あるドスまりさの一生 とてもゆっくりした群れ 35KB
※本作は以前挙げていたあるドスまりさの一生 とてもゆっくりした群れ(前編)に加筆修正し、後半をつけたものです。
大筋の話には関係ないので後半から読んでも大丈夫です。
※駄文、稚拙な表現注意。
※俺設定注意
※賢いゆっくりは漢字も喋ります。※駄文、稚拙な表現注意。
その群れはとてもゆっくりしていた。
好きなだけむーしゃむーしゃしていいし、すっきりーも好きなだけしていい。
このあたりは餌場が豊富なのだ。食べても食べても食べきれないほど多い上、味もその辺の虫や花より格段にうまい。
その上れみりゃやふらんなどの捕食種、野犬などの野生動物も少なく、それらに襲われることもない。
この群れはドスまりさが治めているが、他の群れと違い厳しい掟もなくドスも厳しくなかった。
こんな素晴らしいゆっくりプレイスにいる自分達は特別な存在に違いない。群れのゆっくりは皆そう思っていた。
あるドスまりさの一生 とてもゆっくりした群れ
作、長月
まりさはごきげんだった。
いっぱいのごはん。たくさんのおちびちゃん達。小うるさいことを言わない優しいドスまりさ。
ここは最高のゆっくりプレイス。こんな場所に住める自分はなんてしあわせなんだ。
そう思いながら自分の巣へ跳ねていく。帽子の中は今日も大漁だ。おうちに居る自分のつがいのれいむとたくさんのおちびちゃんとむーしゃむーしゃしてしあわせーしよう。
「ゆゆっ!?」
まりさは立ち止まった。見慣れないゆっくりを見つけたからだ。
新しく群れに入りたいというゆっくりだろうか?これほどのゆっくりプレイスなら不思議ではない。
声をかけようかと思ったまりさだが、やはりやめておいた。それより早くおうちに帰って家族でしあわせーしたかったからである。
「ゆう。今日もみんなゆっくりしてるね。」
狩りから帰ってきた群れのゆっくりをにこやかに見守るドスまりさ。実際群れのゆっくりの顔は皆笑顔だ。
ドスまりさはれみりゃやふらんなどの捕食種はもちろん、以前ゆっくりできないことをわめく人間が来たときも見事に追い払ってくれたので群れのみんなは絶大な信頼を寄せていた。
ドスまりさには信念があった。それは「群れのみんなをゆっくりさせる」というものだ。
なぜこのような信念を信念をドスまりさが持ったかというとそれはドスまりさの生い立ちに関係する。
ドスまりさは親のその親、そのまた親もドスまりさという純餡統種のドスまりさだった。ドスは突然変異で急に大きくなる者も居るがこのまりさは違う。
だからドスまりさは父ドスまりさから子ゆっくりのころからドスになる為の英才教育を受けていた。先祖代々この群れをおさめるドス一族はそうしてきたのだ。
ドスまりさは父ドスまりさからたくさんのことを教わった。
餌場の探し方、食べられる草や虫、きのこの見分け方。
れみりゃ、ふらんなど捕食種を撃退する方法。
ふゆごもりにおける食料の貯蔵法。
長としての他の群れとの付き合い方。
ドススパークの撃ち方にそれに必用な魔法キノコの探し方。などなど。
そのなかでも父ドスまりさが一番熱心に教えていたことしていたのは「群れの掟の遵守」についてだった。
ゆっくりは弱い。その上愚かだ。だから掟が必用だ。これがないとすっきりーし過ぎで群れのゆっくり達が増えすぎて食糧難になったり、ゲスが調子にのってやりたい放題やるようになるからだ。事実父ドスまりさは掟をやぶったゆっくりは容赦なく厳罰をもって処分しておりそんな父をドスまりさは深く尊敬していた。
だからそれが仇になろうとは父ドスまりさもドスまりさも思いもしなかった。
ある日群れのゆっくりによる反乱が起きた。
要求は群れの掟の変更とドスの退陣だ。冬ごもりの為の備蓄のノルマやすっきりーの制限がこの群れは他の群れより厳しかったのだ。しかも1回でも破ると問答無用で追放を含む処分をされるという徹底振り。
おかげで群れはギスギスした雰囲気が漂っておりそれが反乱の原因となったのだ。
逆を言えばこれほど掟の遵守を徹底させたからこそ長年この群れは存続できたのだがそんなドスの考えなど群れのゆっくりたちは知りもしない。そして父ドスまりさは口下手で誤解されやすいゆっくりだった。
結局ドススパークと巨体を持つ父ドスはなんとか反乱を鎮めたが、多数の死傷ゆっくりが出てしまい群れのゆっくりの数は半減。
父ドスのつがいのれいむとドスまりさ以外の姉妹たちも反乱のさなか死んでしまった。
さらに残ったゆっくりも「ゆっくりごろしのドスはしね!!」などと罵りながら他の群れへ移っていき、数世代続いていたドスまりさの群れの歴史はここに幕を閉じた。
だからドスまりさは誓った。自分は絶対群れのみんなをゆっくりさせよう。そんなドスになるのだ、と。
新たなゆっくりプレイスを目指し旅たつドスまりさ。この群れが滅びた要因のひとつに長年ゆっくりが草や虫を採っていたので土地がやせてしまい食料が少なくなっていたからというのがあるからだ。
まだ子ゆっくりだったドスまりさだが、既に体は成体より少し大きった。また父ドスの教えに山の移動の仕方もあった為、十分ゆっくりプレイス探しの旅をすることができた。
しかしゆっくりプレイス探しはそう簡単ではなかった。すでにドスや長がいる群れのほうが多く、まだ子ゆっくりのドスは相手にされなかったのだ。
新たな群れを作ろうにもいい餌場は既に他の群れに取られている。ゆっくりプレイス探しは難航した。
しかし奇跡が起こる。理想のゆっくりプレイスを発見したのだ。
その場所は食べても食べても食べきれないほどご飯があり、捕食種、野生動物もいない。
その場所こそ現在まりさの住んでいるゆっくりプレイスなのだ。
そして現在に至る。
今夜はドスの呼びかけにより宴会だ。食糧事情が良いとこのようなことまで可能になる。持ち寄った食料で食えや歌えの大宴会だ。
「ゆーゆー、ゆっゆっゆっゆーきゅりしていっちぇねー。」
「ゆーん。おちびちゃんたち、おうたがじょうずだよ。」
「おちびちゃんたちはうたのてんさいなんだねー。わかるよー。」
「さいこうにとかいはおちびちゃんたちねー。」
れいむ種の子供達による合唱を絶賛する大人ゆっくりたち。次は子まりさたちによるラインダンスだ。そして子ありすによるとかいはミュージカルが予定されている。
この群れでは狩りの仕方などより優先して、歌や踊りなどの娯楽が子供達に教えられる。餌場にいけば食料が豊富である為、バカでも餌をとって来れるからだ。
そして特筆すべきは子供達の数だ。普通はひとつのつがいに5匹の子供たちまでがなんとか育てられる限界だが、ここの群れは10匹を超えている家族が当たり前のようにいる。
子供は多ければ多いほどゆっくりできると信じているゆっくりたちにはうれしいかぎりだ。
それもこれもこのゆっくりプレイスのおかげだ。こんな素晴らしいゆっくりプレイスに住める自分はきっと特別な存在に違いない。
そうまりさは自惚れていた。
「ゆーん。みんなちよっとこっちに注目してね!!」
急にドスが大声をあげた。なんだなんだとドスのほうを見る群れのゆっくりたち。
「これから新しい仲間を紹介するよ。みんなこっちを見てね。」
そう言いながら新入りに出てくるよう促すドス。
ピンとたったうさ耳。燃えるように赤い目。
出てきたのはゆっくりうどんげだった。まりさが昼間に見たゆっくりだ。
そういえば今回の宴会は急に決まった上、子供達も含めた全員参加が義務付けらていたので不思議に思っていたが、新しい仲間を紹介する為だったのか。
そう言えば前にゆっくりできないぱちゅりー達が群れから出て行ってからおうちが余っていたっけ。
そう納得するまりさ。
「そ・それではうどんげに挨拶をしてもらうよ・・」
なぜか声が震えるドス。しかし群れのゆっくりたちは気づかない。
「さっきドスが紹介してくれたうどんげだよ。」
そう言い全員が自分を見ているのを確認すると
「・・みんなゆっくりしてってね。」
と言った。
不思議なことにゆっくりしてってねと言われたのに皆ゆっくりしてってねと返そうとしない。
ただポカンとしたように口を開けたままうどんげを見ている。
れいむもありすもちぇんもみょんも。赤ゆっくり、子ゆっくりも、成体ゆっくりも。
皆うどんげから目をそらせない。
その映えるように輝く赤い瞳を食い入るように見つめる。
当然まりさもである。なんだかあの瞳を見ていると、とてもゆっくりできるような気がするのだ。
「みんな・・・ゆっくりさせてあげられなくて・・・ごべんねぇ・・・」
なぜかドスは泣いていた。
ドスなぜ泣いてるの?まりさはこんなにゆっくりしているのに。そう言おうとするまりさだがなぜか口が動かない。
そのまままりさの意識は闇へと落ちていった。
「ふう。さすがに疲れたわね。」
そうドスへつぶやくうどんげ。ドスはまだ泣いていた。
「あなたが決めたことでしょう。メソメソしないでね。」
そっけなくドスへ言い放つうどんげ。その言葉には一切遠慮がない。
「それにしてもすごい眺めね。」
広場いっぱいのゆっくりたち。全員催眠術でもかかったように半目でとろんとした顔をしている。
うどんげの特殊能力「狂気の瞳」の効果だ。
それにしても群れのほとんどが戦力にならない赤、子ゆっくりとは。
全く自制せずすっきりーしている証拠だ。しかも子供には狩りの仕方なども教えず、教えているのは生きる為に必要ない歌や踊りなどらしい。
うどんげは呆れた。
なぜこんな事になったのか。話はドスがゆっくりプレイスを探していた頃まで遡る。
数年前ドスはゆっくりプレイスを探していた。
ドスは思った。新しいゆっくりプレイスは食料がたくさんある場所がいいと。
食料がたくさんあれば、すっきりーをたくさんしておちびちゃんがたくさんできても、食糧不足にならないし、群れのみんなも食べ物のことでギスギスしないですむ。
しかし当然そんな場所はそう簡単に見つかりはしない。あったとしてもほかのゆっくりがその場所に群れを作っている。
途方にくれていたドスだが、ある日信じられないものを目の当たりにする。
なんと野菜が大量に捨てられてたのだ。しかもまだ食べられる新鮮なものが。
人間で言えば道に札束がいくつも落ちているような信じられない光景。ドスは興奮した。
しかし同時にこれは人間さんのものでは?とも思った。
人間さんのものに手を出したゆっくりはゆっくりできなくされる。父ドスにも教えられたこのあたりのゆっくりの常識だ。
そう悩んでいたら人間がやってきた。ドスまりさは思い切ってその人間に聞くことにした。
「ゆう。ゆっくりまってね。人間さん。」
「わっ。なんだ。ゆっくりか。なにか用かね?」
「人間さん。ゆっくり聞きたいことがあるんだけど・・・あそこにあるおやさいさんはたべてもいいの?」
おずおずと聞くドスまりさ。
「ああ、あれか。あれは売り物にならない野菜なんだ。別にかまわないが。」
「ゆゆっ。ありがとう。」
「あんなもので良ければ毎日のようにでるよ。あそこは村の生ゴミ捨て場だから。」
「ゆっ・・まいにち・・・」
あれほどのお野菜さんが毎日・・・ここだ。この場所こそゆっくりプレイスだ。
この日よりドスはこの場所に群れを作ることにした。近くの山に巣穴をつくり、周りに住むゆっくりから移住するゆっくりを集めた。
自分の群れに入れば毎日お野菜が食べれると。
新参のドスの言うことなど信じない用心深いゆっくりも多かったが、野菜が毎日食べられると聞いてそれにひかれるゆっくりもまた多く、すぐ群れにゆっくりが集まった。
こうしてドスは新しい群れの長として就任した。あの時あった男は町内会の会長を務めており、またゆっくりの愛好家でもあったことが幸いし、村人も邪険にはしなかった。どうせ放っておけば腐るしかないものなのだ。ゆっくりにやっても大差ない。
それに周りの群れの長達は「人間には関わるな。まして畑に手を出すゆっくりは厳罰」という主義だったので、この野菜の山をドスの群れで一人いじめできたのだ。
思えばこの頃が一番楽しかった。
「にんげんさん。いつもおやさいさんありがとうなんだぜ。」
「ははっどういたしまして。」
「ありすちゃん。玉子焼き食べるかい?」
「ゆゆーん。とかいはなおあじね。」
こうしたのどかな光景がいたるところで見られたのだ。もし父ドスが生きていてくれれば目を細めて喜んでくれただろう。
そう思うドスまりさ。まさにドスまりさのゆん生の絶頂期だった。
しかし絶頂である以上これが頂上。あとは転げ落ちるしかない。
それをドスまりさは知らなかった。
数年後
「おねがいじまずぅ!!会長さん。ドスの群れをつぶさないでくだざいぃぃ。」
そう会長に泣き叫び懇願するドス。それを見て渋い顔をする会長。
なぜこのようなことになったのか。原因は一言で言えばゆっくりの傲慢にあった。
最初の頃は喜んで野菜を食べていたゆっくり達だが、それが当たり前になるにつれて
「ゆぅ。きょうもおやさいさんか。たまにはあまあまがたべたいのぜ。」
「そうねぇ。まえににんげんさんのくれたあまあまはとかいはだったわぁ」
などというゆっくりがちらほら出始めたのだ。当然人間に対する感謝も薄れ始める。
元々この群れにきたゆっくりは野菜にほいほいつられたバカや、狩りの下手な無能なゆっくりばかりなのだ。
賢く有能なものなどほとんど居ない。
こうなるのも当然である。
しかしこの頃はまだ良かった。そんなこと言うのはごく少数派であり、さすがに人間と面と向かって文句をいうものは居なかったからである。
むしろ問題は群れで生まれた子供達の世代が成体になった頃からおき始めた。
ドスの言うことを無視して人間に迷惑をかけるようなものが出始めたのである。
この世代にとって野菜が食べられるのが当たり前で、人間を野菜を運んでくる召使いのようにバカにした個体が多く居たのだ。ちなみに子供に狩りより歌や踊りを教えるようしたのもこの世代からである。
人間にあまあまを強要するもの。
人間に暴言を吐くもの。
農道にうんうんを撒き散らすもの。
そんなゆっくりが出るたびにドスはふもとの村まで謝りにいかねばならない。
本来ならそんなゆっくりは追放するなり、見せしめに処刑するなりしてでも群れの秩序を保たねばならないのだがドスまりさにはそれができなかった。
処刑どころか厳しくしようとしただけで謎の頭痛と餡子を吐き戻してしまいそうな嘔吐感におそわれるのだ。
ドスまりさは知らないが、父ドスが厳しく群れを統治したがうえに家族を失ったトラウマが深層心理に残っていたのである。
もちろんドスもただ手をこまねいたばかりではない。
比較的賢いぱちゅりーなどに頼みそういったゆっくりに注意してもらうよう頼んだのだ。
しかし物事を善悪でなく、ゆっくりできるかできないかでしか判断しないバカゆっくりのことである。
当然ぱちゅりーの言うことなど聞きはしない。それどころかぱちゅりー達をゆっくりできないゆっくり扱いしてバカにしはじめた。
最後にはぱちゅりーも愛想を尽かし、比較的賢いゆっくりたちと共にこの群れから出て行ってしまった。
こうなるともうやりたい放題だ。
好き放題にすっきりーしまくり群れの赤、子ゆっくりが一気に増え、群れの8割以上を占めるようになったり、
「みゃみゃ。あのまりしゃはどうしてゆっきゅりしてにゃいの?」
「あのまりさとありすたちはちがうのよ。ありすたちはとかいはなゆっくりプレイスにすむことがゆるされたとくべつなゆっくりたちなの。あんないなかものとはちがうのよ。」
などと他の群れの一生懸命狩りをしているゆっくりを見下し、挑発する始末。
おかげでドスまりさの群れは他の群れから敵対視されるようになり一気に孤立した。
挙句の果てに「新鮮なほうが良いから」などと言い、人間の目を盗んで畑あらしをするようなものまで現れた。
さすがに忍耐強かった村民も我慢の限界で加工所による山のゆっくり一斉駆除を申請したのだ。
「おねがいじまずぅ!!せめて他のむれはかんべんじでくだざいぃぃ。他のむれのゆっくりたちは関係ないんでずぅぅぅ。」
何度お願いしても無理だと言われたドスは自分の群れが無理ならせめて他の群れへの駆除はやめてくれと懇願した。
他の群れには迷惑をかけてはいけないと父に教えられたドスまりさにとって自分の不甲斐なさのせいで他のゆっくりに迷惑をかけるようなことは到底耐えられなかったのだ。
確かに関係ないゆっくりがかわいそうだなと思った会長は条件を出した。
条件とは群れのゆっくり全員を一箇所に集めて大人しく加工所の職員に捕まること。一匹でも逃げたり抵抗したらアウトだ。
それさえできれば他の群れは駆除対象とせず、更生の余地があるとして群れのゆっくり達にも生き残る為のチャンスをやろうというのだ。
問答無用の一斉駆除に比べれば破格の好条件といえる。
ドスまりさは迷った。
群れのゆっくり達を大人しく加工所の人間さんへ引き渡すなんて不可能だ。
あのゆっくり達が自分の言うことを素直に聞くとは思えない。
では逃げるか?
今のゆっくりプレイスを捨て他の場所に移住するのだ。
しかしこれも不可能だ。
今群れにいるのはほとんどが赤、子ゆっくり。長旅できる体力などない。
しかも大人ゆっくりたちもろくに狩りなどできないのだから話にならない。
最初から失敗が目に見えている。
他の群れに助けを求めることもできない八方塞がりの中、ドスまりさはある噂を思い出す。
西の丘に一人で住んでいるというゆっくりうどんげの噂だ。
そのうどんげは不思議な力を持っており相手の目を見るだけで何匹ものゆっくりを強制的にゆっくりさせられるのだと言う。
ドスは西の丘へと急いだ。
「なにいってるのよ。ゆっくりしないで説明してね!!」
突然、流れ者の自分の住処にドスが来ただけでも驚いたうどんげだが、ドスから聞いた話に更に驚いた。
自分の群れのゆっくり全員にうどんげの狂気の瞳をかけて欲しいというのだから。
「ゆう・・・実は・・・」
ドスは事情を話した。その上でうどんげに協力を要請した。
うどんげの仕事は狂気の瞳で群れのゆっくり達をゆっくりさせ、ゆっくり達を逃走や抵抗させないようすることである。
最初は断ったうどんげだが、ドスの熱意に押される形で渋々承知した。
もし群れのゆっくり達にもう少し観察力があれば、昼間ニコニコと笑うドスの顔に涙の後があったことに気づいただろうが、そんなゆっくりは一匹もいなかった。
「それじゃあ私はかえるわね。狂気の瞳の効果は明日のお昼ぐらいまでは続くから、明日の朝、加工所の人間さんが来るまでは十分持つわ。」
「ありがとううどんげ。本当に。」
「どういたしまして。ところでドスはこれからどうするの?」
「ゆう。ドスはこれからゆっくりやらなくちゃならないことがあるんだよ。ドスとしての最後の仕事が・・・」
「そうなの?わかったわ。」
そう言い住処へ跳ねていくうどんげ。その様子を見送った後ドスも動き始めた。
月明かりの下、10分ほど跳ねていくと目的地に着いた。
ドスまりさが来たのは切り立ったがけの上だった。
崖の下をのぞいてみる。目のくらむような高さ。落ちればひとたまりもないだろう。
思えば父さんもそうだったなぁ。ドスまりさは父ドスの死んだ日のことを思い出していた。
あの日、群れにいた最後のゆっくりが出て行った日のことだ。
父ドスまりさの居る洞窟で爆発音がしたので急いで駆けつけた時、もう父ドスまりさはこときれていた。
死因はドススパークの暴発。父ドスは代々続いていた群れを自分が潰してしまった自責の念から自殺したのだ。
ドスまりさは泣きながら父の墓を作り、決意した。父に代わりゆっくりした群れのドスになろう、と。
しかしこの様だ。自分もまた群れをゆっくりさせることはできなかった。
「父さん、ゆっくりそっちにいくよ・・・」
そう言うとドスまりさはふわりと崖から飛び降りた。
・・・バカよ、あなた。様子がおかしいんであとをつけてみたら・・・・
・・だれかいるの?ドスにはもうなにもみえないよ・・・・
・・もうあなたは助からない。私にできることはこれぐらいしかないわ・・・
・・・ゆっあかいひかりさん・・・なんだかとても・・・ゆっくりできるよ・・・
・・思い出してドス・・あなたが子供のとき・・・・ゆっくりできていたあの頃を・・・
・・・ああ・・・とても・・・・ゆっ・・く・・・り・・・・・・・・・・・
安らかな顔で死んだドス。それをうどんげがやりきれなそうな目で見ていた。
次の日の朝、ゆっくりたちを駆除しに来た加工所の職員は驚いた。
数百匹のゆっくりたちがとろんとした表情で大人しく捕まるのを待っていたからである。
不思議に思ったが逃走や抵抗するようでなければ、更生の余地ありとして加工所で飼いゆっくりにふさわしいかテストするのがこの加工所の規則である。
ドスの目論見どおり群れのゆっくりたちは潰されることなく加工所へトラックで運ばれることとなった。
しかしドスは忘れていた。
群れのゆっくりたちが救いようもないバカぞろいである事を。
「ちっ。また×かよ。」
青年は思わず声に出してしまった。ここは加工所。そして青年はその職員である。
ここにはゆっくりの餡子の質で飼いゆっくりに必要な品性と知能があるか調べる餡子チェッカーという機械が設置してある。
判定は優、良、可、不良の4つで分けられ、優、良、可なら飼いゆっくりへの道が開けるが、不良ならそのまま殺処分である。
数百匹もいるのだからそのうち何匹かは合格すると思っていた青年だが、群れ全て通し終えてなんと合格者0。
子ゆっくり達は歌や踊りが得意だというので芸能ゆっくりの可能性を考えて一応見てみたが、歌は雑音、踊りは好き勝手に跳ね回っているようにしか見えなかった。
芸能ゆっくりを目指すにはあまりにレベルが低すぎる。
一応一家族ずつ面接形式の性格テストも行ったが、「ここから出せ」だの「くしょじじい」だの言って全くこちらの話を聞こうともしないようなゆっくりばかりで全く話にならなかった。
これほどバカしかいない群れも珍しい。
何だって親父はこんな奴らのために・・・。そう憤る青年。
実はこの青年、ドスを擁護していた会長の息子である。偶然この加工所に勤務していたのだ。
更に言えば青年はドスまりさのことも知っていた。
父の手伝いで町内会の会合に出ることも多く、群れのゆっくりのしでかした愚行を謝りにくるドスに会ったことが何度かあるのだ。
自分がなにかしでかした訳でもないのに大きな体を小さくして、村民達の罵声に対し土下座(?)で謝罪し続けるドス。
可哀想だとだと思った青年が会合の後、余ったお茶菓子を与えるとドスは涙を流してお礼を言った。
おそらく相談する相手など誰もいないのだろう。ドスは青年に色々と話してくれた。
自分の生い立ち、反乱による家族の死、群れの消滅、父ドスがそれを苦に自らも命を絶ったこと。
群れのゆっくりは自分の言うことなど何も聞いてくれないこと。
なんとか躾けようとすると父ドス達の死に顔を思い出し、謎の頭痛、吐き気に襲われること。
そんなドスまりさも死んだ。近くの崖の下で死体が発見されたそうだ。
どう考えても誤って落ちるような場所ではないから父親と同じ自殺と考えていいだろう。
親父も今回の件の責任を取るため今期限りで長年務めていた町内会の会長を辞めることになっている。村人には村八分にされ、最近すっかり老け込んでしまった。
それもこれもこのクソ饅頭どものせいなのにこいつらときたら・・。
「ちぇんは・・ちぇんはゆっくりしたいよー。わかってねー。」
「ありしゅをだれだとおもってるにょ!!くしょじじいはさっさときょきょからだしてにぇ!!」
「ドスー!!まりささまがゆっくりできないのぜ!!はやくたすけにくるのぜ!!」
「ドスはなにをしてるの!!かわいいれいむをはやくたすけてね!!」
口々に身勝手な妄言をわめき散らすゆっくり達。餡子チェッカーなど使わなくてもどうしようもないクソ饅頭とわかる。
ドスが自分達を必死で守ろうとしていたこと、最後のチャンスを与えてくれたのにことごとく棒に振ってしまったことを全く理解していない。
かわいいから。
とかいはだから。
素晴らしいゆっくりプレイスに住むことを許された特別なゆっくりだから。
そんな訳のわからない戯言を吐いて、ドスや村民達の厚意で成り立っていたあの群れを当然のことのように思っているこいつら。
まるで既得権益を得るのが当たり前のように感じている政治家や小役人を見ているようで反吐が出る。
男は機械に電源を入れた。餡子チェッカーではない。その隣の機械だ。
これはゆっくりを殺処分する為の機械。中にあるプレス機がゆっくりを一瞬で圧殺し、死体を乾燥させ、畑などに使う肥料にする。
これを使えばゆっくり達は痛みを感じることもなく死んでいくだろう。
だがその前にどうしてもしなければならない事がある。
青年はそばに置いていた袋からあるものを取り出した。
ドスまりさの帽子だ。死体はそのまま山に埋葬されたが帽子だけは個体確認のため加工所へ持ってきたのだ。
「どうしてドスのおぼうし、じじいがもってるのぉおおお!!」
「わからないよぉおおお!!」
飾りで個体認識するゆっくりのことすぐに自分の群れのドスのものと分かったようだ。
泣き喚くゆっくり達に男は事情を説明した。
ドスは崖下で自殺していたこと。原因は群れのゆっくり達の勝手な行動にあること。
あの群れで食べていた野菜は会長をはじめとする人間の善意であったこと。
あのままでは群れは全員駆除され、他の群れのゆっくり達も危なかったこと。
それを危惧したドスはどうしたかは解らないが、ゆっくりたちを無力化させ、おかげでその場で駆除されるのを免れたことなど。
自分の推測を交えて青年はゆっくりたちにも理解できるよう粘り強く説明した。
死ぬ前にせめて罪を悔い改めて欲しかったから。
もしその上で罪を償いたいという者がいるようならゆっくりでもできる仕事を紹介しようと。
しかし青年はこの群れを甘く見ていた。
「それでじじいはなにがいいたいの?」
「えっ。何って・・・」
思わぬ1匹のまりさの質問に驚く青年。
「お前らのせいでドスは死んで、多くの人が迷惑したんだぞ!!可哀想とか済まなかったとかあるだろう!?」
「なんで?」
「なんでておまえ・・・」
「ドスがまりさたちをゆっくりさせるのはとうぜんだよ。にんげんさんがくるんならドスがやっつければいいんだよ。それをせずにしんでしまうなんてドスはしょくむたいまんだよ。」
「なに言ってんだ・・・?お前?」
「だってまりさたちはとくべつなゆっくりプレイスにすむことがゆるされたえらばれたそんざいなんだよ!!だからドスもにんげんさんたちもまりさたちにほうしすることはあたりまえのことなんだよ。」
あまりの言い草に絶句する青年。
「そーだよまりさのいうとおりだよ!!」
「ありすたちをゆっくりさせられずにしぬなんて、ドスはいなかものよ!!」
「れいみゅたちはときゅべちゅなゆっくりにゃんだよ。ゆっきゅりしてとうじぇんなんだよ。」
絶句した青年を言い負かした勘違いしたのか次々に追従するゆっくりたち。
・・・・・・・
青年の中で何かが切れた。
これまで青年はこのゆっくり達に憤りながらも、ドスや父が守ろうとしたものである以上できる限りのことをしてやろうと思った。
バカならバカなりに生きて行けるような場所を紹介し、それが出来ないのならせめて苦しまぬよう一瞬で殺してやるつもりだった。
だが違った。こいつらはクズだ。慈悲をかける必要など全くない。
青年は機械を止めた。もちろんこいつらを許したわけではない。
死ぬほど苦しい目に合わせて・・・そして解らせてやるのだ。自らの愚かしさを。
だがただ虐待しただけではこいつらは自分達のバカさかげんに気づかない。ドスも浮かばれないだろう。
青年の目に憤怒の炎がともった。
数日後。
青年はゆっくりたちを荷台に積み、トラックを走らせていた。
目的地は虹浦市のゆーぶつえん。そこへこいつらを届けるためだ。
「しんりーだーのたんじょうよ。」
「さすが、だーりん。れいむもはながたかいよ。」
「ぴゃぴゃはおしゃになるんだね。」
荷台から聞こえるゆっくりたちの癇に障る声を聞きながら青年はトラックを走らせ続けた。
青年は事前にゆっくりたちに話しておいた。
今から行く場所はゆーぶつえんといわれる場所でゆっくりたちがたくさんいる場所であること。
その場所で飼われているゆっくりたちはゆっくりできること。
この事を話したら今までの罵詈雑言をやめ、のうてんきに喜びはじめるゆっくりたち。
その挙句そんな場所を行けるのは、あの時寝ぼけた妄言を吐いたまりさのおかげということになり、まりさはドスに代わる新しい長になるということになった。
悪いにんげんさんに卑怯な手を使われ捕まったが、勇気あるまりさの言葉(笑)によりにんげんさんは改心し、自分達に新しいゆっくりプレイスを献上した。
だからまりさは英雄。新しい長にふさわしい。そういう理屈らしい。
どこをどうしたらそうなるか解らないがそう本気でそう思っているのがゆっくりクオリティなのだ。
「ゆゆーん。みんなまりさについてきてね。あたらしいゆっくりプレイスをまえいじょうのらくえんにするよ!!」
「えい!!えい!!ゆー!!!!」
ゆっくりたちの大合唱が車内にこだまする。正直このまま車ごとゆっくりたちを谷底にでも叩き込みたい気分だ。
だが、まあいい。青年は笑った。
ここで殺したらこの三日間の苦労が水の泡だ。こいつらをゆーぶつえんに卸すためにどれだけ苦労したか。
ゆーぶつえん側は二つ返事でこのゆっくりたちの受け入れを引き受けてくれたが、問題は加工所の所長のほうだった。
世間体がどうだの、ゆっくり愛護団体がどうだの言ってなかなか首を縦に振らず、結局認めさせるのに3日もかかってしまった。
苦労した分こいつらには地獄を見てもらわねばならない。そう地獄を。
それにしてもおかしいと思わないのだろうか。
珍しくもなんともない通常種しかいないこの群れを数百匹も引き取るなんて異様だと。こいつら一匹として感じていないらしい。
まあこいつらは自分は特別な存在(笑)だと本気で信じているらしいからな。それが当然なんだろう。
青年はニヤニヤしながらトラックを走らせた。
「よーし着いたぞ。」
「ついにゆっくりプレイスについたんだねー。わかるよー。」
「きょきよをれいみゅのゆっきゅりぷれいしゅにするよ!!」
着くなり騒ぎ出すゆっくりたち。いちいち本当にうるさい奴らだ。
青年は無視してゆーぶつえんの職員と共にゆっくりたちの入っている檻を裏口から運び始めた。
「あらかべにとかいはなもようがかいてあるわ。」
「ゆゆっきれいだねっ。」
外壁にある模様に気づくゆっくりたち。しかしそれは模様ではなかった。
カラースプレーで書かれた文字、つまりは落書きだ。
それにはこう書いてあった。
”このゆーぶつえんは虐待者による虐待プレイスです。みんなゆっくりしんでいってね。”
よく見れば落書きと同じくこのゆーぶつえんを糾弾する張り紙があちこちに張ってあるのだが文字の読めないゆっくりたちは気づかなかった。
「ここが新しいゆっくりプレイス?まあまあね。」
「まるでもりさんのなかにいるみたいだね。」
「ゆーん。いっぴゃいにんげんしゃんがみちぇるよ!!」
檻から出され新天地に降り立つゆっくりたち。といってもゆーぶつえんである以上そこも巨大な檻なのだが。
横長のこの檻は奥行き15メートル、横幅は100メートルあり、天井もかなり高く作ってある。
また木や植物も茂っており擬似的な森に近い環境だ。そして壁にはなにやら洞穴のような大きな穴がある。
そしてたくさんの見物客がこちらを見ていた。
「みんなここをまりさたちのらくえんにするよ!!」
「ゆっくりりかいしたよ!!!」
リーダーまりさの掛け声に意気揚々と応えるゆっくりたち。その目は希望に満ちている。
しかしまりさたちは気づくべきだった。
頭上の、そして木や草に隠れ潜む先住者に。
見物客の目がただゆっくりを見物するというものではなく、もっと別のなにかを期待するものだということを。
そんななか子ありすが草の陰にゆっくりを発見した。
「ここはありすのゆっくりプレイスよ。いなかものはでていってね!!」
後から来たのは自分達でありながらあまりに身勝手で不遜な言い草。
これが子ありすの最後の言葉になった。
バクリ。
次の瞬間子ありすは頭から丸飲みされた。まわりのゆっくり達の顔が一気に青ざめる。
ウェーブのかかったピンクの髪。
ナルトのようなマークをつけた帽子。
そう子ありすを丸飲みしたのは捕食種のゆっくりゆゆこだった。通常のドスクラスの大きさではなく通常種サイズではあるが。
「こぼねー。」
「ぎゃぁあああああああ!!!ゆゆこだぁあああああ!!!!」
美味しそうに子ありすを噛みしめるゆゆこと対照的にパニック状態になるまりさたち。
我先にとゆゆこから逃げようとする。
「いじゃい!!いじゃいよ!!」
「ちゅぶれりゅうぅううううう!!!!」
「もっ・・とゆっくり・・したかった・・・」
結果赤、子ゆっくりが数匹潰れたが皆それどころではない。
この群れは捕食種の縄張りには住んでおらず、たまに来てもドスが迅速かつ一撃で倒していた為、捕食種の恐怖に慣れていないのだ。、
そうやってなりふりかまわず逃げた長まりさたちだが逃げた先にはさらなる地獄が待ち受けていた。
「ぎやぁああああ!!!どぼじでこっちにもゆゆこがいるのぉおおおお!!!?」
「こっちにはるーみあがいるわぁあああ!!!」
「ふっ、ふらんとれみりゃもいるんだぜ!!」
「わからないっ!!!わからないよー!!!」
そう捕食種は一匹ではなく長まりさ達を囲むように複数居たのだ。さらにゆっくりを不安にさせる羽音が頭上から聞こえてくる。
「うっうえに、れみりゃとふらんがぁああああ!!!」
さらに追い討ちをかけるように上空から胴付きふらんと胴付きれみりゃが降りてきた。どうやら天井の梁に潜んでいたらしい。
そして虐殺ショーが始まった。
「こぼねぇー。」
「ぎやぁああああ!!!ままたしゅけてぇえええ!!」
あるゆゆこは子ゆっくりたちを貪り食った。
「うー。ねえさま、ぱす。」
「ないすぱすだどー。ふらん。」
「やべてぇえええ!!!れいむはぼーるさんじゃないぃいいいい!!!」
ある姉妹のふらんとれみりゃはれいむをボール代りにサッカーをし始めた。
恐らく死ぬ寸前まで痛めつけて餡子が甘くなったところを吸うつもりだろう。
「うまいのかー。」
「しあわせなのかー。」
「ゆっきゅりできりゅのかー。」
「やべでぇ・・・こんなのとかいはじゃ・・な・・い」
こちらのありすにいたってはるーみあ親子に生きたまま丸かじりされている。かなり悲惨な光景だ。
「うわーすごいわねー。」
「生きたままバリバリ食ってるぞ。あのるーみあ。」
「ヒヤッハーここは最高だー!!なあれいむ。」
「こわいよぉおおお。ゆっぐりでぎないぃいいいい!!!」
そんな光景を見ても興奮しだす入園者たち。彼らはこれを見る為にこのゆーぶつえんにやってきたのだ。ちなみにこのゆーぶつえんはゆっくりの同伴が可能である。
そんななか一人だけこのショーを楽しめない人間が居た。
彼は愛でお兄さんで愛しのてんこをゆーぶつえんに連れてきただけなのだ。
「ごめんよ、てんこ。まさかここがこういう場所だなんて・・・」
「いいのよ、おにいさん・・(ハァハァ、なんてすばらしいばしょなのかしら。てんこもれみりゃやふらんにいじめられたいわ。こんなふうにいじめられたらってそうぞうするだけで、てんこのまむまむはだいこうずいよ)」
「ああ!!てんこ、しーしーもらしてるじゃないか。そんなに怖かったのならこんなとこすぐに出よう。」
「え、これはその・・・(いえないわ。こんなはしたないことかんがえてるなんて・・・)」
そう思いつつも羞恥プレイに近い状況にますます興奮するてんこ。
こうしててんこは駄目なほうへ駄目なほうへ加速度的に進んでいくのであった。
そんななか長まりさはガタガタと震えていた。
「まりさ、れいむをたすけてね。」
「まりさはおさでしょおおおお!!!なんとかしてよおおお!!」
長であるまりさに助けを求めるゆっくりも多かったがすべて無駄だった。
まりさもまたこの状況を解決するすべなど知らないのだから。
(ドス。まりさたちを助けて、ドス。)
そう思いながらドスに助けを求める。もうドスはこの世に居ないにも関わらず。
しかし思いが通じたのか。壁にあった大きな穴から這い出る巨大なゆっくりがいた。
そうドスまりさである。ここにもドスまりさはいたのだ。
金髪のなかに白髪がちらほら見えるのでかなりの老ドスまりさなのだろう。しかしドスであることには変わらない。
老ドスに向かってはねる長まりさ。そして開口一番こう叫んだ。
「ドス!!まりさたちを助けてね。」
ドスなら助けてくれるはずそう信じて。しかし老ドスの答えはまりさの予想に反するものだった。
「いやだよ。」
そうまるで石ころでも見るかのような無機質かつ無表情でまりさを見つめる老ドスまりさ。
前のドスはいつも自分達をまもってくれたのに・・・それが当たり前だったのに・・・
まりさはただ呆然とするしかなかった。
「始まったようだな。」
ゆっくり達の悲鳴を聞きながら青年は帰り支度をしていた。
青年はけして嘘は言っていなかった。
このゆーぶつえんで飼われているゆっくりは皆ゆっくりしている。これは事実である。
しかしまりさ達は飼われるためにここに来たのではない。
このゆーぶつえんの正式名称はれみりゃパーク。捕食種専門のゆーぶつえんだ。
つまりまりさたちは捕食種の生餌となる為このれみりゃパークにきたのだ。
長まりさ達は自分達がゆーぶつえんで飼ってくれる物だと思っていたがとんでもない。
あんなバカゆっくりども世界中探しても受け入れてくれる場所などあるはずないのだ。
ちなみにあの檻にはドスまりさもいるがけして長まりさ達の味方にはならない。
なぜならあのドスまりさは生餌の個体調整及び監視の為に人間に雇われたドスなのだから。
精々思い知るがいい。今まで自分達がどれほど恵まれた環境に居たかということを。
青年はれみりゃパークを後にした。
数日後
青年はれみりゃパークに来ていた。長まりさに会う為に。
檻の前で手を振ると長まりさはゆっくりとは思えないスピードでこっちに来た。全身ボロボロなところを見るとよっぽど酷い目にあっているらしい。
長まりさはいろいろ話してくれた。
捕食種たちに子供たちが半分以上食べられたこと。
いつ捕食種に食べられるかと考えると夜も眠れないこと。
ドスはいつもゆっくりできないことを言ってまりさたちを虐めること。
長だからといって群れがゆっくりできない原因はすべてまりさのせいにされること。
最後は涙まじりに語ってくれた。
「ゆう・・おにいさん。まりさ、まちがってたよ。まりさたちはとくべつなんかじゃなかったんだよ。それなのにドスやにんげんさんたちがしてくれたことをあたりまえだとおもってた・・・いっぱいありがとうってするべきなのに・・・」
そう言うと急にまりさは青年のほうをきっと見た。
「だからおねがいします!!まりさたちをここからだしてくださいっ!!ここからでて、こんどこそしんのゆっくりプレイスをみんなでつくりたいんですぅううう!!」
土下座するかのように頭を下げるまりさ。どうやら本気で反省したようだ。
思えばこのために苦労してれみりゃパークにこいつらをいれたのだ。そろそろ許してやってもいいかもしれない。
「顔を上げてくれ。まりさ。」
そう優しく言う青年。それを聞いて恐る恐る顔を上げるまりさ。
「反省してくれたんならそれでいいんだ。俺はもう怒っちゃいない。許してやるよ。」
「ゆ・・ゆるしてくれるの?・・おにいさん」
「ああ。えらいぞ、まりさ。自分で自分の過ちがわかるなんて。そこらのゆっくりじゃできないぜ。」
「お・・・おにいさん・・・まりさ・・・まりさ・・・」
「だが残念ながらちょっと遅すぎたかな。」
「えっ・・・・・」
「もう既にお前はれみりゃパークの所有物なんだ。俺にはどうすることもできない。」
「それって・・・」
「残念だったなまりさ。加工所の時点でそれに気づいていれば俺にもなんとかできたんだがな。もう手遅れだ。」
「おにいさぁぁあんんんん!!!までぃさたちをみすてないでぇえええええ!!!」
「まあ精々そこでゆっくりしていってくれ。俺はもう帰るから。」
「おにいさぁぁぁぁぁあんんんん!!!うわぁあああああああ!!!!」
まりさの悲鳴を背に受けながら青年は檻の前から立ち去った。
そこにはとてもゆっくりした群れがあった。だがもうない。
ゆっくりたちは知るべきだった。節度、礼儀、そしておのれの身の丈を。
この群れが滅んだ理由。
それはゆっくりたちの傲慢にほかならない。
あとがき
いつもご愛読ありがとうございます。長月です。
今回前半でドスがあまりに報われないゆん生であり、コメントでドスがかわいそうと言う意見がいくつかあったので、前編を一旦餡庫から消してうどんげとのエピソードを入れて再アップしてみました。
なおこの話の続編を餡子ンペ09に出そうと思っているのですがどうでしょうか?コメント欄でご意見、ご感想待ってます。
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- 先代のドスが可哀相 やっぱりゆっくりは第二世代は糞だね -- 2016-03-19 21:26:32
- てんこが清涼剤だわー -- 2013-01-29 02:25:43
- 恐るる飼い主 悦ぶてんこ そして笑う俺 -- 2012-12-24 18:04:29
- おややくにからほごされるのをとうぜんとおもって
ずっとぱそこんさんをさわってるおにーさんはこれをみてよくかんがえてね -- 2012-10-03 04:39:24
- てんこハアハアてんこハアハア。 -- 2012-04-20 22:32:53
- てんこぬるいじめして可愛がりたい -- 2011-10-12 01:22:11
- ドスのために怒った会長の息子さんがナイス -- 2011-08-16 13:52:47
- ↓↓↓↓↓ 確かに捕食種に半分以上食われたっていう子ゆっくりが
ちょっと前まで能天気に合唱やラインダンス、とかいはミュージアム(笑)
とかやってた馬鹿共だと思うとQNQNくるものがあるな。 -- 2010-11-28 17:46:08
- これはおもしろい!
大変ゆっくりさせて頂きました
躾も出来ないようなものがドスになる資格はないって事だね
あとクズ群れの巻き添え駆除される他の群れってのも見てみたかったw
-- 2010-11-07 14:42:55
- てんこのくだりで笑った。 -- 2010-10-13 18:55:56
- 反省して野に放しても意味ないと思うぜ。
周りからゆっくりさせてもらうのが当たり前だと思ってた奴に野生を生き抜く力なんてないだろうしなー -- 2010-10-10 20:38:56
- >反省したヤツを野に放せば
うん、糞饅頭にもどるだけだな -- 2010-09-24 07:56:50
- >れいむ種の子供達による合唱を絶賛する大人ゆっくりたち。
>次は子まりさたちによるラインダンスだ。そして子ありすによるとかいはミュージカルが予定されている。
虐待欲を刺激する名文章だと思う -- 2010-09-21 18:31:15
- 何で全滅させるのか、勿体無い
反省したヤツを野に放せば善良なゆっくりが増えるかも知れないのに -- 2010-09-14 00:45:25
- 善良なゆっくりが群れの長になってもなにもいいことないよね
みんなが長にごはんを貢いでくれるわけじゃし、感謝されるわけでもなし -- 2010-07-21 18:24:52
- 己の過ちを知り、その上で絶望するクズ共…すっきりー -- 2010-06-21 11:31:03
最終更新:2009年11月01日 17:10