ふたば系ゆっくりいじめ 674 かわいいゆっくりが欲しいなら

かわいいゆっくりが欲しいなら 23KB


虐待-普通 理不尽 赤子・子供 現代 虐殺 良い人間は出ません ジャンル的に曖昧




・いつも通り独自設定混ざってます。
 既存の設定と比べて「ん?」と思う部分があっても流していただければ幸いです。


 では、ゆっくりしていってよー!!





暗い部屋に軋んだ、ドアが開く音が響いた。
そこから一人の男が物音も立てずに静かに入って来る。
男はサッカーボールと同じくらいの大きさに膨れた麻袋を背負っていた。

男が壁に手を伸ばすと、カチッという乾いた音と共に部屋が少しだけ明るくなった。
それでもなお薄暗い部屋の中には、大きな透明の箱が一つだけ。
空っぽの大きな箱に、男は袋の中身をぶちまけた。
ピンポン玉のような物がボロボロと雪崩のように落ちてくる。
玉は跳ねずに、箱中に上手く散らばっていった。

「ぴゅ!!にゃ、にゃんにゃにょ!?」
「ゆべっ!きょきょどきょ?」
「ゆ~ん…おにゃきゃしゅいちゃよ……」
跳ねないピンポン玉のような物の正体は、赤ゆっくりだった。
ざっと見た感じでは百匹は居るだろうか。全てれいむ種とまりさ種だ。
普通取れそうなものだが、何故か飾りの類はきっちり着いたままになっている。

落ちた衝撃で、今迄眠っていた赤ゆたちが起きて一斉に雛鳥の様に騒ぎ出した。
もっとも雛鳥の可愛さとは到底かけ離れた、醜く耳障りな物ではあるが。

「ゆっ?にんげんがいりゅんだじぇ!!」
「ほんちょだ!おい、くしょにんげん!れーみゅたちはおにゃかがしゅいちゃよ!!!」
「しょーだよ!しゃっしゃちょれーみゅちゃちにあみゃあみゃよこしぇ!」
「あみゃあみゃがゆっくちできちゃら、おみゃえをどれいにちてやるんだじぇ!!」
「わしゃわしゃされちゃくなきゃったらゆっくちしゃしぇろ~!ぷきゅー!!」
「まっちゃくきがきかにゃいにんげんだにぇ!おお、おろきゃおろきゃ!!」
「うんうんちたいよ!!ちゅっきり~!」
「み、みんにゃ!しょんにゃこちょいっちゃらにんげんしゃんゆっくちできにゃいよ!?」
「ごめんにゃしゃい、にんげんしゃん!ゆるちてあげちぇ!!」

口汚く騒ぐゆっくり7:少し頭が××なゆっくり1:礼儀正しいゆっくり2。
おおよそ予想通りの割合だ。男は、むしろ礼儀正しい個体が多いとさえ思った。

「じじい、きいちぇるのかじぇ!ぴゅきゅーしゃれちゃいのきゃじぇぎぃ!!!」
「れーみゅは“こじ”にゃんだきゃらやしゃちくちなきゃだきゅ!!」

早速ギャーギャーと口汚く喚いているゆっくりが集まっている場所に、素早く何度か拳を振り下ろした。
プチプチという小気味の良い音と共に、十数匹の赤ゆが潰れる。
礼儀正しい善良な赤ゆも少し混じっていた様な気もするが気にしない。

「ばきゃにゃにょ?…じ…じ…ゆ?」
「まりちゃ……れーみゅ?どうち…た…」
騒いでいた赤ゆも、それを諌めていた赤ゆも、我関せずと排泄していた赤ゆも、
全てが、潰された赤ゆたちが居た場所を見て固まった。

「あ…あ…ゆ゛ああぁぁぁぁ゛ぁ゛!!!」
「いやぁぁぁぁ!!にゃんでみんにゃちんでりゅにょぉぉぉ!!?」
「あ・・・ああ・・・」チョロチョロ
「う…う……ゆげぇぇ!ゆげえぇぇぇ゛ぇ゛!!!」
「ゆんやぁぁぁ!!もうやじゃ!!おうちきゃえりゅぅぅぅ!!!」

吐きだすもの。泣き叫ぶもの。漏らすもの。
様々な反応が返ってきたが、男は微動だにしない。

「にゃんできょんなきょとしゅるにょ!?もうおうちぎゃえ゛っ゛!!」
「じじい!いきにゃりにゃにしゅるんだじぇ!?まりちゃをしゃっしゃちょぎゅん!!」

今度は目や耳についた限りの、しーしーやうんうんを漏らしたものや、
おうちに帰りたいと言ったもの。そして反抗的な態度をとったものを潰した。
また数匹潰されたのを見て、赤ゆたちは今度こそ黙りこむ。
これ以上騒げば自分達がどうなるのかを何となく察したからだろうか。

一部の赤ゆが啜り泣く声だけが残ったところで、男はやっと声を出した。
「いいか。お前たちに帰る家など無い。ずっとここで暮らす事になる。
 これからは『汚い言葉を使う者』『うるさく騒ぐ者』
 『家に帰りたいと言った者』『俺の言った事に答えない者』
 『反抗的な態度をとった者』『口ごたえをした者』『辛気臭い様子でいる者』
 そして『大人しくしていられない者』は例外なく殺す。
 死にたくなければ今言った事を死に物狂いで記憶して、
 どうすれば良いのか餡子脳絞ってよく考える事だ。以上」

一方的に告げられた条件。
その理不尽な内容に、わがままなゆっくり達が黙っていられるはずが無い。
「ふじゃけりゅんじゃにゃいじぇ!まりちゃちゃまがどうちぢぇあ゛!!」
「しょうだよ!!れーみゅちゃちに……まり…ちゃ…?」
早速反旗を翻そうとした赤まりさが、あっけなく潰された。
追従しようとしたれいむは何が起こったのか理解できずにボケッとしている。

「死ね」
「ゆっ!?れ、れーみゅはしゃいごまでいっちぇにゃいよ!
 わりゅいこちょいっちぇにゃいからたしゅけちぇにぇ!!」ピコピコ
「死ね」
「ゆっゆっゆっ・・・もっちょゆっきゅり゛ゅん!!!」
結局言い訳による懇願も無視されて、問答無用で一言放たれた後、潰された。
それを見て、赤まりさたちに続こうとした他の赤ゆも一斉に固まってしまう。

この人間の言った事は嘘ではない。やるといえば、必ずやる。
ようやくその事を肌で感じ取った赤ゆたちは今度こそ本当に黙り込んでしまった。


しかしそんな中、男の前に赤れいむが一匹出てきた。
「ど、どうちてきょんなことしゅるにょ…?れーみゅたちだっちぇいきちぇるんだよ……?」
「・・・・・・」
この状況においては勇敢とも言えるれいむの発言にも、男は答えない。何も言わない。

れいむは、ただ冷たい視線をよこす男に気圧されながらも懸命に訴える。
「にんげんしゃんのわりゅぐちいっちゃこちょはわるかっちゃけじょ、
 れーみゅたちはただゆっくちちたいだけにゃんだよ・・・りきゃいできりゅ?」
男が怖くて何も言えなかったが、他の赤ゆたちも“よくぞ言ってくれた!”とばかりに目で訴えかけてきた。

男は何も言わずに勇敢な赤れいむを優しく持ち上げて手のひらに乗せた。
その恭しい扱いに、少し不安そうな表情が薄れる赤れいむ。
そんなれいむに男は言い放った。

「だから?」 「ゆっ!!?」
男は一言告げて、優しく両手でれいむを挟み込む。
そして本当にゆっくりと、ゆっくりと、力を加えた。

「そんなことは理解している。お前に言われるまでもなくな」
「ゆっ…ぎぎぃぃ……」
「が、お前たちはそんなことを考える必要は無い。俺の言葉を聞く以外の事はするな」
「だ、だじゅげちぇ……ちゅぶれりゅぅぅぅ………!!」
「死ね」
「ゆっ…ぐ…ぢ……ぢぃ………」
やがて手が完全な合掌の形になった。
ピッチリと重なった手の隙間から餡子がはみ出ている。

「「「「「・・・・・・」」」」」
その様子を見てしーしを漏らしそうになりながらも、
堪えて何も言わず騒がない赤ゆたちに向かって男は言った。

「お前達は余計な事を考えるな。言った事を守って俺の言う事だけを聞け。
 それがここでのルールだ。ルールを守る限りは生かしておいてやる。
 誰かに襲われる事も無い。飯もくれてやる。いいか、もう一度だけ言うぞ。
 『どうすれば潰されずに済むか、それだけを考えて行動しろ。さもなくば死ね』…以上だ」

それだけを言い残して、男は饅頭の残骸をさっと片付けて薄暗い部屋から出て行った。
残された赤ゆたちはただ己の境遇を必死に理解しようとし、嘆くばかりだった。





――――――――――


こうして赤ゆたちの生活が。
読んで字のごとく、生を獲得する為の活動が始まる。

翌日の朝。
そばにあらかじめ置かれていた目覚まし時計のけたたましい音で飛び起きた赤ゆたちは、
まず現状の把握にかなりの時間を費やすことになった。

そんな赤ゆたちにはかまわずに、男が袋片手に部屋に入ってくる。
袋には『業務用ゆっくりフード』と書かれている。

袋を開けると明らかに人工的に付けられたと解る、強烈な甘い匂いが漂いはじめる。
その匂いを嗅いだ赤ゆは食欲を刺激され、緊張で忘れていた空腹を思い出した。

「おいじじい!まりちゃちゃまはおにゃかがしゅいちゃよ!
 しゃっしゃちょしょにょあみゃあみゃよこしぇ!!」
「しょちたらきゃわいいれーみゅにょどれいにちてあげりゅよ!
 こーえにおもっちぇいっちょーけんめーちゅかえりゅんだよ!!!」
「「「「「!!!」」」」」

昨日の事を忘れたかのように一部の馬鹿がまた喚き始めた。事実忘れているのだろう。
そんな赤ゆたちを、他のやつらは驚いた顔で一斉に見る。

「・・・・・・」
「はやくちろ、じじい!!れーみゅはおにゃかが……あ…あ…ぢゅ、ぶ、れ、りゅぅぅぅ!!」
「ゆぎゅっ、ぎゅぎゅぎゅ……やべでええぇぇぇ……!!」
男は何も言わずに、喚いている赤ゆを全て掌で押し潰した。
続いて騒ぎ出そうとしていた馬鹿の予備軍も、それを見てようやく昨日の惨劇を思い出して押し黙る。

その様子にやっと満足したのか、男は黙って大きな器に餌を入れた。あまり量は多くないが。

「・・・飯の時間だ。全員が足りる分はくれてやる」
その言葉に赤ゆたちは一斉に喜んだ。
一日ぶりのご飯だ。どれだけゆっくりできない環境にあっても、これだけは譲れない。

「ゆわーい!れーみゅにょしゅーぱーむ~ちゃむ~ちゃたいみゅ、はじまりゅ゛ん゛!!!」
「「「「「!!?」」」」」
早速飛びつこうとした赤れいむが潰された。他のやつらは混乱している。
男は何も言わず、表情も変えない。ただ汚れた手を拭いているだけだ。

次に赤まりさが一匹、恐る恐る近づいてきた。
「ご、ごはんしゃん?ゆっくちまりちゃにたべられちぇ!?…え゛…え゛…エ゛ン!!!」
控えめに食いつこうとした赤まりさは、食べようとした瞬間に男の指を頭に突っ込まれた。
そのまま小さな中枢餡ごと貫かれ、ピクピク痙攣するだけとなる。

そして誰も進んで食べようとする物が居なくなり、
男が餌をさげようとした所で、ようやく一匹の赤れいむがおずおずと出てきた。
そして餌の前でおっかなびっくりといった様子で、小さな声で静かに呟く。

「い…いただきましゅ……」
そして、あくまでも静かに餌に口をつける。男は今度は何もしない。
それを見て他のゆっくりたちの目が輝いた。そう言えばよかったのだと分かったからだ。
一斉に頂きますを唱えながら餌に群がる馬鹿予備軍たち。それ以外のものたちはまだ様子を見ている。

「いただきまーっしゅ!!きょれでたべれるにぇ!・・・?
 え、え・・・?にゃんでぇ!?にゃんでぶぎぃっ!!」

真っ先に飛びつこうとしたれいむが掴まれて握り潰された。
それを見て固まる馬鹿予備軍たち。
それを確認した後に、固まるものを尻目にそれ以外のものが餌場に寄っていた。

「「「「「いただきましゅ」」」」」
一斉にそう言って静かに食べ始める。
その様子を見た馬鹿たちは、ようやく『大人しくしていろ』と言われていた事を思い出した。
馬鹿以外のもの達は、もしもの事を思って念のために近寄らなかったのだ。

「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」
一足先に餌を貪る、馬鹿以外の赤ゆたち。
口から餌がこぼれるのも構わずに、思わずしあわせ宣言をするものも居た。

思ったよりも甘くはないが、それでも久しぶりの食事だ。なんだって美味しく感じる。
今までの状況に比べればしあわせーな気分になるのも当然の事だ。
が、しかし―――

「ゆ、ゆ、ゆ!?にゃにしゅるにょ?おしょらをとんでるみた―――むぐ!!?
 ゆげぇぇ!かりゃいぃぃ!!どおぢで!?やべぢぇ!!ちんぢゃう!
 ゆひいいぃぃ!!あ゛っ、ゆげっ!ゆげぇぇぇ!!ゅえ…えぇ……」
思わずしあわせー、と言ってしまった赤まりさが、
持ち上げられた後に練りからしを無理矢理口に突っ込まれた。
当然空腹で弱った赤ゆが耐えられるわけもなく、からしと餡子の混合物を吐き出して息絶える。

幸せと言うことすら、許されないのか。
おうち帰る、と言いたい衝動を抑えながら、それでも理解の早いごく一部の赤れいむたちは黙って餌を食べる。
そして馬鹿も含めた他の赤ゆもそれに習った。死と引き換えとなれば仕方がないことだ。

結局その後「むーちゃむーちゃ、ふちあわちぇー…」と言ったもの達も殺された。
一度の食事で十匹以上が死んだことになる。

その後も

「ゆうぅぅ…しゃびちいよ、ゆっくちできにゃいよ…おうちかえりちゃい…
 ゆっ!?ちぎゃうよ!にゃにもいっちぇにゃいよ!…や…やべでぇぇぇ!! あ゛ん゛!!!」
自分の境遇を嘆いて、隅っこでずっと泣き続けていたものが叩き殺された。

「こんにゃしぇいかちゅおもちろくにゃいじぇ…あにょじじい、おぼえちぇりゅんだじぇ…!
 に、にんげんしゃん!?うしょだよ!まりちゃまいにちたのちいよ!
 やぢゃ、やめちぇ!どうちておしょらを…いやぁぁぁ!ぢんじゃうぅぅ……べっ!!!」
つまらなさそうに、ムスッとしていたものが壁に叩きつけられて餡子の花を咲かせた。

「ゆっくちうんどーしゅるよ!ぴょんぴょんちにゃいとゆっくちできにゃいもんにぇ!!
 しぇまいけどがまんしゅりゅ…に、にんげんしゃん……!!
 ま、まりしゃおとなちくちてたよ!?や、やめちぇにぇ!?どこいきゅにょ!!?
 にゃんにゃにょ!?とじきょめにゃいで!どうしゅるにょ!?だちて!だちて!ちにちゃくにゃぴっ!!」
運動と言って狭いケージの中を跳ねていたものは、フードプロセッサーにかけられて一瞬でミンチになって死んだ。

「ゆぅ…おうちゃうちゃいちゃいよ……ちょっとだけにゃらだいじょーぶだよにぇ…?
 ゆーゆー、ゆゆゆにょゆ~♪……!!!あ…あ…にんげんしゃんどうちできょきょにぃ…
 ち、ちがうよ。れーみゅおうたにゃんかうたってにゃひ!!?
 いが゛ああぁぁ゛ぁ゛!!へーみゅのひははん!!! う!うごぇぇ!!ひゃべぢぇっ!げあぁぁ!!
 ……げっ。げげっ。ゆげげっ!ひゅ~ひゅ~♪ひゅひゅ…ひゅ……ひゅ~……」
隠れて小さな声でおうたを歌っていたものは舌を切られて、
指を口から突っ込まれた上で体内を掻き回されて、狂って死んだ。

赤ゆっくりは、男が気に入らない行動をするたびに躊躇も容赦もなく徹底的に、且つ惨たらしく潰された。
そして自分以外の誰かが殺されるたびに赤ゆたちは震え、怯え、死に物狂いで学習していった。


その結果
決して騒がず、余計な事を話さず、無闇に動かず、物を散らかす事も無く常に男の顔色を窺い、
それでいて元気で、常に笑顔で愛想良く、男と話す時にも肯定的な返事しかしない。
そんなゆっくりになれば殺されないのだという結論に至り、そうなろうと躍起になった。
しかしどれだけ気をつけようとついうっかり、で潰されてゆっくりの数は着実に減っていく。

だが、それでも赤ゆたちは誰かの死から学ぼうとした。
生きるためだけにゆっくりをかなぐり捨てて、必死に目の前の不確かな生に噛り付いた。





――――――――――


そして九日が経った。
いつもの時間に、いつも通りの餌を持って男が部屋に入ってくる。

「「「おはようごじゃいましゅ、おにいしゃん!ゆっくちちていっちぇくだしゃい!」」」
「飯の時間だ」
「「「いちゅもありがとうごじゃいましゅ!」」」
「食え」
「「「いただきましゅ!とっちぇもおいちいでしゅ!ちあわちぇでしゅ!」」」
「・・・食い終わったか」
「「「ごちしょーしゃまでちた。とっちぇもゆっくちできまちた!」」」

最初にあれほどいた赤ゆっくりは、今やたった三匹になっていた。
が、ここまで残ったという事は男の厳しい監視の目に耐え切ったという事である。

もはやここまでくれば最初の馬鹿、賢いの区分けは意味を成さない。
この赤ゆたちは見事やり遂げたのだ。
そんな赤ゆ達へ、いつもの調子で男は告げた。

「お前達は、この家から出て行ってもらう」
「ど、どういうことでしゅか?」
「お前達はこれから別々に、他の人間のところで暮らしてもらう。
 飼いゆっくりになれるという事だ」
「「「ほ・・・ほんとでしゅか!?」」」

生まれてこの方まともに知識を得る機会がなかった赤ゆたちには、
飼いゆっくりがいい物なのかはあまり解らなかった。
生まれたときに持っていた知識として、ほんの少し基本的なことがあるくらいである。

が、他の人間のところで暮らせるという事はこの人間の束縛から逃げられるという事。それだけは解った。

そしてそれだけで全員が喜びまわりたい気分になった。勿論実際にはやらないが。
そんな赤ゆたちにも全く反応せずに、男は淡々と続ける。

「お前達はそこで“俺にそうしていたように”飼い主に接しなければならない。
 もししなければ、その飼い主が気に入らなければ、お前達はここへ逆戻りだ」
「「「ゆ゛っ!!?」」」
「そしてもう一度、などというものは無い。そのまま今迄死んでいった誰よりも惨く、殺す」
「「「あ゛…あぁ゛……」」」

赤ゆたちの顔にはついさっきまでとは正反対の、恐怖の表情が張り付いている。

やっと開放されると思ったのに。やっとゆっくりした生活が送れると思ったのに。
これではそんなことは望めるわけがない。
この人間にしていたようにという事は、ゆっくりするな、という事と同じである。
しかももし戻ってきたならば、今まで見たあの惨い死に様よりもひどい目に遭って殺されるなんて…
考えるだけで身の毛がよだつ。

そして何よりも恐ろしいのは、飼い主の人間が気に入らなければ、という点である。
今まで一緒にいたゆっくりたちも、普段なら見過ごされる様なほんの少しのミスで殺された事がいくつもあった。
その内に何故こんな事をしたのか?と聞くゆっくりが現れたが、それに対する男の答えはこうである。

「別に。今は見過ごせない気分だっただけだ」
「え…?ゆ゛っ、あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛!!!あ゛ぢゅい!あ゛ぢゅい゛!!だぢゅがあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
無論この後、質問したゆっくりはバーナーで焼かれて、絶叫と共に黒焦げになって死んだ。

これを聞いて赤ゆたちは更に必死になった。
どれだけ頑張っても気分しだいで殺される。ならば塵のようなミスも許されない。
そして男が言ってる事を信じるなら、それはこれからも続くということだ。


できるならばここから逃げ出してしまいたい。
それができなくても、せめてしーしーを漏らして、泣き叫んで、感情に任せてそこら中を転がりたい。

が、それすらもできない。すれば殺される事が分かっているから。
今更これまでの悲惨な光景を見て、それでも良いから―――などとは決して思えやしない。

ならば自分達がすべき事は、
「「「ゆっくち…りきゃいちまちた……」」」
必死に涙を堪え、笑い、いつも明るく品行方正。そして従順でいるだけ。
それだけで生きる事ができるのだ。たとえゆっくりできなくとも・・・

そしてゆっくりたちの態度に満足した男は、黙って部屋から出て行った。

「ゆ…ゆ……ゆっくち……ゆっぐぢぃ………!」
部屋に残されたのは、笑顔を貼り付けたままぼろぼろと涙を流す赤ゆっくりたち。
これから自分達がどうなるのか、ゆっくりたちにわかる訳がない。
が、生と引き換えに二度とゆっくりすることはできない。それだけは理解できた。


それだけしかわからないからこそ、どうしようもなく自分達が惨めに思えてしかたがなかった。




――――――――――


応接間にて。あの男が、見知らぬ身なりの良い男と向かい合って座っている。
間に置かれているのは、あの赤ゆっくり達の内の一匹が入ったケージだ。
あの男は愛想良く微笑んでいる。今まで赤ゆたちが見た事がない表情だった。

「これがご注文の品です」
「あたらちいかいぬししゃん、ゆっくちちていっちぇくだしゃい!」
赤れいむの挨拶に、身なりが良い男は「ほぅ…」と目を見開いた。

「随分と礼儀正しいものだ。本当にこんなゆっくりがいるとはな。
 いや、やっぱりあんたに頼んでよかったよ。これが料金だ」
「ありがとうございます。
 ただ・・・万が一不満な点がございましたら“必ず”ご連絡ください。
 料金はお返しした上で、ゆっくりも今後の参考にしたいのでこちらで引き取ります」
「ハハハ、そうは言ってもこれまでの仕事は完璧なんだろう?熱心なものだ。
 まあ心配になるのは当然か。ゆっくりってやつはどれだけ躾けたやつでも、
 大体買った後に何らかの問題が出るものらしいからな」

身なりが良い男は、軽く笑いながらケージを引き取る。
「これきゃらよろちくおねがいしましゅ!!
 かいぬししゃんがゆっくちできりゅようにがんばりましゅ!!」
「ここまで完璧なゆっくりに不満などある筈がないよ。
 まあ、それも含めて万が一ともいうしな。覚えておこう」
「どうも。・・・じゃあれいむ。“元気でな”」
「お・・・おしぇわになりまちた!」
「おぉ、そんなことまで言えるのか。
 かわいいもんじゃないか。気に入ったぞ!」

終始ニコニコ顔で、身なりの良い男はケージを車に積んで去っていった。



「―――フン。かわいい、ね……」
客を見送り、車が見えなくなったところで、私は一瞬で無表情に戻って呟いた。

見ての通り、私の職業はゆっくりブリーダーだ。
それも店に卸すのではなく直接個人に販売する形の。

私の育てるゆっくりは『従順で行儀が良く、敬語が使えるウザくないゆっくり』として、それなりに名が売れている。
おかげで予約が殺到。今はもうそれすら断らなければならないほどになっていた。
種類の指定は難しく、育成期間や個数が不安定なのでいつ渡せるか分からないと説明しているにも関わらずだ。

客層はそこそこ裕福な一人暮らしの人間が多い。
ウチを選んだ理由のアンケートをとってみると、殆どが
『飼うのに楽なペットが欲しい。ふてぶてしくないゆっくりが欲しい』という事だ。


―――笑わせる。
ゆっくりは人の言うことを聞かないもの。
ゆっくりはふてぶてしく感じるもの。
個体差はあれど、元々そういうものなのだというのに。

飼うのに全く手間が掛からない楽なペットなど、どこを探したっているものか。
ふてぶてしくないゆっくりなどという物はもはやゆっくりではないと言っていい。
どうしても欲しいというのであれば、ゆっくり以外の可愛い動物を飼えばいいだろうに。

それでも普通とは違う物を得たいと言うのだから、客からはそれなりの額を頂いている。
当然だろう。物事の分からないバ金持ちにはそれくらいしても罰は当たらない。


顔見知りのブリーダーは、こぞって育成のコツや秘訣を聞いてくる。
それに対して返す言葉はいつも同じ。『別に特別な事はしていない』だ。

それを聞けば、次々と『嘘だろ?』や『秘密かよ』という言葉が相手から返ってくる。
が、別に嘘をついているわけではない。
普通に、ゆっくりにあった(と自分では思っている)育成をしているだけだ。

躾として悪い事は悪いとしらせ、理解できるようにしてやる。誰でもやる事だろう。
違うといえば、ゆっくりに対して徹底的に厳しく当たるということぐらいだ。
それこそ虐待、虐殺とでも思えるくらいに。

躾の基本は飴と鞭だとよく言うが、ゆっくりに関しては鞭のみで接するべきである。
何故ならあいつらは飴を与えるとそればかりを覚えて、肝心な部分を忘れてしまうから。
故に徹底的に、且つ過激で凄惨な鞭だけをくれてやらなければ決して覚えようとしないのだ。
その上完全に言う事をきかせたいのならば、あいつらがそう考え、そうせざるをえない状況を作るしかない。

常に自分本位で人の話をまともに聞かない。反省もしない。
まともな環境では学習など望むべくもない。
自分に都合の良いことだけを覚え、考えてそれ以外をすぐに忘れる。
ゆっくりとはそういうものなのだ。
子供に対するようなやり方で上手くいくはずがないだろう。


彼らは少々ゆっくりというものを都合良く捉えすぎているのではないか、と私は思う。

ゆっくりは人の言葉を理解し、話す。習性や見た目に人間と共通する部分が多い。
しかし、だからどうだというのか?それは、ゆっくりがそういう生態であるというだけの話だ。
ただそれだけでしかないというのに、何故それ以上のものを期待するのか。

言葉が判るからといって、その内容まで理解しているわけではない。
話せるからといって、望む事だけを喋ってくれるわけじゃない。
習性が似ているからといって、道徳や常識までが同じとは限らない。
見た目が似ているからといって、思考まで同じなどという事はありえない。
所詮は喋る饅頭だ。肉、骨、神経や内臓が有るまともな生き物ですらないと言うのに。
むしろUMAや妖怪の部類に入るだろう。

犬は犬。猫は猫。人間は人間で、ゆっくりはゆっくり。当たり前のことだ。

なのに人々は悪い部分を取り上げてはゆっくりなどゴミだ、害獣だ、まともに相手にするだけ無駄だと言いながら、
もう一方では自分達にとって都合の良い部分だけを見て、人間の常識を押し付けて、それが通じないと言って憤る。

なんとも勝手な話ではないか。
それを認めようともせずに、わからないと言う彼らの方が私にはよっぽど不可解だ。


私のやり方は、
沢山のゆっくりフード加工用の原料となる予定の赤ゆを、捨て値で加工所から引き取り、
出来の悪いものを見せしめとして殺して恐怖による自主的な学習を促し、残った優秀なゆっくりを売るというものだ。

今回は運が良かった。なにせ三匹もの成功体が出るのは久しぶりである。
ゆっくりも死に物狂いになれば火事場のクソ力を発揮するものが出てくるとは言っても、
元々は出来損ないの烙印を押された加工餌用である。開始後三日以内に全滅というのもザラにあった。
いくら補正があっても成功率などたかが知れているし、事実一度に一匹成功すればいい方なのだ。

これはクリスマスも寂しく一人で過ごした私への、サンタからのプレゼントだろうか。
いや、それはないか。こんな非道な事をする者の下へ、サンタが来るわけがない。そもそも子供でもないし。


種類にばらつきがあり、育成期間は不定期で、成功するかどうかもほぼ運任せ。
おまけにやり口はこれといった捻りもなく、非人道的という問題だらけの育成法である。
いくら世間でゆっくりが真っ当な生物として認められていないといっても、
私のやり方が、あの少し××なゆっくり保護団体あたりに知られれば、糾弾は免れないだろうと思う。

が、しかしそれでも私が考え付いた、私にしかできないやり方なのだ。
そうであるうちは続けるつもりでいる。


必要なのは見方を変えることと、割り切る事。
ゆっくりはこういうものなのだと、そう割り切ってしまうこと。
それができない者には、到底あの断末魔を聞き続けることはできないだろう。
それを考慮するならば、案外虐待志向がある者の方がブリーダーには向いているのかもしれない。

とは言っても、私はゆっくりが憎いわけではない。
ただ、私の仕事がそうだから。私がそういうやりかたしか思いつかないから、そうするだけ。
勿論私が他の動物のブリーダーであったならば、このような事は考えつきもしないだろう。
だがゆっくりは違う。自分が心無い者だと自覚はすれども、私の心は少しも痛みはしないし揺るがない。

そして食料に、愛玩動物に、ストレス発散をはじめとした様々な道具に。
人間によって良いように使われているあいつらを哀れとは思えども、
だからといってあいつらに優しく接してやろうとは微塵も思わない。

何故ならゆっくりとはそういう扱いの饅頭(ナマモノ)なのだから。


とりあえず残りの、調教済みのゆっくりを客に引き渡して、今年は仕事納めだ。
今年も随分と稼がせてもらった。おかげで悠々自適と年を越せる。

ひとまず家に入って、潰した赤ゆをまとめて冷凍しておいたやつでお汁粉でも作ろうか。
そんなことを考えつつ、私は寒さに身を震わせて家に戻った。

ドアを閉める前に空を見上げると、雪が降り始めていた。
誰にとっても苦しく厳しい、冬はこれからだ―――









・あとがき

 れいむ、まりさ種赤ゆの何もかもが許せない季節がやってきました。
 多分、色んな方の未熟児漫画とか読みすぎたせいでしょうが。

 と、言うわけで淡々と殺し続けるのが書きたくてやっちゃいました。
 毎回いらない設定入れるから話がチグハグになる、とかは言わないお約束ということで。
 バッジ?何それ、美味しいの?


 よし、これから未熟児ヒャッハータイムだ!!

 では、またヒャッハー!!

                                               小五ロリあき


・過去作品
ふたば系ゆっくりいじめ 412 僕と『あの子』とゴミ饅頭と
ふたば系ゆっくりいじめ 446 俺とゲスと自業自得な餡子脳
ふたば系ゆっくりいじめ 460 弱虫まりさとほんとの勇気
ふたば系ゆっくりいじめ 484 ドスと理想と長の資格 前
ふたば系ゆっくりいじめ 494 ドスと理想と長の資格 後
ふたば系ゆっくりいじめ 514 僕とさくやとおぜうさま
ふたば系ゆっくりいじめ 548 てんことれいむとフィーバーナイト 前編
ふたば系ゆっくりいじめ 559 てんことれいむとフィーバーナイト 後編
ふたば系ゆっくりいじめ 583 ゆっくりしたけりゃ余所へ行け
ふたば系ゆっくりいじめ 599 はじめてのくじょ~少女奮闘中~
ふたば系ゆっくりいじめ 615 お兄さんは静かに暮らしたい
ふたば系ゆっくりいじめ 659 よくあるお話



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  • 真田十勇士イイイ! -- 2016-09-20 18:50:47
  • ↓共感 -- 2016-08-28 22:40:43
  • このブリーダー効率が悪すぎだろ -- 2014-01-04 14:27:05
  • しっくりきた -- 2013-06-10 13:17:14
  • あばばばばばばばば -- 2012-09-27 19:05:28
  • 結局、人間もゆっくりとさして変わらないということだな -- 2011-08-17 03:34:06
  • めっちゃおもしれえww
    人間に都合良く躾られたゆっくりは最早ゆっくりではないって事かw
    ただいくら躾られていようともれいむ・まりさは潰すに限るぜ! -- 2011-06-12 22:13:08
  • >彼らは少々
    からの部分にとても共感しました。
    前半部分が少し嫌だったけどこういう考え方を持っているなら納得です。
    ゆっくりできたよ! -- 2011-04-28 00:21:28
  • “こじ”だからやさしくしないといけないんだよ!っていうのが新しいと思った -- 2011-01-07 18:38:15
  • >れーみゅたちだっちぇいきちぇるんだよ
    >そんなことは理解している。お前に言われるまでもなくな
    の流れが上手いと思いました。そりゃそうだなw

    冷徹な価値観のお兄さんにすっきりー!面白かったです -- 2010-10-24 21:39:07
  • このブリーダー・・・・出来る!
    凄く面白かった、最後のブリーダーの考え方がゆっくりを熟知していると言わざるを得ない
    確かに他のSSでもあるが、周りから虐げられて全くゆっくり出来なかったゆっくり程優良(人間にとって)なものが多い
    逆に甘やかされてゆっくりし続けたゆっくり程どうしようもないゲスは居ない
    それにしても赤ゆがぶっ潰されるお話はすっきりするね -- 2010-08-17 01:18:40
  • 面白い! -- 2010-08-16 20:58:08
  • >躾の基本は飴と鞭だとよく言うが、ゆっくりに関しては鞭のみで接するべきである
    名言だこれ。共感できる。 -- 2010-06-27 22:51:47
  • 面白かった -- 2010-06-11 22:10:20
  • すっきりー♪ -- 2010-04-15 18:51:36
  • 確かになぁ、と思った -- 2010-03-24 15:50:42
最終更新:2010年01月08日 18:37
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