五臓に影響を与えるものには様々なものがありますが、
ここでは今回の調査内容、つまりフィールドワーク関係と名産品に
関わってくる「五悪」と「五味」を中心に取り上げます。


【基本篇】
まず「五悪」と「五味」が何なのかということですが、

五悪
体に悪影響を与える自然の働きのことを指します。ここでは自然の働き≒気候と考えてください。風・暑・湿・燥・寒の5種類があり、それぞれが肝・心・脾・肺・腎の五臓に影響を与えます。

五味
体に影響(適切に使えばよい影響、間違って使えば悪い影響)を与える飲食物の味の事を指します。酸・苦・甘・辛・鹹の5種類があり、それぞれが肝・心・脾・肺・腎の五臓と対応しています。最初のうちは「五味が、対応する五臓の働きを助ける」と考えると分かりやすいです。

ここまでのところで出てきた言葉を五行で分類すると

―――――――――――――
五行∥木|火|土|金|水|
―――――――――――――
五臓∥肝|心|脾|肺|腎|
五悪∥風|暑|湿|燥|寒|(五臓に対するマイナス要因)
五味∥酸|苦|甘|辛|鹹|(五臓に対するプラス要因)
―――――――――――――
となります。

例)五悪のうちの湿邪は五臓の脾の働きを阻害するが、
  五味のうちの甘味は脾の働きを助ける。






【やや応用篇】
ここからは少し応用的な話になりますが、
特産品に関わる五味を考える上で大事なことなので
しっかり確認してください。

基本篇のところで
「五味が対応する五臓の働きを助ける」
「五味が五臓に対するプラス要因」という書き方をしましたが、
実際のところ、五味が五臓に与える影響はもう少し複雑です。


「肝」を例にとって見ましょう。
確かに肝の機能が弱っているときに酸味の食べ物を
とることは理にかなっています。しかし!それはあくまで
適量での話です。過剰に摂取すれば逆効果になり得るのです。
また、辛味のものの摂取にも注意が必要です。
「相克」の考え方からすると辛味は肝木の働きを抑えてしまいます。そのため肝が弱っているときには辛味のものは少量にとどめておく方が無難です。

そして次が少しややこしいのですが・・・
「肝の機能が弱っていて、酸味のものを多めに摂取する場合は
 甘味のものも若干多めに摂ると良い」
これは何故でしょう?
実はこれも相克関係に基づいているのです。
酸味のものを多く摂取した場合、相克の考えからすると、
脾土の働きを抑えることになります。それを防ぐために
脾を助ける甘味のものをいっしょに摂るといいのです。

つまり、肝が弱っているときには五味を次のように摂ると良いと
いうことになります。
(+は多めに、-は少なめに、無印は通常通り、を示します)
酸 ++
苦 
甘 +
辛 -

同様に考えて、
心が弱っている場合は
酸 
苦 ++
甘 
辛 +
鹹 -

脾が弱っている場合は
酸 -
苦 
甘 ++
辛 
鹹 +

肺が弱っている場合は
酸 +
苦 -
甘 
辛 ++
鹹 

腎が弱っている場合は
酸 
苦 +
甘 -
辛 
鹹 ++
となります。(あくまでもこれは理論から考えた目安です)







【フィールドワーク篇】
さて、ここまでの内容をフィールドワーク等に活かしてもらう
訳ですが、次のようにするとやりやすいと思われます。
①その地域の気候を調べる。
   ↓
②その気候により悪影響を受ける五臓を特定する。
   ↓
③悪影響を受けた五臓の働きが弱るのを防ぐには、
 どの五味をどのように摂ればいいかを決定する。
 (数種類の気候の影響を同時に受けている場合には、
  応用篇の+-を足し引きして、総合的に見たときの
  良い五味・悪い五味を出してください)
   ↓
④実際にその地域の特産品(あるいはよく食されているもの)を
 調査して、気候から考えた事前の予測と合致するかどうかを
 確認する。
   ↓
⑤合致すればそれで良し、合致しなければ「何故そのような
 結果になったか?」を考える。
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最終更新:2007年03月07日 21:42