ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は今すぐ逃げ出したい-26

最終更新:

familiar_spirit

- view
だれでも歓迎! 編集
まさに当たるその瞬間に敵は抱えていたルイズを横に放り出し自分は地面に手摺の向こう側にジャンプする。
ルイズを離した!?何故!?
そのせいでまた剣を掠らせるだけに終わってしまう。あのままルイズを持っていればジャンプしてもルイズという荷物と重さで動きが鈍るから斬れたんだがな。
まさか相手も斬りかかってくるとは思ってなかったはずなのに避けられた。
相手の判断力は厄介だ。ルイズを離したということは斬りかかるあの一瞬で人質の無意味さに気づいたということだからだ。
そしてルイズを放し自分が斬られるのを回避した。普通なら当然の出来事で対応できずに斬られそうなもんだがな。。
私の剣から逃れた敵は敵はワルドが放ったであろう魔法で打ち据えられ下に落ちていった。
メイジだろうから多分平気だろう。腰に杖のようなものが見えたしな、確証はないが。メイジじゃなくても敵なら死んでも構わない。
「大丈夫か!」
先に階段を上っていたワルドがルイズに駆け寄っていく。
「え、ええ。大丈夫」
「問題ない」
ルイズは少し気が動転しているがしっかりと、私はデルフを持ったままワルドにそう返す。
「よかった」
ワルドが安堵のため息をつく。
そしてこちらを睨んでくる。何だ?
「さっき君はルイズが敵に捕まったときにルイズごと敵を斬ろうとしてなかったかい?」
静かに、しかし怒気を込めこちらにそう問いかけてくる。やばい!言い訳考えてなかった!
さっきここで敵と一緒にルイズを殺した後ワルドもすぐに殺そうと思ってたし成功すると思ってしなー、どう言い訳しよう!?
「……敵だけ斬る自信があったんだ」
結局これだけしか言えなかった。
「そんなことが出来るものか!あの状況でどうやって敵だけ斬ると言うのかね!?」
ちッ、しつこい奴だ!

「ワルド、わたしは大丈夫だから。今は先を急ぎましょう」
すると突然ルイズがそう言う。至極全うな意見だ。しかも私を庇ったようなタイミングで……、それは気のせいか。
「しかしルイズ……」
「その話は後でもできるわ。もう敵が来ないとも限らないでしょ。なら今は先を急ぐべきよ」
「……わかったよ」
そしてワルドは私への追求を止めルイズを立ち上がらせる。そしてまた階段を登り始めた。
しかし意外だな。ルイズならワルドと一緒に私を追及してきそうな感じなんだが、どういった心境の変化だろうか?
あとさっきの敵変じゃなかったか?何でルイズを前ではなく横に放ったんだ?前に放られていたらルイズは斬れても敵は斬れなかった。
まるでルイズを庇ったみたいだな。……いや、考えすぎか。敵も気が動転していたのかもしれん。
そんなことを考えながら階段を上がっているとルイズやワルドの姿が消えている。どうやらここが階段の終わりらしい。
階段を駆け上がった先には1本の枝が伸びていた。その枝に沿ってこの世界の船であろうものが1つ何本ものロープで上の枝から吊るされていた。
船は帆船のような形をしており舷側に羽のようなものがついている。
予想としてはこれは空を飛ぶものだろう。つまり飛行機だな。ということは飛行機を使わなければいけないほどアルビオンは遠いのかもしれないな。
ワルドとルイズは既に船の甲板の上に乗っている。
私の乗っている枝から船にタラップが伸びていた。それを使い私も船に乗り込む。
ワルドはこの船の船長らしき男と何やら交渉していた。
「したがって、今は出航できません。途中で地面に落っこちてしまいまさあ」
「『風石』が足りぬ分は、僕が補う。僕は『風』のスクウェアだ」
何を話しているのかはわからないがどうやらワルドが押し切ったようだ。
船長と他の船員(だと思う)は顔を見合す。

「ならば結構で。料金ははずんでもらいますよ」
そしてワルドに顔を向けそう言った。そのあともなにか話し船長は出航の令を船員に出した。
船の出港準備が終わり船が進みだす。
本当に空を飛んでいる。マジですげえなーおい。予想はしてたけどやっぱ信じらんねー。
スピードも結構速いようだし。
風で帽子が飛ばないように手で押さえつけながら舷側に乗り出し飛んでいる様を見続ける。まるで童心に帰ったみたいだ。
飛行機じゃなくて船の形をしているところが信じられん。魔法なんて見飽きたと思っていたがまだまだ驚かされることもあるもんだな。
いや、本当にすげーわ。
ここまで興奮したのは幽霊屋敷以来だな。
そんなことを考えていると後ろから肩を叩かれる。誰だ?人が心躍っているときに水を差すバカは?
振り向くとそこにいたのはルイズだった。何のようだ?
「ねえ、聞きたいことがあるんだけど」
私は聞きたくない。あっちに行け。勿論そんなことは口にしない。
そして口にしない思いは相手に伝わることはない。
「本当は私ごと敵を斬ろうとしたんじゃないの?」
ルイズのその言葉に身が少し硬直する。
ルイズの目を見ると、その顔は真剣そのものだった。お前は答えなければいけないというような威圧感を伴っている。
はて?ルイズはこのような眼が出来る女だっただろうか?この前までただの甘ちゃんだったはずなんだが……
「答えなさい」
ルイズは静かに、しかし力強く問いかけてくる。
何が変わったんだ?


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー