衛宮士郎という男はとうに澱みきった。
 昏いドレスを纏った王を目にしても、心は微塵も疼かない。
 エメラルドの如く双眸に、端整な顔立ちをしたセイバーのサーヴァント。かつて日常を共有した彼女と瓜二つだ。
 けれど、彼女の真名は頭から排除する。宝具の名前も繋がない。
 それを遺憾に思わず、むしろ都合がよかった。
 下手なことを口にすれば即座に首を刎ねられる。漆黒の剣には一切の情を通わせていない、アレはそういうサーヴァントだ。
 今は不興を買わない程度に機嫌を取るのがベター。

『それで、わざわざ食べ物のために時間を取ったのか?』
『あのセイバーを見ただろう。彼女はどうもジャンクフードを好むようだ……なら、些細な行為で点数稼ぎをしてやるとも』

 人気のない通路で男二人は念話を行う。
 セイバーのマスターである青年ーーオルフェ・ラム・タオの拠点では複数の紙袋が散らばっていた。
 東京23区のみならず、恐らくは世界各国に店舗を構えるファーストフード店のロゴマークが書かれた袋を、衛宮士郎は両手で抱えるほどに用意している。
 あの時、セイバーは仏頂面でジャンクフードを頬張っていた。次に会うときまでに用意してやれば評価も多少は上がるだろう。
 ただ、士郎は強面だ。店員や客の視線を否応なく集めたが、そこは流すしかない。
 この程度、聖杯戦争の盤面に大した影響を与えるものではなかった。

『良ければ一つどうだ』
『いらない。葬者にとって必要なんだろう』
『そう言うだろうとは思った。だが、これはこれで、効率良くカロリー摂取できるぞ?』
『……この町には、栄養バランスとやらを気にする人間もいるけど、それはどうだ』
『さぁ? そこまでは保証できないな』

 軽口を叩き合うほどには、自身のセイバーと気心を許し合った。
 聖域のヤコン。
 否、サーヴァントとしての真名はおぞましきトロア
 父よりその名を受け継ぎし山人(ドワーフ)にして、無数の魔剣を操る魔剣士(グリムリーパー)だ。
 一ヶ月という時間は短いようで長い。一つの町で、注意深く周囲を見聞しながら過ごしていれば、風習や文化は自然と体に馴染む。
 トロアも東京に生きる人々について、理解するようになった。

『葬者は料理をしないのか』
『…………生憎だが、その時間も惜しい。オレの両手では、細かい作業は無理だ』

 濁した言葉の真実と嘘は半々だ。
 理を計るにはどうしても時間を浪費する。一分一秒を争う戦場に飛び込むなら、余計な贅肉のスペースは捨てるべき。
 料理など遠い昔に切り捨てた。
 かつての十八番は錆びついて久しい。
 味覚すらも喪失しつつある。
 あるいは、調理器具を握れば違うかもしれないが、そんなifなど意味はない。

『だから、オレに料理など期待しないでくれ。どうしても、というならーー』

 だが、男の言葉は途切れる。
 何の前触れもなく、夕焼けの空が”純白”に染め上げられ、男たちの表情は一変した。
 それはこの東京に幾度となく降り注ぎ、多くのイノチに恐怖を刻んだ滅亡の光。
 それは一欠片の情を持たず、ただ機械の如く葬者と英霊を抹消し続けた。
 それは魔界と人間界のみならず、冥界全土を破滅させる可能性を秘めた魔童による力。
 全ての滅びを意義とするクリア・ノートの宝具として再現された、ザレフェドーラが放つ消滅の弾丸である。

「跳ぶぞ!」

 真っ先に動いたのはトロアだ。
 彼は即座に霊体化を解き、士郎を抱えて高く跳躍する。人目を憚る余裕すらなく、たった今まで男たちが立っていた地面が消え去った。
 聖杯戦争の舞台となった東京には不穏な事例が幾つも確認されている。この破滅の光は最も危険度が高く、都市を無差別に破壊する厄災だ。

「……あれは、まさか……」
「この一ヶ月間、街の各所を破壊した例の光だ……次が来る」

 空を見上げては未来などない。
 すぐさまトロアは駛走し、通り越した道は二度目の極光で貫かれた。
 人間では為す術なく蹂躙される砲撃も、サーヴァントの脚力であれば漸く逃れられる。

「振り落とされるなよ……しっかり捕まれ!」

 だが、逃げているだけ。
 回避行動以外を選ぶ余裕はトロアになく、士郎も歯噛みする他ない。
 天からの災害は三度来る。抜群の輝度を誇る光が篠突く雨となり、ビル群が立て続けに消滅した。
 視界が点滅し、無音になる。
 それでも、トロアは生存を掴むために駆け抜けていた。

「……ぐっ!」
「セイバー!?」

 着地後、脇腹を押さえながら呻くトロア。
 トロアの敏捷でもマスターを庇うのがやっとで、完全な回避は不可能。
 重傷とまではいかなくとも、決して傷は軽くない。

「俺のことよりも、早く決めろ……すぐに四発目も来る!」

 トロアは叫ぶが士郎では打つ手がなかった。
 並の防御は無意味。
 辛うじて回避はできたが、その後が続かない。
 トロアの魔剣も、あの光を前にしては持ち主ごと蒸発する。対城或いは対都市レベルの火力に、対人宝具など焼け石に水。
 死の運命を覆すには令呪すら足りず、さりとて手をこまねくなど許されない。
 あるいは、一か八かに賭けて熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)で防ぐべきか? 仮に相殺できた場合、片手間で令呪を使えば逆転の可能性は1%程度でも上がる。
 火急の事態に博打を選ぼうとした、その時。

「ーーーーあれは!」

 衛宮士郎が声を張り上げた。
 世界を滅ぼしかねない天の極光ではない。
 数キロメートル先、高層ビルの屋上から放出される暗黒色の聖剣を確かに見た。
 色彩こそ違えど、この衛宮士郎もよく知っている宝具。
 英霊■■■■■・■■■■■■が己の真名と共に解放する唯一無二の武器だ。
 遠い日の記憶を呼び起こす闇は空に向かって一直線に伸び、降り注ぐ災いを空間ごと食らい付くし、盛大な爆音を鳴らした。

「……終わった、のか?」

 流石のトロアも呆気にとられる。
 一方、炸裂の衝撃で怯える街に目もくれないまま、士郎はただ前を見ていた。

「セイバー、オルフェたちを探すぞ」

 立て続けの異常事態にサイレン音が鳴り響いた直後、己の従者に指示を出す。

「ひとまずの危機は去った。まずは彼らの生存確認を最優先させるが……動けるか」
「問題ない」
「では、移動する」

 トロアを連れ、士郎はオルフェたちとの合流を目指して歩き出す。
 その途中、厄災によって滅ぼされた街並みが嫌でも目についた。
 光に穿孔された大地は底無しの闇が広がり、足を踏み外せば地獄にまで堕ちる。

「……………………」

 1分にも満たない過去の賑わいは痕跡すらない。巻き込まれた人々は細胞一欠片も余らなかった。
 それに義憤など抱かず、ただ事実として受け止める。
 今の衛宮士郎は、役割以外の全てを捨てた正真正銘のロボットだ。
 日常の象徴を自ら壊してから、“公共の正義(パブリックヒーロー)”として稼働する機械になった。
 だから、これだけの犠牲だって悲しまない。
 いや、悲哀を捨てた。
 正義の味方ならぬ、悪の敵として生きるには余計な感情は不要。
 そうやって、より多くの人を守ったのだから。




 サーヴァントの魔力反応を頼りにして、トロアに居場所を捉えさせた。
 逆も然りで、トロアが霊体化を解けば他の英霊に感知される。
 磁石のS極とN極が引かれ合うように、二つの陣営が合流するまで十分とかからなかった。

「……お互いの生存を喜ぶべきだろうか」

 壊滅的な打撃で外が喧噪する一方で、四人が集まった部屋は重苦しい空気に包まれている。
 オルフェ主従と合流した後、休息のために一同はホテルがある港区に徒歩で向かう。
 先の騒動で電車やバスなどの交通機関は悉く麻痺し、道行く誰も彼もがパニックに陥っているため、一同も特別目立たない。
 時間はかかったが、衛宮士郎が拠点とするビジネスホテルに辿り着いた。
 幸いにも破滅の範囲から外れており、一先ずは身を隠せる。
 だが、このホテルには避難民が押し寄せているので長居はできない。

「そして君には借りができた。令呪を切る判断を下したから、オレたちも命を繋いでいる」
「その埋め合わせは? まさか、あのような軽食程度で済ませられると思っているのか」
「それこそ、まさかだろう。同盟を組む以上、対等な立場であるべき。合意の元であれば、令呪一画分の働きはしよう」
「そうしてくれれば助かる」

 オルフェ・ラム・タオの顔は険しい。
 令呪とは、全てのマスターにたった3つだけ与えられた虎の子だ。その一画をオルフェに使わせてしまい、結果として士郎とトロアも命を繋いだ。
 彼の決断にただ乗りしては切り捨てられる。必要とあれば、今はオルフェの手足となることも厭わない。

「君はオレ達に何を望む。デスティニープランにとって障害となる敵がいれば、それを切り捨てる剣となろう」
「……暫くは休息を取る。件の”滅亡”は一先ず無力化させたが、私たちも消耗が激しい。回復するまで、護衛を頼む」
「了解した。必要とあれば、オレの方で食料も調達する」

 聞く限りでは、4月1日に突入してから現段階まで彼らは既に3組の敵と抗戦している。
 何れも強敵で、先の”滅亡”は最も危険性が高い。最優のセイバーすらも多大な消耗を避けられなかった。
 この状態で戦闘を継続すれば、如何に彼女だろうと足元を掬われる。王としての格と威圧感こそは健在だが、無理はさせられない。

「そして、今後は君以外にも協力者を増やすことも考えている。
 例の砲撃手……仮に、ランチャーのサーヴァントだとしよう。セイバーの宝具を以ってしても、仕留め損ねた」
「なるほど。再戦に備えて、こちらも数を増やす必要があるか。オルフェ、君の懸念はもっともだ。
 一応、オレの方でも協力者にアテがある」
「確か装甲車に乗って東京を巡る葬者、だったか」
「しかし、あれだけの災害の後だ……生存の可能性は低い。無論、後で連絡はしておくさ」

 午前0時の江東区にて士郎は装甲車を襲撃した。
 葬者の排除こそ未遂に終わったが、決して失敗ではない。装甲車の主及びサーヴァントと交渉し、情報交換と共に非戦協定も交わしている。
 だが、滅亡への対処とオルフェ主従の捜索を優先した都合から、士郎も放置せざるを得なかった。

「それと、協力者を増やすと言ったな。君が敵対した葬者……特に小鳥遊ホシノにも話を持ちかけるのか?」
「必要とあれば、だ。こうも派手に出られては、奴らとて今の状況を理解する。
 簡単に事が運ぶとは私も思わない。その時まで、地盤を整えておく。此方の要求を飲まざるを得なくなるように。
 どうしても、折れないのであれば……君に処遇を任せよう」
「ではオレもある程度はサポートする」

 既にオルフェは小鳥遊ホシノ主従と決裂し、不倶戴天の敵同士になった。
 徹底的に否定し合った相手の手を取るなど、楽観主義を通り越して最早お花畑だ。恐らく、東京各地で噂となった<ヒーロー>でさえ考えないだろう。
 だが、これは和解や協定の話ではない。盤面を無差別に荒らす厄災への対抗策だ。
 例のサーヴァントが再起すれば、真っ先にオルフェ主従を標的にした崩壊を引き起こす。セイバーの消耗具合では、今度こそ為す術なく脱落する危険があった。
 都市を破壊し回っている龍やNPCを屠り続けた怪人、加えて〈双亡亭〉の攻略もある以上、ここにいる二人のセイバーだけでは事足りない。
 交錯する運命の歯車は今も廻ったまま。
 破滅の脅威から生き残った主従次第では、聖杯戦争の展開は大きく変わる。
 今後、これまで通りの小競り合いは維持できない可能性も充分にあった。
 それこそ、小鳥遊ホシノとの因縁を一時的に棚上げし、滅亡に立ち向かうケースも考えられる。

 ―――見えてるわよ、お兄ちゃん。

 不意に、士郎の脳裏に浮かび上がる声。
 彼女はとてもよく似ていた。瞳と肌の色、更には髪型こそは違えど、遠い過去に出会った少女に相似した顔だ。

 ―――かわいそうな■■■。

 いつかの夜、士郎に哀れみを向けた■■■。
 彼女と、赤衣の少女が別人とはどうしても思えない。
 あの少女は何者なのか。
 何故、彼女から兄と呼ばれたのか。
 如何なる理由で衛宮士郎を知っているのか。
 そして、少女はこの聖杯戦争で何を望むのか。
 疑問は尽きない。

「オレの方も、気がかりな人物が一人いるからな」
「それは、君を妨害した例の少女か」
「ああ。オレにあんな知り合いがいた覚えはないが、向こうは違うようだ。だが、安心してくれ……君の障害になれば、オレは躊躇いなく排除する」

 再び相対すれば自ずと答えを得る。
 少女については一旦保留だ。
 次にまた相見えるなら良し。それまでに散る器など興味はない。
 対処すべき事態は数多くある以上、少女だけに意識を向けられなかった。

「シロウ」

 今後の方針が纏まりつつある中、割り込む声が一つ。

「どうした、黒のセイバー」

 トロアと区別するため、便宜上は「黒」を付けて呼ぶ。
 その相手はセイバー。オルフェ・ラム・タオと契約したサーヴァントであり、光を塗り潰した黒き暴君だ。
 手土産に集中していたはずの黒のセイバーは、沈黙を破った。

「貴様は、何を企んでいる」
「どういう意味だ。袋の中身は無事だったはずだが?」

 全てを統べる百獣の王すらも怯みかねない眼光。
 銃口または剣先を向けられると同義だが、事もあろうに衛宮士郎は軽く流す。
 今、彼女から不信を買う謂われはない。
 用意した紙袋の中身は幸運にも無事だった。
 ハンバーガーとフライドポテトは形を保ち、潰れていない。ドリンク類も中身が溢れておらず、フードが濡れる惨状は避けられた。
 追加で、アメリカンサイズのバーガーすらも用意した。

「はぐらかすな。私はバーガーを趣向としているが、貴様には話していない。なのに何故、これだけの量を用意した」

 黒のセイバーが放つオーラは刺々しい。
 剣呑な気にトロアは構えを取るが、士郎は片手で制する。
 どうやら、逆効果だったようだ。
 点数稼ぎのつもりが、余りにも正確だったせいで却って疑念を抱かれる。
 しかし、それも考慮済み。

「シロウ。貴様は、私を知っているのか?」
「昔、君とよく似たサーヴァントと契約していた。そのサーヴァントも、食に強く拘っていた。遠い昔だから、もううろ覚えだがな」

 下手な誤魔化しは彼女の逆鱗を踏むだけ。
 この程度の荒事など珍しくもない。“公共の正義(パブリックヒーロー)”として生きた過程で、武力行使だけでなく交渉事も経験した。

「ファーストフードを選んだのも、先の拠点で紙袋を見かけたから。他に意図はない。
 君がどんな英霊で、如何なる経緯があってそのような姿になったのかーーオレは何も知らないさ」

 媚びや愛想を振りまくつもりはない。
 何故、黒き衣を纏っているのか。
 何があって、こうも変わり果てたのか。
 士郎はこのセイバーについて本当に何も知らなかった。
 かつて契約した騎士王と、この暴君は最早別の存在。顔立ちは酷似しても、士郎が見た青のセイバーに在らず。
 仮に黒のセイバーが消滅しても心は微塵も傷まない。

「だが、疑わしきは罰せよ、と言うなら構わない。今すぐにでもオレを斬るといい」
「私を短慮と見くびるな。ここで貴様らを切り捨てる愚者ではない」
「それは知っている。だが、気を悪くしたなら謝罪しよう」

 巨龍の顎に男が喰らわれることはなく。
 王は再び口を閉ざし、置物の如く沈黙した。

「……君の都合について、今は聞かないでおく。このような些事に時間を浪費する場合ではない」

 オルフェの方も深く追求しなかった。
 合流の目的は内輪揉めではなく、今後の方針を定めること。
 地図は容赦なく穴だらけにされ、羅針盤の針も大きく狂わされた。大嵐と津波で今も盤面が荒らされ、いつ全てが飲み込まれるか。
 従来通りの戦いを続けるだけでは、得られたはずのリソースが潰される。

「話を戻すか。今後の方針を纏めると……休息後の最優先事項は協力者の獲得及び他葬者の動向把握。君の新たなる拠点の確保に関しては、後回しになるが……」
「そこは妥協しよう。私とて、優先順位を弁えている」

 道筋が定まった。
 オルフェ主従のみならず、トロアもダメージを負っている。
 この一ヶ月間で東京各地に戦火が広がり、今も激しく燃えたまま。しかし、如何なる強者だろうと戦場の真っ只中で立ち続けられない。
 どんな機械だろうと定期的なメンテナンスが必要だ。衛宮士郎とて四六時中稼働した訳ではない。
 理想を目指す男たちの命で、剣の英霊たちは己を研ぎ澄ませる。
 ホテルの一室は再び静寂に包まれた。



 ◆


 先の破滅で敵対主従が都合良く一掃されることはない。
 アルトリア・ペンドラゴンの宝具で阻止された以上、良くて一組程度の排除が関の山だ。
 衛宮士郎の生存を根拠にオルフェ・ラム・タオは冷静に分析する。
 本音を言えば時間が惜しい。
 王として、体に鞭を打って動く気概は備えている。
 例え手足を捥がれようと倒れたりしない。
 だが、オルフェに限らず全ての葬者が運命力に縛られていた。
 ペース配分を見誤っては冥界を彷徨う死霊に堕ちるだけ。


 オルフェは思考する。
 あの紛い物の葬者と小鳥遊ホシノは灰燼にならず、今も舞台に立っているはず。
 奴らにも打診を行うのかと衛宮士郎から問われ、躊躇いなく肯定した。
 胸で燃える殺意を覆したつもりはない。
 このまま話を持ちかけても門前払いにされ、それ以前に鞍替えなどすれば黒きセイバーに見限られる。
 王たる者は無様に首を垂れたりしない。
 ファウンデーション宰相として外交を重ねたように交渉の場を用意する。それも、かつて黒きセイバーが束ねた円卓の如く大規模な席だ。
 応じなければその時こそ衛宮士郎に殺させる。
 承諾すれば戦力に加え、機を見計らって始末する。
 元よりこれは聖杯戦争。最初から卑怯という言葉は存在しない。
 国際法などいざ戦時になれば形骸化するのが常。先に相手を殺した側が勝つのが道理だ。


 オルフェにとってもう一つの疑問が黒きセイバーに対する士郎の言動。
 同盟を結んで以来、身の上について確認したこともある。
 彼が元よりいた世界でも聖杯戦争が行われていた。
 士郎はマスターとして参戦し、勝ち続けた。だが、当時のことはもうほとんど覚えていない、とのこと。
 真偽については関係ない。
 懸念はセイバーの真名と宝具が露見されている点。万が一、敵対すれば弱点を狙われる。
 無論、士郎が寝返るなら相応の処罰を下すだけ。
 諸々のリスクは承知で彼らを引き入れた。聖杯戦争より遙か前から、裏切りと陰謀など飽きるほど見て、勇往邁進し続けた。
 今後、生き残った全葬者とサーヴァントが聖杯戦争の激化を予想する。避けられない未来に備えて、次の一手を打つために王は考えを巡らせていた。



【港区・ホテルの一室/一日目・夕方】

【オルフェ・ラム・タオ@機動戦士ガンダムSEED FREEDOM】
[運命力]通常
[状態]釈迦及び彼の中に見たイメージに対する激しい不快感(小康状態)、ゼファー及び彼のイメージする“英雄”に対する恐れと拒絶
[令呪]残り二画
[装備]
[道具]
[所持金]潤沢
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を入手し本懐を遂げる
0.……それでも、勝つのは私だ。
1.休息および魔力回復が完了次第、早急に行動する。
2.衛宮士郎と共に、他のマスターたちと同盟を組めるよう地盤を固める。
3.他のマスターたちの動向を把握する。
4.仮称ランチャー(クリア)を最大限に警戒。場合によっては、他のマスターとも手を組む。
5.小鳥遊ホシノとアサシン、そしてバーサーカー(釈迦)とその葬者にも話は持ちかけるが、応じなければ今度こそ殺す。
6.小鳥遊ホシノを殺すために衛宮士郎を利用する。アサシンとの戦闘は避ける。
[備考]
※プロスペラから『聖杯戦争の参加者に関するデータ』を渡され、それを全て記憶しました。
 虚偽の情報が混ざってる可能性は低いですが、意図的に省いてある可能性はあります。
※プロスペラの出自が『モビルスーツを扱う時代』であると知りました。
 また『ガンダム』の名を認識しました。


【セイバー(アルトリア・ペンドラゴン〔オルタ〕)@Fate/Grand Order】
[状態]魔力消耗(大→中に回復中)
[装備]『約束された勝利の剣』
[道具]
[所持金]
[思考・状況]
基本行動方針:蹂躙と勝利を。
1.今は食事をして、急ぎ魔力を回復させる。
2.仮称ランチャー(クリア)が再び砲撃を行おうとするのなら、次は砲撃前にこちらの宝具を叩き込む。
3.次にアサシンと戦うことがあれば、必ず殺す。……マスター次第、ではあるが。
4.バーサーカー(釈迦)は面倒な相手だった。次は逃さん
[備考]
※クリアの気配感知の感覚を覚えました。次に感知されていることを察知すれば、直感と併せることで、どこから見られているかの大凡の当たりを付けられます。



【衛宮士郎@Fate/Grand Order ‐Epic of Remnant‐ 亜種特異点EX 深海電脳楽土 SE.RA.PH】
[運命力]通常
[状態]健康、オルフェの能力の影響(微)
[令呪]残り三画
[装備]干将・莫耶
[道具]無し
[所持金]食うには困らない程度
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯は破壊する。聖杯戦争に勝ち抜く気の主従に関しては容赦しない。
1.セイバー(アルトリア)の力を利用するため、オルフェたちに協力する。
2.自分達では対処困難な敵を倒すため、セイバー(アルトリア)を利用する。
3.令呪狩り、黒い魔獣と氷炎怪人、3/31の東京上空でぶつかっていた陣営の調査。優先的に排除したい
4.ヒーローに会ったらダ・ヴィンチの連絡先を教える
5.あの赤い外套の少女については一旦保留。
6.後でダ・ヴィンチの生存確認のために連絡する。
[備考]
グラン・カヴァッロの陣営と非戦協定を結びました。連絡先は交換済です。
※黒い魔獣と炎氷怪人陣営(紅蓮&フレイザード)の見た目の情報を得ています。
※3/31に東京上空で戦闘をしていた3陣営(冬のルクノカ、プルートゥ、メリュジーヌ)の戦闘を目撃しています。メリュジーヌは遠方からの観測のため姿形までは認識していません。
※郊外の2つの市を消滅させた陣営を警戒しています。


【おぞましきトロア@異修羅】
[状態]脇腹にダメージ(小)
[装備]魔剣をたくさん
[道具]なし
[所持金]なし
[思考・状況]
基本行動方針:斬るべきものを斬る。
1.葬者に従う
[備考] なし

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最終更新:2025年06月13日 21:36