため、少々みっともなかったが、
そんなことを気にしている暇はない。

見事ゴーレムの片手を破壊したかと思われたが、
次の瞬間、ゴーレムの欠損した部分に土が集まり、
あれよあれよと言う間に 元通りになってしまったからだ。

(くそぅ……再生能力か!!)
ルイズは苦々しげにそう思った。
これでは少々のダメージでは、埒があかない。
それなりに時間を掛けて魔力を込めれば、
先ほどよりもっと強烈な爆発を喰らわせられるのだが、
そんな時間をゴーレムが与えてくれるとは思えない。
それに、かりに詠唱の時間を取れたとしても、
ゴーレムを倒せるとは限らない。
………………しかし。
しかしだ。
いくら考えた所で、元々ルイズにはそれしか手は残されていないのだ。
出来る出来ないを推し量るよりも、
思いついた手段があるなら、それは全て試す価値がある。
ルイズは、時間を稼ぐ方法を何とか考えようとしたが、
そうやって逡巡している内に、ゴーレムの方が先に動いた。
両腕をブンブンと振り回し、
めったやたらに攻撃を開始したのだ。
大量の土埃が舞い上がり、直ぐに視界がきかなくなる。

偶然の産物か、
その砂埃を抜けて、ゴーレムの拳がドンピシャでルイズに迫った。
今日のルイズはとことんツいてないらしい。

「ええぃ下らん小細工ゥ!!」

ルイズはすかさず横に跳んで事なきを得た。
しかし、フーケの取ったこの『数撃ちゃ当たる作戦』、
ルイズにとってはかなり嫌らしい作戦だった。
ルイズは、いちいち拳が砂埃から現れてから回避行動をせねばならなかったし、
時折ルイズの真横に拳が振り下ろされる度に、
神経に負担が掛かった。
それに、ひっきりなしに攻撃に晒されて、
ルイズには杖を振る暇など与えられなかった。
右に左にと、猫のように身を翻すルイズは、
まさに防戦一方といった風だった。
やがて、その連続回避行動は遂に破綻した。
あらぬ方向を攻撃したゴーレムによって、
根元から折られた木が、ルイズに飛来したのだ。
ゴーレムのみに神経を集中していたルイズに避けられようはずもなく、
飛来した木は、ルイズにぶつかった。
かはぁ、と腹から息が漏れ、ルイズは無様に地面を滑った。
頭の傷口が開いて、血が噴き出した。

すると、図ったかのように突如ゴーレムが攻撃をやめた。
もういい頃合いだろうとでも思ったのだろうか。
だとしたら、ナイスタイミングだ。
あはは…、とルイズは皮肉気に笑った。
ゴーレムはじっと動かない。
ルイズはまだ動けない。

そのうち、土煙が晴れていった。
ゴーレムの肩に乗っかっているフーケが、
地面に転がるルイズを捉え、あざ笑った。

「おやおや、そんな所にいたのかいお嬢さん。
豆粒みたいに小さかったから、
うっかり弾き飛ばしちゃったみたいね」
オホホホホ、と顎に手を添えて笑うフーケに、
ルイズはハラワタが煮えくり返る思いだった。
怒りは、今のルイズの唯一の原動力だった。
不屈の精神で再び立ち上がるルイズ。
しかし、フーケは、
そうやって足掻くルイズの姿をこそ見たかったのだ。
フーケが杖を振ると、
ゴーレムの巨大な片足が持ち上がった。
踏み潰そうというのだ。
だが、そんな状況でも、
ルイズはフーケから目を逸らさなかった。
敵に背を向けない者を、貴族というのだ。
それだけが、今のルイズに出来るささやかな抵抗だった。


しかし、そんなルイズの視界の端に、
チラリと人影が映った。
ルイズは一瞬見間違いかと思ったが、
視線を移動させると、確かに見えた。
ゴーレムの背後から、
まるで何事もないかのようにスタスタとルイズの方に歩いてくる、
上半身裸の………。
ルイズはその人影をしっかと確認すると、あはは…、と笑った。

今回は皮肉ではなかった。
純粋に喜びからくる笑いだった。
ルイズはフーケの方に向き直ると、おもむろに杖を懐にしまって、
腕を組み、胸を張った。
さっきまでの健気な様子とは一転して、
ルイズが自信たっぷりな態度を取り始めたので、
フーケは面白くなかった。

「………フン、とうとうオツムがトんじまったみたいだね。
まぁ、もう関係ないわ。
今度こそこれで終わりさ…!
踏みつぶしてやるよ!!!」

轟音を上げてゴーレムの足が下ろされて始めても、
ルイズは腕を組んだままだ。
笑みを浮かべてすらいる。
どちらにせよ、もうかわせる距離ではない。
そのままの勢いで、ゴーレムはルイズを踏み潰……………


―――ドォォオオオオン!!!―――


…………すことにはならなかった。
ゴーレムの足は、しっかりとルイズに狙いを定めていたのに、
足を下ろした地面に、ルイズの手応えは感じられなかった。
フーケは、その有り得ない光景に目を見張った。
どう考えてもかわせるタイミングではなかったというのに、
ルイズはゴーレムが振り下ろした足の真横で、
悠然と佇んでいる。

さきほどまでと全く変わらない。
腕を組んで、お世辞にも豊かとはいえないムネを精一杯張っている。
さきほどと違う所といえば、
いつの間にかルイズの後ろに……………………


「ご苦労様。
でもちょっと遅いわよ、DIO」

DIOが肩をすくめた。
to be continued……


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