HOSPITAL. 6人の医師
【ほすぴたる ろくにんのいし】
| ジャンル |
医療ドラマ |
#amazon(B003NCWWCQ)~ |
| 対応機種 |
Wii |
| 発売・開発元 |
アトラス |
| 発売日 |
2010年6月17日 |
| 定価 |
6,980円 |
| プレイ人数 |
1~2人 |
| レーティング |
CERO:B(12歳以上対象) |
| 配信 |
【WiiU】2015年8月19日/2,700円(税8%込) |
| 判定 |
良作
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|
カドゥケウスシリーズ
|
概要
アトラスが放つ、物語性を重視した「医療ドラマ」の野心作。タイトルは異なるが、『
超執刀カドゥケウス』シリーズの5作目にあたる。
従来のアクションパズル的な手術要素に加え、重厚なシナリオ体験に軸足を置いた構成となっており、難易度も幅広い層が楽しめるよう調整されている。
- 例を挙げると、6人の医師の一人は『カドゥケウスZ』の主人公の一人である。
- シリーズの顔であった月森孝介も声や後ろ姿で登場し、終盤には重要な役割を果たすことになる。
特徴
- 刷新されたゲームシステム
- 過去作から構成が大幅に変化。主人公ごとに独立したシナリオと専門分野が用意されており、それぞれ求められる目的や操作性が異なる。
- 内容は大まかに「ストーリーパート」と「手術・調査パート」に分かれているが、前作までの内科手術メインから、今作では多種多様な処置へと変化した。
- 最終章を除き、どのストーリーからでも自由に選択してプレイが可能。全てのシナリオをクリアすることで、全ての運命が交錯する共通ルートが解禁される。
- 遊びやすさとやり込みの共存
- デフォルトの難易度は一般向けに抑えられており、説明書にもその旨が記載されている。
- 一方で、クリア後に解禁される最高難易度や、そこでのみ取得可能な「XSランク」の条件は非常に厳しく、アトラスらしい歯応えも健在。
- スコアアタックや、特定の条件を満たすことで得られる「ドクターメダル」などのやり込み要素も充実している。
- 演出とシステム
- 前作同様に海外発売を意識した配慮がなされており、多人数協力プレイ(2人)にも対応。
- Wiiリモコンのポインター、傾き、スピーカー機能(聴診器の音など)を活かした独自の操作感を実現。
- テキストにおいて「御免なさい」「有難う」「居る」「成る」といった、現代では珍しい旧来の漢字表記が多用されているのも独特の味となっている。
特徴(6つのパート)
- 外科(CR-S01 / CV:櫻井孝宏)
- 懲役250年の無期懲役囚。シリーズ伝統の手術アクションを継承しているが、今作では「超執刀」は使用不可。
- 縫合位置のガイド表示や電気ショックの速度低下など、UIやバランスが改善。メス使用時のバイタル低下や制限時間が廃止された代わりに、ミス回数に制限がある。
- 囚人で記憶喪失という異色の設定だが、彼の過去が明かされるにつれ物語は核心へと迫る。なお、シーンによって敬語とタメ口が混在するなど口調が不安定な面も。
- 救急救命(マリア・トレス / CV:生天目仁美)
- 現場での迅速な処置を行う。基本操作は外科に近いが、ガイドに沿って特定の順序で処置を進める形式。
- 同時に3~5人の患者を相手にするマルチタスクが特徴。トリアージタグで他患者の危険度を確認しつつ、リアルタイムに悪化する容体に合わせて適宜患者を切り替える。
- 時間制限はないが、死亡人数がリミットを超えるとゲームオーバーとなる、前作の事故対応や道具制限を特化させたようなパート。
- 整形外科(ハンク・フリーバード / CV:菅原正志)
- 正確さと冷静さを追求する、精密な「イライラ棒」のような操作感。ミスリミットが10回と厳しく、速さよりも丁寧さが求められる。
- 正確に処置を続けることで「チェイン」が加算され、一定量に達するとBGMが変化する演出がある。
- 本人は豪快な熱血漢で、ムービー内ではパワフルな姿を見せるが、手術自体は極めて繊細。
- 内視鏡(トモエ・タチバナ / CV:伊藤静)
- 体内を3Dダンジョン形式で進む主観視点パート。壁や組織に接触しないよう慎重に操作し、患部を道具で処置する。
- 出血やポリープの処理など、他のパートと同様の治療を主観視点ならではの狙いをつける操作で楽しめる。
- キャラクターは古風な大和撫子だが、設定や演出にはあえて狙ったような「勘違いした日本文化」のテイストが漂う。
- 診断(ガブリエル・カニンガム / CV:藤原啓治)
- 問診、聴診、視診を通じて病名を突き止める、最も「医師らしい」アドベンチャーパート。このパートはセーブが可能。
- 大量の医学用語が登場するが、基本的には情報間の矛盾を見つける間違い探しの要領であり、専門知識は不要。
- 5回ミスでゲームオーバーとなる。診断補助端末「RONI」との軽妙な掛け合いが特徴。また、診察の演出により女性患者の着衣の一部が描かれる場面もある。
- 検視(ミラ・キミシマ / CV:渡辺明乃)
- 死者の声を聞く能力を使い、遺体の検分や証拠収集、証言から事件を解決する推理パート。こちらもセーブ可能。
- 収集した情報を「ヒントカード」としてまとめ、分析や合成を経て「証拠カード」を作り、最後に犯人を追い詰める。
- 判断を間違えるとミスリミットが減る形式。相棒の「リトルボーイ」とのやり取りや、推理中に出現するシュールなボケ選択肢も魅力。
評価点
- 6人の主人公による重層的なストーリー
- 総合病院「リザルガム・ファーストケア」を舞台に、専門の異なる6人の医師たちが織り成す群像劇。
- 『街』や『428』のように、あるシナリオでの主役が別のシナリオでは脇役として登場し、物語が複雑に絡み合う。
- 櫻井孝宏氏、生天目仁美氏ら豪華声優陣が、各キャラクターの個性を際立たせている。
- 従来のシリーズのようなSF的な超常病原体ではなく、現実的な疾患や怪我との戦いが主軸となり、医療ドラマとしての純度と没入感が大幅に向上した。
- Wiiの機能を活かしたゲーム性
- 従来の「外科」に加え、Wiiリモコンを駆使した「診断」「検視」といった新しい操作体系が、実際に処置や捜査を行っているような高い没入感を提供。
- 処置すべき箇所へのアイコン表示や、ピンセットを動かす方向のガイドなど、ユーザーインターフェースが親切になり、アクション初心者でも直感的に遊びやすくなった。
- 優れたBGMと主題歌
- 喜多篠氏らによる楽曲は評価が高く、特にエンディング曲「Gonna be here」は名曲として知られる。サウンドトラックには遊び心溢れるボーナストラックも収録。
- アニメーション型コミック形式の採用
- 従来の対話形式から一新。静止画を巧みに動かすスタイリッシュな演出により、迫力あるシーンを効果的に表現。コミックのようなテンポの良さと映像美を両立させている。
問題点
- 各パートのボリュームバランスの偏り
- 総プレイ時間は30時間弱と旧作を上回るボリュームを誇るが、その実態は「診断」と「検視」の両パートが大きな割合を占めている。
- アクション性の高い「手術」系パートに対し、推理や思考を要する「診断・検視」はアドベンチャー形式であるため、どうしても1ステージあたりの所要時間に大きな差が生じてしまう。
- 全主人公のステージ数はほぼ均等に設定されているものの、プレイ時間で見ると特定のパートに偏りがあり、結果としてゲーム体験のバランスが不平等に感じられる。
- また、物語性を重視した演出上、ムービーシーンの比重が高くなっており、従来のような「手術アクション」を純粋に楽しむ時間は相対的に減少している。
- 自由なシナリオ選択によるネタバレと時系列の混乱
- 6人の物語を任意の順序で遊べるシステムは、選び方によって物語の核心を先に知ってしまったり、時系列の把握を困難にさせるリスクを孕んでいる。
- 特に「診断」パートへの影響が顕著で、診断医のシナリオより先に治療担当医のシナリオをクリアしてしまうと、突き止めるべき「患者名」や「病名」が事前に判明してしまう。
- これはミステリー作品で解決編を先に見てしまうようなもので、推理のプロセスは楽しめても、驚きや興趣が削がれることは避けられない。
- また、重要人物が負傷・発症するシーンより先に、その人物의治療シーンを遊ぶことができてしまうなど、物語の整合性を守るためのロック機能が機能していない。
- 選択画面では各シナリオの時系列が視覚化されているため、プレイヤー側で意識して順序を調整すれば回避可能だが、ゲーム側からの積極的な誘導や示唆は乏しい。
- 幸い、どの順序でプレイしても物語の根本的な理解ができなくなるほどの致命的な支障はないが、没入感を高めるためにはプレイヤー自身での配慮が求められる仕様となっている。
- 自由なシナリオ選択による弊害
- プレイ順序が自由なため、選択によっては時系列の混乱やネタバレが発生する。
- 特に「診断」パートは、先に別の担当医のシナリオを遊んでしまうと、突き止めるべき病名や患者の結末が分かってしまい、謎解きの面白さが半減してしまう。
- 演出面の細かな不備
- 前作までは配慮されていた「手術着と私服の着替え」が、今作では省略されている。プライベートでも白衣を着たままなど、シチュエーションにそぐわない立ち絵が散見される。
- 専門用語の解説不足
- 診断パートの導入により多くの医学用語が登場するようになったが、従来作と同様に用語辞典などの補助機能が用意されていない。以前はアクションが主軸だった過去作では大きな問題にならなかったが、今作は「診察」がゲームの重要な要素であるため、用語解説の欠如は無視できない。
- システム的には知識がなくともクリア可能な作りだが、世界観への没入感や物語の納得感を削ぐ要因となっている。
- デバイス特有の操作難度
- 内視鏡パートにおける「突き出す」動作など、Wiiリモコンが苦手とする繊細な操作を要求される場面があり、物理的な疲労やストレスに繋がりやすい。
- 回収されない伏線
- ガブリエルと息子、ガブリエルとミラの関係、ミラの能力など一部の人間関係や特殊能力の背景が曖昧なまま終わる。開発側のリソース不足を示唆するアナウンスもあり、終盤からエンディングにかけての展開が駆け足気味に感じられる。
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''ラスボスがあっけない ※ネタバレ注意'' |
- **手応えに欠ける最終決戦**
- 過去作のラスボス(『1』のサヴァト、『NB』のカルディア、『2』のアレティア等)は、多段形態や初見殺しの猛攻により、シリーズの象徴とも言える高い壁として君臨していた。対して今作の「ロザリア変異種」は、それらと比較して拍子抜けするほど弱く設定されている。
- 決戦に至るまでの道中には相応の難所があるものの、肝心の本体戦はナビゲートに従うだけで容易に完結してしまう。
- シナリオ上は「医学の常識を超えた奇跡の術式」という熱いシチュエーションなのだが、ゲーム体験としては緊張感に欠け、盛り上がりに水を差す形となっている。
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- クリア後の特典不足
- クリア後の特典は特定のキャラクターによるボイスドラマが主であり、視覚的な報酬である一枚絵(新規イラスト)などは用意されていない。
- 特典の収集要素として「検死に関するクイズ」が出題されるが、その内容は本編で学べる範囲を大きく超えた専門知識を要求される。
- 本編自体は医学知識がなくても楽しめる作りであるにもかかわらず、おまけのみ外部での調査(ネット検索等)を前提としたような唐突な難易度になっており、ちぐはぐな印象が否めない。
総評
シリーズの正統進化であり、アトラスらしいドラマ性とWiiの直感操作が見事に融合した一作。
6つの異なるゲーム性を一つの物語に集約させた構成は圧巻で、荒削りな部分はありつつも、群像劇としての完成度は極めて高い。
シリーズのファンはもちろん、質の高い医療ドラマを体験したいプレイヤーにとっても、Wiiのポテンシャルを最大限に引き出した「良作」として記憶されるべきタイトルである。
最終更新:2026年05月04日 20:43