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想像と創造のセカイ―

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udenihyakki

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「想像と創造のセカイ―」


「この学校には、触ったらいけないPcがあるんだってさ?」
登校途中、話しかけてきたのは、俺の大親友の伊藤弘樹。長身で、こういう話が大好きな輩。
「はぁ?俺はあんまり、その手の話には興味ないぜ?」
俺は捻くれ者の学級代表、竜郷直哉。背は普通、迷信は信じない性格。
「んじゃー、聞き流してほしいんだけどさ、そのPcが生徒会室に眠ってるんだってよ」
聞き流してほしいといっておきながら、こちらをじーっと見つめて返答を求めているご様子。
「どーせ迷信にすぎないよ。そんなもん」
あえて会話の空気をぶち壊すように返答。

「でも、本当だったらどうする?」
この言葉だけ、真意が強かった気がする。
「触らないやつなんていないんじゃないか?」
「お、さっすが学級代表。話が早い。」
コイツ・・・。触る気満々だな。
「で、触ったら何が起きるんだ?」
たいていの昔話とかよくありげな怖い話な展開なんだろうな、どうせ。
「しらねぇよ。」
「誰も触ったことないんだから、知るわけない。か」
でも、“触ったらいけない”って事は、触ったら嫌なことが起きるはず・・。
「だから、俺らで触っちまおうぜー。」
「まぁ、どうせ迷信だろうし。その話、乗った!」
「じゃあ、今日の放課後・・3時15分決行な!」
弘樹は本当にやる気満々だ。
「ああ、分ったよ。」
どうしても嫌な予感がする。でも臆病者だと思われたくない。その気持ちが予感を揺らがせた。

キーンコーンカーンコーン。今日の授業内容は、国語、体育、理科、社会、学活。
国語以外は、真剣にやったし、なにより体育で1500mを1位で駆け抜けることができた。

「竜郷。お前1500mだけは、本当にはえーな!」
こいつは、塩田大河。シニアの野球クラブに所属して、運動神経抜群。
「大河に言われると、ちょっと恥ずかしいな。」
「なんでさ。」
「お前運動神経抜群じゃんかよ!」
「竜郷に言われると、ちょっとはずかし。」
からかってますね。わかります。
「ま、どーせ1500m以外勝てませんよーだ。」
「いずれ1500mでも負けることになるだろうけどな。」
はい。頑張ってください。
「それを願うよ。」
「さてと・・・。弘樹のとこ行くか。」
時計は、ちょうどいいような3時10分を指している。
「ん?あ。もしかしてPcのやつ?」
コイツが何故知ってる? もしかして弘樹のやつ、話せるだけ話したのか?
「ああ、そうだよ?」
「お前、本当に行くのか?」
なんだか、大河は止めているような気がする。それも何か知ってるような口ぶりで。
「いく・・けど?」
「そう・・か。」
「だってどうせ迷信だろ?ただ触ってはいけないだけだろ?」
「じゃあさ、最悪の事態考えろよ?」
急に改まっちゃって・・・。なんなんだよ。
「最悪の事態ってなんだよ。大河さー、なんか知ってるのか?」
「いや、別に。」
なんか残酷な返答だな・・。「いや、別に。」ってのは絶対何か知ってる口ぶり。
「なんか知ってるんだな?」
「知ってるよ・・・、実は。」

「と、嘘をついてみる。」
「はぁ・・。びっくりさせるなよなー!」
「っひゃっははははは、竜郷の反応おもしr」
ちょっと殴ってみた。
「ふざけんじゃねぇよ、まじで本気にしたんだからな!」
「いてーよ・・・。まぁ、弘樹んとこいってらっしゃい。何もないことを祈る。」
やっぱりなんかあるような気がする・・。
「はいはい、行ってきます。」
けど、どうせ迷信迷信。

誰も居ない、今は使われていない生徒会室。ちょっと暗くて、夜にいったら怖そう。
「―おーい弘樹ー?」
「お、きたか竜郷。」
今の時計はちょうど3時15分。ちょっと待たせたかな?
「でー?触ってはいけないPcってのは?」
「やる気満々じゃん・・・w。」
「今日塾あるんだよ、しかも宿題やってねーし。」
「はいはい、じゃあ急ぎますか。」

かなり古びたPc。OSはMe・・? 埃をかぶっていて、本当に誰も使ってないようだ。
「じゃあ俺が言いだしっぺだし。触るわ。」
「う、うん。」
弘樹が、起動ボタンをポチっと押す。予想通り、OSはMeで、起動画面になった。
「あれ?PWを入力してください?」
PW入力ってきたら、なんもできないじゃないか。
「なぁ、竜郷。どうする?」
俺に振られてもなぁ
「じゃあさ、ヒントって開いてみてよ。」
「ヒントっと・・・。」
ヒントの中にそのままPWが入っていた。
「おお、これPWだよね。」
「だな。」
ヒントの中に、PWが入ってるのはよくあるパターン。現に俺のPcもそんな状態にしてる。
「さてさて、どんなもんだろうか。楽しみですな?竜郷さん。」
「え?うん・・・まぁ。」
本当にやる気はまったくありません。
「おっと本画面。フォルダがたっくさんだね。」
おもに写真のフォルダで、年月がたってるだけあって、内容は古そうなものばかり。
「いつ撮ったものなんだろ?」
「保存したのは・・・、10年前?だね。」
触ったらいけないくせに、なんだかすごいあっけない。
「なんだかあっけないね。」
弘樹も俺と同じ意見。 あっけなすぎないか・・・?
「じゃあ帰るか。もう見るもの見たし。」
「うーん。そうだねぇ。」
弘樹はまだ見ていたいご様子。
「あれ?竜郷ちょいまって。」
「ん?何?」
「まだwordのデータ残ってるよ。」
「ほぅ・・。」
ちょっと何が書いてあるんだか気になる。
「おーし開けた。 じゃあ読むぞ。

  
  
  あなたは想像の世界を満喫しているんですか?
  
  私は、もう疲れた。学校生活も。この世界も。
  
  家に帰りたい。はやくここから出たい。

                  だってさ。」
なんだか怖気が走った。
「ちょっと怖くね・・?」
「だなぁー。読むの怖かったよ。」
「俺さ、この想像の世界っつーのが気になるんだけど。」
「想像・・・、ねー。あり得ない具象のことだよなぁ、想像って。」
あり得ない世界とでも解釈するか。
時計を見ると4時10分を指している。塾まで時間がない。
「ちょ、時間やば、俺帰る!」

「ニガサナイ」  Pc、が言った恐怖のひとこと。
「え?!」俺と弘樹は声を合わせてそういった。
「やばいってまじで!!!帰るぞ、弘樹!!」
危機感を覚えたように、俺ははっちゃけた。
「はやく、そのPc閉じろ!!」
「わかってらぁ!! 」
弘樹が起動ボタンをながおしする。             

が、エラーのメッセージだけ出して、閉じれない。
「だめだ、閉じれない。」
「じゃあそんなPcほっといてここから出るぞ!」
俺は、ずっと手に汗を握っている。本当に、いやな予感がしている。

「くっそ、さっきまでこの扉すぐ開けたのに・・・・、あかねぇ!!」
俺がどんどんと生徒会室の古ぼけた扉を蹴る。  本当に閉じ込められたようだ。
「やばいな、この展開。」
弘樹が今までの行動を、償ってるかのように言う。
「とりあえずここから出るぞ、弘樹。」
たしかこの生徒会室には、緊急用のハンマーがあったはず。
「緊急用のハンマーっと・・・、どこだ?畜生!」
焦るなー、俺。冷静になれ、俺。
「あ、あれかな。」
「緊急用」と書いてある、赤い箱を見つけた。きっとこれだ。
「よしあったぞ、弘樹ちょっと下がってろ。」
思いっきり、ドアのカギがついているとこをハンマーで壊す。

ドガンッ

「さすが、古ぼけてるだけあるな、壊れた。」
なんとか、固い扉をこじ開ける。弘樹はなんだか呆然としているようだが・・・?

「おい弘樹?開いたぞ?」
「ちょっとまてよ・・・。これってありかよ・・・。」
「ん?・・・?!」
校舎は、真っ暗で誰もいない。部活動で活気のあった、“ついさっき”とはまるで別世界だった。
「まさか・・・。」
時計のほうへ、目をやる。
時計の針は、4時10分。Pcが放った恐怖のひとことを聞いた時と同じ時間で止まっている。
「俺ら、この時間の中に閉じ込められたな・・・。」
「このまんま逃げれられない・・・、なんて信じられるか!!」
弘樹はかなり焦っている。ここで冷静にいられるやつがどうかしてるけど。
「ぁ、でも生徒会室からは出られたんだぜ?」
そう、なにか外から手掛かりを得られるかもしれない。
「だ、だよな。とりあえず、この3階からおりるか。」
とりあえず、「緊急用」のハンマーを持って生徒会室を後にした。

「近くには、D階段があったな。」
D階段というのは、この学校の中心的な階段で、だいたい、登校時や下校時にしようする階段のこと。
「・・・。」
弘樹は、恐怖のあまり黙っている。
「ごめんな、竜郷・・・。」
そんな弘樹が口にした。
「気にするなよ。俺が自分で乗ったんだから。」
「さてと、D階段ついたな。」
「俺が先に行くよ。」
弘樹は、まだ俺のことを気にしている。
「お前に一人で行けなんて言わないよ。」
「一緒に行こう。」

カツカツ

階段を降りる・・・。 相変わらず誰もいない。
「なぁ?弘樹、職員室行ってみようぜ。」
「だな。もしかしたら、先生の一人や二人いるかもしれないしな。」

2階、職員室前

「よし、入るぞ。  しつれいしまーす・・・。」
やっぱり、誰もいなかった。しかし、ここなら外の世界を一望できる。
「誰もいないね・・・。」
「でも、外が見える。ちょっと見に行くぞ。」
職員用の机の上に乗って、眼下の景色を見た。 灰色の雲。どうやら曇りのようだ。雨は降っていない。

「あれ?ちょっとまて、今日って晴れだったよな?」
「ああ、確かに今日は晴れ“だった”。」
急いで、職員室掲示板にある、「今日の日付」を確認する。

1,998年6月8日

「今から約10年前?!」
「もしかして、俺らってPcの記憶の世界の中にいるのか?!」
「確かに、Pcの中に職員室をうつした写真がフォルダにあった。」
つまり、Pcがこの世界から出るカギを握っているに違いない。
「これは、学校からでても無意味だな。」
「また生徒会室へ戻るか。」
ちょっとこの世界に慣れてきた自分が恐ろしい。

またD階段をのぼる。

3階、生徒会室前

「見たくないけど、Pc確認しないことには、あっちへ帰れないからな。」
「竜郷・・。まじでごめん。俺のせいで・・。」
「だから、弘樹。気にするな。いいか? この世界には俺らだけなんだから。」
弘樹がまじで泣いている。あえてそのことには触れないで、Pcを見た。

「そういえば、俺ってこのPc触ってないな・・。」
「俺がまた、見るよ。」
弘樹がそう言ってくれた。
「お前だけにいやな思いはさせたくないよ。今度は俺が見る。」
学級代表としての言葉が出た。いっつもはひねくれ者なのに。
「あ、メールとかあったりするのかな?ちょっと調べてみよう。」
思ったとおり、あった。

「新着メール1件。っと」
「なんだか怖いな。竜郷。」
「もうあの手の内容は勘弁してほしい。」
メールボックスを開く。よく使っているようでPWは記録されて残っている。
「じゃあ内容を読むぞ。  

           どうだ?この世界は?楽しいか?過去に行くことができて。
           だが、お前らは選ばれたんだ。戦いに。
           楽しいとか苦しい関係なく、選ばれた。そして、この世界を抜け  
           方法はおれしか知らない。わかったら返事しろ。

             だとよ。」

「どう返事する?」
「んー、やっぱり、「俺らも戦います。」が適切じゃないか?」
「戦いってなんだろうな。」
戦い。苦しい想像が浮かんでくる。
「やっぱり、戦いなんじゃないか?」
「まじの戦いかぁー・・・。」
とりあえず、弘樹の言ったように返事をする。
「返信完了・・。」
やけに、嫌な予感がしてくる。
鼓動が ドクンドクンッと強くなってくるのを感じる。
「お、返事返ってきた。読むぞ

              その返事に期待していた。この世界じゃ、想像が武器にな
              る、そのことだけ覚えていろ。

               だってさ。」
 
「そうか、だから想像の世界ってwordに書いてあったんだな。」
武器か・・。
「じゃあ敵ってでてくるんだよな・・・?」
「戦いだぜ?出るだろうよ・・。」
「でも、どんな戦いにも目的はあるはず。次は、「じゃあその戦いの目的を教えてください。」と返信しよう。」
なんだか、本当に嫌な予感がする・・。
「返信完了・・・。」
・・・・。空気が重たい。
「・・・・。」
「・・・・。」
「お、返ってきた。
         目的?君たちがこの世界から出ることだよ?
         ちなみに、もうわかってると思うけど、これは非現実だ。

         だってさ。」

そのまんまじゃん。すごいくらいそのまんまじゃん。
「じゃあ俺らはこの世界から出れば、戦いからは逃れられるというか、クリアするわけだな。」
きっと簡単にはいかない・・。
「でも、どうやって出るんだ・・・?」
超絶重要な問題。出方がわからないんじゃ先に進めない。
「んー、だよな。もしかしてこの世界に迷い込んで、wordを書いた人も、出られなくって、死んだ?もしくはいなくなったってことか?」
死んだ?という言葉が生徒会室に響き渡る。
「なぁ、竜郷。簡単に死んだ?はダメだろ。」
「だよなぁ、でもこのままじゃ、俺たちもどうなるか分かんないぜ?」
「緊急用」のハンマーを強く握りしめる。
「でも、カギはこいつが握ってるんだ。できるだけ情報を絞り取ろう。」
「返信する文章の内容・・・、どうする?」
「何をすればいいですか?」でいいと思う。」

カタカタカタ・・・ ん?

後ろに誰かいるような気がする。
気のせいか?いや・・。いる。扉の向こうに。
小声で「後ろに誰かいるぞ・・・。」といった。
「弘樹ここにいてくれ、俺ちょっと見てくる・・・。」

スタスタスタ・・・・ガラッ!

「うおおおおおおおお!」
「緊急用」のハンマーで思いっきり殴りかかる。
「ちょっ、待て待て。お前たちを助けに来たんだよ。」
そう言ったのは、運動神経抜群の塩田大河だった。
「なんだ、大河か・・、驚かせやがって。」
「でも、なんで俺がこの世界に入れたと思う?」
「・・・・、もしかしてメールの相手?」
「そうだよ。ずっと変なこと言って驚かせてた。選ばれたあたりは自重すべきだったな。」
「じゃあこっから早く出してくれよ!」
大河が深刻な顔をする。
「簡単じゃないぞ?」
「でもやらなきゃ進まない。」
二人は声を合わせてそう言った。
「そうか、分かった。じゃあこの世界をでるためには、Pcの記憶っていうやつをどうにかしなきゃならない。」
「どうするんだよ。具体的に。」
「Pcのフォルダ、見ただろ?あの中の写真の記憶に潜む、敵を倒すんだよ。」
何を言ってるんだか分らなかった。
「この世界は、非現実。何が起こっても不思議じゃない。だから、どんな魔物が俺たちの“クリア”を邪魔してもおかしくないってわけ。」
簡単に言うとゲームか。
「で、その魔物を倒すために使うのが、「想像の力」か。」
俺が付け加える。
「んま、そういうことだ。」
「じゃあ、早速アクション起こそうぜ。」弘樹が口を開いた。
「そうだな。まず写真のフォルダを確認しようか。」

生徒会執行部の記念撮影の写真。場所はグラウンド。

「この写真みてどうするんだよ!」
俺にはわけがわからなかった。
「この場所に行って、この記憶の敵を倒す。それが俺たちのクリアの道だろ。」
とりあえず行けってか。
「想像しろ。その場所に行ける。」
大河がそういうと、突然消えた。 想像の力とやらを使ったんだろう。
「弘樹、俺たちもやるぞ。」

写真の中にあった景色が広がる。しかし、写真を撮っている現場で、みんな静止している。

「ついたー・・・。弘樹?大河?」
2人はいなかった。ほかの写真の中の記憶へはいったのだろう。
「っくそ。どうすりゃいいんだよ・・・。」

現状を整理すると、写真の中の記憶をおかしくしようと邪魔する魔物がいる。
今回の写真の場合、生徒会執行部のメンバーがメインで写っている。のを邪魔するってことは、生徒会執行部メンバーを消す?つまり殺す?。

ビシッと体の中に電気が走った気がした。

かなりやばいセンサーが反応している。
とにかく急いで、写真の中の位置と同じ場所へ行く。
 
生徒会執行部メンバーが今にも、恐竜と怪獣がまざったような、一言で言うとキメラに食われそうだった。
「ちょ、やばい!!」
この世界じゃ何しても平気なんだよな・・・・。
想像を働かせる。すると青白い光とともに真っ黒い剣が現れた。
体もイメージ通りに動く。

シュン!! 

となった瞬間、キメラの前に立った。
「おお、いいね、この感じ。」
キメラを殺す想像をする。
体が勝手に動き、黒い剣で、キメラをぶった切る。

幸い生徒会執行部メンバーに外傷はなかった。

「こんなようなことをやれって大河は言いたかったわけか。」
生徒会室へ戻る、想像を働かせる。

3階、生徒会室前。

「ふぅ。あいつら戻ってるかな。」
カギの壊れた扉を開ける。あいつらはまだ戻っていないようだ。
「くっそ、こうなると、急に怖い。」
また、Pcのフォルダを確認する。とさっき俺が整理したとされる写真が消えていた。
こうやって、全部の写真の中に入って、魔物を倒すともとの世界に戻れるわけか・・・。

・・・・あれ?弘樹が入ったとされる写真が動画のように動いて、現状をここから確認できる・・。

「あ?!弘樹のやつかなり苦戦してるな!!」

写真は、文化祭の中のようで、皆が準備をしているというような写真だった。

「待ってろ弘樹!」
想像を働かせる。

3階、廊下

校内装飾中のような景色が広がる。そこで弘樹は、みんなを守るように、固体化して針を出す、スライムのような奴と闘っている。

「竜郷!助けてくれ!」
弘樹が吠える。それもそのはず。スライムが50匹以上いる。
しかも、何回攻撃しても、スライムは液体化して、また再生する。
「じゃあ俺も戦うぞ・・・。」
とりあえず、液体化したり固体化するという性質の敵。
閃いたように、俺は想像する。

吹雪のようなものが巻き起こり、スライムらが凍結する。
そして、「緊急用」ハンマーの鉄の部分を巨大化するように想像し、スライムを打ち砕く。

「おーい?この世界だったらなんでもありなんだぜ?」
「まいったよ、竜郷。そこまで想像できなかった。」
弘樹が膝をついて倒れこんだ。腰が完全に抜けてるな?コイツ
「おい、早く立てよ。まだスライム残ってるだろ?凍ってるけど」
「そうだな・・・。俺もそのハンマーもらうわ。」
弘樹が想像して、俺のと同じものを作り上げる。
2人でスライムを粉々に砕く。

「砕ききったあ・・・。超疲れね?」
「ああ。疲れるな、この作業は。」
でも、砕ききったスライムの残骸は残っている。
「こいつらどうするんだ?」
もっともな疑問だ。
「やっぱ想像で何とかするんだろうな。」
弘樹がそう言って、想像する。
消しゴム?が弘樹の手に。そいつを投げつけると、きれいにスライムの残骸が消えた。
「じゃ戻るか。」
「あいよ。」

3階、生徒会室前。

「やっぱ、さっきのスライムと戦った世界ってのは、この世界とはまた別モノなんだよなぁ・・。」ため息ながらに俺が言った。
「でも、これで写真の記憶が、また一つなくなったよ。」
弘樹は、なんだか楽しそうだ。
「さて、大河の野郎は、どこだ?」
「おせーよ、お前ら。」
後ろに居た。
「そういうのびっくりするからやめてください。本当に。」
弘樹が、すっごいびっくりしたような声をあげていう。
「でも、これで3人揃ったな。」
俺はすごい安心した。
この3人揃ったというのはやっぱり心強い。
「じゃあPcを確認しようか。」

扉を開き、生徒会室へ入る。

「画面真っ暗だな。」
「今日は、元の世界へ帰れそうだ。」
え?どういうことだ? と俺と弘樹の眼が大河へ移る。
「いつも画面が真っ暗になると戻れるんだよ。俺も知らんけどな。」
俺はとりあえず、時計に目をやる。針は4時10分。やはり止まったままだった。
「あ、そうだ、次はどの場所で、どの時間に、この世界に入るか分からない。塾帰りでも戻ってくる可能性はある。とにかく、気をつけろ。」
大河が重要そうに言う。
「写真残数は・・・?」
「6枚だね。」
あと6枚か・・・。

「じゃあ皆。戻るぞ。いつも通りの世界を想像するんだ。」

急に周りが明るくなった。

生徒会室に、夕日の光が入ってくる。

「もどったなぁ。」「ああ、もどったなぁ。」
二人は、そこに立ち尽くしていた。
「あれ?大河どこだ?」
あの世界を教えてくれた大河がいない。
「あ、あいつ自宅のPcからメールして、あっちの世界はいったんだっけ?」
「確かそうだったな。」
ってことは今頃自宅か・・。

いまだに持っていた「緊急用」ハンマーを赤い箱に投げ入れる。
「じゃ、出るか。」
2人はやっとこさっとこ、生徒会室からでることができた。
時間は、4時13分。 時計も動き出した。

「なぁ弘樹、いろんなことありすぎて、なんも考えられんわ。」
「俺もだよ竜郷。あんだけいろいろな事したのに、時間も進んでないしな。」
「とりあえず、今日の塾は休むか・・・。異常に疲れた。」
「・・・。またあの世界で会うことになりそうだな。」
「うん。まぁこの戦いもあと6枚の写真で終わりだ。」
「本当にごめんよ。竜郷・・。」
弘樹がまた泣きそうだ。
「だから、気にするなっつうの。また明日学校で会おうぜ。」

今日の学校は本当に長かった・・・。

ガラガラガラッ

「ただいまー!」
やっとこさっとこ自宅へ到着。
「おかえりなさい。」
母親の言葉が急に平和すぎて泣ける。
「直哉、今日塾なんだから、早く仕度しなさいよー!」
「あ。今日、頭痛いから休む・・・。」
「何いってんの。行きなさい。」
「だって、本当に痛いんだって。」
今日ぐらい本当に休ませてほしい・・・。
「学校で何かあったの?」
核心を突かれた。
「まぁいろいろとね。」
あっちの世界のルールでは、あっちの世界を知らない他人にあっちの世界についての情報を漏らしてはいけないというものがあるらしい。大河が言っていた。
「何があったの?」
「色々。」
「ふぅん、あそう。」
「わかりました。じゃあ今日の塾は休みなさい。」
「ありがと、かーさん。」

疲れたし、寝るか・・・。

2008年6月9日夜12時30分。

目が覚めた・・・。
そりゃあ、4時ごろに寝たら、目が覚めるか・・。
つけてもいないPcの電源がついている。誰かがいじったのだろうか?
どこで作業をやめてるのか、確認する。

驚いた・・。 6枚の写真のフォルダが開かれている。

あたりを確認する。時計は12時30分で秒針がぴくりとも動かない。
「・・・。」
言葉が出なかった。
「弘樹にメールするか。」

「おい、弘樹!またあっちの世界に入ったぞ!お前も入ってるなら返事してくれ。」

30分くらい待・・・っても、返事はなかった。

大河にも同じような文章でメールをしたものの返事はなかった。

今回は俺一人らしい。

写真の景色をよく観察する。今回の写真は、修学旅行と思われる、湖での写真。
学級写真のようだ。

「じゃいくかな。」
想像を膨らませる。

ザザーッ 

湖の独特な香り。そして、どうやら船の上に降り立ったようだ。目線は、カメラマンと同じ。嬉しそうに笑ってる、男子と女子がいる。

しかし、異端者が一人。メールしても返答のない、弘樹がいた。
この世界でも、メールは繋がる。それは大河が実証した。

「俺は騙されないぞ?偽物が。」
言葉はない。殺意だけこめて俺を狙ってくる。
剣じゃなく、今度は銃をイメージする。

ドンッドドン!

2丁拳銃で撃ちまくる。偽弘樹は、想像の盾で完全に防御している。
これじゃあきりがない。銃を合体させ、バズーカ砲をつくりだした。

ドガンッッッ!!

ものすごく重い音が、湖に鳴り響く。
しかし想像の盾というのは堅いらしく、防御された。

「どうせ想像の範囲内・・・。」
だったら、弘樹には想像すらできない、爆撃をお見舞いするだけ。
一度、TVで見た、核兵器を思い出す。

学級写真に写っている生徒を全員、俺特製の想像の盾で防御

そして

核兵器を放った。

しかもその爆撃は偽弘樹のみを狙うように、想像で加工。

ドッガアアアアンッッッッ!!

偽弘樹だけを狙った爆撃。想像の盾は、想像の限界を超えたようで吹き飛んでいた。
さっきイメージした2丁拳銃で偽弘樹を打ち抜く。
 
―音もなく偽弘樹は消えた。

「なんだか、俺の想像のレベルも上がってきたな・・・・。」
とか、自画自賛しながら、元いた部屋へ戻る。

2階、俺の部屋。

写真残数残り5枚。
「あーくそ、眠い!!」
想像を働かせると眠くなるものだ。と実感。
Pcを確認。

「お、真っ暗画面なった。」

今日の戦いはこれで本当に終わりのはず。
そう信じて、元の世界へ戻った。

「っはぁ!!  うー、戻ったか・・。」

カチカチカチ・・・、と時計の秒針が動き出す。

「とりあえず、弘樹にメールだ。」

「夜遅くごめん。またあっちの世界行ったよ。」

2分後

「おお?いきて帰ってこれたか。よかったよかった。 キタ━━━(;´Д`);´Д`」;´Д`)━━━!!!」

コイツ・・・、何が起こったか全部話してやろう・・・。

「お前と闘ってきたんですけど、何か?」

1分後

「まじで??へぇ・・・。ってことは写真の枚数5枚になったわけか。」

あんまり関心ないんだな。戦いに関しては。

「まぁそういうこと。また明日話すよ。」

2008年6月9日7時30分

「あんた、昨日すごいぐっすり眠ってたわねー。」
母親が心配そうに言う。
「ああ、今日もだるっだるだよ。」
「学校は・・・休まないの?」
Pcのことが気になりすぎて、休めません・・・。
「いやぁ、行ふよ。」
パンと生ハムを咥えながら決意表明。

本当は超休みたい。

ちなみに昨日は制服のまんま寝たし。あとは顔洗うだけでいいか。

バッシャバッシャ

「じゃ、行ってきまーす!」
「うん。いってらっしゃーい・・・あれ? 直哉ーちょっと来なさい。」
「ん?!」
母親が差し出したのは今日の新聞記事だった。
そこには、俺の通う中学校の先生についての記事が書いてあった。
2008年6月8日推定時刻午後5時45分。

この南中学校の体育教師、緒方修平が行方不明になった。
原因は不明。目撃生徒によると、“使われていない生徒会室”に入って出てこなかったという。・・・・・

これって完全にあのPcが原因じゃん。
「かーさんとりあえず、友達に話してみるよ。」
「はーい。じゃあいってらっしゃい。あと、気をつけてね。」
母親らしく行方不明の事件については気にしているらしい。
それが親ってもんか。

学校前、中央道路。

「おい、竜郷。今日の新聞みたか?」
弘樹が顔を真っ青にして話しかけてきた。
「ああ。朝かーさんに見せられたよ。」
できるだけ、動揺してない口ぶりで返答。
「ちょっとさ、これはやばい・・・・よな。」
こいつのあだ名、泣き虫弘樹でいいかな。
「おいおい泣くなっての。」
「でも、俺たちのせーでこぅなったんだよお?」
本泣きにはいったか。
「じゃあさ、俺らで緒方先生助けだしたら、超英雄じゃん?」
「それは・・・、考えてなかった。」
弘樹が泣きやんだ。英雄の効果強いな・・。
「じゃ、今日、ホームルーム終わったらすぐに、あの生徒会室へ行くぞ。」

2階、3年生フロア。

「ちょっとさぁ。なんか緒方が行方不明になったんだってー?やばくなーい?。」
3年の女子達が騒ぎ立てる。
「でもさー、緒方ってぇ、超エロいんだよ?いい気味じゃね?」
そんなこと言ったら、クラスの男は全員行方不明になります。

とりあえず、3-2の教室へはいる。
時計は、8時28分。ホームルームまで、あと約2分。
「おーい竜郷。行方不明事件の記事見た?」
この手の事件になるとすぐに俺のところへくる、日向雄二。成績優秀で、たぶん俺の考えを参考にしようと来たんだろう。
「見たよ・・。」
「でさでさ、どう思う?」
「この学校で突然行方不明なんて考えられない。外から不審者が侵入して、緒方先生を捕まえてどこかに幽閉したか、もしくは自分で隠れたんだろう。」
ふざけ気味に、核心からは遠ざける。
「場所ってあの今は使われてない生徒会室だよな・・・?」
急に核心にちかずいた。
「だから、どうしたの?」
ここで俺もこの話に乗ったら、たぶん日向も行方不明者になる。だからあえてぶさっぽうに返答。
「あの場所って、確か・・・」

キーンコーンカーンコーン

よかった。チャイムが鳴ってくれた。
「あ、また今度はなそう。」
こんなんで日向も巻き込まれてほしくはない。

「これからホームルームを始めます。」
「きりーつ、気をつけー、礼!」
「おはよーごぜーます・・。」
学級代表のくせに、毎朝の朝礼は誰かに代わって欲しいところ・・。
正直飽きた。
「委員会から何かありますか?」
女子の学級代表の小林優奈が、やる気のない俺に代わって、ビシッと言う。
とりあえず、あの事件の事については、俺が触れたらたぶん、皆あの生徒会室へ向ってしまうから、パス。
「・・・・。」
黙ってみる。
「・・・・あの事件のこと言いなさいよ?」
優奈の奴が小声で指図する。
「・・・・。」
しかし黙る。これだけは絶対に言えない。
「はい、じゃあ先生からです・・。」
空気の読めるやつでよかった・・。
どうせ、先生は言うだろうけど、先生が告知したところで、皆何も興味もないだろう。
しかも、先生が言ったあと、皆が、あの生徒会室へ行くとは考え難い。
「皆知ってると思うが、昨日、緒方先生が行方不明になった。生徒会室へは近寄るな。」
いきなりですか・・・。
「それにテストまであと10日しかないんだ。しっかり準備しろよ。」
そうでしたそうでした。テスト?何それおいしいの?
「特に竜郷!、お前は成績はいいくせに、準備が足りない!」
成績いいって、準備いいってことじゃね?
「は、はあ。すいません。」
そんなことよりも、生徒会室へ早く行きたい。もしくはPcがある部屋。
「・・・・・・。」
話がながい・・・。
「じゃあ、これでホームルームは終わりにする。」
よしっ


ガタッ!

机から離れ、弘樹と待ち合わせした、生徒会室へ向う。

教室を出て、D階段を駆け上がる。と

プルルルr

携帯が鳴った。

世界が変わる。

何もかも目の前にいた生徒が消える。

外は真っ暗。

あの世界だ・・・!
携帯のメール画面を開き、弘樹と大河にメッセージを送る。

「あっちの世界へはいった。しかも携帯から。」

30秒後

「実は俺も。」
先に弘樹が返答した。
「俺なんて朝起きたらこの世界だった。」
大河、かわいそうに・・。

時計を確認する。8時45分。携帯の時計の秒数に変化がない。
「今どこにいる?」
はやくあいつらと会いたい。

30秒後

「俺は、1階の玄関だな。最初は2階の3年廊下にいたのに・・。」
「んー、ここ屋上か?」

俺以外の人は色々なところへ飛ばされていることがわかった。
ちなみに屋上は完全に閉鎖されていて、俺の力ではいけそうにない。

「まず、弘樹と会いに行く。屋上へは行けそうにない。」

30秒後

「わかった。ここで待ってるよ。」
「あー、わかった。待ってる待ってる。」

大河はこの世界についてよく知っている。だからたぶん大丈夫だろう。

全速力で階段を駆け下りる。
場所は1階玄関。楽勝だ。

全速力で階段を駆け下りる。下りる。下りる。下りる。・・・・・・・
どこまでつづくんだこの階段は!!

非現実だからあってもおかしくない現象かもしれないが・・。これはひどい。

想像の力で何とかしなきゃ・・・な。

とはいってもこの階段。

完全なる幽閉だ。

でも、よく考えてみたら、「魔物は邪魔する。」んだから、これも魔物の一種ってわけだな。
つまり、想像の力でぶち壊せば何とかなるのか?

やってみるか。

ダイナマイトを想像する。

思いっきり想像した物とは、規模がでかすぎるものができた。

ってもうすでに火がついてる。
寒気がして思いっきり階段の底に投げ込む。

ドンッッッッッ!!!

重すぎる。耳が痛い。
そして、ダイナマイトの結果、螺旋階段のようになっていた階段のあり得ない場所から階段ができていた。

分かれ道?

もうわけわからん。

現状報告のため、弘樹にメール。

30秒後

「俺もさ、今階上ってるところだったんだけど。上でものすっごい音がしたような。」
それって俺のダイナマイトじゃん。

「それ俺が投げた、ダイナマイトの音だ。」

30秒後

「ってことは近いんだよな・・・?」
可能性は高い・・・。

「だね。下もう戻れないしょ?」

30秒後

「うん・・・。この階段上って、螺旋階段みたいでさ、下に下がっても上に上っても無駄みたいだ。」

「じゃあ、俺は下に向かう。んで弘樹は、上に。これだったらさらにちかずけるかもしれないな。」
「じゃ行動開始。」

また全速力で下に駆けだす。さっき繋がった階段を無視して。


やっぱ無駄か・・・?

弘樹にメール。

「どうだ?そっちは?」

30秒後

「なんか、出口ついたと思ったら、また階段生えてるよ?」
それってもしかして、“さっき繋がった”階段のほうか・・?

また全速力で上に駆けあがる。

「あ。緒方先生?」
目にしたものは、昨日行方不明になった、この人。
「竜郷じゃないか!!!」
一日ここですごしたんですね。わかります。
「とりあえず、伊藤君もこっちの世界にいるんです。彼と合流しましょう。」

携帯で弘樹にメール。

「さっきいなかったはずの緒方先生がここにいるんだけど?」

30秒後

「え?!こっちにもいるよ?」
どういうことだ・・?弘樹と俺は今、別世界にいるのか?
でも、緒方先生は共通に存在している。

「あの、緒方先生。」
「? なんだ、竜郷。」
先生にこんなこと言うのおかしいかな・・?でも、仕方がないか。
「そこの壁をドアと思い込んでください。この世界では、想像が現実になります。」
こればっかりは、この緒方先生にしかできない・・。

あの、体育教師の緒方先生が想像する。

西洋風のドアが、地面から青白い光を出して、出来上がる。

「弘樹そっちどうなってる?ドアできた?」

30秒後

「うん・・・。突然。」
これで世界がつながった。
「じゃあそのドア入ってこっちにきてくれ。」

ガチャッ

「弘樹元気か?」
「うん。まぁな。」
弘樹があったとされる緒方先生はいなかった。
「伊藤じゃないか!」
「あ、先生。こんにちは。」
弘樹の柔軟な対応にびっくりした。
「・・・そんなことはどうでもいいんだよ。今は。」先生がこんなこと言うのは珍しい・・。
そう。今は先生だろうが生徒だろうが、この世界を抜け出すために協力しなきゃならない。
「だよな。今のヒントは緒方先生だけだもんな。」
「? 私がヒントだと?」

・・・・。

この人何もわかっちゃいないな・・。

「先生すべて話します。」

・・・・。

この世界が非現実であることから、俺たちがどうやってはいってきたのかすべて話した。

「とりあえず、Pcのある場所までいかなきゃならないわけか。」
「ですです。」
でも、この空間に閉じ込められたはず・・・。
「Pcの場所ってのは3階、生徒会室だよな?竜郷。」
「はい。そうです。」
何今頃確認してんだよ・・・・。
「私たち3人ならいけるかもしれないな。」
「じゃ、行きましょうか。」

カツカツカツ・・・。

「あれ?今まで幽閉されてたのに・・・。」
「3人集まって階段を上ることが今回のゲームだったのか?」

D階段を上りきると、生徒会室が見え、案の定Pcの電源はついていた。

3階、生徒会室。

「写真残数4・・・。さっきので一枚減ったか。」
弘樹も疲れた感じだ。
「そういえば、大河見ないな。」
「塩田もこの世界にいるのか?」
確か、知らなかったんだっけ。
「はい、彼が一番この世界に詳しいです。」
相変わらず答えるのは俺のみ・・。
弘樹は黙っている。
「あいつは、今屋上にいるはず。」
「屋上へつながるカギなら私が持っているぞ。」
さすが今回のヒント様。この人さえいれば、写真も順調に整理していけそうだ。
「じゃ、皆で行動しましょう。」

スタスタ・・・

3階、E階段前

普段は教員くらいしか使わない、D階段とはま逆の位置にあり、この階段を下りると
職員室前まですぐたどり着けるという階段。

そして、屋上までの通路もつながっている。

ガチャガチャ・・・

カチャ!

「おし、開いたぞ。」
なんだか怖いな・・。

スタスタ・・・

屋上。

360度パノラマの屋上。時間は止まっていて、しかも曇り。
中心あたりに大河がいた。

「おーい大河―!」
「やっときたか・・。」
「あ。緒方先生。」
「大河・・、早く現実世界に帰る方法を頼む・・。」
横から弘樹が口を出した。腹痛が激しいらしく、腹を押さえている。
きっと下痢だな。
「でも、Pcの電源ついてたんだろ?」
もっともらしい事。
「ああ、電源はついてた。」
「しかも今回は4人だろ?写真を少なくても4枚整理しなきゃいけない。」
「1枚はみんなで整理したから、さらに一人ずつってことか?」
「まぁ、生徒会室へ戻ろう。」
想像を働かせる。

3階、生徒会室。

「これは、すごいな・・・。」
緒方先生のびっくりしたような声。
「俺らも最初そうでした。」
Pcの電源を確認する。さっきと同じ状態で、フォルダには4枚の写真。

「ここからは別行動だ。いいな?」
大河はやっぱりリーダーだ。こういう場面で仕切っている。
「先生、戦い方おさらいしてください。」
「想像するんだよな?こうやって。」
先生の手のひらに、鎌が現れた。デザインも西洋風。
「その調子です。」
「そして、動きも想像通りってか?」
「はい、そうです。」

4枚の写真にもう一度目をやる。
航空写真のようなものと、学校祭の真っ最中というようなの。
授業中のと、防災訓練の写真。

この4つの写真から一つ選んで、戦わなければならない。

「じゃ、俺授業中のやつで・・・。」
苦しそうに弘樹が表明した。
「俺は、この航空写真。」
あえて、戦いがやりやすそうな、航空写真を選んだ。
「んと、俺はー、学校祭のやつで。」
大河は先生のことを考えて、一番大変そうなのを選んだ。
「私は残ったこの写真だな。」
残った防災訓練の写真を指さす。

「―またここで会おう。」
大河が妙に意気のこもった一言をみんなに向けて言った。

ヒュウウウウウ

空中のようだ、目線は生徒たちを見ている状態、。

ドガガガガガガン!!

航空写真を撮っているはずのヘリコプターがマシンガンのようなものをめちゃくちゃに撃ちまくってくる。

「想像の力を持つ俺にかなうとでも?」
左手を下に、ちょっとの空間を開けて、右手を上に。
想像上の青白いエネルギーが手の中に集まっていく。

さらに、ヘリコプターからの銃撃をまるで食らっていない。

「っはあ!!」

一瞬にして、ヘリコプターの機体がバラバラになった。
カメラだけはきれいに残っている。

パシィッ!

カメラを手に取り、航空写真を撮った。

「よし、ノルマ完了。」
想像の戦いはなれたものだった。
「もーどろっと。」

3階、生徒会室。

弘樹がそこでぐったりしていた。
「いてーよぉ・・・。」
「でも、ちゃんと勝ったんだから、よかった。」
「ま、ね。」
Pcの状態を確認する。
動画のようになって、先生が苦戦している場面が映し出される。
「先生苦戦してんだね。」
苦しそうに言う。本当に腹の状態が悪いらしい。
「俺、行くよ。」
「わかったぁ。俺、大河待つよ。」

学校グラウンド

防災訓練中の、講評の場面だ。
魔物は、巨大な砂の化身。
先生だけで手に負えないのも、うかがえる。

「緒方先生ぃ!!助けに来ました!!」
でも、こっちを向こうとしない。戦いに夢中のようだ。
砂の弱点は大方水だろう・・。

思いっきり地面を殴る。

水脈が壊れる想像をする。

グラウンドに、洪水並みの水が出てくる。

もちろん写真の内容が変わっては、砂の化身とやっていることが同じなので、防波堤を講評の場面に作り出す。

ザッバア!!

水が砂の化身を侵食する。

「竜郷じゃないか!!」
今頃気がついたのかよ。
「ええ。助けに来ました。」

水を操り、水龍のような水の塊で、砂の化身を食らいつくす。

「うおおおおおらあああ!!!」

砂の化身がよろめき始める。だんだん足も侵食されてきたからだろう。

しかし、防波堤の上限ぎりぎりだ。生徒まで浸食すると、ゲームに負けてしまう。
「先生、防波堤を強化してください。」
「ああ、分った。」
先生の想像により、防波堤が高くなってゆく。

砂の化身が防波堤を破壊しようとやってくる。

防波堤に大砲が設置され、青白い炎を打ち出し、砂の化身に応戦する。

さらに、巨大な槍で砂の化身の顔を切り裂く。

ズッバアンッ!!

「どうだ?」
音速を超えた反撃が返ってきた。
想像の盾でガードするも、はじき返される。

バシャッ・・・
冷たい水に飲み込まれる。意識が遠のいて・・・・
「竜郷?!」

・・・・・・?
真っ暗になったぞ・・・?

ああ、もうどうだっていいや。先生頑張ってください・・・。


「寝てるんじゃねぇよ、学級代表のくせに!!!!」
「あ、すみまs・・・え?!」
あれ・・・?おかしいな、いつもの学級?
今日の日付は・・・、6月8日?! しかも妙に平和だし・・・。

もしや・・、宿題の小説づくりを夢の中で再現したってこと??

・・・・、あれ、全部夢?!

「え?! じゃないだろ!さっさと、そこの文読め!」

1時間目・・・?国語・・・?

「あ、はい。すいませんでした!」

ああ。なんだ、あれ夢だったのね。さすがにゲームクリアまでは夢だからいけなかったか。

夢っていっつもいいところで終わるという・・・。

夢か・・・。

夢でよかったかも・・・。

でも、俺、あの力がこの世で使うことができたら、―どんなこと考えるんだろう。


弘樹も同じ夢を授業中で見て、どやされたという。
大河は夢から覚めた時にはこの東京都にはいなかった。
転校先が決まったそうだ。

夢の中で起きた不思議な出来事。
だれもしんじやしない、夢の空間。
1つの古ぼけたPcが生んだ想像の世界。

―あなたはそんな想像の世界に入ってしまったら何をしますか―?
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