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ペルソナ3

【ぺるそなすりー】
ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 アトラス
発売日 2006年7月13日
定価 6,800円(税別)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 良作
ポイント 前作からシステム面を一新&br;クール&スタイリッシュな雰囲気の青春RPGに変化&br;一方で、従来の退廃的な要素も受け継いでいる
女神転生シリーズ

概要

評価点

    • 「死」という普遍的かつ根源的なテーマに真っ向から向き合ったシナリオは、シリーズ全作品の中でも屈指の重厚さを誇る。
      • 物語は単なる勧善懲悪の世界救済に留まらず、「人はなぜ生きるのか」「限られた生をどう全うすべきか」という哲学的な領域にまで踏み込んでいる。
      • ストーリーが終盤へ向かうにつれて徐々に絶望感が強まり、逃れられない運命が迫り来る構成は、プレイヤーに強烈な印象を植え付けた。
    • 特に物語を締めくくるラストシーンは、シリーズ屈指の名場面として極めて高い評価を得ている。
      • 単なるハッピーエンドとは一線を画すその結末は、クリア後のプレイヤーの心に消えない痛みと、それ以上に強い余韻を残すものとなっている。

  • 独特な世界観設定
    • 「影時間」「巨大迷宮タルタロス」「死神(デス)」といった、不気味さとスタイリッシュさを高度に融合させた設定は非常に評価が高い。
      • 午前0時と翌日の狭間にのみ存在する「1日と1日の間の時間」という設定は、日常に潜む非日常を見事に描き出している。
      • 影時間の訪れと共に人々が棺桶へと姿を変える街の光景など、随所に散りばめられたホラー色の強い演出も、本作独自の冷たくも美しい空気感を形成する一助となっている。

  • ストーリーの雰囲気
    • テーマが「死」であるため、学園生活を舞台としながらもシリーズ内ではかなり重苦しく、シリアスな空気感が終始漂っている。
      • この硬派なシリアス路線を「大人向け」「深みがある」と高く評価する声は非常に多い。
      • 一方で、全編を通して漂う陰鬱な雰囲気や救いの少なさから、「気軽に遊びにくい」「精神的に負荷がかかる」と感じるプレイヤーも一部で見受けられる。
  • コミュシステム
    • コミュのキャラクターは同級生から先輩・後輩を始めとして町の小学生や老人、さらにはTVショッピングの社長に僧侶など様々な人間との交流が楽しめる。
    • どのキャラもメインキャラに負けず劣らず濃いキャラ付けをされており、彼らとの交流で発生するストーリーも様々。その中でも病気により余命幾許のない青年である「神木秋成」のコミュは本作のテーマと非常にマッチしている。
    • 親交度を上げると、度合いに応じてキャラクター達が悩みを打ち明けてくれるようになる。かなり突っ込んだところまで吐露してくれるので、よりキャラクター達に感情移入することができる。
    • 同時に、そのキャラ及び親交度に対応した機能・能力が開放されるため、本作・以降のシリーズの中核をなす重要システムである。
    • 特に女性キャラは恋愛に発展し、本編とは違った魅力的なしぐさをとってくれ、コミュが終わった後でもデートができるなど、前作までよりキャラクターの魅力を感じやすい作りとなっている。

  • 学生生活を満喫できるシステム
    • タルタロスの攻略の他、勉強や部活、友人や仲間との交流に修学旅行といったなど身大の学生生活を体験できる。
    • 主人公のステータスは勉強や街での活動によりどんどん上がり交友関係が増えてくので、レベル上げが楽しくできる。

  • キャラクター・シナリオ
    • キャラクターたちは、高校生という年代特有の未熟さや青臭さが前作以上に細かく描写されており、より人間くささが増している。
    • 主人公はRPGではお馴染みの「無口主人公」であるが、物語やコミュを進めると選択肢や反応で熱い心が垣間見えたり、仲間や友人たちを大切にし、そしてリーダーとして仲間たちを引っ張り支えるかけがえのない存在となっていることがプレイヤー視点でも見て取れる。
    • そのため、没個性的な「無口主人公」ではなく、プレイヤーごとにキャラクター像を思い描きやすい、魅力を感じやすいキャラクターとなっている。
      • 魅力のパラメータを最大に高めると「カリスマ」になるが、老若男女から好かれる様は正にカリスマである。
      • スポーツ・学力やゲーム、カメラや絵画、衣服などの芸術面にも明るく、なんでもこなせる、皆が憧れるような超人になりきることも可能。
    • 仲間達は皆暗い過去をトラウマとして抱えており、初めは八つ当たりや失言なども見られるややギクシャクとした関係が続いていくが、個々人が次第にそれを乗り越えて成長し心を開り、団結してゆく物語には独自の魅力がある。
    • そして、何よりもテーマである「死」において、仲間は多くの死に触れて、それが1つの問題となって迫って来るが、個々人がそれ向き合い答えを導く流れは巧みなシナリオ運びである。
    • 続編『P4』は比較的和気藹々とした雰囲気であるが、本作『P3』は仲間同士が己の弱さやトラウマをお互いにぶつけあい、傷つきながら前に進んでいくというもの。
    • シナリオ全体としては、トラウマを乗り越えて絆を深めたキャラクター達が、それぞれ誰かに訪れる「死」に、それぞれの形で立ち向かっていくというシリアスな展開となる。
      • 特にラストバトル後~エンディングは、上記のコミュニティシステムを最大限まで活用した演出が用意されており、システムとシナリオが上手く噛み合っている。

  • モブキャラ・サブシナリオの豊富さ
    • モブキャラ達は単なる会話だけでなく、そのキャラクターのサブストーリーが1年に渡って綴られる。
    • 代表的な例としては「ストーカー女子」や「担任が嫌いな小学6年生女子」などが挙げられるが、彼女ら以外もなかなか奥が深いサブシナリオとなっている。
    • 平和になった町では彼らが少しづつ成長しているのが分かり、町を救ったご褒美となっている。

  • バトルシステム
    • 今作の「ワンモアプレスバトル」は、『真・女神転生III』に登場した「プレスターンバトル」をアレンジしたものである。
    • ワンモアプレスは「相手の弱点属性に対応した攻撃」「物理攻撃でまれに発生するクリティカルヒット」によって相手をダウンさせると、ダウンさせたキャラクター自身がもう1回追加で行動できる「1more」が発生する。
    • その際、再度他の敵をダウンさせればさらにもう1回行動でき、最終的に敵全員をダウンさせれば耐性無視の大ダメージを敵全員に与える「総攻撃」が可能になる、というシステムである。
      • うまく攻撃すればどんどん連続行動を繋いで敵を圧倒することができ、爽快感が高いうえ、どのようにして全員ダウンさせ総攻撃を狙うかという戦略性も求められる。
      • ワンモアプレスは敵軍にも適用される。味方の弱点属性をつかれたりクリティカル攻撃を受けたりすると、その敵が追加行動を行ってくる。
    • 今作も『真III』と同様に主人公が倒れた時点でゲームオーバーという仕様になったため、主人公が迂闊な行動で弱点をさらせば、敵の追加行動、ひいては即死を招く…と、適度な緊張感ももたらしている。

  • カットイン
    • 主人公や仲間のスキルが敵の弱点にヒットする際、一定の頻度で仲間や主人公が「カッ」という目を開いた一枚絵のカットインが入る。
      • バトルシステム的に重要な局面で挿入される印象深い演出であり、今作以降のシリーズでもバトルを象徴する演出として定番化し、他作品の二次創作でもパロディとして引用されるほど有名になった。

  • 音楽
    • ポップステイストのボーカル曲が全編通してふんだんに用いられており、これまでのシリーズはおろか当時のゲーム業界全体を見ても類を見ない斬新なスタイルであった。
    • 個々の楽曲は完成度も高く評価され、今なお多くのファンから愛されている。
      • OP曲の『Burn My Dread』は音楽PVを意識したアニメーションムービーと相まって、クールでスタイリッシュかつシリアスな本作の雰囲気をよく表現している。
      • 通常戦闘曲『Mass Destruction』はLotus Juice氏のラップと川村ゆみ氏のボーカルによるノリノリのダンスチューン。イントロのフレーズから、ファンからは「ベイベベイベ」の通称で親しまれている。
      • ラストバトルで流れる『全ての人の魂の戦い』は『ペルソナ』シリーズ伝統のベルベットルームのテーマをアレンジしたもので、その演出ともども絶大な人気を誇るシリーズ屈指の名曲である。
      • ED曲の『キミの記憶』は物語に合わせて春と別れを意識した曲になっており、爽やかさと切なさを持ちあわせており、こちらもやはりファンからの人気は非常に高い。
    • ゲーム全編を通してボーカル曲を用いるという革新的な試みは功を奏し、以降『P4』『P5』やPSP版『Persona』でも受け継がれシリーズの定番となった。
      • 戦闘中に聞き飽きて耳障りになることはなく、でもしっかりとボーカルが印象には残る、絶妙な音量バランスとなっている。
    • 日常生活の明るい雰囲気に対するダンジョン探索時や敵との戦闘時の緊迫した雰囲気といったメリハリも付いており、演出面での評価も高い。
    • サウンドトラックもゲームのサントラCDとしては高い売り上げを記録している。

  • ボイス
    • 『女神異聞録ペルソナ』『ペルソナ2 罪』『ペルソナ2 罰』におけるボイスは、一部のイベント、ムービー、戦闘程度でしかなかったが、本作からイベントも含めてフルボイス化された。その一方で、ボイスのエコー演出は廃止された。
    • 演じる声優陣も抜かりない。主人公を演じる石田彰氏を始めとして有名どころを多数起用しており、各キャラへの没入感を満たしてくれる。

  • 引継ぎ要素の豊富さ
    • 2周目以降に主人公のレベル、ステータス(学力・勇気・魅力)、所持金、ペルソナ全書、装備品などが引き継げ、強くてニューゲームを行うことができる。

  • 小ネタ
    • テレビ番組のナレーションで過去作のキャラと思わしき人物の様子が伝えられることがある。往年のファンならニヤリとさせられることも。ちなみに、この過去作の様子を伝えるキャラも…?

賛否両論点

  • 暗いストーリー
    • 「死」という不可避な運命をメインテーマに据えているため、シリーズ内でも類を見ないほどに重苦しく、徹底してシリアスな空気感が全編を支配している。
      • こうした硬派な路線は、物語に深みと緊張感を与えるものとして多くのファンから高く評価されており、安易な救いを与えない作風が独自の支持層を確立している。
      • 一方で、メインキャラクターが直面する過酷な運命や、主要人物の死を直接的に描くイベントの多さから、全体的に陰鬱な印象が拭えない。
      • そのため、日常パートの明るい学園生活とのギャップに戸惑う声や、「精神的な消耗が激しく、気軽にプレイしにくい」と感じるプレイヤーも少なからず存在する。

  • 作風の従来作からの大きな変化
    • 先述の通り、『真・女神転生』ナンバリング作品や前作『2』までに見られたオカルト的雰囲気は鳴りを潜め、やや学園ファンタジー寄りの作風となった。
    • また、男女問わず友人との絆を深める「コミュニティ」がシステムの中心に据えられ、必須イベントではないものの女性キャラクターのお色気描写や男女関係の演出も含まれるなど、これまでの『女神転生』や『ペルソナ』とは異なる雰囲気が生じた。
    • RPGというジャンルでこういった対人交流システムを前面に押し出すのは異色であり、従来作のファンや恋愛描写が苦手な人を中心に、今作の作風は「ギャルゲー的」「ときメモ風」で受け入れられないという声も少なからず存在しており、シリーズファンの間でも論争の種になることがしばしばある。
    • 戦闘システムにおいても「敵が悪魔ではない(故に交渉も存在しない)」「ペルソナチェンジは主人公以外不可能」「主人公が倒れると仲間が健在でもゲームオーバー」といった仕様に戸惑ったシリーズ経験者は多かった。
    • 一方、それまでの『女神転生』ではありえなかった作風にシフトした今作及びその作風を正統に継承した後継作『P4』『P5』によって新たな、そして大きなファン層を獲得したことは紛れもない事実である。
      • シナリオとシステムの両面で根幹として重要な「コミュ」は、後作『P4』『P5』でも同じシステムが継続され、シリーズの顔ともいえる要素になっているなど、総じて受けが良かったことが窺える。
    • 本作以降『ペルソナ』シリーズの販売本数は本家『真・女神転生』ナンバリングシリーズを大きく超え、メディアミックスも非常に盛んとなり、一躍アトラスの看板タイトルとなった。
    • 今や『ペルソナ』シリーズは世界的な高評価を受けており、本作がアトラス自体の新たな活路を見出すきっかけになったといえる。
    • また今作や以降の『ペルソナ』シリーズが入口となって本家の『真・女神転生』シリーズも好きになったという声も少なからず聞かれ、『メガテン』シリーズ全体にとっておもファンを増やす契機になっている。
    • 以上のように、本作における方向転換は販売戦略としては紛れもない大成功であったと言えるが、シリーズファンからはその作風の路線変更が賛否両論分かれるところとなった。
      • なお、これを踏めてか次作『P4』では冒頭がオカルトな噂話と殺人事件を発端とするシナリオになっており、『2』以前のようなオカルトテイストも意識している節がある。

  • 里見直氏の降板
    • 『女神異聞録ペルソナ』『ペルソナ2』のシナリオを担当した里見直氏は降板しているため、『ペルソナ』シリーズの立役者の1人であった氏が関わっていないことを惜しむ声も見受けられた。
    • 一方で、すでにアトラスを退社して久しいことや、本作がそれまでの作風から大きく方向転換していることから、無理に起用する意味は無いとする声もある。

  • 桐条グループの援助が少ない
    • 装備品、道具、武器などにかかるお金は全てタルタロスで稼いで、自費で賄っている。
    • 桐条グループは日本の有数の企業でありタルタロス攻略に多大な費用をかけている部活動にもかかわらず主人公や仲間への支援が少ない。これついてはアイギス等の開発で資金切れであるのでは?という考察もあるが、ともあれ「ドラゴンクエストシリーズ」の王様にあるようなRPGのお約束とも言える。

問題点

  • 探索面
  • 飽きやすいダンジョン攻略パート
    • 今作のダンジョン攻略パートは、マップがランダムに生成されるダンジョン「タルタロス」の探索が大半を占める。しかし、階層を進めても背景や敵の強さ以外に大きな変化が乏しく、特殊なギミックも一切盛り込まれていないため、中盤以降は非常にダレやすい。
    • 加えて、探索中には「疲労システム」が存在する。一定回数の戦闘を行うと主人公を含むキャラクターが「疲労」状態となり、攻撃力の低下を招く。そのままエントランスに帰還するとその日は出撃不能になるなど、攻略の大きな足枷となっている。
      • これら疲労システムの問題点は『ポータブル』で緩和され、『P4』ではシステム自体が撤廃(探索後の夜は自由行動不可という制限は残存)されるに至った。
    • 月に1回程度、タルタロス外の固定マップでボスと戦うイベントが用意されているが、規模は小さく探索要素としてはオマケの域を出ていない。
    • 不評の声も少なくないランダム生成ダンジョンだが、後継作の『P4』でも概ね同形式が採用された。メイン攻略が固定マップとなった『P5』においても、「メメントス」という名称で同形式のダンジョンが続投しており、シリーズを重ねるごとに改善はされているものの、本作がその雛形となっている。

  • セーブ制限
    • セーブはタルタロスの入り口でしか行えず、一度ダンジョン内部に侵入すると脱出するまで記録ができない。
    • タルタロス内では特定の階層にある転送装置に到達しなければ戻ることができず、例えば10Fでセーブした後に19Fで敗北した場合、また10Fからやり直す必要がある。
    • 特に最終決戦前のボス戦は直前にセーブポイントが存在しない。敗北すれば、複数の階層を再び登り直さなければならないため、精神的な負担が大きい。
      • 後の『ポータブル』では、最後に到達した階層まで一気にワープできる仕様に変更された。

  • 移動用AIの判断能力が低い
    • ダンジョン内では仲間を引き連れて移動することになるが、段差や障害物、壁などの認識が甘く、些細な障害物で仲間のキャラクターが頻繁に引っかかり、動かなくなる現象が発生する。
    • 後続の仲間が大きく離れた状態で主人公が戦闘に突入すると、その仲間が戦闘に参加できないという不利益が生じることもある。
    • また、仲間のキャラクターがプレイヤーの進行方向に立ち塞がり、移動を妨げる場面も多い。押して動かすことができないため、敵シンボルを回避したい時や先制攻撃を仕掛けたい時に大きな弊害となる。
      • この移動周りの挙動については『P4』以降で改善が見られる。
    • 敵シンボルの移動AIも同等であり、プレイヤーのレベルが上がると敵は逃走を試みるが、その移動方向が極めて不規則で予測が困難。
      • 結果として、逃げているはずの敵がこちらの進行方向に回り込んで接触したり、逆に戦闘を仕掛けようとしてもランダムな動きに翻弄され捉まえきれないといった事態が起こる。
      • さらに、敵シンボルが逃げる際に発する甲高い鳴き声が耳に障るという意見もある。

  • 探索システム「疲労」
    • 戦闘を繰り返すとキャラクターが「疲労」状態となり、ステータスが低下する独自のシステムが採用されている。
      • これは1日での過度なレベル上げを抑制し、計画的な探索を促すゲームバランス調整(探索制限)として機能している。
      • しかし、攻略のテンポを著しく阻害する要素として捉えられることも多く、特にダンジョン探索に専念したい層からは不評を買う要因となった。

  • ゲーム内情報の不足
    • 各種イベントの発生条件や、ペルソナ合体における複雑な継承仕様など、ゲーム内での説明やチュートリアルはかなり簡素なものに留まっている。
      • そのため、初見プレイでは気づかないうちにフラグを折り、取り返しのつかない要素を見逃してしまう事態が頻発しやすい。攻略情報の参照が半ば前提となっているような不親切さは、当時のRPGらしい硬派さの裏返しとも言える。
  • 戦闘面
  • 仲間のAI性能の不備
    • 今作は主人公以外のキャラクターにコマンド入力が行えず、作戦指示に基づいたAIによる自動行動形式となっている。しかし、その状況判断能力は決して高いとは言えず、プレイヤーの意図に反した行動を取ることが多い。
    • 特に問題視されたのが「補助スキルの乱用」である。止めを刺せる場面で弱体魔法を優先する、あるいは強力なチャージスキルを使用しながら威力のない状態異常魔法で効果を無駄に消費するといった挙動が目立った。
    • こうした行動から、ネット上では「タルンダ先輩」「テンタラフー先輩」「コンセンタラフー」といった不名誉な俗称が生まれるほどであった。
    • 皮肉にもこうした挙動を見せるキャラクターに限って基本性能が高いため、活躍させるには作戦指示を細かく変更し続ける手間が必須となる。
      • 『FES』以降で作戦の種類が増え調整がなされ、『ポータブル』に至ってようやく直接のコマンド入力が可能となった。

  • 全体魔法の利用価値の低さ
    • 本作の仕様では、全体魔法を使用した際に攻撃対象となる敵すべての弱点を突かなければ「1more(再行動)」が発生しない。
      • 「いかに弱点を突き1moreを発生させるか」が戦闘の根幹を成すバランスにおいて、「敵がすべて同一種族である」等の限られた状況を除き、全体魔法は単体魔法に比べて使い勝手が著しく悪くなっている。

  • 物理攻撃が不遇なゲームバランス
    • 物理攻撃には武器による通常アタックと、HPを消費する物理スキルの2種があるが、双方ともに実用上の難を抱えている。
      • 通常アタックは、弓以外の武器で攻撃をミスした場合、キャラクターが転倒して「ダウン」状態になってしまう。特に主人公がダウンすると、回復までの一切を不安定な仲間のAIに委ねることになり、戦線崩壊の直結する危険がある。そのため、主人公は弓装備を強要されるか、アタック自体を封印せざるを得ない。
      • 物理スキルはHPを割合で消費するが、魔法スキルに比べてリスクとリターンのバランスが悪い。仕様上レベルが上がるほど消費HP量が増加するため、ごく一部の超強力なスキルを除いて利用価値が乏しい。
    • 根本的な問題として、物理属性を弱点とする敵自体が少なく、弱点を突くことが最優先の本作において、物理主体のキャラクター(アイギスや荒垣など)は活躍の場が限定されがちである。
    • 弱点のない敵に対してはクリティカルによる1more狙いが有効だが、不確定要素が強く、ミスの際の転倒リスクを考慮すると、安定した戦略に組み込むのは現実的ではない。

  • 戦闘演出の省略機能の欠如
    • 通常攻撃のみを高速化するオートモードは存在するが、物理無効や反射の敵がいる場合には使用できない。
      • 個別のスキル演出自体は長くても5秒程度だが、戦闘を繰り返すRPGにおいて演出スキップや倍速機能がないことをどう捉えるかはプレイヤーの忍耐に依存する。
      • 余談だが、後の『メガテン』シリーズにおいても、この手の演出省略機能はあえて搭載されない傾向にある。
  • シナリオ面
  • メインストーリーの構成が全体的に練り込み不足
    • 物語の序盤から中盤にかけて、攻略パートにおける仲間同士のいがみ合いや疑心暗鬼といったギスギスとした展開がやたら目立つ。
    • 同時期の学園生活パートが比較的ポップな内容にとどまっていることもそのギスギス感を際だたせており、大して仲良くない仲間とビジネス的に仕方なく戦っているように見えてしまう。
    • もちろんそうした展開になる理由はあるのだが、不十分な説明やストーリー進行の遅さもあり、途中で投げ出す要因になりやすい。
    • ストーリー終盤になってようやく、仲間達が互いを認め団結していく描写が描かれるようになるのだが、そこに至るまでのくどいほどのギスギス描写に対して融和の描写があまりにあっさりとしており、また性急な展開に感じられてしまうという意見は根強い。
    • 女性メンバーについてはコミュを進めればある程度の背景が分かりシナリオ内の言動に納得が行きやすいが、後述のように男性メンバーはコミュがないため、描写不足である。
    • キャラクターをマイナス方向に掘り下げたまま、説得力のあるフォローをしていない・できていない事が多いのも問題である。
    • 何かとツンツンし過ぎるゆかりや気の良い3枚目ポジションと思われた順平が主人公に対してたびたび敵愾心を燃やすくだりは、唐突に盛り込まれているように見えるうえ最後まで消化不良となっており、悪い意味で有名。
    • 詳しい説明は省くが、順平が主人公に嫉妬して悪態をつくが、その後和解する……と思ったらまた仲間の危機に対して、主人公に暴言を吐かれると言うもの。さらに、その後謝罪やフォローも無いので、プレイヤーは非常に嫌な思いをしがちである。

  • 描写不足に感じられるキャラクターの存在
    • 中盤のあるイベント以外ほとんどストーリーに絡まない天田や、ストーリー上重要な立場であるにもかかわらずあまり掘り下げられずに終わる主人公達と敵対するペルソナ使いのグループ「ストレガ」の面々などがよく指摘される。
    • ネタバレになるため詳細は伏せるが、黒幕的立場の人物も具体的な目的や動機は不明のまま。
      • 上述した順平も含め、こうした一部のキャラクター描写については『FES』や『ポータブル』で補完された部分もある。

  • 退場キャラクター
    • 詳細は避けるが、仲間の荒垣1人がパーティーから離脱してしまう。
    • かなり中途半端な時期に離脱するため、離脱する仲間を熱心に鍛えたり、高価な武器や装備を購入していたりすると、育成や資金の面で損したような気持ちになるプレイヤーも少なくない。

  • 日常面
  • 日常生活パートのテンポが良くない
    • コミュ育成をメインとする学園生活で多くの時間を割くことになる今作だが、「寝て起きた」や「午前の授業を受けた」などといった描写をそこそこ時間をかけて毎日描写する仕様のため、テンポが悪くダレやすい。
    • RPG部分に専念したいプレイヤーにとっては、日常生活パートの占める割合が大きいというゲームデザインゆえに、このテンポの重さが大きなマイナスになりうる。
    • この影響で、当初は50時間程度を想定していたとされるクリアまでのプレイ時間も、下手をすれば100時間近くかかるほどに膨れ上がってしまった。
      • この点は『ポータブル』で改善され、『P4』と同様に特別なことが起きない場合は上記の描写がスキップされ、すぐ操作可能になるといった改善がなされた。

  • コミュシステムの不満点
    • 仲間キャラクターとのコミュは女性キャラを対象としたもののみに限定されている。そのため、男性の仲間キャラとの交流を深めるコミュが欲しかったという意見が多い。
    • 特定の女性キャラクターはコミュのランクをある程度上げると強制的に「特別な関係」、すなわち恋人関係に発展してしまう。つまり、複数の女性キャラとのコミュを並行して進めていると、システム上自動的に浮気する仕組みになっているのである。
      • これにはシステム上の問題もあり、特別な関係になったキャラクターは「リバース」状態に陥りやすくなってしまうというリスクも伴う。
    • 全コミュのコンプリートは可能でこそあるものの、初見では限りなく不可能に近いレベル。極めてシビアなスケジュール管理が要求され、自由度の欠片もなくなる完全な「やり込み」の領域になってしまう。
      • コミュ最大の目的であるランクMAXの特典は2周目プレイでも引き継がれるため、設計上は「周回を重ね、コミュ特典アイテムだけをコンプリートする」という方向性なのだろう。しかし「できれば1つのセーブデータで全コミュをMAXに(コンプリート)したい」と考えていたユーザーも当然ながら存在し、不満の声が上がっていた。
    • コンプリート難度については『FES』で改善が図られたものの、コミュ対象キャラや「特別な関係」については『ポータブル』でようやく、それも「女性主人公の特権」という中途半端な形でしか実現されなかった。
    • また仲間のコミュを発生させるためのステータス条件が高く設定されており、解禁も中盤以降と非常に遅い。そのため、なぜ仲間がツンツンしているのか、なぜギスギスしているのかというキャラの背景が分からないまま時間が経過し、悪印象を抱きがちになりやすい。
      • なお『P4』においては、これらの問題点は全て解消されている。

  • デザイン面
  • 敵である「シャドウ」のデザイン
    • 敵である「シャドウ」は、設定上仕方ないとはいえデザイン的には前作や前々作の悪魔達と比べてバリエーションが薄く、色だけ変化させた使い回しなども多い。ちなみに、一部追加された物を除いて『P4』のシャドウも同じデザインである。なお『P5』では従来の悪魔の姿をしたシャドウという設定に戻された。
    • また、従来の悪魔と違い、初見では耐性属性が分かりにくい物も含まれている。

  • キャラクターデザインの差異
    • キャラクターデザインが2Dイラスト・3Dモデル・アニメーションムービーそれぞれで差異が大きく、特にムービーパートではその差を感じやすい。
    • オープニングは演出と合っているので違和感は無いが、プレイ中のムービーだとキャラクターの造形が「会話時のバストアップキャラ」や「操作している3Dモデリングキャラ」のどちらとも似ておらず、映像の中でやや浮いてしまっている。

総評

シリーズにおいて大幅な方向転換を図った作品の常であるが、旧来の『女神転生』『ペルソナ』ファンの中には路線変更に反発する者も見受けられ、賛否両論が巻き起こった。
事前情報の時点から発売に至るまで、システムが「恋愛シミュレーション」的な側面を強めたことに難色を示すファンもいたが、一方で新たなファン層を広範に獲得し、シリーズが躍進する大きな転換点となった。
システム面に荒削りな部分は散見されるものの、高い独自性を持つコミュシステムや魅力的なキャラクター、評価の高い『真・女神転生III』のシステムをさらに進化させたバトル、ボーカル曲を中心としたスタイリッシュなBGMなど、過去作とは異なる新たな魅力を提示することに成功している。

本作の要素を正当に受け継いだ『ペルソナ4』はシリーズの人気を不動のものとし、さらにその後を継いだ『ペルソナ5』は世界的なヒットを記録。和製RPGを代表するタイトルへと大躍進を遂げた。
これらの続編は『P3』の路線を基盤として構築されており、文字通り『ペルソナ』シリーズの運命を決定づけた転換点と言える作品である。


余談

  • 当時の不正行為対策の一環か、ゲーム内でレベル最大などの改ざん行為を行っていた場合、ナビゲーションキャラクターである美鶴や風花からその事実を直接指摘される専用ボイスが搭載されていた。
    • 開発側としては不正を牽制する意図があったと思われるが、皮肉にもその稀少なボイスを聴くこと自体を目的にチート行為に及ぶユーザーが現れるという、本末転倒な事態を招く結果となった。

ペルソナ3 FES

【ぺるそなすりー ふぇす】
ジャンル RPG
単独起動版

アペンド版
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 アトラス
発売日 2007年4月19日
定価 単独起動版:7,800円(税別)
アペンド版:4,800円(税別)
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 良作
女神転生シリーズ

概要(FES)

『ペルソナ3』の好評を受けてアトラスが発売した『ペルソナ3』のアペンドディスク。~
大幅なゲームバランスの調整、さまざまな追加要素を加えて発売された。


特徴・評価点(FES)

  • 追加シナリオ「Episode Aegis」
    • 本編結末後、2010年3月31日を舞台とした後日談。閉鎖が決まった学生寮で最後の日を過ごす特別課外活動部(S.E.E.S.)の面々が、繰り返される1日と謎の空間「時の狭間」に巻き込まれる物語。
    • 本編で重要な役割を担った「アイギス」が主人公となり、彼女が「ワイルド」の能力に目覚める過程が描かれる。アイギスの妹を自称する新キャラクター「メティス」と共に、物語の核心に迫る地下ダンジョンを攻略していく。
    • パーティメンバーの初期レベルは一律で25〜30前後に設定されている。「戦いから離れていたため実戦感覚が鈍った」という旨の説明がシナリオ内で補足される。
    • 本編ではコミュニティ(コミュ)の進行が必須だった特定のペルソナも、アイギスが主人公の今作では合体解禁条件が緩和されている。

  • 本編側の追加・変更要素
    • 主な追加要素は、新規イベント、難易度(Easy/Hard)の選択、新ペルソナ、新規コミュニティ、武器合体システムの5点。
    • 特に物語の中核を担うアイギスのコミュニティが待望の実装となったほか、ベルベットルームの住人「エリザベス」とのデートイベントも追加され、キャラクターの掘り下げが進んだ。
    • アイギスコミュに関連する「修羅場イベント」や、寮内の監視カメラ映像による仲間たちの日常風景など、本編では見られなかったキャラクターの側面が多数追加されている。
    • 主人公との交流が少なかった荒垣真次郎を含む男性メンバーについても、映画鑑賞イベントなどが追加され、仲間としての絆を感じさせる演出が強化された。
    • オープニングムービーには、本編エンディング曲「キミの記憶」のアレンジが取り入れられており、物語の連続性が強調されている。
    • 「Heartful Cry」をはじめとする新規BGMも追加。激しいギターサウンドと哀愁漂うメロディがキャラクターの葛藤や決意を象徴しているとして、ファンからの支持が厚い。
    • 要望の多かった「コスチュームによるグラフィックの変化」が実装された。水着やメイド服といった特殊な衣装を装備することで、バトル中のモデリングに反映されるようになり、視覚的な楽しみが増している。

  • ゲームバランスの調整
    • 無印版で極めて難易度が高かったコミュニティの進行スケジュールが見直された。完璧なチャート管理を強要されることなく、全コミュMAXを目指せる程度の余白が生まれた。
    • 仲間の戦闘AIに調整が入り、状況判断能力が向上。無印版で物議を醸した「非効率な補助スキルの連発」などの挙動が改善され、戦闘中のストレスが軽減されている。

  • セーブデータの引き継ぎと販売形態
    • 無印版のセーブデータからステータスやペルソナ全書の一部を継承可能。追加要素をスムーズに楽しめるよう配慮されている。
    • ロード時間の短縮といった細かなシステム面の最適化も図られた。
    • 販売形態は、ソフト単体で動作する「通常版」と、無印版のディスクを認証に使用することで安価に遊べる「アペンド版」の2種類で展開。ユーザーの所有状況に合わせて選択可能な形式が採られた。

賛否両論点(FES)・問題点


  • 追加シナリオ「Episode Aegis」を巡る議論
    • 『FES』で新規実装された後日談「Episode Aegis」は、そのシナリオ内容やキャラクター描写を巡り、ファンの間で極めて大きな議論を巻き起こした。
    • 議論の争点は、大きく分けて「主人公の処遇」と「仲間の描写」の2点に集約される。

  • 主人公の扱いの明確化
    • 最大の論点は、本編結末において「主人公が死亡した」という事実が公式に確定したことである。
      • 無印版のエンディングは、生死をあえて曖昧にすることでプレイヤーの解釈や余韻に委ねる側面があった。しかし、後日談の導入により「死亡」が事実として明文化されることとなった。
      • これに対し、「考察の余地があったからこそ深みがあったのに、公式が正解を提示してしまった」という批判が寄せられた。特に主人公を自身の分身として投影していたプレイヤーにとって、この結末の確定は大きな衝撃を与えている。
      • なお、ディレクターの橋野桂氏は「死の疑似体験」や「最高の充実の中での結末」と語っているが、この死生観についても評価が分かれている。

  • 仲間同士の対立とキャラクター描写
    • 後日談終盤では、主人公亡き後の世界のあり方を巡り、仲間同士が真っ向から対立し実力行使(対人戦)に至る展開がある。
      • 「過去に戻って主人公を救う」か「主人公の遺志を尊重し今を生きるか」という対立軸だが、激昂した仲間たちが互いに暴言をぶつけ合う描写に対し、「本編での成長がリセットされたように見える」「言動が過激すぎる」との批判が相次いだ。
      • 特に岳羽ゆかりのアイギスに対する厳しい態度は批判の対象となりやすいが、一方で「最愛の存在を失った直後の混乱として理解できる」「依存度の高さを考えれば妥当な反応」という擁護意見もあり、描写のリアリティという点では肯定的な見方も存在する。
      • また、主人公の意志を代弁するような仲間の台詞に対し、無口な主人公に独自の性格を投影していたプレイヤーからは「自分の考えを押し付けられている」という違和感も指摘されている。
      • 対照的に、伊織順平については仲間割れを仲裁する側に回るなど、本編以上に人間的な成長が感じられるとして好意的に受け止める層が多い。

  • 後日談の結末と構成
    • シナリオの着地点が「現段階では主人公を救うことはできない」という結論に留まった点も不満点として挙げられる。
      • 「仲間が主人公を見捨てた」という解釈は誤解であり、作中では「いつか救い出すための希望」として描かれているが、その方法論が具体的でないため、読後感の悪さを生む結果となった。
      • 戦闘面においても、敵対した仲間が本来習得しないスキルを使用したり弱点が消滅していたりと、システムと設定の矛盾が散見される。

  • 後日談の難易度
    • 「Episode Aegis」は本編以上に戦闘の難易度が高く設定されている。
      • 敵の属性耐性がバラけており、一斉攻撃が狙いにくい編成が多い。さらにストーリー主導の内容でありながら、高難易度のエンカウントバトルが頻発するため、サクサク進めたいプレイヤーからは不評であった。
      • 特に終盤のボス戦における「初見殺し」的なギミックの強さは語り草となっている。


総評(FES)

賛否両論の渦中にある追加シナリオだが、システム面や本編側の追加要素を鑑みれば、無印版からの純粋なアップデート版として完成度は高い。
後日談「Episode Aegis」は、その後のシリーズ展開(『P4U』等)にも繋がる重要な設定を含んでおり、賛否はあれど本作でしかプレイできない貴重なコンテンツとなっている。
(※後の移植作『ポータブル』には、容量等の都合もあり本シナリオは収録されていない)

ペルソナ3 リロード

【ぺるそなすりー りろーど】
ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション5&br;プレイステーション4&br;Xbox Series X/S&br;Xbox One&br;Windows(Microsoft Store/Steam)&br;Nintendo Switch 2
メディア BD-ROM/ダウンロードソフト/キーカード
発売元 セガ
開発元 アトラス
発売日 【PS5/XSX/PS4/One/Win】2024年2月2日&br;【Switch2】2025年10月23日
定価 パッケージ&br;通常版: 9,680円&br;豪華版: 17,380円&br;ダウンロード&br;通常版: 9,680円&br;特別版: 15,730円 &br;豪華版: 12,408円&br;【Switch2】&br;通常版: 7,678円&br;デジタルデラックス版: 10,406円&br;デジタルプレミアム版: 13,728円(全て税込)
レーティング CERO:C(15才以上対象)
判定 良作
ポイント 『P5』ベースに遊びやすくなったリメイク&br;オリジナル版で描写不足だった箇所を掘り下げ&br;『P3F』『P3P』要素は部分的に統合&br;ゲーム性はオリジナル版と変わらず
女神転生シリーズ

概要(リロード)

アトラスを代表するRPG『ペルソナシリーズ』のターニングポイントにもなった人気作『ペルソナ3』を最新作である『ペルソナ5』感覚で遊べる作品としてリメイク。~

  • 特徴・追加変更点(リロード)

    • オリジナル版『P3』をベースとした再構築
      • 本作は『P3』無印版をベースにリメイクされているが、アペンド版『P3F』の「アイギスコミュ」「コロマルの散歩」「監視カメラ映像」といった追加エピソードも統合されている。
      • 後日談「Episode Aegis」については、DLC(エクスパンション・パス)として2024年9月に配信。
      • 『P3P』独自の要素からも、失踪者捜索やヴィジョンクエスト、男性主人公編の新規セリフなどが一部取り入れられている。

    • 現行機に最適化された最新グラフィック
      • キャラクターモデルは『P4』までのデフォルメ調から、『P5』に近いリアル等身へ刷新された。
      • 4K・60fpsに対応し、街並み、タルタロス、アニメーション、UI、各種イラストに至るまで全てのビジュアル資産が新規に作り直されている。

    • 全編フルボイス化とキャスト
      • メインストーリーは全編フルボイス化され、イベント密度が向上した。
      • オリジナル版でボイスのなかったコロマルは、劇場版アニメと同じく高橋伸也氏が担当。
      • コミュニティキャラについても、一部を除きオリジナル版からキャストが変更・新録されている。

    • 新システム「リンクエピソード」と「寮生活」
      • コミュニティが存在しなかった男性仲間キャラクターやコロマルに対し、サイドストーリー「リンクエピソード」を実装。進行によりペルソナ合体の解禁などの恩恵がある。
      • 夜間の寮生活では、仲間と共に料理、家庭菜園、読書などを行うことで、戦闘に役立つ特殊な「特性」を習得できる。

    • 戦闘・探索システムの刷新
      • 体調システムの廃止
        • 疲労による探索の中断がなくなり、より自由な攻略が可能となった。
      • テウルギア
        • ゲージを溜めて発動する強力な必殺技。主人公の「ミックスレイド」もここに統合され、所持ペルソナに関わらず発動可能になった。
      • シフト
        • 『P5』のバトンタッチに相当する機能。1more発生時に別メンバーへ行動権を譲渡できる。
      • シャッフルタイムの変更
        • ミニゲーム形式が廃止され、任意のカードを選択する形式に。大アルカナを集めることで「アルカナバースト」が発生し、報酬が強化される。
      • ロールバック機能
        • 数日前まで任意に時間を巻き戻せる機能。コミュの選択ミスやスケジュール調整のやり直しに極めて有用。

    • タルタロス探索の拡張
      • 風花の探索スキル
        • 敵を回避する「ジャミング」やマップを開放するスキルにより、快適性が向上。
      • サーチオブジェクト
        • 破壊することで換金アイテムや貴重な「薄明の欠片」を入手できる。
      • モナドの扉・通路
        • 強力なシャドウとの戦闘を経て、マップ全開や貴重な報酬が得られる特殊エリア。
      • 仲間の派遣
        • 戦闘後にメンバーを先行させ、宝箱回収やマップ埋めを行わせる新アクション。
      • 薄明の欠片
        • 鍵付き宝箱の解錠やエントランスでの回復に使用する新リソース。

    • 演出・BGMのアップデート
      • 歌手が川村ゆみ氏から高橋あず美氏へ交代し、全てのボーカル曲を新録。ラップ担当はLotus Juice氏が続投している。
      • アップデートにより、オプションでオリジナル版(川村ゆみ氏歌唱)のBGMに切り替える機能も実装された。
      • 探索中の仲間同士の会話が大幅に増量され、編成メンバーに応じた掛け合いが楽しめる。

評価点

    • 美麗かつ現代的に刷新されたグラフィック
      • 本作最大の評価点。オリジナル版のファンから長年寄せられていた「『P5』クオリティのグラフィックで『P3』をプレイしたい」という要望を真っ向から実現しており、純粋な高評価に繋がっている。
      • 劇中の印象的なシーンはすべて最新のモデリングとモーションで再構築されており、アニメーション部分も高品質に修正・ブラッシュアップされた。
      • 特に、3Dイベントが大幅に削減されテキスト主体の演出となっていた『P3P』と比較すると、すべてのイベントが等身大の3Dモデルで描写されることへの恩恵は大きく、没入感が飛躍的に向上している。

    • オリジナル版を尊重したリメイク姿勢
      • リメイク作品にありがちな過度な設定改変は控えられており、あくまでオリジナル版の補完とブラッシュアップに焦点が置かれた構成が旧来のファンからも好評を博している。
      • 『P3F』の追加エピソードや『P3P』のシステム要素など、後発の完全版・移植版の要素も適切に取り入れられている。これらの要素が無視されることなく、「P3の集大成」として再構成された点は発売前の不安を払拭する結果となった。
      • 物語のフルボイス化により、キャラクターの感情表現がより豊かになり、特にコミュニティキャラクターの掘り下げが深化。約18年の歳月を経て、メインキャストが再集結しボイスを新録している点も、シリーズの歴史を感じさせる要素として高く評価されている。
      • 舞台となる2009年当時の時代考証も徹底されており、フューチャーフォンやMP3プレイヤー、メールの「RE:」の連続、絵文字の多用など、当時の文化圏を背景としたノスタルジックな描写が維持されている。

    • システム面における快適性の向上
      • 施設へのショートカット移動や「検索合体」など、後のシリーズで定着した利便性の高いシステムを網羅。オリジナル版で感じられたストレスが大幅に軽減されている。
      • タルタロスの探索についても、『P5』準拠のカメラワークやダッシュ機能の追加により、視認性とスピード感が向上。単調になりがちだったダンジョン攻略が飽きにくい設計へと進化した。
      • コミュニティ関連では「ブロークン(関係破綻)」が廃止され、「リバース(逆位置)」の発生条件も緩和された。また、メール機能の導入によりイベントの発生を把握しやすくなっている。
      • 女性キャラクターとの関係性において、「恋人」か「友人」かを選択できる仕様に変更。オリジナル版のように強制的に二股・浮気関係になることがなくなり、プレイヤーの意思を反映したロールプレイが可能となった。

    • 追加要素によるキャラクター描写の補完
      • オリジナル版では他作品に比べ「仲間の結束がドライ」と評されることもあった特別課外活動部(S.E.E.S.)だが、追加エピソードによりメンバー間の交流や意外な一面が詳細に描かれるようになった。
      • 伊織順平の言動に対するフォローや、テスト前の共同勉強イベントなど、仲間としての絆を感じさせるシーンが大幅に増量。これらの交流は、新スキルの習得やペルソナ合体の解禁といった実利的なメリットにも結びついている。
      • 敵対組織である「ストレガ」についても掘り下げが行われ、彼らの目的や背景がより明確になった。戦闘中には彼らも新システム「シフト」を使用してくるなど、存在感が強化されている。
      • その他、エリザベスの依頼内容の簡略化や、タルタロス内での豊富な特殊会話など、細部にわたる調整が施されている。

    • イゴールの新キャストとシリーズの象徴
      • 長らくライブラリ音声等での対応が続いていたイゴール役について、本作では島田敏氏が担当。先代の田の中勇氏の独特なトーンを巧みに再現しており、シリーズファンからも違和感のない配役として好意的に受け止められている。
      • シリーズの象徴である「スタイリッシュさ」は本作でも健在。高橋あず美氏による新録ボーカル曲は、オリジナル版の川村ゆみ氏の雰囲気を尊重しつつ、現代的なサウンドへと昇華されている。
      • UI(ユーザーインターフェース)は『P5』の系譜を継ぎつつも、青を基調とした『P3』独自の冷徹さと透明感を表現。総攻撃時のフィニッシュイラストや召喚器を用いた演出など、一つ一つのビジュアルが極めて高い完成度でまとめ上げられている。

論争点

    • 良くも悪くもオリジナルに忠実なゲームサイクル
      • ランダム生成されるタルタロスを探索し、満月を迎えるたびに大型シャドウを撃破していくという基本的な流れは不変である。
      • 「モナドの扉」などの新要素は加わったものの、タルタロス探索の単調さ自体には抜本的なメスが入っておらず、この点は旧来通り賛否が分かれる。
      • 「変に改変せずオリジナルを尊重したのが正解」とする意見がある一方で、「現代的なギミックを取り入れても良かったのではないか」とする声も多い。
      • 作中の仲間のセリフには「車で走りたい」「仕掛けがあれば」といった『P5』を意識したようなメタ発言も含まれており、開発側も探索の単調さを自覚している節がある。
      • 疲労システムの廃止により、一晩で到達可能階層の最奥まで進むことが容易になったため、相対的に夜のスケジュールが余りやすくなっている。
      • 大型シャドウ戦も、一部を除けば目的地に到達して即戦闘という形式が多く、攻略プロセスとしてはやや味気ないままとなっている。

    • 強力な必殺技「テウルギア」の導入
      • ペルソナ使いとペルソナによるコンビネーション演出は一見の価値があり、新たな戦闘の目玉となっている。
      • ゲージは戦闘を跨いで持ち越しが可能。耐性無視の超威力をノーコストで放てるため、全員のゲージを溜めてから一気に解放することで、強敵ですら瞬殺できてしまう大味な面がある。
      • ただし、連戦シーンなどではテウルギアだけで完封できないよう調整されており、あくまで使用タイミングはプレイヤーの任意に委ねられている。
      • 大型シャドウ戦では事前準備としてのゲージ溜めは不可だが、戦闘中のゲージ蓄積速度が早いため、出し惜しみせず使用できるバランスになっている。

    • スキルの継承制限の緩和
      • 「明けの明星」といった、かつては特定ペルソナの専売特許だったスキルが合体によって継承可能となった。
      • これにより、好みのペルソナに強力なスキルを持たせるカスタマイズ性が向上したが、反面、ペルソナごとの個性が薄れたとする見方もあり、一長一短の仕様と言える。

    • オリジナル版・過去作から削減・固定された要素
      • 主人公の武器カテゴリーが片手剣に固定された。これは『P3P』準拠の仕様変更となっている。
      • コミュニティ対象となる部活動が、運動部は「陸上部」、文化部は「美術部」にそれぞれ固定された。
        • オリジナル版では複数の選択肢から選べたが、フルボイス化に伴う制作コストの増大や、ストーリー展開に差異がないことを考慮した判断と思われる。
        • ただし、劇場版アニメで描かれた「剣道部」などの設定に親しみがあるプレイヤーからは、選択の自由がなくなったことを惜しむ声もある。
      • ミックスレイドの種類が従来の18種から7種へと大幅に絞り込まれた。
        • 演出面は非常に凝っているものの、属性や効果のバリエーションに偏りが見られる点は惜しまれる。

    • 「オリジナル版ベース」という枠組みによる制限
      • 開発陣のインタビュー通り、本作はあくまで『P3』無印のリメイクであり、『P3F』や『P3P』の要素は部分的かつ限定的な採用に留まっている。
      • 特に『P3P』の女性主人公は採用されておらず、それに伴う独自のストーリー展開や男性仲間キャラとのコミュニティ、テオドアといった専用キャラクターも登場しない。
      • 女性主人公の追加を望む声も根強いが、開発側は「ゲームをもう一本制作するに等しい労力が必要」として、DLC等を含めた追加対応を否定している。
      • 同時期に『P3P』のリマスター版が展開されていることもあり、女性主人公でのプレイを希望する場合はそちらを選択する形となる。

問題点

    • 全コミュニティMAX攻略の難易度
      • シリーズが進むにつれて全コミュMAXの達成条件は緩和傾向にあったが、本作はオリジナル版に近いバランスを維持しているため、周回プレイであっても綿密なスケジュール管理が求められる。
      • 多くのコミュが放課後に集中していることに加え、定期試験や長期休暇、各種追加イベントの発生によって進行不可となる期間が多く、計画性を欠くとコンプリートは困難である。

    • スキル仕様に関する説明不足
      • クリティカル率を上昇させるスキル群は、内部的には効果が重複しない仕様となっている。
      • カウンター系などの上位互換スキルには「重複しない」旨の注釈がある一方で、クリティカル系スキルにはその記載がないため、貴重なスキル枠を無駄に消費してしまう要因となっている。

    • 「散開」コマンドの廃止
      • タルタロス探索時に仲間へ個別に指示を出す「散開」が廃止された。
      • 効率的なアイテム回収や階段捜索が制限される形となり、結果として探索に要する時間が増大している。

    • シャッフルタイムの演出タイミング
      • シャッフルタイムが発生する際、総攻撃のフィニッシュイラストの直前やリザルト画面の遷移前に割り込むような形で挿入される。
      • 演出の連続性が途切れるため、ゲームテンポを損なう要因として指摘されることがある。

総評(リロード)


『真・女神転生』シリーズの系譜にあるダークな世界観をベースに、ポップなデザイン、現代社会を切り取った日常パート、ボーカル入りの洗練されたBGMを融合させ、シリーズの黄金期を築いた金字塔『ペルソナ3』。その名作が、圧倒的に美麗な最新グラフィックと膨大な追加要素を伴い、現代に蘇った。

ゲームサイクルそのものはオリジナル版を忠実に踏襲しているため、一部に旧来の単調さが残るものの、システム面での大幅なブラッシュアップにより利便性は飛躍的に向上している。日本のRPG史に刻まれた名作を、現代のクオリティで改めて体験できる良リメイク作品といえる。

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最終更新:2026年05月15日 19:29