The World is Games
私が住んでいるのはこのルーンミッドガッツ王国の首都プロンテラです。
まだ、朝も早いというのに大通りには商人の皆さんが露店をだして町をにぎわせています。
私は、昨日の・・・ゲフェンダンジョンでの一件。
あの少年のことが気になって今日もゲフェンダンジョンに行くべく準備を進めていました。
一人でゲフェンダンジョンに行くのですから、それ相応の準備が必要です。
正直、私のLVではまだまだゲフェンダンジョンに独りで行くなどということは早すぎるのです。
しかし、気になるものは仕方ないです。
万全の準備を整えて挑もうと思っているわけです。
「えっと、白ポーションをとハエの羽、それから~」
露天で必要なものをそろえて、いざ準備万端です!
「やぁ、小夜ちゃん。今日は一人かい?」
意気揚々とゲフェンダンジョンに出発しようとした私に声をかける人がいました。
そちらに目を向けてみると、青髪ポニーテールのハンターさんと銀色の髪のプリーストさんがいました。
「あ・・・凪さんにナナさん。おはようございます!!」
二人はそれぞれおはようと私に朝の挨拶を返します。
この二人は私がギルドでお世話になっている人たちです。
ハンターさんのほうが[神威 凪]さんそれから、プリーストさんのほうが[ナナ]さん。
二人は夫婦で、いつも私達が見ていて恥ずかしいくらいラブラブなのです。
いつも、二人一緒でたまに狩りに連れて行ってもらったときも、二人とも息ぴったりで今でもびっくりします。
「私達これから狩りに行くけど、小夜ちゃんも行く~?」
ナナさんは優しくて、私もナナさんみたいなプリーストになりたいなぁって思ってます。
「Zzzzzzzz」
凪さんは・・・いつも寝てたり考え事してたりどことなく抜けているところがあります。(汗)
立って眠れるのはある意味すごいことだと思いますが・・・。
「カムイ!」
バシバシ!!
ななさんが寝ている凪さんお頭をバシバシと叩いています。
コレも最初はびっくりしましたけど、最近は慣れました。
「・・・ふえ?」
この凪さんの間の抜けた声もいつものとおりです。
「えっと、私これからいくところがあるんです。ごめんなさい」
このまま何も言わないと、いつまでも続いてしまうのでこのあたりで切り上げさせてもらいました。
「そ?じゃ仕方ないね」
それじゃ、といって二人は狩りに出かけました。
私も、ゲフェンに向かって出発!
正午近くになって魔法都市ゲフェンにたどり着きました。
本当はカプラさんに頼んで空間移動でゲフェンまで送ってもらえばよかったのですが、
準備のためお金を使いすぎてしまったのです。
少し座って休憩です。
おなかがすいたので今朝作ってきたサンドイッチを食べます。
ランチボックスからタマゴサンドを取り出し端っこからほおばります。
モグモグ。
うん。われながらなかなかのできです。
ご飯が済んだら、いざゲフェンダンジョンです!!
ゲフェン中央タワーの地下にゲフェンダンジョンがあります。
私は今ゲフェンダンジョンの入り口にいます。
大きな門がゲフェンダンジョンと中央タワーを遮断しています。
コレをあけた先にはモンスターがたくさん生息しているゲフェンダンジョンが広がっています。
昨日は、強いPTと一緒でしたが今日は私一人です。
「大丈夫・・・大丈夫」
自分自身に言い聞かせて、不安を押さえ込みます。
そして、私はゲフェンダンジョンの入り口に手をかけました。
少し力を入れると、音を立てながら扉は開きました。
恐る恐る第一歩を踏み出します。
ゲフェンダンジョンは、ゲフェンタワーの中にあるはずなのに、
地面には床ではなく土が、あたりには枯れた木々が生えています。
私の目の前にはキノコすら生えているのです。
・・・キノコ?
「ひ・・・ひゃあ!」
突然キノコが動き出して、私に向かって体当たりをしてきました。
「あぶない!」
紙一重のところでキノコの体当たりをかわしました。
よく見てみるとそれはただのキノコにしては大きすぎる大きさでした。
「ポイズンスポア!?」
キノコの正体は、ゲフェンダンジョン1Fに生息しているキノコ型モンスターポイズンスポアでした。
「このぉ!」
私は、腰につけてるチェインをとると、それをポイズンスポアに向かって振り下ろしました。
ぼご!
鈍い音がして、ポイズンスポアの頭部にチェインがめり込みました。
そして、そのまま動かなくなりました。
私は決して力(STR)があるほうではないのですが、
このチェインのおかげで何とか弱い敵ならば倒すことができます。
ちなみにこの+8トリプル・ボーンド・チェインはナナさんから借りたものです。
「ふう・・・」
チェインを片手に、それからも何度かポイズンスポアやハンターフライなどに遭遇しました。
ハンターフライは私なんかではかなわないのでハエの羽で逃げます。
そんなこんなで何とか2Fにたどり着きました。
ここは、1Fよりも強いモンスターが生息しています。
しかし、ここを主狩場としている冒険者の人も沢山いるので、1Fのときよりもスムーズに進むことができました。
私はアコライトです。
奉仕が役目なのです。
ですので、付近の冒険者の人たちに微弱ながら支援魔法をかけながら進みました。
皆さん、ありがと~と声をかけてくれるのでとってもうれしかったです。
・・・その、助けてもらうことも沢山ありましたが・・・。
何とかゲフェンダンジョン3Fにたどり着きました
「もう魔力も、回復アイテムあんまり無いよ・・・」
独り言をいいながら、先へと進んでいきます。
目的地は、私と彼が最初に出会ったあの場所です。
不思議なことに、ここは2Fよりもさらに強いモンスターが生息しているはずなのに、まったく遭遇しません。
しばらく歩いていると、唐突に後ろから声をかけられました。
「立ち去れ」
「きゃぁぁ!!!」
あまりに唐突なので私は悲鳴を上げてしまいました。
恐る恐る振り返ると、両手で耳をふさいでる少年がいました。
「・・・騒々しい」
少年は耳をふさいでいる両手を離すと、私に文句を言いました。
「あ、ご・・・ごめんなさい!」
私はぺこりとお辞儀をして、誤りました。
「・・・ここに何ようだ」
少年は仕切りなおしとばかりに私に問いかけました。
「えっと、あなたに会いに来ました」
私が答えると、少年の周りの空気が一変しました。
私を警戒して、腰の剣に手をかけました。
「わ・・・私は別にあなたと戦いにきたわけじゃありません!」
ブンブンと顔の前で両手を振りながら言うと、
少年は警戒は解かないまま、腰の剣から手を離しました。
「・・・して、何ようだ」
少年は次の言葉を私に促しました。
「えっと、昨日は助けてくれて、ありがとうございました」
ぺこりとお辞儀をして、丁重にお礼を言います。
「助けたつもりは無い、我は我のなすべきをしたまで」
自分は自分の仕事をしただけで、私を助けたつもりはないという少年。
「でも、私を助けてくれたのは本当だから、ありがとうございました」
少年は少年のやることをしただけかもしれません。
でも、それで私は助けられたのですからお礼を言うのは当然のことです。
「・・・用が済んだのなら、立ち去れ」
少年は肯定も否定もしないで、私にただ帰れとだけ言った。
それだけ言うと、少年は私に背を向けて早足に歩き出した。
「ちょ・・・ちょっと待ってください」
少年は私の声にぴたりと足を止めました。
私は小走りで少年に追いつくと、
ポケットの中から一個の宝石を取り出し少年に手渡した。
「これ、お礼です」
私が渡したのは、アクアマリン。
ブラックスミスさんが武器製造に使う宝石です。
「お守りです」
「・・・守りなど我には不要」
少年はそういうと、アクアマリンを私に返そうとします。
「ダメです。お礼ですから受け取っておいてください。かさばるものでもないですから」
私が、そういっても少年は頑として受け取ってはくれません。
「も~!。受け取ってくれないと、私帰りません!」
私がそういうと、少年はしぶしぶアクアマリンを懐に納めました。
「変わっているな。なぜ我を恐れない?」
懐から手を戻すと少年は不思議そうに問いかけてきます。
私だって、こうやって話していられるのが不思議なくらいです。
目の前にいるこの少年はDOP。ドッペルゲンガーなのです。
少年は私を一刀の元切り伏せることだってできるのです。
でも、私はこの時少年のことを怖くはなかったです。
「私にもわかりません」
「おかしなやつだ」
そういって私が微笑むと、少年もわずかに口元をゆがめて笑いました。
「あ・・・笑った」
私がつぶやくと、彼もはとが豆鉄砲を食らったような顔をして口を開きました。
「笑う?・・・我は今笑ったのか?コレが笑うということか」
その言葉が私の心に重くのしかかりました。
少年は笑うことを知らなかったのです。
それはどれだけ悲しいことでしょう?
私とそう年も変わらないこの少年が生まれて、今このときまでの間笑うことがありませんでした。
私とはまったく違います。
「笑う・・・悪い気分はしない。むしろ良い気分だ」
そういうと、彼はもう一度口元をゆがめて笑った。
「・・・あの・・・もし良かったら私と一緒に来ませんか?そしたらもっと笑うことができると思います」
この少年は笑うことを知りませんでした。
もっと笑ってほしいと思いました。
この外にはもっと沢山笑えることがあるから、それを知ってほしいと思いました。
「・・・我には我の使命がある。ゆえにここを離れるわけにはいかぬ」
少年は笑っていた顔を元の冷たい顔に戻して私に言いました。
私はとても重要なことを忘れていました。
そう、少年はこのダンジョンの主。ドッペルゲンガーなのです。
その少年が、このダンジョンを離れることなどできるはずが無いのです。
「すいません。私・・・」
「よい、気にするでない」
私は少年にとても失礼なことを言いました。
「さて・・・我はそろそろ戻るとする。少々話しすぎた」
少年は180℃向きを変えて私の前から立ち去ろうとする。
「あ・・・あの!」
私は立ち去ろうとする少年に向かって声をかけました。
少年は振り返りまだなにかあるのか?と、言わんばかりの顔で私の言葉を待ちました。
「また・・・来てもいいですか?」
ちょっと不安げに少年に尋ねました。
もう来るな。といわれるのが少し怖かったのです。
この少年は私達と変わらない。
確かに私達よりもずっと強いかもしれません。
でも、私達と同じ心を持っています。
「・・・墓荒らしでなければ我が咎めることも無い」
墓荒らしではないのならば、自分が止める理由は無い。
すごく遠まわしですが、少年は私が来ても何の問題も無いといってくれました。
「ありがとうございます!!」
私は少年に向かってお辞儀をしながらお礼を言いました。
私は、またここに来て彼と話ができるのです。
いままで、怖いだけで全然知ろうとしはしなかったDOPという存在。
今私はその存在をとても知りたいと思いました。
「・・・ファルザス!」
少年が何かに呼びかけました。
すると、どこからとも無く馬の形をしたモンスター。ナイトメアが現れました。
「はっ!」
馬の頭が変化して、人の形を取りました。
そして半馬半人のナイトメアが少年の前にひざまずきました。
「我が客人のお帰りだ。入り口までお送りしろ」
少年が私を客人と言ったことにファルザスさんはひどい驚きようを見せました。
「な・・・我が主!人間ではありませんか!」
驚くのも無理は無いと思います。
私は彼らにとって倒す相手であって、決して客人として扱われる存在ではないのです。
むしろ、私のほうがすごく驚いています。
なにしろ、モンスターが喋っているのです。
喋るモンスターなんて私は見たことも聞いたことも無いです。
ペットモンスターは人間と一緒にいることで言葉を覚えているみたいです。
「ファルザス。我に二度同じことを言わせる気か?」
「御意・・・」
少年の言葉にファルザスさんはしぶしぶとその命令に従いました。
「ファルザス後を頼む」
少年はそういうと私の前から姿を消しました。
歩いていったというわけではなく、まるではじめからそこにはいなかったかのように、消えてしまったのです。
「あ・・・あの・・・よろしくお願いします」
二人にされてしまった私はおずおずとファルザスさんに声をかけました。
「・・・乗れ」
ファルザスさんは姿勢を低くすると私に背に乗れと言いました。
私は言葉に従い、少し苦労をしながらなんとかファルザスさんの背に乗ることができました。
私が背に乗るのを確認すると、ファルザスさんは入り口に向かってゆっくりと歩き始めました。
「私が送れるのは3Fの入り口までだ。それより先は自分で帰るのだぞ」
ぶっきらぼうにいうファルザスさん。
この人(?)も少年と同じで意思を持っています。
「私、こうやってお話しするの初めてです」
普段私達が相手にしているモンスターは喋りません。
「当たり前だ。私達は主に生み出されたとき特別にその力を与えられているのだからな」
ファルザスさんは自慢げに話し始めました。
「上の連中は考えることもせずにただ戦うだけの機械と変わらん」
上というのは2Fのことをさしているのでしょう。
「しかし、私達は物事を考え、話し、我らが主を中心に社会体制を築いている」
社会体制とは大げさな気もしますが、確かに彼らは自ら物事を考えて、生きています。
「あ・・・あの、みんながファルザスさん見たく話せたら・・・私達と仲良くなれるんじゃないですか?」
私は質問をしました。
すべてのモンスターがファルザスさんのように話せたら、戦わなくてもすむのではないか?
みんながみんな仲良くなれるのではないのか?
そんなことを考えたからです。
「フン!、可能性のひとつとしてなくは無いだろうな。しかし、私達はすべて主の力で生かされているのだ」
私はファルザスさんの言っている意味がわからず首を傾げました。
「貴様ら人間が食事を取るのと同じように、私達は主から力をいただいて生きているのだ。まったくコレだから人間は・・・」
ファルザスさんの言っていることがわかりました。
ファルザスさん達は、少年から栄養をもらって生きているのです。
「私達のように知識を持っているものは主の力を多く必要とする。ゆえに私達のような存在には限りがあるのだ」
つまり、2Fにいるようなモンスターは少年からもらう栄養が少ないということです。
逆にファルザスさん達は少年から沢山栄養をもらわなければなりません。
少年自体が生きるためにも栄養が必要なので、
ファルザスさん達のような存在を生み出すのには限界があるということです。
「主は寛大な方だ。この階層に住むすべてのもの達にこの力を与えているのだから・・・」
私はファルザスさんの言葉に少し疑問を覚えました。
「他のダンジョンでも、ファルザスさんたちみたいに話したりできる人達はいるんですか?」
ここゲフェンダンジョンでそうならば、他のダンジョンでもファルザスさんたちのように話すことができるモンスターもいるはずです。
「それはいるだろうな。その土地の主たちがどれだけの者達に力を与えているかにもよるがな」
そんなことを話している間に3Fの入り口に到着しました。
3Fに来る物好きな人もいないので入り口の前でもまったく人がいません。
「ここまでだな」
ファルザスさんが言います。
姿勢を低くして私に下りやすくしてくれます。
「よいしょ」
乗るときよりは容易く地面に降り立つことができました。
「ファルザスさん。ありがとうございました」
ぺこりとお辞儀をして、お礼をいいます。
「主の命に従ったまでだ」
「でも、ありがとうございました」
私は今度は微笑みながら、もう一度お礼をいいました。
「どうにも、貴様といると調子が狂う、人間の癖にまったく私を怖がらないしな」
ファルザスさんはあきれたように言いました。
「最初は驚きましたけど、ファルザスさんはいい人ですから」
そういうと、ファルザスさんはもっとあきれたような複雑そうな顔をして、来た道を戻っていきました。
私はファルザスさんが見えなくなるまで手を振って、見えなくなってからプロンテラへと戻りました。
なんとも不思議な感じです。
私は今までゲフェンダンジョンにいて、ドッペルゲンガーやナイトメアとお話をしていたのです。
もっと、彼らのことを知りたい。
私はそう思うようになりました。
それから、私は毎日のようにゲフェンダンジョンに足を運ぶようになりました。
ドッペルゲンガーと話をし、帰るときはナイトメアのファルザスさんに送ってもらう。
そんな生活を送るようになりました。
正直モンスターである彼らと付き合うようになって、私は狩りをすることをあまりしなくなりました。
おかげでLVはまったくあがりません。
ちょっと困ったものですが、彼らと話したりするのは楽しいので、私は好きです。
ドッペルゲンガーである彼はずっとゲフェンダンジョンにいるので外のことに詳しくありません。
私がいろいろな話をすると、
「ふむ・・・興味深い」
と興味を示してくれるので話しをしている私としても楽しいです。
私はこの時間が少しでも長く続けばいいと思いました。
本当はカプラさんに頼んで空間移動でゲフェンまで送ってもらえばよかったのですが、
準備のためお金を使いすぎてしまったのです。
少し座って休憩です。
おなかがすいたので今朝作ってきたサンドイッチを食べます。
ランチボックスからタマゴサンドを取り出し端っこからほおばります。
モグモグ。
うん。われながらなかなかのできです。
ご飯が済んだら、いざゲフェンダンジョンです!!
ゲフェン中央タワーの地下にゲフェンダンジョンがあります。
私は今ゲフェンダンジョンの入り口にいます。
大きな門がゲフェンダンジョンと中央タワーを遮断しています。
コレをあけた先にはモンスターがたくさん生息しているゲフェンダンジョンが広がっています。
昨日は、強いPTと一緒でしたが今日は私一人です。
「大丈夫・・・大丈夫」
自分自身に言い聞かせて、不安を押さえ込みます。
そして、私はゲフェンダンジョンの入り口に手をかけました。
少し力を入れると、音を立てながら扉は開きました。
恐る恐る第一歩を踏み出します。
ゲフェンダンジョンは、ゲフェンタワーの中にあるはずなのに、
地面には床ではなく土が、あたりには枯れた木々が生えています。
私の目の前にはキノコすら生えているのです。
・・・キノコ?
「ひ・・・ひゃあ!」
突然キノコが動き出して、私に向かって体当たりをしてきました。
「あぶない!」
紙一重のところでキノコの体当たりをかわしました。
よく見てみるとそれはただのキノコにしては大きすぎる大きさでした。
「ポイズンスポア!?」
キノコの正体は、ゲフェンダンジョン1Fに生息しているキノコ型モンスターポイズンスポアでした。
「このぉ!」
私は、腰につけてるチェインをとると、それをポイズンスポアに向かって振り下ろしました。
ぼご!
鈍い音がして、ポイズンスポアの頭部にチェインがめり込みました。
そして、そのまま動かなくなりました。
私は決して力(STR)があるほうではないのですが、
このチェインのおかげで何とか弱い敵ならば倒すことができます。
ちなみにこの+8トリプル・ボーンド・チェインはナナさんから借りたものです。
「ふう・・・」
チェインを片手に、それからも何度かポイズンスポアやハンターフライなどに遭遇しました。
ハンターフライは私なんかではかなわないのでハエの羽で逃げます。
そんなこんなで何とか2Fにたどり着きました。
ここは、1Fよりも強いモンスターが生息しています。
しかし、ここを主狩場としている冒険者の人も沢山いるので、1Fのときよりもスムーズに進むことができました。
私はアコライトです。
奉仕が役目なのです。
ですので、付近の冒険者の人たちに微弱ながら支援魔法をかけながら進みました。
皆さん、ありがと~と声をかけてくれるのでとってもうれしかったです。
・・・その、助けてもらうことも沢山ありましたが・・・。
何とかゲフェンダンジョン3Fにたどり着きました
「もう魔力も、回復アイテムあんまり無いよ・・・」
独り言をいいながら、先へと進んでいきます。
目的地は、私と彼が最初に出会ったあの場所です。
不思議なことに、ここは2Fよりもさらに強いモンスターが生息しているはずなのに、まったく遭遇しません。
しばらく歩いていると、唐突に後ろから声をかけられました。
「立ち去れ」
「きゃぁぁ!!!」
あまりに唐突なので私は悲鳴を上げてしまいました。
恐る恐る振り返ると、両手で耳をふさいでる少年がいました。
「・・・騒々しい」
少年は耳をふさいでいる両手を離すと、私に文句を言いました。
「あ、ご・・・ごめんなさい!」
私はぺこりとお辞儀をして、誤りました。
「・・・ここに何ようだ」
少年は仕切りなおしとばかりに私に問いかけました。
「えっと、あなたに会いに来ました」
私が答えると、少年の周りの空気が一変しました。
私を警戒して、腰の剣に手をかけました。
「わ・・・私は別にあなたと戦いにきたわけじゃありません!」
ブンブンと顔の前で両手を振りながら言うと、
少年は警戒は解かないまま、腰の剣から手を離しました。
「・・・して、何ようだ」
少年は次の言葉を私に促しました。
「えっと、昨日は助けてくれて、ありがとうございました」
ぺこりとお辞儀をして、丁重にお礼を言います。
「助けたつもりは無い、我は我のなすべきをしたまで」
自分は自分の仕事をしただけで、私を助けたつもりはないという少年。
「でも、私を助けてくれたのは本当だから、ありがとうございました」
少年は少年のやることをしただけかもしれません。
でも、それで私は助けられたのですからお礼を言うのは当然のことです。
「・・・用が済んだのなら、立ち去れ」
少年は肯定も否定もしないで、私にただ帰れとだけ言った。
それだけ言うと、少年は私に背を向けて早足に歩き出した。
「ちょ・・・ちょっと待ってください」
少年は私の声にぴたりと足を止めました。
私は小走りで少年に追いつくと、
ポケットの中から一個の宝石を取り出し少年に手渡した。
「これ、お礼です」
私が渡したのは、アクアマリン。
ブラックスミスさんが武器製造に使う宝石です。
「お守りです」
「・・・守りなど我には不要」
少年はそういうと、アクアマリンを私に返そうとします。
「ダメです。お礼ですから受け取っておいてください。かさばるものでもないですから」
私が、そういっても少年は頑として受け取ってはくれません。
「も~!。受け取ってくれないと、私帰りません!」
私がそういうと、少年はしぶしぶアクアマリンを懐に納めました。
「変わっているな。なぜ我を恐れない?」
懐から手を戻すと少年は不思議そうに問いかけてきます。
私だって、こうやって話していられるのが不思議なくらいです。
目の前にいるこの少年はDOP。ドッペルゲンガーなのです。
少年は私を一刀の元切り伏せることだってできるのです。
でも、私はこの時少年のことを怖くはなかったです。
「私にもわかりません」
「おかしなやつだ」
そういって私が微笑むと、少年もわずかに口元をゆがめて笑いました。
「あ・・・笑った」
私がつぶやくと、彼もはとが豆鉄砲を食らったような顔をして口を開きました。
「笑う?・・・我は今笑ったのか?コレが笑うということか」
その言葉が私の心に重くのしかかりました。
少年は笑うことを知らなかったのです。
それはどれだけ悲しいことでしょう?
私とそう年も変わらないこの少年が生まれて、今このときまでの間笑うことがありませんでした。
私とはまったく違います。
「笑う・・・悪い気分はしない。むしろ良い気分だ」
そういうと、彼はもう一度口元をゆがめて笑った。
「・・・あの・・・もし良かったら私と一緒に来ませんか?そしたらもっと笑うことができると思います」
この少年は笑うことを知りませんでした。
もっと笑ってほしいと思いました。
この外にはもっと沢山笑えることがあるから、それを知ってほしいと思いました。
「・・・我には我の使命がある。ゆえにここを離れるわけにはいかぬ」
少年は笑っていた顔を元の冷たい顔に戻して私に言いました。
私はとても重要なことを忘れていました。
そう、少年はこのダンジョンの主。ドッペルゲンガーなのです。
その少年が、このダンジョンを離れることなどできるはずが無いのです。
「すいません。私・・・」
「よい、気にするでない」
私は少年にとても失礼なことを言いました。
「さて・・・我はそろそろ戻るとする。少々話しすぎた」
少年は180℃向きを変えて私の前から立ち去ろうとする。
「あ・・・あの!」
私は立ち去ろうとする少年に向かって声をかけました。
少年は振り返りまだなにかあるのか?と、言わんばかりの顔で私の言葉を待ちました。
「また・・・来てもいいですか?」
ちょっと不安げに少年に尋ねました。
もう来るな。といわれるのが少し怖かったのです。
この少年は私達と変わらない。
確かに私達よりもずっと強いかもしれません。
でも、私達と同じ心を持っています。
「・・・墓荒らしでなければ我が咎めることも無い」
墓荒らしではないのならば、自分が止める理由は無い。
すごく遠まわしですが、少年は私が来ても何の問題も無いといってくれました。
「ありがとうございます!!」
私は少年に向かってお辞儀をしながらお礼を言いました。
私は、またここに来て彼と話ができるのです。
いままで、怖いだけで全然知ろうとしはしなかったDOPという存在。
今私はその存在をとても知りたいと思いました。
「・・・ファルザス!」
少年が何かに呼びかけました。
すると、どこからとも無く馬の形をしたモンスター。ナイトメアが現れました。
「はっ!」
馬の頭が変化して、人の形を取りました。
そして半馬半人のナイトメアが少年の前にひざまずきました。
「我が客人のお帰りだ。入り口までお送りしろ」
少年が私を客人と言ったことにファルザスさんはひどい驚きようを見せました。
「な・・・我が主!人間ではありませんか!」
驚くのも無理は無いと思います。
私は彼らにとって倒す相手であって、決して客人として扱われる存在ではないのです。
むしろ、私のほうがすごく驚いています。
なにしろ、モンスターが喋っているのです。
喋るモンスターなんて私は見たことも聞いたことも無いです。
ペットモンスターは人間と一緒にいることで言葉を覚えているみたいです。
「ファルザス。我に二度同じことを言わせる気か?」
「御意・・・」
少年の言葉にファルザスさんはしぶしぶとその命令に従いました。
「ファルザス後を頼む」
少年はそういうと私の前から姿を消しました。
歩いていったというわけではなく、まるではじめからそこにはいなかったかのように、消えてしまったのです。
「あ・・・あの・・・よろしくお願いします」
二人にされてしまった私はおずおずとファルザスさんに声をかけました。
「・・・乗れ」
ファルザスさんは姿勢を低くすると私に背に乗れと言いました。
私は言葉に従い、少し苦労をしながらなんとかファルザスさんの背に乗ることができました。
私が背に乗るのを確認すると、ファルザスさんは入り口に向かってゆっくりと歩き始めました。
「私が送れるのは3Fの入り口までだ。それより先は自分で帰るのだぞ」
ぶっきらぼうにいうファルザスさん。
この人(?)も少年と同じで意思を持っています。
「私、こうやってお話しするの初めてです」
普段私達が相手にしているモンスターは喋りません。
「当たり前だ。私達は主に生み出されたとき特別にその力を与えられているのだからな」
ファルザスさんは自慢げに話し始めました。
「上の連中は考えることもせずにただ戦うだけの機械と変わらん」
上というのは2Fのことをさしているのでしょう。
「しかし、私達は物事を考え、話し、我らが主を中心に社会体制を築いている」
社会体制とは大げさな気もしますが、確かに彼らは自ら物事を考えて、生きています。
「あ・・・あの、みんながファルザスさん見たく話せたら・・・私達と仲良くなれるんじゃないですか?」
私は質問をしました。
すべてのモンスターがファルザスさんのように話せたら、戦わなくてもすむのではないか?
みんながみんな仲良くなれるのではないのか?
そんなことを考えたからです。
「フン!、可能性のひとつとしてなくは無いだろうな。しかし、私達はすべて主の力で生かされているのだ」
私はファルザスさんの言っている意味がわからず首を傾げました。
「貴様ら人間が食事を取るのと同じように、私達は主から力をいただいて生きているのだ。まったくコレだから人間は・・・」
ファルザスさんの言っていることがわかりました。
ファルザスさん達は、少年から栄養をもらって生きているのです。
「私達のように知識を持っているものは主の力を多く必要とする。ゆえに私達のような存在には限りがあるのだ」
つまり、2Fにいるようなモンスターは少年からもらう栄養が少ないということです。
逆にファルザスさん達は少年から沢山栄養をもらわなければなりません。
少年自体が生きるためにも栄養が必要なので、
ファルザスさん達のような存在を生み出すのには限界があるということです。
「主は寛大な方だ。この階層に住むすべてのもの達にこの力を与えているのだから・・・」
私はファルザスさんの言葉に少し疑問を覚えました。
「他のダンジョンでも、ファルザスさんたちみたいに話したりできる人達はいるんですか?」
ここゲフェンダンジョンでそうならば、他のダンジョンでもファルザスさんたちのように話すことができるモンスターもいるはずです。
「それはいるだろうな。その土地の主たちがどれだけの者達に力を与えているかにもよるがな」
そんなことを話している間に3Fの入り口に到着しました。
3Fに来る物好きな人もいないので入り口の前でもまったく人がいません。
「ここまでだな」
ファルザスさんが言います。
姿勢を低くして私に下りやすくしてくれます。
「よいしょ」
乗るときよりは容易く地面に降り立つことができました。
「ファルザスさん。ありがとうございました」
ぺこりとお辞儀をして、お礼をいいます。
「主の命に従ったまでだ」
「でも、ありがとうございました」
私は今度は微笑みながら、もう一度お礼をいいました。
「どうにも、貴様といると調子が狂う、人間の癖にまったく私を怖がらないしな」
ファルザスさんはあきれたように言いました。
「最初は驚きましたけど、ファルザスさんはいい人ですから」
そういうと、ファルザスさんはもっとあきれたような複雑そうな顔をして、来た道を戻っていきました。
私はファルザスさんが見えなくなるまで手を振って、見えなくなってからプロンテラへと戻りました。
なんとも不思議な感じです。
私は今までゲフェンダンジョンにいて、ドッペルゲンガーやナイトメアとお話をしていたのです。
もっと、彼らのことを知りたい。
私はそう思うようになりました。
それから、私は毎日のようにゲフェンダンジョンに足を運ぶようになりました。
ドッペルゲンガーと話をし、帰るときはナイトメアのファルザスさんに送ってもらう。
そんな生活を送るようになりました。
正直モンスターである彼らと付き合うようになって、私は狩りをすることをあまりしなくなりました。
おかげでLVはまったくあがりません。
ちょっと困ったものですが、彼らと話したりするのは楽しいので、私は好きです。
ドッペルゲンガーである彼はずっとゲフェンダンジョンにいるので外のことに詳しくありません。
私がいろいろな話をすると、
「ふむ・・・興味深い」
と興味を示してくれるので話しをしている私としても楽しいです。
私はこの時間が少しでも長く続けばいいと思いました。
続
知らない人のための簡易用語説明
~基本用語~
ハエの羽;マップないのどこかの場所にランダムでテレポートするアイテム。
ハンター:Decoでいうスナイパー的な職。スナイパーの攻撃特化型といった感じの職。
カプラさん:街の便利屋さん。アイテムを預かってくれたり、別の街にワープさせてくれたりする親切な人たち。カプラ社に勤めているところから通称カプラさん。
空間移動:呼んで字のごとく。
トリプル・ボーンド・チェイン:非常に強いチェイン。+8でさらに強い。
ハンターフライ:ゲフェンダンジョンに生息するモンスター赤くて通常の三倍(?)の性能を持つところからシャアと呼ばれている。
ナイトメア:馬の形をしたモンスター。馬の顔の部分が人型になることもある。(ケンタウロスか?)
ハンター:Decoでいうスナイパー的な職。スナイパーの攻撃特化型といった感じの職。
カプラさん:街の便利屋さん。アイテムを預かってくれたり、別の街にワープさせてくれたりする親切な人たち。カプラ社に勤めているところから通称カプラさん。
空間移動:呼んで字のごとく。
トリプル・ボーンド・チェイン:非常に強いチェイン。+8でさらに強い。
ハンターフライ:ゲフェンダンジョンに生息するモンスター赤くて通常の三倍(?)の性能を持つところからシャアと呼ばれている。
ナイトメア:馬の形をしたモンスター。馬の顔の部分が人型になることもある。(ケンタウロスか?)
どうも~第一話、第二話同時公開で読む人も大変w
でも頑張って読んでこのあとがきまで読んでくれたらもう感激w
予告どおりちょっとだけでたねw
みんなの知ってるあの人w
このあと活躍する!!…かなぁ?
感想、意見等は雑談BBSによろしくねw
でも頑張って読んでこのあとがきまで読んでくれたらもう感激w
予告どおりちょっとだけでたねw
みんなの知ってるあの人w
このあと活躍する!!…かなぁ?
感想、意見等は雑談BBSによろしくねw
