「……もし、『そうだ』と言ったら?」
ルイズにそう問いかける。
ルイズはすぐには答えず私を見詰める。睨むでもなく、観察するのでもなく、静かなる威圧感をその眼に宿し、ただ見詰める。
ルイズはこういった眼をするよう、……いや、出来るような女ではなかった。
正直言えばこの程度の威圧感など犬に咆えられるよりも効き目はない。
しかし問題なのはそういった眼が出来るようになったことなのだ。ルイズが、この甘ちゃんが、この馬鹿が、そういった眼をできるようになったというのが問題なのだ。
それを見極めるためにはまず観察するしかない。
そのためには相手の出方を見なければならない。心でも読めれば楽なんだがそんなことは出来ないしな。
くそッ!なんて面倒なんだ!早く始末してしまいたい!早くこの忌々しい使い魔という呪縛から開放されたいのに!
いっそ今ここでルイズを殺すことが出来たらどれだけすっきりするか……、ルイズの眼の変化なんて気にしなくて済むしな。
だがここで殺すときっとワルドが私を攻撃してくるだろう。ワルドを倒せたとしてもこの船の船員が黙っていられるだろうか?
答えは、ノー。だから皆殺しにするしかない。しかし私に船の運転ができるか?ましてや空を飛ぶ船だ。いつ落ちるかわからない。
そんなもの無理に決まっている。結局ルイズはアルビオンで隙を見て殺すしかないのだ。
というより何故自分はここまで苛立っているんだ?
たかがルイズに質問されたぐらいで、たかだか眼が少し変化したぐらいで、何故自分はここまで苛立っている?
いつもみたいに誤魔化せばいいじゃないか。眼の変化など気にかけなければいいじゃないか。
何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?
……何故かって?そんなもの決まっている!
私の『静かなる人生』を!『幸福生きる』という願いを!
そして私を打ち砕いたクソカスどもの眼に似ているからだ!○○やくそったれ○○に似たな!
今はまだ違う。奴らのような○○を秘めているという訳ではない。
だが、この吉良吉影の『勘』が……いずれ奴らのような○○をその眼に宿すのではないかと告げている。
そう、奴らのような○○という名の○○を……
しかしそれはあってはならない!そのような○○を宿らしてはならない!
自分を否定するものが有ってはならないんだ!
「……私は」
ルイズが話しかけてくる。
それをきっかけに再び意識が浮上する。
私は今何を考えてたんだ?『私を打ち砕いた』……だと?
どういうことだ?まるで静かな人生も幸福に生きるということも潰えたみたいな感じじゃないか!?
今目指しているものなのに何故潰えた感じ何だ!
しかも『打ち砕いたクソカスども』?どういうことなんだ!?
「ちょっとヨシカゲ?顔色悪いわよ?」
○○やくそったれ○○?○○?○○という名の○○?
あれ?さっきまで考えていたはずのことがなぜ思い出せない?しかもまるで穴あきのように1部分だけだ。
自分を否定するもの?
勘?
眼?
○○?
吉良吉影?
あれ?なんで自分の名前に疑問を持ってんだ?
「ねえ?聞いてるの?本当に顔色悪いわよ?大丈夫なの?」
膝が震える。汗が噴出してくる。自分の中の何かが、決定的な何かが壊れたかのように!
く、苦しい!何で苦しいんだ?
息が出来てないからだ!じゃあ何で息が出来ないんだ?
体が言うことを聞かない!じゃあ何で言うことを聞かないんだ?
あれ?何でこんなこと考えてるんだ?じゃあ何でこんなことを考えてるんだ?
咽喉を押さえ膝を突く。
もう立っていられない!思考もまともにまとまらない!
「ヨ、ヨシカゲ!?」
そうか……
問題は、一番の問題は、自分が何で自分でもわからないこと考えたということではない。
一番の問題は……自分の名前に、いや、自分に疑問を持ったことだ!
その瞬間から体に変調が起きたんだ。間違いない!
じゃあ何で自分に疑問を持ったんだ?私は吉良吉影!私は私であり他の誰でもない!疑問を抱く余地なんてないじゃないか!
いや、本当にそう言えるのか?言えるに決まっている!
突然腕が視界に入る。誰の腕かはすぐにわかる。私の腕だ。しかし私の腕といってもただの腕ではない。もう一つの腕だ。何故現れているんだ?
暫らく見詰めていると頭がすっきりした感じがする。
そうか、簡単なことじゃないか……
「……こ………!」
「え……!……………………」
ついに体が地面に倒れ付す。音も殆ど聞こえなくなっている。
自分が自分のこ……とを疑……問を持ったのは、自分の考え……た吉良吉……影を他人と思っ……たからだ。
目の前が暗くなり始める。
私が認識し……ている吉良吉影ではなく別人とし……て考……えたからだ。
それじ……ゃあ、ど……うして他……人と思ったんだ?
ま、まさか!……も……しか……したら私……の死ぬ前の……!?
そして目の前は暗くなった。
ルイズにそう問いかける。
ルイズはすぐには答えず私を見詰める。睨むでもなく、観察するのでもなく、静かなる威圧感をその眼に宿し、ただ見詰める。
ルイズはこういった眼をするよう、……いや、出来るような女ではなかった。
正直言えばこの程度の威圧感など犬に咆えられるよりも効き目はない。
しかし問題なのはそういった眼が出来るようになったことなのだ。ルイズが、この甘ちゃんが、この馬鹿が、そういった眼をできるようになったというのが問題なのだ。
それを見極めるためにはまず観察するしかない。
そのためには相手の出方を見なければならない。心でも読めれば楽なんだがそんなことは出来ないしな。
くそッ!なんて面倒なんだ!早く始末してしまいたい!早くこの忌々しい使い魔という呪縛から開放されたいのに!
いっそ今ここでルイズを殺すことが出来たらどれだけすっきりするか……、ルイズの眼の変化なんて気にしなくて済むしな。
だがここで殺すときっとワルドが私を攻撃してくるだろう。ワルドを倒せたとしてもこの船の船員が黙っていられるだろうか?
答えは、ノー。だから皆殺しにするしかない。しかし私に船の運転ができるか?ましてや空を飛ぶ船だ。いつ落ちるかわからない。
そんなもの無理に決まっている。結局ルイズはアルビオンで隙を見て殺すしかないのだ。
というより何故自分はここまで苛立っているんだ?
たかがルイズに質問されたぐらいで、たかだか眼が少し変化したぐらいで、何故自分はここまで苛立っている?
いつもみたいに誤魔化せばいいじゃないか。眼の変化など気にかけなければいいじゃないか。
何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?何故?
……何故かって?そんなもの決まっている!
私の『静かなる人生』を!『幸福生きる』という願いを!
そして私を打ち砕いたクソカスどもの眼に似ているからだ!○○やくそったれ○○に似たな!
今はまだ違う。奴らのような○○を秘めているという訳ではない。
だが、この吉良吉影の『勘』が……いずれ奴らのような○○をその眼に宿すのではないかと告げている。
そう、奴らのような○○という名の○○を……
しかしそれはあってはならない!そのような○○を宿らしてはならない!
自分を否定するものが有ってはならないんだ!
「……私は」
ルイズが話しかけてくる。
それをきっかけに再び意識が浮上する。
私は今何を考えてたんだ?『私を打ち砕いた』……だと?
どういうことだ?まるで静かな人生も幸福に生きるということも潰えたみたいな感じじゃないか!?
今目指しているものなのに何故潰えた感じ何だ!
しかも『打ち砕いたクソカスども』?どういうことなんだ!?
「ちょっとヨシカゲ?顔色悪いわよ?」
○○やくそったれ○○?○○?○○という名の○○?
あれ?さっきまで考えていたはずのことがなぜ思い出せない?しかもまるで穴あきのように1部分だけだ。
自分を否定するもの?
勘?
眼?
○○?
吉良吉影?
あれ?なんで自分の名前に疑問を持ってんだ?
「ねえ?聞いてるの?本当に顔色悪いわよ?大丈夫なの?」
膝が震える。汗が噴出してくる。自分の中の何かが、決定的な何かが壊れたかのように!
く、苦しい!何で苦しいんだ?
息が出来てないからだ!じゃあ何で息が出来ないんだ?
体が言うことを聞かない!じゃあ何で言うことを聞かないんだ?
あれ?何でこんなこと考えてるんだ?じゃあ何でこんなことを考えてるんだ?
咽喉を押さえ膝を突く。
もう立っていられない!思考もまともにまとまらない!
「ヨ、ヨシカゲ!?」
そうか……
問題は、一番の問題は、自分が何で自分でもわからないこと考えたということではない。
一番の問題は……自分の名前に、いや、自分に疑問を持ったことだ!
その瞬間から体に変調が起きたんだ。間違いない!
じゃあ何で自分に疑問を持ったんだ?私は吉良吉影!私は私であり他の誰でもない!疑問を抱く余地なんてないじゃないか!
いや、本当にそう言えるのか?言えるに決まっている!
突然腕が視界に入る。誰の腕かはすぐにわかる。私の腕だ。しかし私の腕といってもただの腕ではない。もう一つの腕だ。何故現れているんだ?
暫らく見詰めていると頭がすっきりした感じがする。
そうか、簡単なことじゃないか……
「……こ………!」
「え……!……………………」
ついに体が地面に倒れ付す。音も殆ど聞こえなくなっている。
自分が自分のこ……とを疑……問を持ったのは、自分の考え……た吉良吉……影を他人と思っ……たからだ。
目の前が暗くなり始める。
私が認識し……ている吉良吉影ではなく別人とし……て考……えたからだ。
それじ……ゃあ、ど……うして他……人と思ったんだ?
ま、まさか!……も……しか……したら私……の死ぬ前の……!?
そして目の前は暗くなった。