人斬りと暗殺者 ◆eHLwmjPoFQ
――人を救うために人を捨てた。
――数多くの人を殺めてきた。
――気がついた時、自分は既に名前ではなく一つの言葉として覚えられた。
――人斬り。
どんなに大義名分を掲げようが自分がして来た事はただ単純にそれだけ。
だからこそ、来るべき新時代の時には『不殺』の誓いを立てた。
それが、ある一人の剣客の人生。
だが、これから起こる出来事の全ては彼の誓いを嘲笑うかのようだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
――拙者は確か薫殿に使いを頼まれて大根を買いに行ってた筈でござるが?
(おろ~…なんだか頭がぼやぼやするでござるな)
今朝の事を思い返してみるでみるでござる。
あれは門の上に上り、降りられなくなった剣路を弥彦に下ろしてもらうのと
ついでに世話も任せて晩に使う大根を買いに行っていたはずでござるが…
「おろろ?」
気がつけば拙者は、何故このような場所にいるのでござるか?
あたり一面はまるで雪景色のように真っ白でござるが、果てがまるで見えないでござる。
拙者と同じように辺りを見回している者やまだ倒れている者もいるようで…
「やあ、お目覚めかな」
…そのあとの光景はできれば思い出したくも無いでござる。
異人の少年(そういえば日本語でござったな)にぶいつぅと呼ばれていた子供。
あの子供が犯した行為。
あどけない少女の首が落ちていく光景。
それをただ見ているしかなかった拙者自身。
あの後、拙者は目も眩む閃光に包まれたと思うや、
いつのまにか先ほどの白い場所とは別な所に立っていた。
不思議な気持ちは確かにあるでござるが、それよりも
「拙者は許す事ができない」
自分でも感情が高ぶっている事を理解できる。
『不殺』の形でもある逆刃刀は弥彦に託し、既にこの手に無くとも。
最早、飛天御剣流をまともに使う事のできない拙者の身体でも。
――拙者はこの争いを止める。
殺し合いを肯定する事は拙者には如何あってもできない。
この場には拙者の他にも連れて来られた者は大勢いた様でござるが、
まずはその者達を探すのが得策でござるね。
それにしても…
「ここは阿蘭陀や亜米利加なのでござるか?」
辺り一面を派手な装飾が煌いていて、見た事もない機械がごろごろしているでござる。
確か、天井のあれはしゃんでりあとかいう西洋の灯りだったと思うでござるが、
先ほど試しに動かしてみた機械は中央の目印がぐるぐると動いて西洋の金貨らしきものを
いっぱい出したでござる、が用途がいまいち…
「おろ~、目が回りそうでござる」
拙者はあまり西洋の文化には詳しくはないでござるから、こういった場所は苦手でござる。
取りあえず外に出るでござるか。
…その前に、
「そこに隠れている者!出て来い!」
気配を絶っているようでござるが、拙者からみればまだ未熟。
先ほどからこちらの様子を伺っていたようでござるが。
「す…すいません、あの、あなたがこの殺し合いに乗ってる人なのか分からなかったから」
柱の影から出てきた少年は見たところ、弥彦と同い年かその下くらいでござるか?
西洋の服を着た異人の少年は気弱そうな態度をとっているでござるが、
「お主、素人にしては気配の絶ち方が出来過ぎているでござる。何者でござるか?」
この少年に隙を見せる事はできない。
この者からは
志々雄真実の所にいた宗次郎と似たような危うさを感じる。
無刀ではござるが、構えを取り、少年を睨む。
「…何者なのかは僕にも分かりません、僕には過去なんてありませんから。
今、僕がすることは兄さんを守る事だけです。」
気弱そうな態度を止めた少年がそう言いながら、一振りの刀を抜き放つ。
――妖刀でござるな。
少年の持つ刀、刀身は血に濡れたかのように紅く妖しいきらめきを放っている。
新井赤空殿が作ってきた物にも匹敵するような業物でござるが、何かが違うでござるな。
まるで、人の技によるものではないような。
少年がこちらに踏み出してくる。
「許してくださいとはいいません、僕の事は憎んでくれて構いません。
全ては兄さんの為ですから…」
――来る!
少年が構えは取らずに刀を片手にこちらに向かって駆けて来る。
袈裟懸け気味に放たれた一撃は身を捩り、目の前を通り過ぎていく。
間髪入れずに放たれた横薙ぎを後方に跳ぶ事で避ける。
後方に跳んだことで拙者がすぐに体勢を変える事ができないと踏んだ少年が、
距離を詰め、縦に真一文字に斬りつけようとしてくる、
「オォォォォッ!」
本来は拙者の技ではない、拙者は既に飛天御剣流を使えない。
だから、今から拙者が使うのは飛天御剣流ではない『活人剣』である、
神谷活心流の技でござる!
「奥義の防り・刃止め!!」
真一文字に放たれた一撃を両手の甲を使って受け止め、
そのまま刀身を滑る様に距離を詰め、少年の顔を殴りつける。
拙者に防がれるとは思いもよらなかったのであろう。
少年は碌に防ぐ事もできずに拙者の拳をもらい、刀を取り落として倒れた。
このまま少年にこれを持たしてはいけない。
すぐに刀を奪わなくては…
「…なっ!?」
確かに拙者の足元に落ちていたはずの刀が消えている。
それに先ほどまで倒れていたと思っていたはずの少年が立ち直り、離れた場所でこちらを見ている。
速さではない、何か別の力?
「油断しました。…でも、いくらあなたが強くても…」
少年の姿が消え…
「僕の敵ではありません」
背後から声が聞こえた。
――熱い。
拙者の身体には刀が突き立てられている。
斬られた事自体に全く気がつく事ができなかった。
ごぼり、と喉から血が漏れ出し始める。
少年が拙者の身体から刀を引き抜くのを感じる。
ある意味、刀によって支えられていた拙者の身体は力無く倒れていくしかない。
拙者が倒れるのと同時に少年が離れていく足音が聞こえる。
「…ま…つで…ござる」
少年の足音が止まった。
「お主は…兄の為に……と言っていた…」
「…えぇ。だから許してほしいとは言いません」
少年の声。
違うでござる。
「人が…誰かを……守る…為に…人を…殺めても…」
その先には、
「…ただ…血で…汚れた…自分が…いるだけで……ござるよ」
そう、その先には人斬りがいるだけ。
ただ、それだけでござる。
「………………」
少年が拙者の問いかけに答えずに離れていく。
血が流れすぎたでござるな。
薫殿、晩のお使いは買ってこれそうに……
――心臓が激しく高鳴っている。
「…ウッ!ゲボッ…グェェッ」
嗚咽が競り上がり思わず、その場に吐き出してしまった。
自分のギアス。
他者の体感時間を停めるギアスの副作用、それは使用中は自身の心臓を止めること。
だが、それでも2回使った程度でここまでの症状を引き起こす事は今まで無かった。
思えば、あの時、兄さんは確かにギアスを使って奴の周りの兵士に『死ね』と命じたはずだった。
なのに効果は無かった。
可能性としてはギアスキャンセラーもあるが、
今の自分の状態を考えるとそれだけとも考えられない。
「…早く、兄さんを見つけないと」
まだ、ふらつく身体を何とか保たせながらカジノの出口に向かう。
―…ただ…血で…汚れた…自分が…いるだけで……ござるよ
あの人が最後に言っていた言葉。
それでも、
「僕には兄さんしかいないから」
ギアス嚮団の暗殺者として育てられてきた僕に兄さんは思い出をくれた。
例え、それが僕を利用するためだったとしたって構わない。
でも、兄さんとの日々は…あれだけは嘘じゃない。
あの日々のおかげで僕は初めて人間になれた。
今の僕は誰の道具でもない、全て僕自身の意思だ。
返り血で汚れようと兄さんを生かすためなら僕はそれで構わない。
【緋村剣心@るろうに剣心 死亡】
【一日目深夜/H-2 カジノ】
【
ロロ・ランペルージ@コードギアス】
[装備]妖刀ニヒル@真女神転生if
[支給品]支給品一式、ランダム支給品(0~1)
[状態]激しい疲労
[思考・行動]
1:ルルーシュの生存
2:他の参加者の抹殺
19話ルルーシュ粛清前からの参戦です。
ロロの体感時間を止めるギアスは負担が増大しており、
数回の使用でも死に至る可能性があります。
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最終更新:2010年01月31日 12:26