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サプライズド・T・アタック(前編) - (2007/08/07 (火) 02:44:33) の1つ前との変更点
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**サプライズド・T・アタック(前編) ◆4JreXf579k
神社へ行くはずの救急車は停止していた。
それはさほど珍しい光景ではない。
今この時間は島のいたる所で悲しみの声が上がっているのだろう。
無論この救急車に乗っている集団にも悲しみの知らせは届いていた。
相沢祐一と大石倉人の両名が死んだのだ。
しかし、それだけなら問題なく救急車は動いていたであろう。
彼らには神社へ急いで行かねばならない理由があるのだから。
だが、今回のケースは少しばかり勝手が違う。
読み上げられた死者の中にあるべき名前が入ってなかったからのだ。
その人物の名前は水瀬名雪。
「ウソ……名雪さん……生きてるの?」
あゆは思わず両手を口元に当てて驚きの声を上げる。
あゆは瞳にメスを突き立て殺してしまったと思い込んでいたが実際のところは生きていた。
片目を失明という重傷を負っているものの白鐘沙羅に保護され、現在も存命中である。
「遠野さん……これって……」
「ええ」
「………………俺は一人で神社に行く。 お前等は道を引き返して名雪を見つけろ」
顔を見合わせ喜ぶ圭一と美凪。
しかし武は二人とは変わって神妙な面持ちでここで別れることを提案した。
もちろん圭一等も神社に行って土見稟を阻止するチームと名雪を捜索、保護するチームとに分割するのだということは分かっている。
しかし何故二人ずつに別れるのではなく三人と一人なのかということが分からなかった。
「どうして武さんだけ一人なんですか?」
「まず、あゆは当事者だから当然名雪の捜索に回ってもらう。 圭一、お前は大石って刑事のこともあるだろうから一緒に行ってやれ。
それに途中誰かに襲われる可能性もあるから二人のお守りも兼ねてもらう」
「私は……どうしてででしょう?」
あゆと圭一に関しては三人とも容易に予測がついた。
しかしなぜここで美凪までも名雪捜索のチームに組み込まれるのかは三人には理解ができなかった。
人数配分を逆にしているのではないかとさえ思う。
道中誰かに襲われる『可能性のある』名雪捜索チーム。
神社で土見稟との戦闘が起こることが『ほぼ確定している』神社チーム。
常識的に考えて神社では稟との対決は避けられない以上神社に行くチームに人手を多く割くべきなのだ。
だから神社に行くチームの方が三人ならまだ納得行くかもしれなかった。
しかし武が提案したのは全く逆の人数配分。
提案した武本人以外は一様に首をかしげている。
「俺一人の方が身軽でいい。 いざって時に逃げるなら一人の方が楽だからな」
「私……足手纏いですか?」
「……有り体に言えばな。 お前やあゆのような非戦闘員は邪魔になる。 かといってお前にバット持って戦えって言うわけにもいかない」」
「武さん、その言い草はあんまりだ」
「いいんです、前原さん。 武さんも本気で言っている訳ではないでしょう」
美凪は武が言外に含んだ意図を察知しおとなしく引き下がることにした。
たとえ実際に戦場に立つことは無くとも自分を危険な目に合わせたくないのだろうという気持ちはひしひしと伝わってきた。
危険な役目は全て自分に任せろ。
仲間が傷つくくらいなら自分が傷ついた方がマシ。
それはとても倉成武という人間らしい考え方であった。
倉成武という人間を知るものに聞けば、誰もがあいつならそう言うと口をそろえるだろう。
しかし武の本音――自分でも気付いてないが――は別のところにある。
率直に言えば怖いのだ。
圭一が、美凪が、あゆが、いつか裏切って自分に牙を剥いて襲ってくる妄想が先ほどから武の頭を離れない。
それは土見稟に打たれたH173によるもの。
雛見沢症候群と呼ばれる雛見沢独特の風土病を病院での稟との戦闘時に発症させられたのだ。
雛見沢症候群、それを端的に説明するなら他人が信用できなくなり、最後には自身の喉を掻き毟って死んでしまうおそろしいもの、と言える。
無論武とてそのことを忘れていたわけではない。
病院で倒れていた稟を保護したとき荷物の検査はしたし、その中に麻酔銃や麻酔薬、H173という見たことも聞いたことのないものも見つけた。
あのとき稟に打たれたが麻酔であるかH173であるかは武には分からなかったものの、どちらを打たれたにせよキュレイの免疫能力を信じていたので放っておくことにした。
武は致死率85%以上のウイルス、ティーフ・ブラウをも瞬く間に治すキュレイウイルスのキャリアだ。
キュレイ、それは人類の永遠の命題である不老不死を体現するもの。
人間の寿命を司るテロメアを永遠に回復させ続け、同時に各種身体能力、再生能力、免疫能力を異常なまでに高める。
たとえH173、そして雛見沢症候群がウイルス性だろうが細菌性によるものだろうが関係ない。
キュレイは体内の異常の全てを飲み込み全てを喰らい尽くす。
そのはずであった。
しかし、この島ではキュレイウイルスの影響は著しく制限されている。
そのためH173の侵攻を許してしまっていることに武本人は気づいてない。
これはキュレイの力を過信した武のミス。
この島ではキュレイもH173の症状を浅い程度に留めておくことしかできないのだ。
「ですから前原さん、私たちは一刻も早く水瀬さんを探して武さんの援軍に駆けつけましょう」
「……分かった。 武さん、すぐに駆けつける。 あゆ、いいな?」
「う、うん……」
どこか歯切れの悪い返事をするあゆは複雑な気分であった。
相沢祐一は、大切な人は死んでしまったけどもう一人の大切な人は生きていた、それはいいことだ。
けれど他人の差し金とはいえ大石、乙女の両名の命を奪ったのは紛れも無く自分。
そして名雪にも死んだと思っていたほどの重傷を負わせていたのである。
死んだ大石と乙女の遺体に会って、生きていた名雪に会って、どうすればいいのか悩む。
謝って、許してくれるだろうか。
いや、許しはしないだろう。
何故ならあゆが大石や乙女や名雪の立場なら決して許したいとは思わないからだ。
そして大石の知人である圭一も許しはしないといっていた。
死ね、地獄の業火に焼かれろ、あの世で詫び続けろ、あゆの想像の中の名雪等が次々とあゆに罵声を浴びせる。
そしてあゆはそれにじっと耐えるしかないのだ。
ホイホイ人を信じた自分が馬鹿だったから、騙された自分が悪いのだから謝ることはできても許されることは無い。
もしも相沢祐一が生きてこの場にいれば、どういう行動を取っていただろう。
あゆを庇ってくれただろうか、それとも名雪と一緒にあゆを責めていただろうか、分からない。
けれどあの三人と祐一のことを考えると悪い考えしか思い浮かばないのだ。
いっそこのまま死んでしまいたい。
それがあゆの本音である。
けれど自分には自殺する勇気はないし、誰かの手にかかるのもまた怖かった。
自分を守ってくれた乙女、一見怖そうな人だったけど実は優しかった大石、二人を殺した事実はあゆにとって耐え難いものとなっている。
そんなあゆの内なる心の領域を読み取ったのか美凪は優しく声をかけた。
「あゆちゃん、怖いの?」
「え…………うん」
武たちは知らない。
土見稟は神社へ向かってないことを。
水瀬名雪はすでに白鐘沙羅に保護されていることを。
彼等の会話のほとんどが無駄なものになっていることを。
むしろ心配するなら自分等の身の回りであることを。
「怖くても逃げちゃ駄目。 一番怖いのは罪から目をそらして生き続けることだから。」
「……」
「逃げるのは簡単。 けど今逃げたら後で一生後悔する」
武たちは気づいていない。
近くに自分等を襲う機会を窺っている狼がいることを。
狼が武器を片手に少しづつ接近していることを。
そして今、狼が4人への攻撃を開始したことを。
「だからあゆちゃん。 あなたは――」
美凪が全ての言葉を言い切ることはできなかった。
投げられたダイナマイトが爆発したのだ。
爆発したのは救急車の助手席の2メートルほど手前。
凄まじい火炎と爆風が救急車の助手席側の窓ガラスを激しく叩きつける。
幸い距離が離れていたため爆風が窓ガラスを割ることは無かった。
しかし、窓ガラスに叩きつけられた爆風と救急車のすぐ近くであがっている炎は車内の人間を混乱させるには十分だった。
「ひ……うわあああああああ」
「あ、バカ!?」
圭一の警告を聞かずに真っ先に車からあゆが飛び出した。
それを見逃す襲撃者ではない。
元々ダイナマイトは車の真下に投げ入れ車内の人間の一網打尽を狙ったのだが力加減を誤ったのだ。
だが襲撃者は自らの失敗にくよくよせずにすぐに次の作戦に切り替える。
近くでダイナマイトが爆発すれば中に乗っている人物が驚くのは明白。
ならば慌てて車外に出てくる人間が必ずいるはず。
そんな人間を木陰から銃で狙い撃ちすることに決めたのだ。
すぐに救急車を発進させてこの場を離脱する可能性も考えられたが顔も見られてないし、ダイナマイトの損失も一本で済むので安いものである。
結果は見てのとおり。
救急車の後部からあゆが出てきたの見て笑いながら銃を撃った。
狙いを定めて一発であゆの右足を打ち抜くことに成功。
引き金を引いた瞬間、あゆの右足に穴が開き血が吹き出るのを見て、女は笑みをこぼした。
襲撃者は咲耶。
咲耶は商店街で医療品などの物資の補充を手早く済ませ移動した。
武器は手に入らなかったがあくまで目的の品は手に入ったのでそれは良しとした。
そして千影や衛ら残った姉妹も全員健在でいることに喜びつつ、軽い足取りで新たな獲物を探すべく島の中央部へと向かっていたのだ。
そこで見つけた救急車。
救急車なんてけったいな車に乗っている人間などそうそういない。
咲耶は車に乗っているのが先ほどの四人に間違いないと思っていた。
そして何故こんなところで車を止めているかは分からないが、これは絶好の襲撃のチャンスだと判断したのだ。
「うあああああああああああああ! 痛い、痛いよぉ!!」
地べたに這いつくばり、足を掴みながら叫び声を上げるあゆ。
咲耶はそんなあゆを追撃することはしなかった。
救急車に少なくとも四人の人間が乗っていることは咲耶も知っている。
だからこそこのままあゆののたうち回る姿を眺めるだけにしているのだ。
「あゆ!!」
何故なら、このようにあゆを助けようと新たな人間が車内から出てくるのは容易に想像が付くからだ。
圭一が足を押さえて暴れるあゆ助けるべく救急車から飛び出す。
しかしそんな圭一の行動も全て咲耶の予想済み。
あまりに予想通りに物事が進むことに笑いを噛み殺すのに必死だった。
今度は圭一へと銃の照準を向けた。
もう一人くらい炙り出すために急所は避けて撃つことにするか。
そう考えた咲耶は今度も足を狙うべく引き金を引く。
轟音と共に放たれた銃弾は圭一の足を貫くことは無く後方の木を穿つだけにとどまった。
狙いが外れたことに安堵しつつ、圭一はあゆを抱える。
咲耶もそのまま救急車の中へとお持ち帰りになるのを許すはずは無い。
更なる銃弾を繰り出すべく再び圭一に狙いをつける。
今度は外さないよう面積の広い上半身へ狙いをつけた。
轟音とともに再び放たれた銃弾。
咲耶のS&W M627PCカスタムから発射された弾丸は圭一の肩へ命中した。
皮膚を抉り筋肉を引き裂く痛みに堪えつつ、それでも圭一はあゆを抱えて救急車へと入ることに成功する。
再び救急車の中へと入られてしまったが、咲耶にはなんの問題も無い。
それならダイナマイトをもう一度使用すればいい。
デイパックから新たなダイナマイトを取り出す咲耶。
それを見ていた美凪が咲耶の行動を察知して咲耶のいる方向へ手榴弾を投げた。
咲耶のすぐ近くに転がる手榴弾。
その武器は映画でも何度も見たことあるし、ダイナマイトという似たような爆破系の武器を持っているので咲耶はそれがなんなのかすぐに分かった。
黒いパイナップルから慌てて遠ざかる。
もし一瞬でも判断が遅ければ、蛋白質の塊が一つできあがるところだ。
ほどなくして爆発する手榴弾。
新たな木陰に隠れつつ、爆風で暴れる髪の毛を抑えて咲耶は苛立たしげに舌を打った。
(やってくれるじゃない)
咲耶はダイナマイトを取り出しつつも、これ以上の戦闘の継続は危険だと判断した。
もとより数の上では不利なのは明らかだったし、件の集団からは必要なことは聞きだしてる。
敵に手傷を負わせることにも成功したし、これ以上戦闘を継続するメリットはない。
最後にもう一発ダイナマイトをかまして撤退することに決めて導火線に着火しようとする。
しかし、導火線に火をつける動作は途中で中断せざるを得なかった。
いつの間にか咲耶の左斜め前方に男が立っていることに気付いたためである。
男は自らの獲物である永遠神剣『求め』を鞘から抜き放ち、咲耶目掛けて突進している。
(銃は……間に合わない! ダイナマイト……近すぎる!)
すでに銃でもダイナマイトでも危険なほど近距離に接近していた男に対応すべく、咲耶もダイナマイトをデイパックに入れ、地獄蝶々を構えた。
男――武は圭一があゆのために飛び出るよりも前に、咲耶の死角である救急車の運転席側から密かに車外へ脱出していた。
そして美凪の投げた手榴弾の爆発と同時に一気に咲耶へと距離を詰めていたのである。
「おおおおおおおおおおおおおおおおお!」
裂帛の気合とともに放たれた倉成武の袈裟斬りを咲耶はなんとか受け流すことに成功する。
男と女、加えて年齢の差は身体能力の絶対的な違いをもたらす。
咲耶がまともに刀で受けるのは明らかに危険だ。
距離を開けて銃やダイナマイトで戦うべきなのだが、武もそれは重々承知している。
なんとかして距離を取ろうとする咲耶に対し、果敢に接近戦を仕掛けていく。
「前原さん、あゆちゃん!」
「ぐっ……俺は大丈夫だ。 先にそっちを見てやってくれ」
「はい。 あゆちゃん、治療しますからおとなしくしていてください」
「うぐぅ……痛い、痛い、痛いよ。 足が、足がぁぁぁ」
「ちょっと傷を見せて……これなら大丈夫です。 二人とも弾丸は完全に貫通しています」
武が咲耶と戦っている間、救急車に戻った圭一等は怪我の治療を始めていた。
幸い救急車の中なので必要な道具はほぼ全て揃っている
弾丸が完全に貫通していることを確認して美凪はまずあゆの治療からすることにした。
今も武と咲耶は戦い続けているのだろう。
外からは剣戟の音が時折聞こえてくる。
出血の止まらないあゆの足を些か乱暴に止血したあと、消毒をする。
あゆはさらに痛そうな顔をするものの、途中で止めるわけにはいかないので申し訳ないと思いつつ消毒を続けた。
消毒が終わったあとはこの状況では考えられないような正確さと丁寧さと速さであゆの足に包帯を巻く。
最後に痛み止めの薬を飲んでもらった。
「終わりました。 薬を飲んだから眠くなるかもしれないけど我慢してくださいね」
「う、うん……ありがとう」
「次は前原さんを――」
「遠野さん、こっちは自分でやっといた」
「……痛みに堪えて頑張ったで賞」
「い、いやこの状況でお米券は……」
「はい、冗談です。 それではここから出てしまいしょう。 幸い武さんが足止めしてくれてますから」
「そうだな。 またダイナマイトなんか投げられたらたまらないからな」
3人は何の障害もなく車外に出ることができた。
安全な場所に美凪たちを誘導しつつ、ふと圭一は武が戦っている方向に目をやると戦いはまだ続いていた。
『地獄蝶々』と『求め』、二つの世界でも指折りの銘刀と銘剣は二つの剣が斬り合うたびに火花を散らせ美しく輝く。
真上に上った日輪の光を受け、雄々しく光を放つ『地獄蝶々』。
一太刀ごとに星のきらめきを連想させる『求め』。
本来なら相見えるはずのなかった異世界の二つの剣は負けじと互いの体をぶつけ合う。
圭一たちは二人の戦いに魅了されるのを抑えることができなかった。
もしもこの戦いがルール無用の殺し合いでなく正式なルールに則った試合なら圭一たちは惜しげもなく二人に拍手を送っていたであろう。
しかしながら武器の強度に関しては完全に互角の戦いであった戦いは、持ち手の身体能力によって大きく左右されていた。
斬り合いが何合か続けられていた今、勝負の行く末は武に完全に傾いている。
先に述べた身体能力の差、そして離れて距離をとることを考え続けている咲耶と前へ前へと進むことしか考えていない武。
気持ちの上でも消極的になってる咲耶に勝利の女神が微笑むはずはないのである。
咲耶がこれまで持ち堪えていたのは運が良いとしか言いようがない。
「はあっ!」
気合いの入った武の声。
真上に大きく剣を振り上げ、そして十分な溜めの後に振り下ろす。
今までの攻撃とは明らかに違う気迫。
繰り出される大振りの一撃、それは真向唐竹割りだ。
これが決まればまず間違いなく標的を真っ二つにすることができるであろう。
使い手は素人といえど永遠神剣の名は伊達ではない。
咲耶もそれは分かっているのだろう。
あれほどの勢いをつけられた一撃は刀で受けることも受け流そうとすることも自殺行為に等しい。
刀を構えることもなく回避することのみに全身全霊を費やす。
これだけ大振りの一撃ならまず間違いなく攻撃の後に隙が生まれる。
最大の隙とは最大の攻撃の後に生まれるものだ。
その隙を叩けばいい。
当たれば武の勝ち、外せば逆に咲耶最大のチャンスが訪れる。
神速の斬撃が咲耶の正中線をなぞる様な軌道を描く。
剣を振り下ろす武。
避ける咲耶。
一瞬、世界が光に包まれる!
「くっ!?」
それはどちらの声であったのか。
必殺の一撃は必殺とは成り得ず、空気と地面を切り裂いただけであった。
武の攻撃は外れたのだ。
外れたと言ってもそれはまさに紙一重。
咲耶は背筋が凍るのを抑えられない。
あと米粒一つほど距離が詰まっていれば間違いなく剣線は咲耶の体に届いていただろう。
そして振り下ろされた一撃の威力を物語るように、土が舞い上がり咲耶の頬を剣風が吹き付ける。
しかし今ここで咲耶に最大のチャンス――待ちに待っていた最高の機会が訪れた。
「もらったわ!」
あれだけ大振りの一撃をから即座に体勢を立て直すことなど如何に達人であろうと難しい。
刀をそのまま横薙ぎに振るう。
咲耶の逆転勝ち、そう思われたその瞬間、武は次の行動に移った。
武は躊躇うこともなく剣を両手から離し、肩を咲耶に向かって突き出す。
それはあらかじめ武が考えていた次善の策。
もしも先の一撃が外れた場合、そのまま速やかにタックルへと移行するという策。
振り下ろした剣の勢いをそのままタックルへの一撃へと変換して体重移動を行う。
これを避けられたら武にはもう次の手はない。
だから、全身の筋肉をただそれだけを為すためにフル稼働した。
咲耶の攻撃よりも早く武の渾身のタックルが咲耶の体に吸い込まれる!
「あああああああああああああああ!」
咲耶が吹き飛ばされるような勢いで後方の木に叩きつけられる。
いや、ような、ではない。
咲耶は吹き飛ばされた瞬間、間違いなく空を飛んでいた。
「がはっ!?」
全身がバラバラになりそうな激痛が咲耶を襲う。
意識が持って行かれそうになるのを必死にこらえながら、咲耶はそれでも刀を構え防御の姿勢をとる。
しかし武は追撃することなく咲耶から離れていった。
回収した『求め』とあるものを肩に担いで。
武の肩に担がれたそれを見た瞬間、咲耶の顔面は蒼白になる。
武が担いでるもの、それは咲耶のデイパックであった。
咲耶は吹き飛ばされた瞬間、手からデイパックが離れていたことにようやく気づく。
銃と刀、主な武器は今も咲耶の手にある。
しかし、銃を撃つのに必要な予備の弾やダイナマイトなどはあの中だ。
咲耶にとってあれを奪われることは事実上の戦力の半減。
ここで弾を惜しんでは元も子もない。
咲耶は銃を構え、必中を心掛けて二連射した。
「ぐおっ!?」
一発の銃弾が武の脇腹を捉えた。
しかし武の走る勢いは止まらない。
そのまま近くの木陰に身を隠し、まんまと咲耶のデイパックを奪取することに成功した。
「武さん!」
さらに美凪とあゆを比較的安全な場所においてきた圭一までもが加勢に加わろうとしている。
咲耶は撤退を選択せざるを得ない状況に追い込まれる。
しかし、タックルのダメージも抜けていない今は撤退すらも難しい。
咲耶はまさに絶体絶命の窮地に追い込まれた。
■
「頑張った方だけど、これで終わりかな」
戦いの一部始終を覗いていた良美はそう思った。
実は咲耶が救急車に乗った一団を襲撃する前から佐藤良美は救急車のすぐ近くにいたのだ。
といってもどうしてここにいるのかと聞かれれば良美は上手く答えることができない。
良美が覚えている最後の記憶は放送で霧夜エリカの名前が呼ばれたこと。
自分がそのことについてひどく悲しんでいたこと、それだけであった。
それからのことは良美も覚えていない。
気がつけば良美は藤林杏の死体のすぐそばではなくこんなところにいた。
ただ、放送からある程度時間が経っていることから、良美本人が瞬間移動したわけではないようだ。
頬には涙を流した感触が残っている。
おそらく悲しみのあまり自暴自棄になって走り回ったのだろう。
脳がそれを覚えていないのは対馬レオと霧夜エリカの死に耐えられなかったから、と良美は考えていた。
それはともかく、良美は圭一等のすぐ近くで戦いの様子を最初期から窺っていた。
戦っているのが因縁ある圭一であることには若干驚いたが、それでも良美のやることは変わらない。
いつものように役に立つ人間や集団には無害を装って溶け込み、必要ない人間や自分にとって都合の悪い人間は排除するだけ。
今回は圭一たちがいる以上もちろん後者だ。
咲耶が最初にダイナマイトで武たちを襲撃したとき、当然良美は漁夫の利を狙っていた。
しかし今現在の良美の武器は残り3発しか入ってない銃と錐のみ。
仮に運良く弾丸一発につき一人を仕留めることができたとしても殺せるのは三人。
残った二人と戦うのに錐は有効な武器とは言えない。
かといって迂闊に出ていくことはあまりにも頭の悪い考えだ。
咲耶が頑張って頭数を減らしてくれることに期待したのだがこれは期待外れの結果になった。
結果は見ての通りだ。
咲耶はデイパックを奪われるという最大の愚を犯した揚句、窮地に陥っている。
仕方なく今回は静観を決め込むことにした方が賢いと判断した。
しかし、こうもおいしいシチュエーションを逃すのは良美にとってあまり気分のいい話ではない。
もしも咲耶がもう少し頑張って敵の一人や二人仕留めてくれれば、あるいは良美の装備がもう少しマトモであったならば、良美はすぐにでも戦いに参入していたであろう。
ちょうど今良美が身を潜めている場所は咲耶と共に武たちを挟撃することが可能な位置なのだ。
正反対の位置から同時に襲撃されてはいかに人数がいようと恐れることはない。
そう、良美にとってこれは絶好のチャンスなのだ。
しかし――
(せめてあと一つ、状況を決定的に変える何かが欲しいんだけど)
そう、良美には武器が足りない。
咲耶は今にもやられそうな雰囲気。
これでは望み通りの戦果を得ることなど夢のまた夢。
あと一押し、良美が戦いに参入する理由となり得る最後のピースが足りないのだ。
やはり静観するのがベストか、良美がそう思ったとき――最後のピースとなり得る存在が現れた。
「あゆちゃん! 見つけた!」
普段の彼女を知る者なら決してそれは彼女の声だとは思わないであろう。
何故なら、それほどまでに彼女の声は毒々しく、怨嗟の色に染め上げられていたのだから。
「な、名雪さん!」
あゆは新たな二人の登場に驚きを隠せなかった。
現われたのは水瀬名雪と白鐘沙羅。
撤退を決めていた咲耶はもちろん武と圭一も思わぬ人物の登場に立ち止まる。
なぜ図書館にいたはずの二人がこの場にいるのか?
答えはやはりと言うべきか先ほどの放送だった。
沙羅は放送で恋太郎の死を知った。
双樹に続き恋太郎もまた失ったのである。
その悲しみはいくら言葉を重ねようと表現できるものではない。
三人はいつも一緒。
三人で一人。
三人で幸せになろう。
そう誓い合った二人が死に、沙羅はこの世に一人ぼっちになったのである。
できるなら世界が終わるまで恋太郎の死を悲しんでいたかった。
遺体でもいいから二人にもう一度会いたい。
だが、沙羅に悲しむ暇はなかった。
水瀬名雪の後を追うのに夢中だったからである。
名雪も放送の直前に目を覚まし、放送を一字一句違えずに聞いていた。
放送を聴き終えた名雪はしばらく呆けた顔をしていたものの、
「あゆちゃん、あゆちゃん……!」
そう言うとともに突然外へ飛び出したのである。
恋太郎の死を悲しんではいたいが、重傷を負った名雪を放っておくこともできない。
それにやっと出会った初めての人間と別れたくない気持ちもあった。
結局、沙羅には名雪を追いかける以外の選択肢はなかったのだ。
そして名雪から気絶していた理由、怪我をした経緯などを聞きつつ、当てもなくあゆを探す名雪について行くことにしたのである。
それは良美の願いを叶えるために現れたのだろうか。
はたまた単なる偶然なのか。
どちらにせよ良美が願っていた決定的に状況を変えるものがこの場に出現した。
特に手がかりがあるわけでもなかった名雪のあゆ捜索はこうも短時間でターゲットを見つけることに成功したのだ。
「ごめんね……名雪さん。 謝っても許してもらえるなんて思ってないよ。 だけど、ごめん……」
「謝る? 今さら何を謝るの? 大石さんと乙女さんを殺したこと!? 私も殺そうとしたこと!?」
「……」
あゆは何も言い返すことができない。
佐藤良美の差し金とはいえ大石と乙女の二人を殺したこと、名雪を傷付けたことは事実なのだ。
あのときの記憶が思い出したくもないのに色鮮やかに蘇る。
槍を構えながらゆっくりとあゆ達の方へ歩みを勧める名雪。
沙羅もまた銃を取り出しいつでも撃てるよう構えた。
「謝る必要なんてないんだよ……。 許すつもりなんかないんだからね!!」
「ひうっ!」
その一言とともに一直線に突撃をしてくる名雪。
体格に合わない槍を装備した上半身はいささか不安定だが、それでも抱えて走るだけなら何の不都合もない。
「沙羅ちゃんも手伝って!」
「ええ!? ちょ、ちょっと、待ちなさいよ!? 本当にあの子がみんなを殺したの?」
「死んじゃえええええええええええええええええ!!」
沙羅にはあゆのような臆病そうな少女が人殺しをしたとは信じられなかった。
また咄嗟のことなので手伝ってといわれても瞬時に対応することができない。
念のために銃を構えておいたが、それでも撃つつもりは全くと言っていいほどなかった。
だが、沙羅の反応も無視して名雪はあゆを目指してひたすら走り出す。
「名雪ちゃん!」
「さ、佐藤さん!?」
名雪を呼び止めたのはこのイレギュラーを待ち望んでいた佐藤良美。
名雪は横から呼ばれたことに驚くものの、それが佐藤良美であることに気付き、安心した。
良美はあゆと名雪の会話のやり取りを聞いて、あることを思いついたのだ。
二人の会話と態度から察するに、名雪はあゆが大石と乙女を殺したのだと勘違いしている。
その答えは半分正解で半分間違い。
確かに毒を飲ませたのはあゆ本人だが、飲ませるよう指図したのは良美本人だ。
しかし、名雪に真実を教えてやる必要はない。
「小屋に戻ったら大石さん達が……あゆちゃんがやったの?」
「そうだよ、佐藤さん! あゆちゃんは私の目の前で二人を殺して、私も殺そうとしたんだよ!」
「乙女先輩をよくも……許せない……名雪ちゃん、あゆちゃんを殺すのを手伝って!」
「うん!」
「私は他の人を抑えておくから、名雪ちゃんはあゆちゃんを!」
「分かったよ!」
こうして哀れな操り人形が一体完成した。
手駒にするには少し時間がかかるかと思ったが、名雪は良美本人も拍子抜けするほど簡単に良美を信じてくれた。
それほどまでに名雪のあゆに対する憎しみは強い。
他人を信じることの難しいこの島において、無条件に信頼できるこの島に来る前からの友達という存在。
その友達に裏切られた。
信じれる仲間や祐一を失った今、名雪の心にあるのはあゆへの復讐のみ。
強く信じていた分だけ裏切られた憎しみもまた大きいのである。
「違います」
静かな、けれど芯の通った美凪の声が辺り一帯の空間に心地よく響く。
震えるあゆを抱きかかえながら美凪は事の顛末を説明する。
誰もが足を止めて美凪の声に耳を傾けた。
「大石さんと鉄さんを殺したのはあゆちゃんじゃないです。 犯人は佐藤さんです」
そう言って佐藤良美を指差す。
これも良美の想定の範囲内、そして越えるべき最大の難所だ。
名雪やあゆのような当事者があの状況を正しく理解するにはよほど頭が切れないと難しい。
しかし、第三者が客観的に起こった出来事について分析すれば簡単に真実にたどり着ける。
「嘘よ! あの場にいない佐藤さんがどうやって二人を殺せるの!?」
名雪の心は揺るがない。
名雪は確かに大石や乙女の断末魔の表情を見た。
そしてその場にいたのは佐藤良美ではなく月宮あゆ。
名雪に重傷を負わせたのもあゆだ。
佐藤良美はあのときあの場にいなかった。
名雪はあゆこそが犯人であるという絶対的な確信がある。
だから美凪の声は名雪の凍てついた心に何の影響も及ばなかった。
しかし、次の声には名雪も動揺せざるを得ない。
「毒だ! 大石さんと鉄さんが食べた食べ物か飲み物に毒が入ってれば説明がつく」
今度は圭一が叫ぶ。
あゆを許すつもりはまだ毛頭無いが、佐藤良美というある意味圭一が一番出会いたくなかった脅威がそこにいる。
まだ猫をかぶっていた時の良美の言葉を思い出す。
対馬レオと霧夜エリカという人物を探していることを。
そしてレオは前回の放送時に、エリカは今回の放送時に死んだことを。
人を殺してまで二人を守ろうとしていた人間が守るべき対象を全て失ったとき、その人間はどうする?
今まで何をしていたのかと人を殺したことを悔やむ?
そのまま人を殺し続ける?
自暴自棄になって自殺する?
答えは良美の目を見れば分かる。
良美の目は絶望に染まっているか? ――否。
後悔の念に囚われているか? ――否。
良美は天使の微笑を見せていた。
そう、それはとてもとても素敵な笑み。
大切な人が殺されたとは思えないような、むしろこれから何かめでたいことがあるかのような笑みを浮かべている。
あれはきっとまだ良からぬことを企んでいる証拠に違いない。
圭一はそう思っていた。
「そ、それは……」
名雪は良美の目にもはっきりと分かるほど動揺していた。
同伴している沙羅も例外ではない。
毒――犯人が現場にいなくても人を殺せる魔法の道具。
確かに毒を用いれば良美にも大石たちを殺すことが可能だし、飲み物を飲んだ瞬間に血を吐いたことにも説明がつく。
名雪が信じていたものがまた一つ崩壊する。
名雪は恐る恐る良美のほうを見た。
「さ、佐藤さん……」
「ち、違うよ! 私毒なんて飲ませてないし、持ってもいないよ!」
良美は突然犯人扱いされたことに驚き、必死で否定する。
もちろんそれは演技。
声を荒げてそれは違うと反論するより、こういう態度のほうが人は信じてくれる。
しかし名雪も良美の言葉を鵜呑みせず、疑わしい視線をぶつけてくる。
(ここからは正念場ね……)
造られた表情とは裏腹に良美の頭はフル回転していた。
いかに圭一たちを論破して名雪の自分への信頼を固いものにするか。
今この場にいる全ての人物の注目が良美に注がれている。
生半可な理屈ではこの場にいるあゆを除いた六人もの人間を騙し通すことはできない。
迷えば迷うほど状況は良美に不利に傾く。
できるだけ早く、そして完璧な理論を構築しないといけない。
先ほどのあゆと名雪の会話のやり取りから少しでも多くの情報を拾い出す。
「第一、名雪ちゃんのその怪我はどうしたの? あゆちゃんがやったんじゃないの?」
大石と乙女のことはおいて、確定している事実を名雪に突きつける。
名雪は包帯の巻かれた自分の顔に手をやった。
再び名雪の心が揺れ動いたのを確認して、そのまま良美は畳み掛けるように続けた。
「私が毒を飲ませた? そうね、毒なら私にもできるかもね。 でも現実を見て! 名雪ちゃんを傷つけたのは誰?」
「騙されるな! 佐藤さんは同じ学校の生徒だって平気で殺す人間なんだよ!」
名雪は何がなんだか分からなかった。
今も続いている良美と圭一の舌戦はもはや名雪の耳には入っていない。
良美の言うことにも、圭一の言うことにも納得できるものができる。
それ故に何が正しくて何が間違いなのか分からない。
一体何を基準に信じればいいのか。
名雪の心はメトロノームのようにせわしなく揺れている。
名雪の視線もまた名雪の心と同じようにせわしなく辺りをキョロキョロと見回す。
そして名雪は『真実』を見つけた。
「咲耶……ちゃん?」
「え?」
今まで蚊帳の外にいた人物に急に視線が集まることになる。
名雪の目に留まったのは咲耶。
この殺し合いが始まって名雪が初めて出会った人物である千影。
その千影が探していた人物の外見に合致する人物が今まさにこの場にいるのだ。
「咲耶ちゃんだよね?」
「……ええ、そうだけど?」
咲耶は一つの希望を抱いた。
この島で自分の名前を知っている人物は限られている。
厳島貴子を殺したときに第三者に聞かれていたか、愛する姉妹から聞いたかのどちらかしかない。
そして厳島貴子を殺したとき、周りには誰もいなかった。
ならば、答えは一つしかない。
「私、千影ちゃんに会ったよ!」
「本当に! いつ? どこで?」
「千影ちゃんとはこの次の放送の時間に神社で会う約束をしているよ!」
ついに探していた姉妹の情報を得ることに成功した咲耶は、この島に来て初めて心の底から笑うことができた。
「でも咲耶ちゃん、その怪我は……」
「え、こ、これは……」
痛いところに気付かれた咲耶は焦りを感じるとともにこの場を潜り抜ける嘘を考える。
姉妹を守るためとはいえ、人を殺していたことを知られたくはない。
そして半ば返り討ちに近い形となっているとはいえ、今も人を襲っていた真っ最中なのだ。
だが、咲耶の焦りとは裏腹に名雪は自力でその答えにたどり着いた。
「みんなに、あゆちゃんたちに襲われたのね!」
「………………え? ……そ、そう! 襲われていたのよ。 危ないときに来てくれてありがとう」
名雪は『真実』にたどりついた。
今まで名雪はあゆが圭一らを騙し、まんまと集団に紛れ込んでいるのだと思っていた。
だがそれは間違いだったのだ。
あゆがみんなを騙しているのではなく、あゆとその仲間は元からグル。
そう考えれば全てのことに説明がいく。
佐藤良美に罪を擦り付けようとしたことも、咲耶が四人に襲われていたことも、あゆがなんの弁解もせずに黙っていることも。
あゆたちは親友である名雪等を裏切って四人で残り全ての参加者を殺すつもりなのだ。
あるときはあゆのように無害を装って、またあるときは咲耶を襲っているように集団で殺す。
『真実』という名の『虚構』を名雪は手にしたのだ。
「ざけんな! その女はなぁ、いきなり俺等にダイナマイト投げてきやがったんだよ!」
いきなり殺人者に間違えられた武の怒りはもっともだ。
脇腹から流れる血を押さえつけながら武は反論する。
しかしもう名雪は迷わない。
彼女は絶対的な『真実』を手に入れたのだから。
殺意が、恨みが、怒りが名雪の心を黒く染めていく。
「誰が信じるもんか! 佐藤さん、咲耶ちゃん、沙羅ちゃん、あいつらをやっつけよう!」
「うん」
「ええ」
「……」
「佐藤さん……これを使って!」
そう言って名雪はデイパックからハンドアックスを取り出して良美に手渡した。
それは名雪の支給品ではなく、亡き大石の遺した遺品である。
「これは?」
「大石さんの持っていた武器だよ。 あゆちゃんに殺された大石さんと乙女さんの武器で、あゆちゃんを殺そう!」
咲耶と良美は無言のうちに同盟を交わしていた。
二人ともお互いの氏素性も知れぬ身だ。
しかし、このようなおいしいシチュエーションを前にわざわざ争う理由は無い。
二人は獲物を仲良く分かち合うことに決めた。
良美と名雪は各々の武器をを振りかざしあゆへ、咲耶は地獄蝶々を構え武のもとへ切りかかっていく。
良美と名雪の進路に圭一が立ちふさがり刀を構える。
咲耶、良美、名雪。
圭一たちを襲う悪魔の包囲網が今完成した。
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