ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は今すぐ逃げ出したい-23

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匿名ユーザー

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キュルケが昼食だと呼びに来た。昼食時にワルドに会うかと思うと嫌になってくる。そう思いながらギーシュとキュルケと共に一階に下りる。
その間キュルケが言い寄ってきた。お前の今のお目当てはワルドじゃなかったのか?
ルイズたちと合流すると昼食が始まった。勿論その場にはワルドもいた。
しかし私はワルドがまた手合わせを願ってくるとばっかり思っていたのだが、意外にもワルドは何も言ってこなかった。
驚きだ。絶対また言ってくると思ったんだがな。さすがにギーシュに怒られたのが精神的にきたのかもしれないな。
しかし言ってこなくなったのはいい事だ。つっかえが取れて晴れ晴れした気分だ。これで昼食を邪魔されずに楽しむことが出来る。
昼食を食べ終えキュルケをあしらい部屋へ戻り鍵をかける。ギーシュはまだ部屋に入っていなかったが大丈夫だろう。
ベッドに寝転び暫らく休憩することにする。食後すぐに運動するようなことはしない。
休憩している途中に「開けてくれ」だとか「ヨシカゲ!いるんだろ!」とか激しくドアを叩く音が聞こえてきたが無視した。
『アンロック』でもすればいいだろうに……、そう思ったらギーシュのベッドの上に杖が置いてあった。油断しすぎだろ……

さて、そろそろ行くか。デルフを手に取り部屋を出るためドアを開ける。
「へぶちッ!」
ドアに何かが当たる感触と短い悲鳴が聞こえた。部屋を出てみるとギーシュが倒れている。すっかりギャグキャラ要員が定着したんじゃないか?
ギャグキャラは死なない。放っておこう。
ギーシュをそのままに中庭に向かう。中庭にある錬兵場は物置だった。樽や空き箱が積まれている。
こんな場所に好んでくる馬鹿などいないだろう。周りからも見えにくい。いい場所だ。帽子をとり上の服を脱ぐ。
そしてデルフを抜く。体が軽くなりルーンの発動が確認できる。
「んじゃやろうぜ相棒」
「その前に言っておくことがある。喋るな」
「ああ?何でよ?なーんかいつもみたいにうるせえから喋るなって感じじゃなさそうだな。小声だし」
「もし見られていたらどうする。お前が無闇に喋って情報が漏洩したら困るじゃないか。いいな。なにか思い出しても喋るな。部屋で聞く」
デルフが暫らくうなるが、
「わかったよ。どうしてだか知らねえが相棒は正体隠してるみたいだしな」
そういって了承した。ありがたい。もし有益な情報を喋ってワルドにそれを聞かれたりしたらどうなるかわかったもんじゃない。
色々何か追求されるか、もしくは敵の本性を現して殺しに来るかもしれない。
本当はワルドは敵ではないのかもしれないが敵ではなくても怪しいのは確実だからダメだ。
剣を一振り、それほど力を込めずただ横に振るう。二振り、剣を返し縦に振るう。
さて、はじめるか。
さっきと同じように力を抜いて振るう。しかし今度は徐々に力を込めより速く振るう。
勢いを止めずさらに力を込め、勢いを利用しさらに加速させ剣を振るい続ける。
剣を振るうことでもっとも大切なことは何か、それは力でもなければ技量でもない。
単純に剣を振るい続けることの出来る体力が大切だ。力や技量は体力をつけてから出ないと話にならない。……勝手な持論なのであってるかどうかはわからないが。
だから剣を振り続ける。休まず止まらずより速く!
ただ無心で振るう。軽くなったこの体でもきついと思えるほどに振るう。振るう。振るう。振るう。振るう。振るう。振るう……
暫らくしてやっと剣を止める。顎に汗が伝う。や、やりすぎた……、正直ここまでするつもりはなかったんだがな。
もう少ししたほうがいいかもしれないと考えるとなかなかやめられなかった。デルフを鞘に収めるとさらに疲労感が増す。
いつも以上に練習しすぎた。速くベッドで休むとするか。
汗をぬぐい服を着て帽子を被る。そして部屋に戻ろうとするとパチパチという音が聞こえてきた。拍手の音だ。何故?拍手が聞こえる後ろを振り向くと、
そこにいたのはワルドだった。まさか見ていたのか!?
「いやいや、お美事な剣捌きだったよ。さすが『ガンダールヴ』あらゆる武器を使いこなす使い魔だ」
見ていたようだな。やはりデルフを黙らせておいて正解だった。
「はぁ、どうもありがとうございます」
何も知らない振りをする。そんなあからさまな釣りで私が反応を出すと思っているのだろうか。馬鹿な奴だ。
「それで何か御用でしょうか」
「きみが話しを聞いてくれないからね、話しをしようと思って探したらここにいてね。声を掛けようにもあまりにも真剣だったんで声がかけれなかったのさ。それに剣捌きに見とれていたしね」
御託はいい。
「御用は何でしょうか」
「勿論今朝の話さ。手合わせしたいというね。さっきのを見てますますしたくなったよ」
ウザい、ウザすぎる。もし私が女ならこんな男はごめんだ。人の拒絶を認めず一方的に押し付けてくることが不快なことだとは思わないのか?
「それはお断りしたはずですが」
「わかってる。つまりきみは手合わせがいやなんだろう?だから考えたんだ」
はて?何をであろうか?
「手合わせがいやなら決闘しようじゃないか!きみは手合わせという中途半端がいやだったんだろう?だから真剣に勝負するんだ」
……イタイイタイタイヨー。ダレカコノ人ツレテッテー。っとこれは私のキャラじゃないな。
「私は正々堂々きみに決闘を申し込む」
そういって頭を下げる。うぜえ……
「まさか誇り高い決闘を、よもや断るわけはないだろうね」
「お断りします」
「よし、そうか!では早速……ってええッ!?」
まさか断るなんて!といった顔をしながらワルドが叫ぶ。誰が決闘なんかするか!さらに危険度が上がってるじゃないか!
「こここ、断るというのかい!?決闘を!?」
「はい、お断りします」
「どうして!?」
「やる理由ないですし」
ここまで断ればもう言ってこないだろう。しつこすぎるんだよったく……
「ではこれで」
そう言ってワルドに背を向ける。やっと休めるな。
「……もしかしてきみは怖いのかい?」
足が止まる。何だって?後ろ向くとワルドがニヤニヤしながらこちらを見てくる。
「きみは怖いんだろ?メイジと戦うことが。でも安心したまえ、ちゃんと手加減はしてあげるさ」
かなりムカつく言い方だ。カチンと来るね。顔もニヤニヤしていかにも挑発してますって顔だ。
なるほど、いい手段だ。答えてやろうじゃないか!
「その通りです。なのでお断りします」
「……」
ワルドの顔が凍りついた。ふん!誰がするものか馬鹿め。
「なんだい、きみはそんな腰抜けだったのかい!やれやれ、本当に幻滅だね。期待して損したよ。もう帰ってくれても構わんよ」
「それではお言葉に甘えて失礼します」
ワルドの顔は今度こそ完璧に凍りついた。目を見開き指一本動かさない。
まさか!といった感じだな。そりゃ普通の人間ならあそこまで厭味ったらしく挑発されたら決闘してしまうだろうな。
だが私にはそんな挑発に乗るほどプライドはないんでね。
固まっているワルドを後目に今度こそ部屋に戻った。


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