○月×日
 今日もユカリスが旅籠に来た。なにやら入り口で立ち止まっていたが、シャドーが招くと上がってきた。
 戦闘でもしてきたのだろう。服と顔が酷く汚れていた。早速テト様が替えの服を探しに走る。
 我々のもてなしに、ユカリスはいつものように不承不承といった感じで応じていた。
 いつも彼女は一拍置いてから応じる。

 ヒナエデンが昼寝中であることを知ると、静かにこちらへきた。なにか期待されているように思い、獣型で横たわってみるとやはり覆いかぶさってきた。
 笑いながらこちらを見てくるシャドーに腹が立つが、睨みつけるとすぐに逃げた。
 しかし、いつもは尻尾に飛びつくユカリスが今日は何故か我の背に抱きついている。どうしたのか聞いても「なんでもない」と返ってくるだけだった。
 そのまま微動だにしなくなった。
 かなり時間がたってから、シャドーに彼女が寝ていることを指摘された。
 ……まったく気づかなかった。

 それはいいとして、いつの間にか起きたヒナエデンやジュニア様やウィアットまでが我に寄り添って寝始めている。
 我は枕ではないのだが。


 ○月×日。
 今日も討伐任務を終えて、近かったのでナノウリスマの旅籠にも寄ってみる。
 入り口に来たところで自分が返り血と砂まみれになっていることを思い出した。また世話を焼かれるのもいやだからすぐに引き返そうとしたのに、シャドーに見つかった。2424された。
 予想した通り、ムヴァもテトも召還獣たちも私を手厚くもてなしてくれた。
 ユキのようにはしゃぐことができない分、やっぱり居心地の悪さを感じる。

 せっかくなのでヒナエデンと遊ぼうと……したけど気持ちよさそうに寝ていた。残念。
 部屋を見回すとフラディと目が合った。ちょっと間を置いてから横になってくれた。最近のフラディはよくわかってる。
 尻尾まで待ちきれなくて、背中の方へ飛びついた。……というより、倒れこんだ。笑ってこっちを見てるシャドーはもう無視。
 腹が立つけどそれ以上に疲れてる。

 さすがにフラディが「どうした?」と聞いてきたけど、「なんでもない」と返しておいた。
 フラディなら私が疲れていることに気づかないだろう。その方が嬉しい。
 そのうち、ユキと交代してしばらく寝るし。
 でも、私はギリギリまでフラディの背中を堪能した。
最終更新:2012年03月27日 18:56